習氏がけん制、ペンス氏は皮肉…米中の違い鮮明
2018年11月17日16時3分
【ポートモレスビー】パプアニューギニアの首都ポートモレスビーで17日午前、アジア太平洋経済
協力会議(APEC)の参加者らが集うCEO(最高経営責任者)サミットが開かれ、主要国の首脳が
演説した。米国のペンス副大統領と中国の習近平(シージンピン)国家主席はそれぞれ、貿易問題や
社会基盤(インフラ)支援を巡って主張を展開し、立場の違いを際立たせた。
17日、パプアニューギニアでのAPEC・CEOサミットで演説するペンス氏(AP)
ペンス氏は、トランプ米大統領の「中国は長年米国を利用してきた」との発言を引用し、
中国の貿易障壁や知的財産の盗用などを問題点として挙げ、非難した。中国への制裁関税については、
「中国がやり方を変えるまで米国は方針を変えない」と強調した。
ペンス氏に先立って演説した習氏は、「保護主義や一国主義という古いやり方は、世界経済の
不確定性を高める。反対する立場を鮮明にしなければならない」と述べ、保護主義に傾く米国を
名指しせずにけん制した。さらに、「国同士が平等な立場で譲り合い、話し合わなければ解決できない」
として、制裁関税など米国の一方的な措置を批判した。
インフラ支援を巡っては、ペンス氏が「米国はより良い選択肢を提供する。投資相手を借金の海で
おぼれさせることはない」と述べ、中国による「借金漬け外交」を皮肉った。
ペンス氏は、インド太平洋地域のインフラ整備に600億ドル(約6・8兆円)を支援する方針を
正式表明した。
17日、パプアニューギニアでのAPEC・CEOサミットで演説する習氏(ロイター)
習氏は、インフラ開発を柱とする巨大経済圏構想「一帯一路」に触れ、「ドアを閉め小さなグループを
つくることはない」と述べ、他国との協力関係の構築を念頭に参加国をさらに増やす方針を強調した。
2人に先立って登壇したオーストラリアのモリソン首相は、米中間の貿易摩擦の激化を念頭に、
「報復の応酬は経済を弱体化させるだけだ」と指摘した。
ポートモレスビーでは17日夕からAPEC首脳会議が開かれ、安倍首相のほか、ペンス氏や習氏ら
21か国・地域の首脳らが出席する。自由貿易体制の維持に向けて各国が道筋を示せるかが焦点となる。
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