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海水を真水にする新素材の「こし器」、英研究チームが量産開発

2017-04-10 15:43:28 | 資源・技術・知的財産・開発研究

海水を真水にする新素材の「こし器」、英研究チームが量産開発

2017年04月5日    BBC
 
酸化グラフェン膜は淡水化技術への応用が期待されている
 

グラフェンと呼ばれる新素材の膜を量産化し、「こし器」として海水の淡水化装置で使えるようにする技術を、英大学を中心とする研究

チームがこのほど開発した。


研究チームが今回量産に成功した酸化グラフェンの膜は、海水から非常に効率良く塩分を取り除くことが可能。今後は、従来の淡水

化装置に使われている素材との比較検証が行われる。


英科学誌「ネイチャー・ナノテクノロジー」に掲載された研究論文で、英マンチェスター大学のラフール・ナイール博士率いる研究チーム

は、化学的誘導体の酸化グラフェンを使い、量産化に伴う課題の一部をどのように解決したか説明した。


マンチェスター大学が2004年に発見したグラフェンは、炭素原子が単層で六角形に並んだ形状で、並外れた伸張強度や電気伝導性

に特徴がある。将来の応用が高く期待される素材のひとつだ。


しかし、化学蒸着(CVD)など現在使われている技術では単層グラフェンの量産は困難で、費用も大きい。


ナイール博士はBBCに対して、「酸化グラフェンは研究室での単純な酸化で生産できる」と語った。「インクか溶液ならば、基質もしくは

多孔質材に定着させることが可能だ。それを膜として使うことができる」


「拡張性や素材コスト面では、酸化グラフェンは単層のグラフェンよりも優位性があるかもしれない」

世界の多くの場所で、きれいな水の確保が大きな課題となっている

単層のグラフェンについてナイール教授は、「透過性を持たせるためには、膜に小さな穴をあける必要があるが、もし穴がナノメートル

(ナノは10億分の1)より大き過ぎれば、塩は穴を通ってしまう。脱塩に使えるようにするには1ナノメートル以下の均質な穴がある膜を

作らなくてはいけない。これは非常に難しい」と語った。


酸化グラフェンの膜は既に、小さなナノ粒子や有機分子に加えて、大きな分子の塩も濾過できることが分かっている。しかしこれまで

は、より小さい穴の膜が必要な通常の塩は濾過できなかった。


過去の実験では、酸化グラフェンの膜は水に浸かるとわずかに膨らみ、小さな塩の分子が水と一緒に穴を通ってしまうのが確認されて

いる。


ナイール博士と同僚たちは今回、接着剤などに使われるエポキシ樹脂でできた壁を酸化グラフェン膜の片側に置くことで素材の膨張を

防いだ。

科学者らは今後、従来の淡水化装置に使われている素材との比較を行う

ナイール教授らはまた、膜を通過する水の分子は高速で流れるため、海水の脱塩に理想的だと指摘している。

「毛細管の大きさを、水の分子の大きさに非常に近い約1ナノメートルにすれば、水の分子は電車のようにきれいにつながった形にな

る」と博士は説明。「そのため、水の流れは速くなる。一方で押す力を強めれば、もう一方で分子が皆動く。水素でつながっているから

だ。これは管の大きさが非常に小さな時だけ可能だ」。


国連は、2025年までに世界の人口の14%が水不足に直面すると予想する。気候変動の影響で都市への水供給が減少するなか、先

進国は海水淡水化技術に投資している。


現在の淡水化設備では、ポリマー(高分子)素材の膜が使用されている。

取材:ポール・リンコンBBC.com科学担当編集長

(英語記事 Graphene-based sieve turns seawater into drinking water

 

 日本の水インフラ技術も高水準だと思います。サウジアラビアでは海水から淡水にする日本の技術が採用されています。

日立製作所と東レが中心になって行われています。

水不足は必ずきます。水インフラ技術は新しい日本の技術輸出になるのではないでしょうか。

市場はあるので世界一の技術を目指すべきですね。

2015年時点の日本の水インフラ技術(海水淡水化)

少ないエネルギーで多くの水を作ることができる、省エネのテクノロジーです。
海水淡水化にもいくつかやり方がありますが、主流となっているのは、比較的エネルギー消費の少ない、膜を使う方法です。これは海水淡水化用の膜です。この膜で塩分を分離し、水だけをこしとります。実は、日本企業は1960年代からこの膜の開発を進めており、現在国内3社合わせて世界シェア6割という圧倒的な強さを誇っています。今回、新たに開発した膜によるシステムは、従来の8割のエネルギーで、これまでの最大量の2倍にあたる、500万人分の水を作ることができるといいます。

もうひとつは、環境への配慮です。例えば、膜によって取り除かれた塩分は、濃い塩水として海に戻されますが、これを続けていると海水の塩分濃度が上がり、生態系に悪影響を及ぼしてしまいます。今回のシステムでは、海に戻す濃い塩水を下水処理場から出た水と混ぜることで濃度を薄め、環境への影響を抑える工夫もされています。しかも、混ざる際に発生する水流を利用して水車を回し、発電するという独自のエネルギー回収技術も開発しました。この電気を使うことで、さらに1割の省エネが可能になると言います。

 

サウジアラビアへの水インフラ技術から見る展望

部品を売るのではなく、日本企業がプロジェクトをリードし、プラント一式をセットで売ることができる可能性を切り開いたことです。これまでは、水メジャーと呼ばれるフランスのスエズ・ベオリアや、アメリカのGE・ゼネラルエレクトリック、ドイツのシーメンスなど欧米の巨大企業がプロジェクトをとりまとめ、日本企業は、膜などの部品を納入する立場に甘んじることが、少なくありませんでした。実は、この下請けの状況を脱却し、日本主導で海水淡水化プラントを受注することを目指して始まったのが、産学共同の技術開発プロジェクト(企業、大学など31の組織共同開発)でした。

NHK時事公論より

日本は幸いきれいな水に恵まれています。ところが中国がその水源を買いだしています。この動きには要注意です。

外国人に土地を売ることを食い止めなくてはなりません。