goo blog サービス終了のお知らせ 

EMERALD WEB≪拝啓 福澤諭吉さま≫

政治・経済・生活・商品情報などさまざまな話題で情報を発信してます。

習氏の権力闘争、歴史的転換の前兆

2016-12-29 10:55:40 | 中国・中国共産党・経済・民度・香港

習氏の権力闘争、歴史的転換の前兆<前編>

中国最高指導者は「プーチン式」指導体制を目指すか

2016 年 12 月 28 日 11:07 JST THE WALL STREET JOURNAL

 【北京】2012年に習近平氏を最高指導者に選んだ中国共産党のエリートは、力強い手綱を切望していた。それまでの10年間、胡錦濤国家主席が権力を共有する手法を採ったことで政策は漂流し、派閥争いや汚職を生んでいたからだ。


 そうした共産党の陰の権力者たちは望み通りの、そしてそれ以上のものを手に入れた。


 その後、習氏は4年にわたり自ら経済や軍の指揮を執り、他の権力も掌握。1976年の毛沢東死去を受けて独裁防止のために導入された集団統治体制を覆した。


 古いタブーを打ち破り、習氏は党の長老やその親族を反汚職運動の標的にし、8900万人の党員全てに忠誠を求め、「習大大(習おじさん)」の愛称に象徴される父親的なイメージに磨きをかけた。


  現在、1期目の5年の任期が終わりに近づくなか、習氏が来年の後継者候補の昇格を阻止しようとしているとの声が党内には多い。これは、習氏が69歳となる22年に2期目の任期が切れた後も続投したがっていることを示唆する。


 首脳陣と日常的に接触している党幹部によれば、国家主席であり、党総書記であり、中央軍事委員会主席である習氏は、22年以降も「続投し」、「まさにプーチン式の」指導体制を探ろうとしている。


 時代を特徴付ける経済ブームが陰り始めるなか、権力拡大を目指す習氏の動きは短期的には政治の安定をもたらすかもしれない。ただ、毛沢東の死去以降に育まれ、政府の柔軟性と定期的かつ秩序だった権力移行を保証してきた慣習を覆す恐れがある。


 中国は複雑な経済の運営に適さない硬直的な独裁体制に向かいつつあるとの懸念が、同国エリート層の間で高まっている。同国は債務に依存した刺激策からの脱却、国営独占企業の解体、環境汚染対策など、さまざまな課題を抱えている。


 シンガポール国立大学の中国政治専門家、ファン・ジン氏は「彼(習氏)のジレンマは、権力がなければ物事を進められないことだ」と話す。同氏は「(習氏が)権力集中の必要性を感じているが、そうすれば非常に強力なリーダーによる独裁化を防ぐ機関を骨抜きにするリスクを負う」という。


 支持者によると、習氏は依然として党内で抵抗を受けており、経済減速と敵対的な欧米に対峙(たいじ)するために指導体制を近代化する必要がある。


 党幹部348人が出席した10月の会議で「核心」の指導者という肩書を得た習氏は、規律の乱れを批判するとともに、「権力を渇望し、従順を装い、派閥やグループを形成した」高官らについて警告した。


 その後、多くの党員が「絶対的な忠誠」を誓う文書に署名した。河南省の党委員会を率いる謝伏瞻氏は10月の演説で、習氏を「偉大な指導者」とたたえた。この言葉は通常、毛沢東にのみ用いられる。

来年秋の共産党全国代表大会では次期指導部の人選が明らかになる。最高指導部の政治局常務委員は習氏と李克強首相を残し、あとの5人が退任する見通し。政治局は25人中10~11人が退任予定、376人で構成される中央委員会は退任予定が約208人、汚職で追放された者が約20人


次期指導部 の人選プロセス開始

 米国の大統領選でドナルド・トランプ氏が勝つ数時間前に、中国は複雑な次期指導部の人選プロセスを正式に開始した。結果は来年秋に開催される5年に1度の共産党全国代表大会で明らかになる見通しだ。最高指導部である政治局常務委員については、7人のうち5人が退任することになっている。


 02年に設けられた規則では、68歳以上の委員は引退する決まりだ。党がこれに従うとすれば、残るのは習氏と李克強首相だけだ。


 後任は通常、辞任する委員や引退した委員が選ぶ。07年以降は、党総書記が2期目を満了した時に後継者になれる若い人物を2人選ぶのが慣例だ。


 ある共産党の幹部は全国党大会に向けた正式な準備が始まる少し前の記者会見で、最高指導層に年齢制限を設けるとのアイデアが「俗説」であり「信頼に値しない」と述べ、そうした慣例に疑問を投げかけた。


 党内には、習氏が次期常務委員を味方で固め、自分以外の者がお気に入りを昇進させないようにしているとの見方がある。汚職撲滅運動を指揮する王岐山氏は既に68歳だが、留任し、さらには首相に就任することを習氏が望んでいるともささやかれている。


 常務委員を縮小や格下げ、あるいは撤廃し、ロシアの大統領制に近い体制を導入するとのうわさまである。現在3期目を務める同国のウラジーミル・プーチン大統領は広範な執行権限を持ち、24年まで在任できる。


 最高指導部と日常的に会っている党幹部は最近の内部の議論から、来年は常務委員の「後継者が指名されない」とみている。習氏は「長老たちの過剰な介入を是が非でも防ごうとしている」という。


 こうした観測を背景に、党全国代表大会に先立つ交渉で習氏が影響力を強めるかもしれない。


 ライバルが習氏の目標を妨害したり、習氏が2期目に方向転換したりする可能性があるとの考えもある。だがあからさまな抵抗の兆しがないことから、指導部と会ったり彼らの動向を注視したりしている多くの人は、強力な独裁体制の新時代が始まったかもしれないと感じている。


 ある元高官は「中国最強の指導者たちが結果を出すのに少なくとも20年必要だった。習近平も同じだろう」と述べ、「毛(沢東)は国を造った。鄧小平はそれを豊かにした。現在は習の時代だ。国を強力にするだろう」と説明した。


 習氏の目標は、同氏個人に忠実な規律ある組織に党を改造し、党に社会と経済で支配的な力を取り戻すことのようだ。党関係者は、習氏が少数の顧問団によるトップダウン型の意思決定がいいと考えていると話す。顧問らは現在、習氏が率いる10余りの委員会を通じて指示を出している。


 党内で習氏は、回ってくる多くの書類について頻繁にメモする細かい上司だとされている。同氏が率いる委員会の1つ、「中央全面深化改革指導小組」が今年これまでに交付した政令は96件と、昨年の65件、一昨年の37件を上回っている。

 

 習氏の権力闘争、歴史的転換の前兆<後編>

中央委員会は10月に習氏を「核心」の指導者として承認した。

全国人民代表大会の開幕に到着した中国の習近平国家主席(左)と李克強首相(3月5日、北京)

いつもお読み頂きましてありがとうございます。