「最悪の事態はこれから」 パンデミックの新たな火種はここだ
2020年05月20日 04:45 SPUTNIK
ラテンアメリカでの新型コロナウイルスの感染拡大状況は憂慮を呼ぶ事態に達しており、
この地域はパンデミックの新たな火種となる恐れがある。
独ニュース週刊誌「デア・シュピーゲル 」にこうした内容の記事が掲載された。
ここ数週間、ラテンアメリカ諸国では新型コロナウイルスの感染、死亡者数は記録的
水準に達している。デア・シュピーゲル誌の記者は、ラテンアメリカ諸国の中には
欧米の感染ピーク時に匹敵する状況が出来上がっていると指摘している。
ブラジルで大量埋葬
ブラジルではすでに今、コロナウイルスによる遺体処理に棺を段重ねにして埋めると
いう大量埋葬の手段に走らざるをえなくなっている。ブラジルではCOVID-19の検査は
あまり行われていない。
デア・シュピーゲル誌は首都サンパウロに勤務のある医師のセリフを引用している。
医師はブラジルの死者数は10万人台にせまる恐れがあり、「最悪な事態はまだこれから」
と語っている。記事筆者は、こうした暗い予測は、ブラジルの検疫措置の緩さと、
同国のジャイール・ボルソナロ大統領にウイルスへの危機意識が薄く、COVID-19を
「軽いインフルエンザ」と一笑していることから生まれていると指摘している。
記者の指摘によれば、ブラジルでは検疫措置が発令されたのは数都市のみ。感染率の
上昇にもかかわらず、ボルソナロ大統領は、検疫による経済への影響はCOVID-19
そのものよりはるかに危険として、発令されている措置の緩和を強要している。
ボルソナロ大統領
死亡率は上昇 規制は逆に緩和
感染者、死者数ではラテンアメリカでワースト3のメキシコも、導入された制限措置の
緩和に乗り出した。こうした状況と裏腹に感染症の学者らはメキシコはまだ感染の
ピークには達していないと指摘している。
メキシコで新型コロナウイルス
デア・シュピーゲル誌は、ラテンアメリカ諸国は欧米よりもパンデミックへの準備が
不足しており、経済停滞を味わった時期に健康保健システムは縮小されてしまったと
指摘している。