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「感染者数だけで判断すべきではない」現役医師が"五輪は有観客でやるべき"と訴えるワケ。 欧米は「ノーマスク有観客」が当然に。

2021-07-19 14:57:49 | 医療・疾病・疫病・パンデミック・新型コロナウイルス

「感染者数だけで判断すべきではない」現役医師が"五輪は有観客でやるべき"と訴えるワケ。欧米は「ノーマスク有観客」が当然に

2021/07/17 15:00   PRESIDENT Online  大和田 潔 医師

2021年7月13日、コロラド州デンバー・クアーズフィールドで開催された第91回MLBオールスターゲームで、先発登板するロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手

 

無観客オリンピックを見直すべき理由

東京オリンピックは無観客の方針になっています。

一方、私たちはこれからコロナの世界流行の状況があまり変わらない中でも有観客で開催される次の

北京オリンピックの大成功を、遠くからながめることになるでしょう。そして1年延期して準備を

重ねたにもかかわらず、無観客で終わるさみしい東京オリンピックと比較されることでしょう。

 

コロナ大流行中で行われた欧州サッカー選手権(EURO)は有観客で大成功、テニスのウインブルドン

選手権(英国)は有観客・ノーマスクで大成功。さらに大リーグのオールスター戦(米国)もほぼ満員・

ノーマスクで実施され、成功している様子をご覧になった方も多いでしょう。ホームランダービーでも

盛り上がりました。

 

欧米では1日に数万人陽性者を出しながらも死亡者が少ないので、陽性者数を気にしない方針へ舵を

きりました。そして、7月13日早朝に時事通信から「英、コロナ規制ほぼ全廃へ」という記事が配信され

ました。

 

一方日本では、専門家会議や医師会が状況を鑑みて「この状況でオリンピックをやる意味がわからない」

といい「普通やらない」と否定的でした。小池百合子東京都知事が特別顧問を務める都民ファーストの

会も、無観客を公約に掲げて都議選を戦い、選挙後も無観客の意向を貫いています。

 

皆さんもご覧になっている今年の高校野球やサッカー試合と同じくらいの有観客で、パブリックビュー

イングで国民がアスリートを夏の公園で見れたらいい、可能なら新国立競技場でもアルコールを楽しめ

たらいい、と計画していた東京都職員や中央政府も萎縮してしまいどんどん味気ないものになっていって

しまいました。

 

最後には、オリンピック=政府=「国民の敵」のような構図にまでなってしまいました。聖火ランナーに

水をかける人まで現れました。

 

私は、オリンピックの無観客方針は状況判断の誤りだと思っています。コロナ共生の時代になり、

全体主義が終わったと考えています。有観客にして個人の責任で観戦したい人に門戸を開くべきだと

思っています。

 

ウイルス対策の失敗と誠意の欠如

私は、2つのことをずっと疑問に思ってきました。

一つ目は、日本のコロナ対策を先導する専門家会議、医師会、都知事がコロナウイルスの性質や状況

判断を間違い続けていること。二つ目は、彼らが制限だけを政府に助言し、私たち国民に誠意や善意を

もって有益な施策を打ち出さなかったことです。

 

さらに政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は、15日の参院内閣委員会の閉会中審査で

「人々の行動制限だけに頼る時代は終わりつつある」と述べました。緊急事態宣言への「慣れ」を

問題視しているわけですが、「慣れ」ではなく、国民自身が状況を理解し、彼ら専門家のアドバイスに

沿って出された緊急事態宣言の意味を見い出せなくなっただけに過ぎません。

 

前回記事で示したように、日本のコロナ感染状況は最初から「さざ波」でした。そんな状況を恐怖に変え、

初期治療の紹介もせず、医療設計を怠って医療逼迫ひっぱくを放置しておきながら何を言っているんだろうと思って

います。いまごろになって東京都医師会長がラジオで治療薬として期待されるイベルメクチンに言及する

始末です。

 

高齢者がワクチンで守られ、死亡数が激減している状況になりました。だからこそ、今からでもオリン

ピックを有観客にして国民全体で盛り上げていくべきだと思っています。

 

その経験はいろいろなことに役に立つでしょうし、何よりも国民の士気や消費ムードに大きな良い影響を

あたえて日本を復活に導くはずです。議論を重ね困難を乗り越え楽しい未来を紡ぐ大人たちを見ることは、

若者たちにも良い影響があると思います。

 

「感染拡大」の一方で、重症者は着実に減っている

連日、テレビでは「感染拡大が止まらない」とか「ワクチン接種率が低い」といまだに喧伝されています。

しかし、実際は日本の陽性者数は数千人で、制限が撤廃された欧米の数十分の1、1日ごとの死亡者数も

減少傾向が続いています。

出典=「令和3年7月15日現在の新型コロナウイルス感染症に関する状況」(厚生労働省)

 

ワクチン接種率が低いという議論もありますが、国によってコロナウイルスの被害は異なりますので

国民全体への接種率は意味を持ちません。

被害を受けた世代が接種したかどうかが重要です。ワクチンは被害を減らす保険のようなもので、必要と

される高齢者接種によって十分機能しています。

 

日本では明確に高齢者に被害が集中していました。厚生労働省の『新型コロナウイルス感染症の国内発生

動向(速報値、令和3年6月30日18時時点)』によると、80代以上の死亡率は50代の47倍、40代の100倍

以上です。

 

全国各地で入院中、入所中の高齢者にまで接種が完了しつつありますから、ほぼ完了したと考えて良いと

思います。この点からも、オリンピックの無観客方針が非科学的な政策決定であるかがうかがえます。

日本には様々なアドバンテージがありました。

昨年から私は自身のブログにもつづってきましたが、日本は自ら持っているアドバンテージを捨てて

自滅の道を進んできました。何よりもウイルスに打ち勝とうとする積極策が一つもありませんでした。

以下はその一例です。

□ コロナは国別に被害が異なり、日本の流行被害は比較的小規模であることを無視して恐怖をあおった

□ 無症状が多いウイルスであるが、PCR検査によるクラスター追跡で封じ込めを画策し破綻した

□ 国産のステロイド吸入、イベルメクチンを持っていたにもかかわらず、初期治療を行うことをしなかった

□ 初期診療設計を怠り、医療の逼迫を招いた

□ 全国の医療者でうまくやっているモデルを紹介していくことなどをしなかった

□ 国民どうしの接触をたち、自粛によって陽性者を減らす施策に傾倒したため人災となった
 
 

「感染者数」だけで判断してはいけない

「感染拡大」という言葉もしっかりと吟味する必要があります。政府やメディアでは、検査陽性者を

「感染者」と呼んでいます。しかし、実際はその全員が「発症者」ではないのです。その点に触れず

陽性者数を発症者のように「感染者数」と呼んで情報を垂れ流すのは狡猾こうかつだと思います。

 

このウイルスは無症状の人が多く、陽性者数は調査数に比例します。熱や咳で医療機関に来た発症者を

調べるインフルエンザの発症者数の計測と違います。

 

インフルの流行時期に、その無症状の人をクラスター追跡することはありません。私は、コロナはすでに

日本全国に薄く無症状で広がっているので調査数に応じて陽性者数が認められるだろうと思っています。

素直にメディアから流れる情報を見れば東京の感染状況は、他県の数百倍から1000倍規模でコロナが

大流行しています。他県は数人のところもあります。常識的に見て間違いでしょう。感染力の高い

ウイルスが東京にだけに1000倍も集中して流行することは考えづらいと思います。

なぜこんなことになるのか。調査件数が大幅に異なっていることが最大の原因です。

 

東京は1日あたり1万件以上検査が行われていますが、他の道府県は1日の検査数は数百件程度です。

ちなみに東京の陽性者は20代~30代が中心です。これまでの統計では彼らは無症状や軽症の人々です。

ゆえに東京では「感染が広がっている」一方で重症者も死亡者も減少しているわけです。連日報道される

感染者数は、調査基準が異なり比較できないうえに被害に直結しない数字を示し続けているだけです。

 

「若者にはワクチンは必須でない」その理由

軽症者や無症状者の若者の積み上げられた数を見て、小池都知事は「若者に感染拡大 感染対策とワクチン

接種に協力を」と述べました。(東京だけ突出して)陽性者数増大→若者に陽性者が多い→(被害増大が

ないことは無視)→東京の若者にワクチン接種増加のシナリオではないかと思ってしまいます。

 

私は、コロナウイルスで被害のない若者にはワクチンは必須でないと考えています。よく言われる副反応

からではなく、必要がないことと症状なくウイルス感染した方が有利だと思っているからです。

 

ワクチンで得られる免疫は、S抗体と呼ばれる単一抗原に対してです。

ウイルスそのものに感作されるとN抗体だけでなくウイルスのさまざまな部位に対していくつもの免疫を

得ることができます。この獲得免疫の方が有益です。水疱瘡ウイルスのように軽症で済んでしまう若い

うちにコロナウイルスに感染しておく方が、水疱瘡ウイルスと同様に有益だと私は思っています。

 

© FUJITA HEALTH UNIVERSITY「新型コロナウイルス感染症患者血清中の抗体解析の結果、受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgG抗体の測定が中和活性を最もよく表すことを明らかにしました」

 

私たちのように兵隊として現場で働く医師たちは、何が患者さんに一番有益なのかを考えて診療して

います。小児科の先生も内科の先生も弱毒ウイルス感染による「生ワクチン接種」の意味を良く知って

いるはずです。

町医者より、ウイルスを専門とする専門家会議は、なぜこういった有益な議論はしないでしょうか。

 

「行動制限だけに頼れない」という専門家の驚きの発言

尾身会長が新型コロナ対策について「人々の行動制限だけに頼る時代は終わりつつある」と述べたと

お伝えしました。今後は、ワクチン、検査、二酸化炭素モニター、下水分析などを追加していけば国民の

理解が得られるかもとも述べました。

 

国民がこれまでやってきた休校、ステイホーム、3密回避、アクリル板、禁酒は「もう頼れない」ことに

なりました。そのため検査類を追加してやっていきたいとのことです。

私たちは、どんな時もマスクをし、商売を犠牲にして倒産を増やし、子供の教育を犠牲にし、失業と

貧困を増やし、児童や女性の自殺者を増やしながらも全力で対策に協力してきました。

 

それを「もう頼れない」と言われたら普通は怒ります。国民の必死の努力が評価されず順位が下水分析

ぐらいに下がった失礼な話だけでなく、科学的検査に投資してコロナウイルスの追跡を極限まで続けると

言っています。

 

ここまでくると皆さんも「はぁ? 付き合い切れない」と思われるのではないでしょうか。ウイルスの

感染対策は、国民の被害を無くすことだったんじゃないでしょうか。下水をPCR検査してウイルスが

ゼロになるまで経済抑圧を続けるのでしょうか。

 

尾身会長は、新たな検査への投資をすると良いと述べています。全部税金です。私たち国民の自由は

制約を受けたまま、意味のない検査に負債を広げる意見です。これでは、日本が滅んでしまいます。

弱毒化し市中感染になったコロナのゼロを目指す予算を、がん治療や創薬、新規ワクチン開発などに

投資する方が有益でしょう。

 

こういった人々が昨年から政府を動かし私たちの生活と経済を破壊してウイルスの実際の被害以上の

人災になっていたのです。

 

個人の自由を犠牲にする必要はなかった

私たちは、公共の利益のため自分を抑えよく頑張りました。若者も他のために多大な犠牲をしいられました。こういったものを全体主義といいます。

全体主義が必要なときは、個を犠牲にするほど危機が命に切迫しているときに限られるはずです。ところが、高齢者にワクチン接種もすすみ重症者や死亡者が激減するにしたがい国民は冷静になりつつあります。コロナウイルスは海外に比べると小さな被害だったことを冷静に振り返れるようになりました。

私たち現場の人間は昨年からそのことに気がついています。日本の人々を破滅から守りたい一心で、私自身、プレジデントオンラインでコラムをつづってきました。たとえ「異端者」と言われようが、真っ暗闇に閃光弾をあげる気持ちで情報発信を続けてきました。

時間が経過して「異端」ではなかったことが明らかになったでしょう。全体主義的な施策を続けるべき危機が存在したのかまで危うくなってきました。その状況でさらに「行動制限だけに頼る時代は終わり」の発言です。

ゼロコロナは永遠に実現しない

人間は、不安になると権威にすがりたくなります。そして言われた通りにしていれば安全だと思って不自由でも、小さな安心と幸せを得るために「言いつけ」を守るようになります。

そして厳しい「言いつけ」があればあるほど頑張って守り抜き、より強固な安心を得ようとします。さらに権威者に指示されてもいないのに、違う行動を取ろうとする人々を罰するようにもなります。

これは為政者に支配され、利用される不幸のスパイラルです。

 
 

「自分で考え自由を得て行動すること」は、少し勇気のいるチャレンジかもしれませんが不幸や破滅に陥らない大切なことです。

専門家会議や医師会、都知事のこれまでの認識や、私たちに課された制約が誤りであったことは明らかです。「ゼロコロナ」の世界も荒唐無稽のことであることが国民の多数意見になったのではないでしょうか。

 

オリンピックは有観客で実施するべきだ

国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は来日後、ほとんどの競技会場で無観客と

することが決まったことを受け、選手たちに「五輪の無観客開催に理解求める動画メッセージ」を

伝えました。

 

このような世界潮流から外れた島国の中で、なんとかして大会を開こうと思ったのでしょう。感染対策や

ウイルスへの恐怖が世界基準で見ると荒唐無稽のものであっても、大会を行いたいという気持ちの表れだ

と思います。幸いバッハ会長は、今でも有観客での開催を望んでいるようです。

それに呼応するように、テニスのジョコビッチ選手も、オリンピック参加を表明しました。有観客の中で

繰り広げられる熱戦を、皆さんも観戦したいと思いませんか? 他の競技も、超一流選手たちが日本に

やって来てくれます。

 

先述の通り、日本よりコロナ被害が大きい欧米では、ノーマスクによる有観客のスポーツ大会が既に

行われています。野球もサッカーも有観客ですし、夏の高校野球ではブラスバンドによる応援が可能で、

2年ぶりに復活した地域もあります。

 

被害が少ないはずの日本で、なぜオリンピックは有観客が実施できないのでしょうか。大きな矛盾です。

専門家委員会、医師会、都知事の誤った判断は、日本のコロナ対策に矛盾を生じ政府と国民が迷走する

ことになりました。

 

政府のコロナ分科会などの専門家は、私たち国民の努力に「頼れない」と発言しました。転向ともいえる

発言です。彼らの対策の延長線上に私たちの未来はやってこないでしょう。

 

政府と国民に正しい判断を与えて、復活の序曲を奏でてくれる新しい感染対策チームが必要です。

私たち国民を頼れないのなら、私たちの方で相互信頼できる人々にすべきでしょう。国民や政府のために

存在するアドバイザーだからです。

 

今からでも遅くありません。有観客のオリンピックに戻して日本を復活に導き、豊かな国にしていきま

しょう。大人がまずこの困難を乗り越えなくてはいけません。その姿を見て、若者も勇気づけられる

はずです。みんなで希望を持てる国にしていきましょう。

 

English abstract

“You should not judge by the number of COVID-19 positive cases.”

In Europe and the United States, a “no masked audience” is natural.? Why, then, do active clinicians complain that the “Olympic games should be done with spectators”?

 The Tokyo Olympics will begin on July 23, 2021. According to the consensus of a meeting among experts, the government has announced a policy that many competitions will be held without spectators to prevent the spread of infection.

 In my opinion, this decision may require reconsideration for the following reasons.

1. Severe cases of the COVID-19 infection in Japan tended to be concentrated on the elderly. In response, nearly all population of the elderly has been vaccinated.
2. The number of serious injuries peaked at 1,413 on May 26, 2021, which has continued to decline and has even dropped to merely below 400.
3. Currently, the increase in the number of COVID-19-positive cases occurs among from youth to middle age, and many are asymptomatic or mild cases.

 For these reasons, I believe that the Olympics warrants an audience. Until now, Japan has been plagued by totalitarianism, which takes advantage of excessive anxiety. The meeting among experts continues to deny that the measures taken by the government are sutisfied. The public continues to obey uncriticism. This denial further causes man-made disasters in Japan. However, questions are now being raised.

 I hope that Japan will shift from totalitarianism, which has abandoned the freedom to follow false leaders, to a free country, where individuals are prepared and responsible.

 I hope that holding the Olympics with an audience will be a catalyst of this change in our country. It will also bring relief and hope to the people in the world.

 

大和田潔

医師
1965年生まれ、福島県立医科大学卒後、東京医科歯科大学神経内科にすすむ。厚労省の日本の医療システム研究に参加し救急病院に勤務の後、東京医科歯科大学大学院にて基礎医学研究を修める。東京医科歯科大学臨床教授を経て、秋葉原駅クリニック院長(現職)。頭痛専門医、神経内科専門医、総合内科専門医、米国内科学会会員、医学博士。著書に『知らずに飲んでいた薬の中身』(祥伝社新書)、共著に『のほほん解剖生理学』(永岡書店)などがある。