イラン、イラクの米軍基地にミサイル攻撃
2020 年 1 月 8 日 10:36 JST WSJ By Aresu Eqbali , Jared Malsin and Alex Leary
イラクのアル・アサド空軍基地(2019年12月)
米国防総省は7日、イラクの駐留米軍に対してイランが10発超の弾道ミサイル攻撃を行ったと述べた。
イラン革命防衛隊は米軍がガセム・ソレイマニ司令官を殺害したことに対する報復だとしている。
国防総省によると、攻撃を受けたのはイラク西部のアル・アサド空軍基地とイラク北部のアルビルの
基地。同省当局者によれば、ミサイル発射は米東部時間午後5時30分(日本時間8日午前7時30分)に
開始された。
現時点で被害の発生を示す報告はない。現地の軍関係者は、攻撃が終了し警報が解除されるまで避難を
続けている。これらの基地はイランの報復攻撃の対象になる恐れがあったため厳戒態勢がとられて
いたという。両基地とも、弾道ミサイル向けの地対空ミサイル(SAM)「パトリオット」は配備されて
いなかった。
ホワイトハウスはドナルド・トランプ大統領が状況を注視し、国家安全保障チームと協議していると
述べた。トランプ氏は2018年にアル・アサド基地を訪問している。
トランプ氏と政府高官らは7日、イランによる攻撃に先立ち、ソレイマニ司令官の殺害は自衛措置
だったとの立場を強固なものにしようとした。
トランプ氏はホワイトハウスで、ソレイマニ氏はテロリストであり、米国人などに対して大規模な
攻撃を計画していたため、それを阻止したと述べた。空爆を命じる根拠となった情報については当面、
機密扱いになるとしたが、詳細は8日に連邦議会議員と共有されると語った。
またマイク・ペンス副大統領は、ナンシー・ペロシ下院議長(民主、カリフォルニア州)と
チャック・シューマー上院院内総務(民主、ニューヨーク州)に電話でミサイル攻撃について説明した。
両議員の関係者近らが明かした。
米軍の空爆で死亡したイラン司令官の葬列に集まった群衆(7日、ケルマン)
イランではこの日、ソレイマニ司令官の葬列に詰めかけた群衆が将棋倒しになり、少なくとも50人が
死亡、200人余りが負傷した。現地では米国に抗議し、多数の群衆が集まっていた。
イラン国営テレビによれば、事故はソレイマニ司令官の遺体が埋葬される予定だった南東部の
ケルマンで起きた。
当局は7日に空爆で死亡した司令官の埋葬を予定していたが、群衆が殺到したため、葬儀車両が
墓地に到着できないとして延期した。
イラン救急サービスの責任者は国営テレビに対し、将棋倒しの原因は葬列にあまりにも多くの人が
集まったためで、攻撃を受けた兆しはないと話した。
イランからイラクのアインアルアサド空軍基地に向けて発射されたロケット弾とされるもの。国営イラン放送が放映した動画より(2020年1月8日取得)