THAAD:中国の報復に日本は冷静な対応、半減した自動車売り上げは1年で完全回復
2017/03/04 10:33 朝鮮日報
中国が近隣諸国に対して「脅迫まがいの経済報復措置」を取ったのは今回が初めてではない。尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐり
日本と領土問題を起こした時も、中国は日本製品の不買運動など全方位的な経済報復措置を取った。中国政府はまた、台湾で昨年5
月に独立路線を掲げる蔡英文総統が就任すると、台湾に対して旅行禁止措置を下した。しかし、日本と台湾は冷静な対応や中国への
経済依存度を引き下げることで危機を克服した。
■中国国内の日本車販売台数が1年で回復
日本が2012年9月に尖閣諸島を国有化すると、中国では大規模な反日デモや激しい日本製品不買運動が起こった。中国・青島に
あるトヨタの販売代理店やパナソニックの電子部品工場はデモ隊の放火により全焼した。日系デパートや店舗では略奪も行われた。中
国政府は反日デモ隊への対応に消極的で、事実上、略奪デモを容認していた。「人民日報」などの国営メディアは「中国と日本の紛争
が続けば、『失われた20年』を経験した日本は再び20年間の不況を覚悟せざるを得なくなる」と脅迫した。インターネットでは日本の動
画に対する検索制限措置も取られた。
最も大きな打撃を受けたのは自動車産業だった。デモから1カ月でトヨタ・ホンダ・日産の中国国内販売台数は半減した。2012年だ
けで日本車業界の純利益1兆7000億ウォン(約1700億円)が消えた。パナソニックとキヤノンは中国国内工場の稼動を中止した。
中国政府は日本への観光も制限した。2012年10月に日本を訪問した中国人観光客は6万9713人で、前年比34%減だった。航空
機やホテルの予約でも大量のキャンセルが発生した。しかし、日本政府や国民、メディアは冷静に対応した。神戸大学の木村幹教授
は「日本が敏感に反応すればするほど、中国政府はこのカードをもっと利用するだろうという共感帯が形成されていた。日中経済は相
互補完的な関係なので、一方だけが被害に遭うことはあり得ず、無期限に続くはずはないという分析もあった」と語った。
その後、トヨタ・バンダイなどの日本企業は「中国は政治的リスクがあまりにも大きい。生産施設を中国からタイ・インドネシアなどに移
す」と発表した。いわゆる「チャイナ・プラス・ワン」戦略だ。これにより、日本の輸出額のうち中国が占める割合は2011年の19.7%か
ら14年には17.5%へと低下した。こうした日本の対応は、「中国に対する学習効果」というのが専門家たちの見方だ。
2010年に尖閣諸島沖で中国漁船が日本の海上保安庁の巡視船と衝突、船長が逮捕されると、中国はレアアース(希土類)の対日
輸出を制限した。日本は世界貿易機関(WTO)に中国を提訴、レアアースの輸入先をインドやベトナムなど多様化することで対応した。
千葉科学大学の大澤文護教授は「日本は中国がいつでも過度な措置を取る可能性がある国だという認識を持っており、中国の脅しの
ような対応にもひどく驚いたり戸惑ったりはしなかった」と語った。
中国の日本に対する制裁措置は結局、一時的な効果を見せただけで効力を失った。中国国内の日本車販売は1年後の2013年秋
から回復した。13年11月、中国国内の日本車ブランド販売は、日産は前年同期比96%増、ホンダは約2倍増、トヨタも41%増だっ
た。一時的に減少した訪日中国人観光客も急増している。13年に131万人だった訪日中国人観光客は16年には637万人まで増加し
た。
■台湾、中国の観光規制で新市場開拓
台湾でも昨年5月、蔡英文総統が「一つの中国の原則を認めよ」という中国政府の要求を聞かなかったため、中国国家観光局は台
湾の団体観光客を規制した。その余波で蔡英文総統の就任以来、4カ月連続で中国人観光客が30%ずつ減少し、観光業界従事者2
万人が総統府前で大規模なデモを行うほどだった。しかし、昨年は外国人観光客1069万人が台湾を訪れ、前年比2.4%増と過去最
高記録を更新した。中国人観光客の減少に対応して東南アジア諸国などに対しノービザ入国を拡大するなど、「新南向政策」を取り、
新規の市場を開拓したのだ。日本・韓国・シンガポールなど従来の市場に対するマーケティングも強化した。中国の制裁に中国人観光
客は前年比18%減で、特に団体観光客は30%以上も減少した。しかし、同期間に台湾を訪れたタイ人観光客は前年比57%と急増、
ベトナム人観光客は34%増、フィリピン人観光客も24%増加した。所得が高い日本人観光客は17%増、韓国人観光客も34%増だっ
た。ドイツのメディア「ドイチェ・ヴェレ」は「結果的に見て、中国の台湾に対する制裁はこれといった効果がなかった」と評した。
何か起こると国家を挙げての大騒ぎ。中国もさぞかし小気味良い思いをしているのではないでしょうか。
時には沈黙がかえって恐怖を抱かせることを韓国は知らないし、知っても出来ないでしょう。