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日独伊三国同盟に通じる「新独裁者クラブ」 反米で結びつくロシア・イラン・トルコ・中国

2016-08-28 14:53:42 | 国際社会・国際会議・国際政治・経済・法及び条約等

日独伊三国同盟に通じる「新独裁者クラブ」

2016 年 8 月 25 日 15:57 THE WALL STREET JOURNAL

反米で結びつくロシア・イラン・トルコ・中国

テヘランでイランの最高指導者ハメネイ師(右)と会談するロシアのプーチン大統領(2015年11月23日)

1940年秋、第1次世界大戦では激しく敵対した日本、イタリア、ドイツ各政府は三国同盟に調印し、欧州とアジアにおける「新秩序を建

設し維持する」ため相互援助することを誓った。それから5年間、新秩序を建設し、そして破壊される動きの中で7000万人が殺され

た。

 三国同盟は当時の独裁者たちの間で結ばれた一連の不可侵・友好・中立条約の総まとめだった。それは目障りな民主主義を欺くた

めでもあったが、主に占領地という事前に想定された戦利品を分け合うための取り決めだった。

 ここで新時代の独裁者たちの協力関係に目を向け、それが導く先について考えてみる価値はある。

「新独裁者クラブ」の幕開け

  その時代は2015年7月、イラン革命防衛隊の特殊部隊「クッズフォース」で指揮を執っていたガーセム・ソレイマーニ司令官が、シリ

アのアサド政権を崩壊 から救う計画を提案するためモスクワを訪問した時に始まった。

シリアの首都ダマスカスに共通のクライアントを持つにしても、イランとロシアは自然な同盟関 係にあるわけではない。

イラン人は1980年代、旧ソ連によるアフガニスタン侵攻で苦い思いを経験し、ロシアもイスラム教徒、ましてイランで大多数を占め る

シーア派に好意を示したことは一切ない。

 

 ただ、両国を共同歩調の方向に向かわせているのは、米国の面目を失わせ、中東から米国を追い出したいという共通の欲望だ。

昨年11月にロシアの プーチン大統領がテヘランを訪れた際、イランの最高指導者ハメネイ師は「(中東)地域における米国の長期戦

略は全ての国、特にイランとロシアにとって有害 だ。それは監視と緊密な相互作用を通じてくじかれるべきだ」と語った。

 それ以降、イラン政府は最新型のロシア兵器を80億ドル(約 8000億円)で購入することで合意し、原子炉10基の追加建設でロシア

の協力を求めるようになった。これはイスラム教徒が制裁緩和措置の「たなぼた」を どのように使っているかを思い起こさせる良い例

だ。また、両国はカスピ海で海軍合同軍事演習を行った。先週にはロシアがシリア空爆のためイランの空軍基地 を利用したばかりだ

(イランのやり方としてはやや公にしすぎた感はあるが)。


トルコとロシアの接近

 これら全てのことは、イラン核合意がイランを米国支持の方向にさせると考えられているタイミングで起こっている。

また、これはトルコがロシア機を撃墜し て1年もたたないうちに、両国政府が関係改善(同盟の可能性すらある)に向かっているタイミン

グでもある。トルコのユルドゥルム首相は先週、当面はアサド 氏が政権を維持することを容認し、ロシアメディアはシリア空爆のためロ

シア戦闘機がトルコのインジルリク空軍基地を利用する可能性を声高に宣伝した。それ は、あたかも米国の撤退を念頭に置いている

ようだ。

 トルコのエルドアン大統領は、歴史的に同国の敵だったロシアとの共同統治のために、 米国との同盟関係を犠牲にするのだろうか。

実に驚くべきことは、それがまだ起こっていないことだ。まず、アサド氏の追放に失敗したことで、米国政府がトル コにとって役に立たな

いことが証明された。また、過激派組織「イスラム国(IS)」の壊滅に失敗したことでも米国の無用さが証明された。

「新独裁者クラブ」の指導者たちを主に結びつけているものは、忌み嫌う国と軽蔑する大統領に敵対しても失うものはほと

んどないという共通認識なのだ

 1期目のオバマ米大統領はエルドアン氏の機嫌取りに尽力したが、強者は常に、無能な道徳家を本能的に軽蔑するものだ。

トルコの新聞(全て国家機関)が7月のクーデター未遂事件の背後に複数の米国退役軍人がいると主張することで、国民を反米の熱狂

に駆り立てているのには意味がある。エルドアン氏はシーア派宗教指導者のモデルに基づき、自身の体制を急速にイラン化させてい

る。この過程では米国を「大魔王」に変えることが必要なのだ。


そして中国

 そして中国の存在がある。ロシア軍の広報官は22日、同国の太平洋艦隊が南シナ海で中国海軍と合同軍事演習を行うと発表した。

これより先の6月には中ロ両国が共同歩調と見られる行動を示した。中国海軍とロシア海軍の艦艇が、ほぼ同時刻に尖閣諸島周辺の

接続水域内に入ったのだ。

 プーチン氏と中国政府との関係は常に順調だったわけではない。中国は米国の極秘情報をハッキングするのと同じ位、ロシアの軍事

技術を盗み取るのにたけている。また、ロシアは中国から格下として扱われるのに満足していない。ただ、ロシアの主な外交目標は米

国の活動を妨害して影響力をそぐということで、南シナ海での合同軍事演習もこれを思い起こさせる別の材料だ。この目標は中国も共

有しているように見える。


「こんなのはかすり傷だ」

 当然だ。オバマ氏と同氏の顧問らは、自分たちの慈悲深い監督下に置かれた世界ほど、良好・安全で幸福だった時代は決してな

かった主張し続けてきた。つまり、もはや彼らは外交政策で絶え間ない当惑を感じることさえないのだ。オバマ政権は1975年の歴史コ

メディ映画「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」に登場する、腕や足を切られても「痛くないぞ」とコミカルに言い張る黒騎士に

成り下がってしまった。「こんなのはかすり傷だ」

  どこで見つけ出すにしても、自身の政治思想を模索し、それを称賛するのは全ての強者の本能なのかもしれない。

それがツァー(ロシア皇帝)であろうが、アヤ トラ(シーア派宗教指導者)であろうが、スルタン(オスマントルコ皇帝)であろうが、総書記

であろうが。

あらためて確認しよう。「新独裁者クラブ」の指導 者たちを主に結びつけているものは、忌み嫌う国と軽蔑する大統領に敵対しても失う

ものはほとんどないという共通認識なのだ。

 こうした認識は米国が次期政権に移行しても変わりそうにない。歴史から現代と類似する事項を探し出そうとしている読者が日独伊

三国同盟に行き着くのは間違いかもしれない。ただ、いまや悪臭漂うスープの材料はテーブルに置かれているのだ。

 (筆者のブレット・スティーブンスはWSJ論説室の副委員長)

プーチンが中心になれば ロシア、イラン、トルコ、中国の同盟は実現しちゃうかもです。

日本はロシア、トルコあたりとパイプを作っておきたいところですが、

今、トルコがね~。とても日本と価値観が同じとはいえないしね~。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。