【社説】米国には何も言えないので韓国叩きに熱を上げる中国
2016/08/06 09:21 朝鮮日報/
中国外交部(省に相当)は4日、北朝鮮が日本の排他的経済水域(EEZ)に中距離弾道ミサイル「ノド ン」を落下させたことを受け「全て
の当事者はこの地域の緊張を高める行為や、互いに挑発する行動を自制すべきだ」とする声明を発表した。
一方で中国外交部 はこの日開催された国連安保理では、北朝鮮の挑発行為を批判する共同声明の採択に反対し「対話で解決すべ
きだ」とする従来の主張を繰り返した。
そのため最 終的に共同声明は採択されず、韓国、米国、日本の3カ国がそれぞれの会見で北朝鮮を批判するだけで終わった。
中国は過去 20年以上にわたり、北朝鮮による核開発とミサイル開発を阻止するどころか、常に現状維持あるいは最低限の制裁し
か行ってこなかった。
今年1月に北朝鮮が 4回目の核実験を強行し、2月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した際には中国も北朝鮮を非難し、
これまでで最も厳しいとされる国連の北朝鮮制裁決 議案2270号に賛成したが、この時もいたずらに時間を引き延ばし、
主要国が全て参加した後になってやむなく制裁に加わったとの印象を各国に与えた。
その 上今回のノドン発射に至っては批判さえしないため、現在の制裁履行も結局は中国の本心ではないと疑わざるを得ない。
中国中 央テレビ(CCTV)や人民日報など中国の国営メディアはもっとひどい。
これらのメディアは北朝鮮が今回のミサイル発射を強行した原因について「韓米両国 が在韓米軍に米国の最新鋭地上配備型迎撃シ
ステム『高高度防衛ミサイル(THAAD)』を配備したため」などと的外れな主張を展開している。
また人民日報 の海外版は5日「韓国がTHAAD配備を強行すれば、中国は国連による北朝鮮制裁から離脱する可能性がある」とも報
じた。
中国は北朝鮮によるミサイル発射 については何も批判しないどころが、逆に国連制裁からの離脱にまで言及しているわけだが、
これは韓国のTHAAD配備に気分を害し、北朝鮮の核武装を放置 するのと何ら変わりがない。
北朝鮮が5回目の核実験を強行し、あるいは核弾頭を装着したICBMを発射したとしても、中国はおそらく「北朝鮮ではなく韓国 の責
任」などと主張するだろう。中国のこのような態度はまさに言語道断と言わざるを得ない。
現在、韓国と中国の間では文化交流や団体観光の中断、中国による韓国人へのビザ発給の遅延など様々な問題が表面化している。
もちろん中国政府は認め ていないが、中国によるこれら一連の措置は韓国におけるTHAAD配備の報復としか考えられない。
中国外交部(省に相当)は今年7月12日、国際仲裁裁判 所が南シナ海の島々に対する中国の領有権を否定する判決を下した直後
「米国は国際海洋法条約に加盟もしていない」などと主張し、直後には一部地域で米国企 業KFCに対する不買運動を始めた。
しかし人民日報が社説で「不買運動は愚かな行為だ」と呼びかけると運動はたちまち収まった。
しかし中国国営メディア各社は韓国に対しては今なお露骨な批判を繰り返している。
これはおそらく韓国国内での対立を煽ることで、THAAD配備反対の世論 を刺激するのがねらいだろう。
米国には何も言わないが、韓国に対してだけは「韓流の中断」「韓国企業への制裁」などを主張する中国の行動は、米国との全面 対
決はできないものの、韓国をいじめることでうっぷんを晴らそうとしているとしか考えられない。
中国は北朝鮮の核問題を東 北アジアの安定を揺るがす行為とは考えておらず、その時と状況に応じて韓半島(朝鮮半島)情勢を思
い通りにする政策の手段としかみなしていなかった。
中国 のこのような態度や考え方が根本的に改まらなければ、北朝鮮が今後数年後に核攻撃の能力を確保した瞬間、
東北アジア情勢は中国が望まない方向に進むだろ う。
中国はTHAADが北朝鮮のミサイル防衛用であることを1日も早く認めるべきだ。