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移民を奴隷として競売か 米報道、リビア政府が調査へ 。/ CNN調査「奴隷マーケット」

2017-11-20 15:48:43 | 戦争・内戦・紛争・クーデター・軍事介入・衝突・暴動・デモ

移民を奴隷として競売か 米報道、リビア政府が調査へ

2017年11月20日 11:46 発信地:トリポリ/リビア  AFP

仏パリで行われた抗議デモの様子

【11月20日 AFP】リビアで移民が奴隷として競売にかけられているとみられる映像が報道され、国連(UN)が支持する

リビア統一政府は19日、この奴隷売買疑惑について調査すると明らかにした。映像はソーシャルメディア上で広く共有

され、フランスで抗議デモが起きるなど世界中から憤りの声が上がっている。

 

 混迷した状況にあるリビアは長らく、欧州を目指す移民にとって主要な通過拠点となってきた。そうした移民の多くが

人身売買業者らから深刻な虐待を受けている。

 

 米CNNは先週、リビアで行われた奴隷競売を撮影したとみられる映像を放送。映像には、複数の黒人男性が北アフリカの

バイヤー向けに農場労働者として売りに出され、わずか400ドル(約4万5000円)程度から競りにかけられる様子が映って

いる。

 

 報道を受けて統一政府(国民合意政府、Government of National Accord)のアフメド・メティグ(Ahmed Metig)

副首相は19日、奴隷売買疑惑について調査し、関与した者を処罰するための委員会を設立すると発表。

外務省も声明で「疑惑が事実と確認されれば、関与した者は全員罰せられる」と述べた。

 

 CNNの報道はソーシャルメディアで拡散し、アフリカ、欧州、それ以外の地域でも強い反発を招いている。

 

 映像は携帯電話で撮影されたもので、画質は粗い。CNNによると、競売にかけられているある男性はナイジェリア国籍

の20代で、「農場労働のための体格のいい男たち」のうちの一人だという。

 

 映像では、競売人とされる人物が「800、900、1000、1100…」と声を上げ、その後、2人の男性が1200リビア・ディ

ナール(約9万8000円)で落札されている。



欧州目指すも人身売買の被害に、リビアの「奴隷マーケット」 CNN EXCLUSIVE

2017.11.20 Mon posted at 11:04 JST    CNN

リビアの「奴隷マーケット」の現状をCNN取材班が調査した

リビア・トリポリ(CNN) 「800」、競売人が言う。「900・・・、1000・・・、1100・・・」。

落札された。1200リビア・ディナール。およそ9万円だ。


中古車ではない。土地でも家具でもない。そもそも「商品」ですらない。落札されたのは2人の人間だった。


携帯電話のザラザラの動画に映る競り落とされた身元不明の男性の1人はナイジェリア人。20代に見える男性は色あせた

シャツとスエットパンツを身に着けている。


男性は、競売人が言うところの「大きくて力持ちで、農作業向けの少年たち」のグループの1人として、オークションに

かけられた。競売人はカメラに映らず、手だけがときどき見える。その手は所有者然として男性の肩に置かれている。

この人身売買の様子を撮影した動画を視聴した後、CNN取材班は真偽を確かめようと動き出し、リビアへ調査に

向かった。


CNN取材班は10月、リビアの首都トリポリ郊外にある建物にカメラを隠して持ち込み、6分から7分の間に10人以上

の人々が競り落とされていくのを目撃した。


「誰か、穴を掘る人間を探していないか」。迷彩服を着た男が言う。「500、550、600、650・・・」。

値段がつり上がっていき、買い手が手を上げる。数分ですべてが終わった。運命だと思って諦めきった男性たちが新しい

「主人」の元へと引き渡される。


オークションの後、CNN取材班は競り落とされた男性2人に会った。経験したことから精神的にショックを受けて、

しゃべることができなかった。おびえており、会う人全員を疑った。


毎年、数万人の人々がリビア国境を越える。欧州で、より良い機会を探そうとする紛争から逃れてきた避難民や経済移民

だ。


その大部分は、リビアを抜け地中海への玄関口に向かう旅の資金を得るため、すべてのものを売り払っている。


しかし、最近はリビアの沿岸警備隊による取り締まりが行われ、海へ出られるボートの数が減っている。

このため、密輸業者の手元に未処理の乗船希望者が残される。


そのため、密輸業者が主人となり、移民や難民は奴隷となってしまう。


CNNが撮影した動画は証拠品としてリビア当局に送られた。当局は調査を約束している。


不法移民の取り締まりを行っている当局の幹部はCNNの取材に対し、人身売買の現場を目撃したことはないとしながら

も、国内で密輸団が活動していると認めた。


同幹部によれば、密輸業者は、金が手に入る限り、移民や難民が欧州にたどり着こうが海で死亡しようが気にしないと

いう。


人身売買は、日々の生活を送る人々であふれた一見するとリビアにある普通の街といったところで行われている。

通りでは子どもたちが遊んでいる。仕事に出かける人や友達とおしゃべりする人、家族のために夕食を作る人もいる。


しかし、人身売買の現場は、時代をさかのぼったようだ。足りないのはただ、手かせと足かせだけだ。


トリポリにある難民収容所の幹部によれば、密輸業者による虐待の話はよく耳にするという。


ビクトリーという名前の男性(21)も拘束された難民の1人で、人身売買にかけられ売られたことがある。ナイジェリア

のエド州にはびこる汚職に嫌気がさして自宅を逃げ出し、欧州へ行こうと、1年4カ月の時間と、それまでの蓄えを費やし

た。


リビアまでは到達することができたが、そこで、彼や彼のような乗船希望者はひどい生活環境に陥った。食料は奪われ、

虐待を受けた。


蓄えが尽きると、ビクトリーは日雇い労働者として密輸業者に売られた。密輸業者からは取引による収益は負債を減らす

のに使うと伝えられた。しかし、何週間か強制労働をさせられた後、もうけが十分じゃないと言われた。彼は密輸業者の

元に戻され、さらに何度か売られたという。


密輸業者は最終的に彼を解放する前に家族に身代金を払うよう要求した。


北アフリカを抜けるルートの危険性が高まるなか、多くの移民が欧州の海岸へとたどり着こうという夢をあきらめている。

国際移住機関(IOM)が手配した本国送還のための航空便によって自発的に故国へ戻ることを決めた人々は今年、

8800人を超える。


ナイジェリアの友人の多くが欧州へと渡るなか、ビクトリーはあきらめて、手ぶらで故郷へ帰ることにした。

しかし、一からやり直さなければならない現状に「とてもつらい」と肩を落とした。

地中海で救助された移民らが海軍基地に到着する様子=10月、トリポリ


リビア・トリポリにある移民収容所の様子