人生エクソダス

なんてことのない日々のこもごもをつらつらと書き連ねたり連ねなかったりする。

オレンジ・イズ・ニュー・ブラック 完結

2019-11-26 01:52:50 | レビュー ドラマ・映画

 NETFLIXの動画において、映画はインディースというか、すぐれた映像技術による微妙な脚本という満足できたり出来なかったりするコンテンツが種類としては多い。がこれはPrimeVideoでも同じようなものなので、ここはネトフリオリジナル作品という新しいアウトプットによって、これまでテレビの放送枠を勝ち取らないと仕事がない状態でも新しい選択として仕事創出の機会が得られた事を喜ぶべきなのかもしれない。

 「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」はNETFLIXのドラマのなかでもかなり肝いりで、シーズン6まである長編大作だ。パイパーというアル中気味の女性がある日刑務所に収監され、そこでの生活を経て自分や周囲が変わっていく過程がまず描かれている。同じように収監されている女性受刑者は窃盗や不法入国など、ろくでもない輩から唐突に転落人生を辿ってしまった存在まで多岐にわたり、また精神異常者のような奇矯な存在も同じように収監されているというカオスな世界の中で、受刑者同士のマウンティングによるボスの存在や、そこでの闇商売、同盟と対立という濁流のような大きな力の中で、ひとりひとりが釈放の目を見たり、別の収容所をたらいまわされたり、不慮の事故によって死亡したり、子供と引き離されたり死別したり…という人生の流転のなかで、まともに生きることの難しさと、まともでなくても生きられるという強さを、キャラクターの心情に沿って描かれている。

 パイパーを主軸に見れば、収監されたあと、婚約者と別れ→同じ受刑者のアレックスと愛人関係になり→下着の密売をするもボスにはなれず→後に釈放されるが仕事をすぐ馘になり→父親の働き先と兄の下宿先で鬱屈した生活を送る…という、刑務所暮らしからは脱出できたものの、元通りの生活に戻れず苦悶するところが描かれる。パイパーだけでなく、刑務所から出られたものの失ったものの多さによって人生が変質してしまった人間の姿が色々考えさせられると同時に、元々犯罪に親しい環境の中で生きれば、何のブレーキもなく犯罪行為に手を染めてしまい、家族もろとも逮捕されたりするというこもごもが映し出されている。

 シーズン6で完結とはしたものの何か明確に終わったわけではなく、これからもそうした続きの話があるが、まずはここまで、という感じの終わり方だった。どう考えても全員の顛末まで描くことはしつこいし、かといって打ち切りのように尺足らずでも唐突感があるわけでもないエンディングだった。「ブレイキング・バッド」のようにアア、終わった…という最終回ではなかったが、希望があるかは分からないがそれでも絶望ばかりでもないので生きていくという思いを感じさせてくれたと思う。



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