アーム通信(海外会員インドだより)

国際子ども権利センターの元運営委員の成田由香子が、インドのデリーで滞在する暮らしの中で体験することを伝えます。

2つのこどもの日

2005-11-21 08:51:45 | Weblog
みなさま
こんにちは。11月、インドでは「こどもの日」が2つありました。

【インドの「子どもの日」-11月14日-】

◆なぜこの日?
11月14日は、インドの「子どもの日」でした。これは、子ども好きだったと言われるジャワハルラル・ネルー初代首相の誕生日を記念して、インドでは「子どもの日」としたそうです。詳しくは、↓のサイトをご覧下さい。
http://festivals.iloveindia.com/childrens-day/
このページの最後には、なぜか日本の「子どもの日」の由来もあったので、ちょっとビックリです。

◆どんなことをしているの?
インドでの「こどもの日」には、学校や地域で、またNGOを通して、様々なイベントがあったようです。主にはピクニック、劇、交流会などが行われたようです。新聞にはあまり大きくは取り上げられてないような気がします。ウェブサイトで見ても、少ししか見当たりませんでした。ちょっと目に付いた記事と思ったのは、例えば、民間の学校に通う子どもが、スラムの子どもと交流するイベントが行われたという内容の↓のMid-Dayという新聞のニュースです。
http://web.mid-day.com/metro/borivli/2003/november/68865.htm


【「世界の子どもの日」-11月20日-】

◆なぜこの日?
また、11月20日は、「世界子どもの日」だそうです。1989年のこの日に、「国連子どもの権利条約」が採択された日だからだそうです。
この日、私は外出した思わぬ場所で、この日に関わるイベントを目にすることができました。

◆子どもの権利イベント
私はこの日、家の近くにあるDilli Hatというインド各州の手工芸品などの店が並ぶ場所に行ってきました。そこで今、毎年一年に一度行われる一大イベント、クラフトフェアを見に行ったのでした(このフェアについては次回お伝えします)。
ここで、この11月20日、「世界子どもの日」を記念するイベントの劇が行われていました。これは、CRY: Child Relief and You (子どもの権利に関わるNGOネットワーク組織。詳しくはhttp://www.cry.org/index.asp)、Action Aid India(開発、子ども等に問題に関わるアドボカシーNGO。詳しくはhttp://www.actionaidindia.org/sitemap.shtml#)、UNDP in India(国連開発計画インド事務所。詳しくはhttp://www.undp.org.in/)が共催で行われたようです。ここで配布されたのは、子どもの権利に関わる小さなブックレット(写真)とチラシです。ブックレットは、ユニセフとセーブ・ザ・チルドレンUKによって作成されたもので、中を開くと、子どもの権利条約にある内容が、子どもでも分かりやすいような絵と簡単な文章で書かれています。ここでチラシの内容を抜粋して訳したものを以下に紹介します。

(ここから↓)-----------------------------------------------------------
インドは、1992年12月11日に「国連子どもの権利条約」に署名しました。子どもの権利を保障するために、新しい法律”Juvenile Justice(Care and protection) Act, 2000(2000年少年司(ケア及び保護)法)”を制定しました(この法律については今後お伝えいます)。しかし、インドの子どもの状況を見ると、インド独立後57年経っても、100%の子どもが自分たちに必要不可欠な権利、例えば教育、健康、シェルター、楽しみなどの権利を利用することができていません。ストリートチルドレン、働く子どもたち、スラムの子どもたち、貧困ライン以下(世界銀行による定義では、一日1ドル以下)の家庭の子どもたちの現状はとても厳しいものです。インドは「国連子ども権利条約」に署名することによって、子どもの権利を認めましたが、そのために行われているプログラムは満足いくものではありません。子どもの福祉については、政策の優先順位の最後に置かれています。

食料、シェルター、教育といった子どもの生活に必要不可欠なものは、児童労働、子どものトラフィッキキング、孤児、障がい児、性的差別、子どもの保護や少年司法といった問題を考える際にとても重要なものです。これらは、以下の3つのレベルでの行動によって解決できるでしょう。
1)子どものエンパワーメント(力づけ)になるような、子どもに直接関わる行動
2)学校、警察、病院、メディア、一般大衆など、何らかの方法で子どもに関わる全てのステークホルダーの意識づけ
3)子どもの問題についての政策提言
(ここまで)-------------------------------------------------------------

劇はヒンディ語でよくわからなかったけど、熱心に見ている人は結構いました。ブースにはNGOスタッフと話す人がいたり、大きなボードには関心のある人の連絡先を書けるようになっていました。またこのチラシは、このクラフトフェアの出入り口でも配っていたので、来た人ほぼ全員が手に取ったはず。
どれだけの人が、インドの子どもの問題を自分の国の問題として認識し関心を持ってくれるでしょうか。