世界には4000もの言語が存在すると言われる。その中でそれぞれ近縁関係がある言語は「語族」としてまとめられる。語族とは同一の祖語から枝分かれしていった下位の言語群の集合体ということができる。西欧に発祥した比較言語学の分野ではさまざまな言語を系統的に結び付ける研究が進められてきた。同一語族に属するには文法の一致、基礎語彙の一致が必要であり、さらに音韻対応の法則というものが重要になってくる。これはある同系語彙において、例えば言語Aで[a]であるものが言語Bでは[u]、子音についても言語Aで[k]であるものが言語Bでは[g]となるという対応関係があらゆる語彙に見られという法則である。
身近な例では日本語のオ[o]が琉球語ではウ[u]、日本語のエ[e]が琉球語のイ[i]、日本語のハ行音[h]が琉球語ではパ行音[p]となる(米→クミ、花→パナ)。これらから日本語と琉球語は同系とみなされるわけである。このような比較言語学の手法によりヨーロッパの言語とインドのサンスクリット語が同系であることが発見されたことで「インド・ヨーロッパ語族」が確立されたことを契機に、世界のあらゆる言語を語族に括ろうという試みが行われてきた。
世界に主要語族を下に挙げてみた。ここには必ずしも音韻対応の法則が証明されていなものも含まれている。アルタイ語族、シナ・チベット語族などは内包下位言語に明らかな類似性が認められるものの、比較言語学的に同系であることは証明できていない。しかし世界の言語学者に一般的に広く用いられることが多いため、今後はそれらのグループも「語族」と呼ぶことにする。世界の語族地図を図1-18に示した。
言語学的手法では現存語において他言語との類縁性を検証する可遡年代は一般的に5000年前、どんなに遡っても1万年前までであるといわれているため、自ずと限界が出てくる。言語学的に単一祖語から分岐したことが完全に証明された語族としてはウラル語族、インド・ヨーロッパ語族、オーストロネシア語族である。ただし同系であることが分かってもこれら語族の語派(語族より一つ下位のカテゴリーを語派と呼ぶ)やそれより下位のグループ同士の系統関係はなかなか確立できていないのも現状である。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/1c/151a48dddf3b0a42742487d90164c530.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/e3/ac5067acb91db70c5b97d22c565126a3.png)
図1-16、17(Wikipedia)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/3b/01d1c0a70173f5888faa57f5387f34ef.png)
図1-18 世界の語族(500年前)(諸文献より作成)
→次「6.言語の分布と盛衰」へ
身近な例では日本語のオ[o]が琉球語ではウ[u]、日本語のエ[e]が琉球語のイ[i]、日本語のハ行音[h]が琉球語ではパ行音[p]となる(米→クミ、花→パナ)。これらから日本語と琉球語は同系とみなされるわけである。このような比較言語学の手法によりヨーロッパの言語とインドのサンスクリット語が同系であることが発見されたことで「インド・ヨーロッパ語族」が確立されたことを契機に、世界のあらゆる言語を語族に括ろうという試みが行われてきた。
世界に主要語族を下に挙げてみた。ここには必ずしも音韻対応の法則が証明されていなものも含まれている。アルタイ語族、シナ・チベット語族などは内包下位言語に明らかな類似性が認められるものの、比較言語学的に同系であることは証明できていない。しかし世界の言語学者に一般的に広く用いられることが多いため、今後はそれらのグループも「語族」と呼ぶことにする。世界の語族地図を図1-18に示した。
言語学的手法では現存語において他言語との類縁性を検証する可遡年代は一般的に5000年前、どんなに遡っても1万年前までであるといわれているため、自ずと限界が出てくる。言語学的に単一祖語から分岐したことが完全に証明された語族としてはウラル語族、インド・ヨーロッパ語族、オーストロネシア語族である。ただし同系であることが分かってもこれら語族の語派(語族より一つ下位のカテゴリーを語派と呼ぶ)やそれより下位のグループ同士の系統関係はなかなか確立できていないのも現状である。
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図1-16、17(Wikipedia)
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図1-18 世界の語族(500年前)(諸文献より作成)
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