ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

リスボンに誘われて

2015-11-20 | 映画 ラ行


スイス・ベルンの高校で、古典文献学を教えるライムント・グレゴリウスは、ラテン語とギリシア語に精通する、知性と教養に溢れた人物。5年前に離婚してからは孤独な一人暮らしを送り、毎日が同じことの繰り返しだが、特に不満は無かった。だが、学校へと向かうある嵐の朝、吊り橋から飛び降りようとした女を助け、彼女が残した1冊の本を手にした時から、すべてが変わる。本に挟まれたリスボン行きの切符を届けようと駅へ走り、衝動的に夜行列車に飛び乗ってしまうライムント。車中で読んだ本に心を奪われた彼は、リスボンに到着すると、作者のアマデウを訪ねる。彼の妹が兄は留守だと告げるが、実は若くして亡くなっていたと知ったライムントは、彼の親友や教師を訪ね歩く。医者として関わったある事件、危険な政治活動への参加、親友を裏切るほどの情熱的な恋、アマデウの素顔と謎を解き明かしていくライムント。そして遂に、彼が本を著した本当の理由に辿り着くのだが。

リスボンに誘われて 2012年/ポルトガル/ビレ・アウグスト





ラストシーンが素敵!
1冊の本に出会い、思いがけない旅が始まるのですが、その本との出会いも思いがけないものでした。
冒頭、橋の欄干から飛び降りようとしていた女性を助けたことが全ての出会いとなるわけですが、この女性の正体(?)は思っていた人と違ったのが、肩透かしでした…(笑)。

政治的思想が自分と一致して影響を受けることはあると思いますが、人生観が自分と全く同じという出会いはなかなかないと思います。
そういう人生観や思想、思考や言葉が当てはまった瞬間、その人物に対し俄然、興味が湧きますね。
ですが、今の暮らしを放り出してまで追い求めたいと思う心境はちょっと理解し難いのですが、でも、知らない街での出来事、謎の人物たちなど、止まらなくなるポイントがあり過ぎて、まして、その今の暮らしが単調であればあるほど、尚更、冒険心を止めることはできないかもしれません。
そう言った意味もあり、観ている私もかなり集中させてもらい、楽しませてもらいました。

一つ思ったのが、アマデウたちが命を掛けていた革命ですが、結局、男女の恋愛感情が勝ってしまうワケで、展開は面白かったのですが、お話が盛り上がってきた途端、若干、シラケてしまいます。
所詮、若者の“志”とは、単純に感化されやすく、時間(暇)がある故のものであって、恋愛感情が芽生えてしまえば、結局、そんなもんなんだ…と思わされてしまいます。

ほぼ全編でジェレミー・アイアンズの存在感を堪能できるのですが、それだけでも贅沢なのに、更に素晴らしい存在感を登場させるキャスティングはスゴイです。
白の魔法使い・サルマンことクリストファー・リーさん(亡くなられました…、残念ですが大往生!)が何気に登場したと思ったら、ブルーノ・ガンツ登場でグググッと引き締まり(素晴らしい!)、もー、感激でした。
そして、あの素敵なラスト、私好みの、本当に贅沢な映画でした。

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