僕の明日を照らして
瀬尾 まいこ 著 筑摩書房 / 2010.2
中学2年の隼太に新しい父が出来る。
優ちゃんと一緒の夜は恐くない、はずだったが。
キレて自分を殴る父を、それでも失いたくない隼太が逞しく成長する姿を描く。
スナックを経営している母親との二人暮らしの隼太。
夜、独りぼっちになるのがひたすら恐かった。
ある日、母親が再婚して父親ができる。
独りぼっちの夜を過ごさなくていいことと引き換えに、新しい父親からの虐待が待っていた。。
優ちゃんが大好きだから虐待を我慢したのか、虐待を受けてでも独りぼっちで過ごしたくなかったのか、どっちなのかな~と思いました。
ただ、殴られる瞬間に優ちゃんの胸に飛び込めた隼太を思ったとき、やはり、隼太にとっては優ちゃんの存在そのものが大きくなっていたんだな~と思います。
優ちゃんの病(キレてしまう)を治そうと努力している姿は健気だったし、どこか冷めていた隼太が、いつしか他人を思いやるようになってきたことに温かさを感じられたし、なんとか優ちゃんの虐待も治まったし。。
何より、隼太が虐待受けていたことを知り優ちゃんに出て行けと言えた母親だったことに多少救われたかな~と思いました。
でも、隼太が言うように、今更何言ってんだ!って、ホント、そうだな~とも思います。
最後は、隼太の希望が叶うことはなかったけれど、母親が何も知らないまま・・・というのも違うと思うし、でも、隼太と優ちゃんの努力を思うと、このままでもよかったんじゃないかな~とも思いました。
人それぞれ、家族それぞれなので、これが正解といった答えは出ないとは思うけれど、一つのケースとして捉えてもいいのかなと思いました。
「“優しいこと” と“優しい”のとは違う」と言う言葉にハッとさせられたり、「加害者になっちゃダメだ」と言う言葉にも、優ちゃんという人物がリアルに感じられました。