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映画でシミュレーションしておけば何処かで役立つはず

その男 ヴァン・ダム

2009年01月11日 21時35分45秒 | 映画 さ行
評価★★★★★[5/5]


カラテ道。押忍!信じる物はこの言葉だけ。


去年の年末辺りにこの映画の存在を知り
日本版の予告編がかなり面白かったことと
実際にヴァン・ダムという俳優のことは
完全に忘れ去っていた自分が居たことも合わせ
どんな自虐ネタがでてくるのか楽しみで仕方なかった。

期待して観に行って満点評価!
2009年は幸先いいぞ!みたいなことを思っては見たものの
劇場の観客がワタシひとりだけというのが
結構、気になったし、鑑賞後には悔しさが・・。(笑)

もうこれは完全なるノンフィクションではないのか?
いや~!
ここまで自身のことをさらけ出す決断をしたことに
唖然という言葉しか思いつきません。

そうは言っても
たまたま立ち寄った郵便局で
強盗団に遭遇するというフィクションは、
本作を1本の映画として成立させる意味では
必要だったんでしょう。



今では、ハリウッドでの仕事はほとんどなく
休暇と私生活での整備も兼ねて
故郷のブリュッセルに帰って来た。
金銭トラブル、子供の親権争いの真っ只中であり
滞納している弁護士費用を期日までに
支払わなければ、ヴァン・ダムの弁護を降りるという。
もう、どうにも八方塞がりになってしまった感のある
ヴァン・ダムであった。

久しぶりに主演するアクション映画のギャラを前借りして
それを弁護士費用に充てようと思い
立ち寄った郵便局での出来事が事の始まりである。

本作は、観客(街行く人も含め)からの目線で
ヴァン・ダムの行動を最初に見せる。
地元のファンと写真を撮り、愛想のいいヴァン・ダムが
「郵便局にチョット用事が。5分で戻る」と言い残し別れる。
そして、その数分後にタクシーの窓が流れ弾に合い割れる。
偶然居合わせた警察官が向かいの郵便局からの発砲と思い
郵便局の窓から中を覗くと、何故かヴァン・ダムが
「そこをどけ!窓から離れるんだ!」と叫んでいる。

結局、閉められたシャッターの隙間からもう一度
中を覗くと銃身が見え、直後に発砲されたため
ジャン=クロード・ヴァン・ダムが起こした
郵便局強盗立てこもり事件として、その警察官は応援を要請する。

ここまでが観客から見た一連のシークエンスだが
スクリーンは真っ暗になり
続いて第二幕と云うような感じで
ブリュッセルに帰国してからのヴァン・ダム自身の
目線から見た同じシーンを見せてくれます。

一旦、時間軸を最初に戻すことにより
如何に、目撃者の証言が曖昧なものかなどと合わせ
何故、ヴァン・ダムが警察との電話交渉に出ていたのか?
郵便局内では、いったいどう云うことになっていたのだろう。
とにかく、この妙な展開はなんなの?という
ネタばらしがしっかりあります。
この辺りは実に面白く出来ていると思いましたね。

本作での郵便局強盗に限っては
アル・パチーノの不屈の名作『狼たちの午後』を
モチーフにしているらしい。
現に、強盗団のなかのひとりにジョン・カザールを
彷彿とさせる人物が登場するからです。

3人の強盗団。
やりとりを見ていると誰がボスなのか
少しずつ分かってきます。
そのなかのひとりに、ヴァン・ダム作品のヲタクが居て
人質のヴァン・ダムに数々の質問をするシーンは
大笑いします。

ココの辺りはヴァン・ダム自身は本音を語り
その内容に同情したりする強盗犯。
特にジョン・ウーに対するネタは大いに笑えますね。

ヲタ犯「アンタが居なかったら、奴は今でも香港でハトを撮ってるさ」
    「奴は有名にしてくれたアンタを裏切った」
    「次の新作は?」

ヴァン「新作はセガールに取られた」

ヲタ犯「はん?セガール?」

ヴァン「セガールがポニーテールを切って出演するらしい」

ま、こんなのは序の口です。
しかも、このやり取りが可笑しかったのか
人質のひとりが「プッ!」と吹き出す始末だ。
このひとりのヲタク犯が後半になるにつれ
割と重要なキャラクターとなってきます。

強盗団に対して警察との交渉を小声でダメ出しするヴァン・ダム。
映画で経験したシーンでは、こう云う時はこうした方が・・。
みたいな、強盗団に劇中劇ネタを教えること多数(笑)


劇中で映画と全く関係なく
唐突にジャン=クロード・ヴァン・ダムの
独白が10分近くの長回しであるのですが
これを聴いていたら、思わず熱いものが込み上げてきたワタシ。
そしてヴァン・ダム本人も感極まって話す姿は
もはや、単なるコメディ映画ではない。

笑いあり、涙あり、最後は・・・。

オールラストで見せる
台詞なしの、あのカットはヴァン・ダムのキャリアで最高の演技だと思った。
(そう感じた。そう信じたい。そう有って欲しい。)


おまけ)
◆冒頭のB級アクション映画の長周しシーンは
それまでのヴァン・ダムのフィルモグラフィーの象徴なのだろう。
監督が中国語を話す青年と云うところはジョン・ウーをイメージか。
ヴァン・ダムが「こんな長回しは無理だ!もういちどやらせてくれ」
監督「長回しは主人公の純粋さです」
ヴァン・ダム「純粋さ・・・?」
やっぱりこれはジョン・ウーをイメージしていたんですね(笑)

◆ヴァン・ダムが乗ったタクシー運転手のおばちゃんネタに大笑い。
可也、しつこい感じのおばちゃんですが、ファンとしての苦言に
最後まで耳を貸すヴァン・ダムのひとの良さが伺えます。

◆ワタシはヴァン・ダムのファンでもなんでもありません。
彼の代表作品は?と聞かれても即座に題名が浮かんで来ない。
そういえば、デビューは『プレデター』でのスタントでしたね。とか
強いて言うなら『サイボーグ』『ヴァン・ダム=inコヨーテ』の
それくらいしか観ていないし、しかもビデオレンタルで^^;

◆本作の映像はチョット不思議な感覚でしたね。
極限まで色彩を落としたことによる
一種の悲しさとも言うべき哀愁が全編に漂っている。
『ブラインドネス』とはチョット違いますけどね^^
ワザと白飛びを起こさせる辺りは『スカイキャプテン』(2004)的かなと。

◆本作を観るに限っていえば『狼たちの午後』の鑑賞は必須でしょうね。
ワタシは観てないですが(アイタタ!)
これは必ず観ておきたい映画だと思っています。
今後のためにもですね。

---------------------------------------------------------
監督:マブルク・エル・メクリ
脚本:マブルク・エル・メクリ/フレデリック・ベヌディス
撮影:ピエール=イヴ・バスタール
音楽:ガスト・ワルツィング


出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム/フランソワ・ダミアン/ジヌディーヌ・スアレム/カリム・ベルカドラ


『その男 ヴァン・ダム』







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17 コメント

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☆☆☆☆☆ですね(=^_^=) (TiM3 兄貴の開脚が観たい!)
2009-01-11 23:21:22
おお、時間軸置換! やるじゃないですか~

ヴァン・ダムと言えば
邦画『GO!』の中で、窪塚君&柴咲さんが
「バンダムじゃなく、下唇を噛んでヴァンダムだから」みたいなやり取りをしてて苦笑させられた記憶が、、

『タイムコップ』と『マキシマム・リスク』と『ダブル・チーム』・・あと『ボディ・ターゲット』が観たいなぁ~(多過ぎや!)

※『ストリート・ファイター』は観たくねぇ(=^_^=)
返信する
苦手意識が一転・・・ (ぺろんぱ)
2009-01-12 20:08:14
こんばんは。

予告編で観て気になっていた作品でした。
おそらく、私としては「苦手なタイプの人」だと(勝手に、観ず嫌いのような感じで)思い込んでいたヴァン・ダムさんですが、その予告編を観て、意外と「気が合う人かもしれない」と(これまた勝手に)想像してしまった人でした。
それと・・・存外コメディの才のあるお方なのではないでしょうか。ダンディズムを前面に出した濃い顔立ちの向こうで可笑しみと寂しさが感じられました。

しかし本作を観に行くにはあまりにもヴァン・ダムさん出演作を観ていない私ですので、劇場鑑賞は見送りそうですが・・・(五つ星が付いてるのにスミマセン)。

予告編でジョン・ウーさんのネタが流れてました。・・・ホントなのでしょうか。
返信する
TiM3さん (ituka)
2009-01-12 21:01:28
>おお、時間軸置換! やるじゃないですか~

そうなんですよ~^^
こういう撮り方は結構好きかもしれないワタシです。

>邦画『GO!』の中で、窪塚君&柴咲さんが

なんとまぁ!
そんなところでもネタになっていたのですね。
この映画を観た後では、ヴァン・ダムへの想い入れが
少しずつ芽生えてきてしまった感じです。

>『タイムコップ』と『マキシマム・リスク』と『ダブル・チーム』・・
>あと『ボディ・ターゲット』が観たいなぁ~(多過ぎや!)
>※『ストリート・ファイター』は観たくねぇ(=^_^=)

上の4本の作品はどれもヴァン・ダムらしいヴァン・ダムなのかなとイメージしてます。

どの作品だったか忘れましたが、リングのコーナーポストで
白のスーツ姿で腕組みして180度の開脚をして瞑想していたシーンが記憶にあるんですが
アレって何の映画だったのかが気になっています^^
返信する
べろんぱさん (ituka)
2009-01-12 21:29:33
>私としては「苦手なタイプの人」だと(勝手に、観ず嫌いのような感じで)
>思い込んでいたヴァン・ダムさんですが、

正直に言うと、ワタシもどちらかと云うと
過去のアクション映画のような新作だったら
可也の確率でスルーしていたことでしょう^^

>その予告編を観て、意外と「気が合う人かもしれない」と

あの予告編をナレーションしている若本規夫氏の台詞に思いっきり惹きつけられましたからね^^

>存外コメディの才のあるお方なのではないでしょうか。

案外、クールな感じで居ても天然ボケ的な触られ方をすれば
新たなる改革路線として成功するかもしれませんね^^
本作は劇場公開館が少ないです。
なので、遠方まで出かけるならDVDで十分かもしれないですね。

>予告編でジョン・ウーさんのネタが流れてました。・・・ホントなのでしょうか。

アレは事実です。ヴァン・ダム自身が
『ハード・ターゲット』(1993)で監督にジョン・ウーを指名し
ハリウッドデビューさせたのです。

この映画を観たウーはどう答えるのか?
続編としてジョン・ウーとセガールのインタビューなんか入れてくれたら受けそうですけどね^^


返信する
☆おおおっ!☆ (TiM3 センコーさんに観て欲しい(=^_^=))
2009-01-12 23:43:47
>どの作品だったか忘れましたが、
>リングのコーナーポストで
>白のスーツ姿で腕組みして180度の開脚をして
>瞑想していたシーンが記憶にあるんですが
>アレって何の映画だったのかが気になっています^^

来た来た来た来たーーッッ!(=^_^=)

それこそが(←どれこそだ)メジャーデビュー作の『シンデレラ・ボーイ(1985)』なんですよ!

ヴァンダム(←下唇を・・(以下略))は冷徹なロシア人格闘家役をやってました。
主人公の少年のラストバトルの相手なのです。

>続編としてジョン・ウーとセガールのインタビュー
>なんか入れてくれたら受けそうですけどね^^

DVD版のコメンタリー(副音声特典=ヴィジュアルなし(=^_^=))で「ウー&セガール&ドルフ・ラングレン」の3巨頭に熱く語って欲しいっス!(=^_^=) ←絶対ムリ(=^_^=)
返信する
おぉっと! (ituka)
2009-01-13 01:21:48
>来た来た来た来たーーッッ!(=^_^=)
>それこそが(←どれこそだ)メジャーデビュー作の『シンデレラ・ボーイ(1985)』なんですよ!
>ヴァンダム(←下唇を・・(以下略))は冷徹なロシア人格闘家役をやってました。


即答に感謝!!!
あ~!これで胸の閊えが取れてスッキリ!しました。
あのシーンのインパクトは凄かったです。
今日に至っても尚、思い出すだけで痺れますからね^^
そいえば、その監督こそが、水着のステイサムくんにカンフー指導をしたひとだったのですね。
コリー・ユン監督。

>DVD版のコメンタリー(副音声特典=ヴィジュアルなし(=^_^=))で
>「ウー&セガール&ドルフ・ラングレン」の3巨頭に
>熱く語って欲しいっス!(=^_^=) ←絶対ムリ(=^_^=)

出ましたね!ラングレン(爆)
あの「ドラゴ」以降『スナイパー』でいちど観ただけです。
カンフーブームが去って消えて行ったひとりですよね^^
せめて、カー・ドライビングが凄いとか
銃を持たせたら凄いぞ!みたいな副業があったら
もう少し生きながらえたでしょうに^^;
返信する
Unknown (象のロケット)
2009-01-13 16:57:49
TB有難うございました。
現在、当サイトよりgooへのTBは
かからなくなっていますが、
記事は大切に反映させて頂きます。
返信する
像のロケットさん (ituka)
2009-01-13 23:43:56
ブログ間の相性があるんですね。
手間をお掛けして申し訳ありませんでした。

>記事は大切に反映させて頂きます。

ありがとうございます。
返信する
見たいが (笛吹働爺)
2009-01-14 21:13:40
僕の近所ではやってなさそうです。

ところで「ラーメンガール」おもしろそうです。
http://www.asahi.com/showbiz/movie/TKY200901130324.html
返信する
笛吹働爺さん (ituka)
2009-01-15 00:05:26
>僕の近所ではやってなさそうです。

最も近いのはユナイテッド阿久比ですかね^^

>ところで「ラーメンガール」おもしろそうです。

この映画、題名だけは知ってましたが
まさか!ブリタニー・マーフィーが主演だったとは意外でした。
ラーメン修行するブリタニーが作る「女神ラーメン」って
まるで本作のストーリーそのものですね。
これはチェックが必要です^^

上映劇場の情報がどうなるかですね^^
返信する

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