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レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで

2009年01月25日 20時09分26秒 | 映画 ら行
評価:★★★★[4/5]



「ありがとう」「ごめんね」このふた言さえあればいい。


もしかしたら、ディカプリオに、初オスカーという
現実味も出てきたんじゃないかな。


『タイタニック』のあのカップルが
10年ぶりに共演を果たした夫婦愛を見つめ直す
ハートフル・ラブコメディ。

って、全然ちがうではないか!

予備知識もなしでポスターのイメージしか見てないから
冒頭から不穏な関係の夫婦に対して
これは、ミステリー映画じゃないのか?とさえ思ったのだ。

この夫婦、ほんのチョットした
ボタンの掛け違いから来る誤解とは訳が違う。
こうまでなるには、いったい何があったのか。



舞台は1950年代のアメリカ。
“レボリューショナリー・ロード”と名づけられた
閑静な新興住宅街に暮らす
フランクとエイプリルのウィーラー夫妻は
二人のかわいい子供にも恵まれた理想のカップル。
しかし、その見た目とは裏腹に、
彼らはそれぞれ描いていた輝かしい未来と
現状のギャップに不満を募らせていた。

事務機会社のノックスの社員として
単調な毎日を送るフランクは
虚しい日々からの脱出を考えている。
一方、女優志願の夢を捨て、子育てと家事に
明け暮れるエイプリルはもう一度人生への
情熱を取り戻したいと考えていた。

そんなふたりはパリへの移住を決意するが・・・。

結婚7年目のフランクとエイプリルは
すべてが奇麗に整った家に住み
理想の生活を送っていたはずなのに
やがては信じていたものが崩れて行く。



結婚後、理想と違う生活に失望していた嫁。
映画女優を目指すも夢破れて
町のアマチュア劇団での公演も
最悪な演技に観客の失笑を買うしまつ。
楽屋で悔し泣きをするエイプリル。

公演後、楽屋に迎えに来て優しく労わる夫のフランクに
嫌悪感を露わにするエイプリルにドン引きした!
まるで我がまま放題のガキのようである。
もっと素直に「ありがとう」って言えないのかな。
それとも「いいのよ。これが現実よ」
できれば「ごめんね」。これが最もチャーミングなんだが。

フランクの気の使い方は、普通の夫以上に感じたが
エイプリルはフランクの吐く言葉ひとつひとつに
イライラが増幅してくるらしい。

帰りの車の中で激しく口論となり
遂には車から飛び出し一方的に捲し立てるエイプリル。



不動産紹介者のキャシー・ベイツの吐いた
「あなたたちは“特別な存在”よ」
この言葉に、なにかを感じたエイプリルは
このまま夢を夢で終わらせてはいけないと決心する。

夢を渇望するのはいいが
もっと計画的に準備が必要だったのではないか。
エイプリルの唐突な話に困惑するフランク。

一度はパリ行きに同意し
会社を辞める時期を模索していたが
フランクの片手間仕事で提出した企画が
支社長に認められ、まさかまさかの
プロジェクトチームへの勧誘、昇進プラス昇給という
なんとも、現実的に見て美味しい話だが
会社を辞めようとしていた時期に
実に皮肉なめぐり合わせとなる。



誕生日のお祝いを機にパリに移住しようだなんて
今までの貯蓄を崩し、尚且つ
この家と車を売ってしまえば
当面は職探しの時間がゆっくり取れる。
私が働くから、あなたは何もせず家に居てくれればいい。

現実を冷静に見ることが出来るフランクにとって
エイプリルの話は苦渋の決心だったのかもしれないね。

補償も何もない夢を家族を巻き込んで・・・
そんなことは独身時代に挑戦しとけよ!みたいな。

日々の生活に於いても、感情の起伏が激しい嫁は
些細なことにも激高し、もしかしたら
自律神経失●症という病なのかもしれない。

庭では我が子を叱責している嫁。子供が反抗する姿を
何気なく部屋の窓から眺めていたフランクは
静かに目線を落とす。
このシーンは
エイプリルに対し一抹の不安を描く意味では
非常に上手い撮り方をしているなと思った。

(パリに行っても、上手くいかないのではないか)

会社の同僚に言われた言葉が脳裏をよぎる。
「パリにあって、ココにないものって何だ?」。



終盤で、大きな局面を迎える。
3人目の妊娠が発覚してしまうのだ。

この事態にうろたえるエイプリル。
出産をすればパリ行きなんて夢と消えてしまう。
そんなとき、フランクは洗面所から
中絶器具を発見してしまい
エイプリルを激しく罵ってしまう。

「もっと、現実を見ろ!」
「そこまでするお前は、いったいなんなんだ」
本編でこの夫婦は、いったい何回目の口論になったのか。
もう、この辺りまで来ると数えられなくなる。

遂には虚脱状態となっていくエイプリル。

だが、次の日。

満面の笑みを浮かべ夫を会社に送り出すんですが
見ている観客も、この異様な雰囲気に息が詰まるのだ。
当然、フランクも不自然なエイプリルに対し疑念を抱く。

まさか!
朝食に毒が盛ってあるんじゃないよね。
可也の緊張感に包まれた出勤前のひと時であった。

笑顔で玄関まで出て夫を手を振り送り出す。
フランクが車に乗り、走り去るスピードが
異様に遅かったのは、多分に
バックミラーで妻の様子を確認していたのでしょうね。
そこは、映像では出てきませんでしたが
そんなイメージが浮かんできました。

その後、部屋に戻ったエイプリルは
キッチンで号泣する。

万を持していたのでしょう。
すぐ後にとる行動に衝撃が走りました。
ココからは一切の台詞は有りませんが
その映像は非常に美しく、ピアノによる
旋律も綺麗で、エイプリルのココロの心情が
ものすごく伝わってきます。

大きな窓の前に立つエイプリルを
カメラは背後から静かに映している。



ラストに流れるまでの10数分間は
エイプリルのひとり演技はもちろん
フランクのうろたえる演技は過去最高のものであった。

これは、かなり重い映画ですが
とても参考になる映画とも思います。


おまけ)
・怒りの矛先を車にぶつけるフランクだが
鉄拳で屋根をなぐっても殆んど凹まないボディに
50年代の車は頑丈だったことが伺える。
因みにフランクの愛車は1956年型のビュイック4ドアSS。




・キャシー・ベイツのひとり息子で
精神を侵されていたマイケル・シャノンですが
『ワールド・トレード・センター』以降、変人役ばかり。
エイプリルが夢を語るところでは精神異常者らしく
その場の空気も読めず、思ったことをひたすら口に出す。
ただ、しっかりとエイプリルらの夢には賛同していましたけど。


・ラストでキャシー・ベイツの言葉に耳を疑い
唖然としてる旦那さんの顔のアップと同時に
キャシー・ベイツの台詞がフェードアウトしていく
タイミングがなかなか秀逸だった。


・カメラがゆっくりとズームしていく手法を多用していた。
それにより出てくる人物の心情をうまく表現できていたと感じた。
これはC・イーストウッド映画『許されざる者』でも
同じような手法で絶賛されていたジャック・N・グリーンと同じだ。
本作の撮影監督にはロジャー・ディーキンス。
過去作品には『告発のとき』『ノーカントリー』『ヴィレッジ』
『ビューティフル・マインド』『バーバー』『ファーゴ』など。

-----------------------------------------------------
監督:サム・メンデス
脚本:ジャスティン・ヘイス
撮影:ロジャー・ディーキンス
音楽:トーマス・ニューマン


出演:レオナルド・ディカプリオ/ケイト・ウィンスレット/
   キャシー・ベイツ/マイケル・シャノン/デヴィッド・ハーバー


『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』





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11 コメント

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河童ちゃん おひさです (ポロン)
2009-01-25 21:48:37
いつも読み逃げでごめんなさい(*^.^*)エヘッ

『レオとケイト』の夫婦を覗き見してきます……って
この映画ね^^
評価高いですねえ 
ポロンの好きな俳優さんじゃないけど 観たくなって来たわ♪

そう…「ありがとう」「ごめんね」素直に言える様にしなくちゃ(笑)
☆大きなお船が沈んで・・☆ (TiM3 キャシー・ベイツ怖い!)
2009-01-26 00:10:26
あれから早くもボクは、12歳になった・・

とかTOHOシネマズのCMの小僧がナレーションしちゃう感じでしょうか(・ω・)

「ありがとう」「ごめんね」と言えば北野武の某映画を思い出します・・この2つのセリフだけを喋った、ヒロインがいたのです。
ポロンさん (ituka)
2009-01-26 19:50:20
>ポロンの好きな俳優さんじゃないけど 観たくなって来たわ♪

実はワタシも、ケイトという名の付く女優さんの中では
一番苦手な人なんですよ。
でも、今回はブロンドに染めた髪のせいで
幾分マシになりました(笑)
是非、ご覧になってくださいね^^

>そう…「ありがとう」「ごめんね」素直に言える様にしなくちゃ(笑)

ま、常に意識してないと言い忘れてしまいますけどね^^;
TiM3さん (ituka)
2009-01-26 19:57:18
>とかTOHOシネマズのCMの小僧がナレーションしちゃう感じでしょうか(・ω・)

あれはやっぱり小僧でしたか。
海賊に恋したから少女かと思ってました(笑)

そういえば、本作の劇中に「大きなお船が沈んだ」とかなんとか言ってたような気がしたんですが
気のせいだったのかな~ う~む!

>「ありがとう」「ごめんね」と言えば北野武の某映画を思い出します・・
>この2つのセリフだけを喋った、ヒロインがいたのです。

まぁ!なんと。
そんな楽な役回りがあったのですね。
ひょっとして、チョン系だったりして。
☆げげっっ☆ (TiM3 ドラゴンボール・レボリューショナリー・ロード(意味不明))
2009-01-26 23:51:12
>まぁ!なんと。
>そんな楽な役回りがあったのですね。

いや、ちゃんと監督が意図した言動ではありました。

>ひょっとして、チョン系だったりして。

げげっっ。ウィキペディア的に言うとちょっとイケナイ表現かも知れません、、(☉д☉)
ドラゴンボードの世界観は (ituka)
2009-01-27 20:10:30
全く知らないんです(汗)

>いや、ちゃんと監督が意図した言動ではありました。

そうですよね^^;
もしかしたら極端に台詞の少なかった映画ですよね。
金獅子賞か何かを獲った作品だったと思います。
「た~まや~」^^

>ウィキペディア的に言うとちょっとイケナイ表現かも知れません、、(☉д☉)

たぶん、そう思いました。
書く時にチョット躊躇しましたし・・
気をつけなくっちゃ^^;
やばいな~ お目目 (ituka)
2009-01-28 21:30:39
「ドラゴンボード」ってなんざんしょ!
「ドラゴンボール」だったつもりなのに。
そろそろ、眼鏡買いたまえ!ってことかな・・・

気をつけなくっちゃ^^;(こればっか)
☆ボールをボードにしてみる☆ (TiM3 ロード・トゥ・レボリューション?)
2009-01-29 00:16:56
・キャノン・ボード2
・ローラー・ボード
・ポード・ニューマン(←おい)
いけず^^ (ituka)
2009-01-29 20:23:27
こうしてみると
そんなに違和感はないですね。

自分のミスは隠すのではなく
明らかにし、認めることが重要である。
(どっかで聞いたな~これ)^^;
☆言い過ぎました(・ω・)☆ (TiM3)
2009-01-29 23:04:09
ここは1つ・・ロビン・ウィリアムズ風に、、

「君は悪くない・・」
「君は悪くない・・」

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