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ベルト・バックル修理 革漉き・裁断 伊東金属製作所

革ベルトやバックルの修理、革漉き、革の型抜きその他、幅広く紹介して行きます。

PEPSI バックル修理

2018-04-25 09:09:27 | ベルト(他ブランド)

珍しいバックルの修理依頼です。
大阪のお客様からです。
PEPSIのロゴが入っています。
バックルを観察しても、特別良くできたものとは思えませんが、こうして修理依頼してくると言うことは入手困難なものなのかもしれません。


ギボシが取れています。
接着剤でつけようとしたいみたいです。
こういったギボシが取れたバックルの修理ですと、多くのお客様から溶接して簡単になおりませんか?というご質問を受けます。
今回はこういったご依頼ではありませんでしたが、溶接で簡単に付くようでしたら、そのように修理しています。
幼馴染が隣で溶接業を営んでおりますので、溶接で直るものならちょっと隣に行って、これ付けてといえば簡単に終わります。

おそらく一般の方の考えと言うのは、「金属=溶接できる」、ひどいものだと、「金属=鉄」なのかもしれません。
しかし金属ならなんでも溶接出来るものではありません。
金属にはそれぞれ融点と言うものがあります。
それは金属によって違います。
200度くらいで溶けてしまう金属もありますし、1000度以上必要な金属もあります。
水銀なんかは、常温でも液化してますよね。

一般に溶接は、鉄、アルミ、チタン、ステンレス等で可能で、大体1000度~3000度程度で作業します。

他にも溶接ではないですが、ロウ付けというのがあります。
これは大体700度程度です。
シルバーのバックルでしたら、ロウ付けで修理できます。

もっと下がると、半田付けですね。
これで200度程度。

ただ、結構皆さま勘違いしているのは、200度で溶かした金属を接合部分へ垂らせばくっつくと思っているようです。

200度で溶けている半田が冷たい接合部分に垂らされたらどうなるのか。
丸くなって広がりません。
急速に冷やされるのでこうなります。
ご自分で半田やった方はわかると思います。
球になってしまうやつですね。
これは半田不良です。

半田と言うのは、接合部分の母材も同程度まで温まっていないとくっつきません。
バックルの場合、大きいですから、とてもはんだごてのヒーターでは温まりませんから、バーナーで炙って温度を上げます。

多くのバックルは亜鉛でできているので、融点が300度くらいですから、バーナーで炙ったらメッキも焦げるし、本体も溶けるし、とても作業出来るものではありません。
しかも半田とバックルの融点が100度しか差が無いので、その範囲内での正確な温度管理が必要です。

また、もう一つの大きな問題として、半田やロウ付けは、メッキされていると付きませんので、メッキや塗装もすべて剥離する必要があります。
しかし亜鉛は酸にもアルカリにも溶ける性質なので、メッキを溶かす剥離液の中で一緒にバックルが溶けてしまうので、メッキの剥離が出来ないのです。

どうでしょう?
簡単ではないですよね。

仮に半田で取付ようとすると、どうなるのか?
お客様がご自分で半田付けしようとしたバックルがこちらです。

バックルへの半田付け

半田でこれですから、溶接機使ったらバックルが気化して蒸発してしまいます。
それに亜鉛は大気圧中で付けても弱いので、こういったバックルも成型する際には20トンくらいの圧力が掛けられた溶かした亜鉛を金型に流し込んで作っているはずですから、金型なしで取付できるようなものでもないのです。

修理から横道にそれましたが、あまりにもこういったご相談が多いので、今日はちょっといろいろ書かせてもらいました。

さて、修理続行です。


まずこの接着剤を取る必要があります。


表は薄いアクリルのようなもので、透けて見えてますから、あまりがりがりやると、割れてしまうと思います。


革包丁で削れるだけ削ります。


仕上げにリューターで面を整えます。


これがとれたギボシですね。
これをこのまま使おうと思ったのですが・・・


ちょっといじるとこんな具合になります。
非常に弱いです。
ギボシも新規に作る必要があります。


ベルトの穴の形状にも問題がありますので、修正します。


切り込みを入れて、ベルトをはずす際の負担を軽減します。
これ、反対向きに入れたらダメですよ。
引っ張られる方向に入れたら、そこからベルトが裂けてきます。


ギボシと台座を作って貼り付けて終了です。

結構手が掛かりました。


修理受付は、メールかLINEで、画像送付の上、お申込みいただくようお願いしています。
お電話でのお問い合わせも受けておりますが、お電話のみでは状態が確認できませんので、お見積りは正確には出来ません。ある程度幅を持った回答となります。
お電話いただく場合でも、まず画像をお送りいただいてからのお問い合わせであればスムースにお見積もり出来ます。

大体の価格感を知りたい場合は、弊社ホームページをご覧になってみてください。
こちらは価格を記載しています。
ブログだと年数経って価格改定した際に更新しきれないので、こちらには記載しないようにしました。


持込いただく場合、留守にするときもございます。
できれば事前にご予約ください。

土日はお休みですが、LINEの場合、時間があれば可能な限り返信してます。
私もお休みなので、即答は勘弁してください。
よろしくお願いします。


クリーマ、ヤフオクにて革小物をお得な価格で販売中です。
こちらも修理同様、併せてよろしくお願いします。
もちろん、品質は修理同様、手抜きせずにしっかりしたものだけを提供しています。
直販ですので、コスパは良いはずです。
ショッピングセンターや百貨店だと、販売コストで倍くらいの値段になりますからね。
クリーマ販売リスト
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伊東金属製作所
03-3886-6271
info@itokinzoku.co.jp
東京都足立区足立2-34-2
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