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今の日本の経営者は、しょうもなさすぎる テラモーターズ徳重社長、イノベーションを語る
「日本に必要なのは、イノベーションだ」――そうした意見はメディアにあふれていますが、「イノベーションを起こすために何が必要か」は十分に語られていません。そのヒントを知るには、実際に時代を変えるような事業を生み出している人物に話を聞くのがいちばんです。
今回は、2010年に電動バイクのベンチャー企業、テラモーターズを設立し、日本発のメガベンチャーの創出を志す、同社の徳重徹社長に「時代を変える事業の創り方」を語ってもらいます(全3回)。
(本記事は、夢研究所「d-laboコミュニケーションスペース」で開催されたフォーラム、「時代を変える事業の創り方―新世代リーダーのためのイノベーション講座―」の内容を編集したものです。講演の映像はこちら)
講演(上)はこちら: 日本の”頭のいい人”に、一番足りないもの
■世界で勝負するために必要なことは何か
世界で通用するために必要なことというと、普通は英語力とか、異文化を理解することだとか言いますね。
それもそうですが、僕はもっと大事なことがあると思っています。
ひとつはブロークンな英語でも戦う交渉力。日本人はまじめなので、英語をしゃべるとなると、byとか、onとか、細かいところを間違えてはいけないと思っている。そんなの僕はどうでもいいと思っているんですけど。あとは相手が言うことを全部聞いて、それからきちんと話そうとか、礼儀を守りすぎる。
もう少し雑というか、いい加減になることも必要で、たとえばインド人とかは、バーッといろんなことをまくしたててくるわけですよ。それをちゃんとせき止めて、押し返す力みたいなものが必要です。
日本だったらひとつの組織ではだいたい出身大学のレベルが同じだから、同質な人たちしかいませんが、海外にはひとつの組織にいろいろな人がいる。今、日本では女性管理職の数を増やそうとか言っていますが、フィリピンでもベトナムでも、インドはもう少し下がるけど、働く女性の数はすごいですよ。こんなに女性が働いてないのは、たぶん日本と韓国だけじゃないですか。
たとえば先ほどのメラルコという東京電力みたいな会社では、半分ぐらい女性です。しかも日本の一昔前の仕事を頑張る女の人は、なんか性格悪そうだったのですが、全然そうではなくて、非常に性格も穏やかで、でも仕事ができますみたいな、すごく成熟した感じです。
世界で求められるものとして、ほかにはスピード感があります。日本はリスクを避けるために熟考したいのだけど、リスクテイキングの感覚がまるっきり違うんですよ。その点僕らはめちゃくちゃ速いと言われていますが、それでもインドの意思決定とかを見ていると、「もうちょっと考えたら?」と思うぐらいです。
先ほどティアワンという会社と初回打ち合わせで合併の話が出たと言いましたが、もし僕がイエスと言ったら、たぶん次の次ぐらいに契約書を交わすことになるでしょうね。だから僕たちも、最近は会う前にそうとう調べておいて、早めに決定できるようにしてから会うようにしています。そうでないと、また日本がばかにされちゃう。
■サムスン社員のすごい粘り強さ
それから大事なのは「不確実な中での業務遂行能力」です。右も左もわからない中で、それでも最後にはなんとか話をまとめることです。特に新興国では、参考にできるデータはないのが普通だし、人によって言うことが全然違うので、何が正しいかわからない。でもその不確実な中で結果を出す。しかも現地の人を巻き込む、というのが海外の立ち上げなどでは重要なことです。
それから「意思決定者が現場感覚を持つこと」も、すごく重要です。
僕らの会社でもベトナムとかフィリピンに若い駐在員がいますし、これからインドにも置いて仕事を任せていきますが、その前に僕自身が10回くらいはその国に行って、事情に通じておくことが必要です。そうすれば現地とスカイプでやり取りするときも、話の意味がよくわかる。
話は外れますが、フィリピンのマニラである銀行の人に、「休みの日は何をやっているんですか」と聞いたら、「ゴルフです」。「どれぐらい行くのですか」と聞いたら、年100回だそうです。3日に1回行っているわけです。しかも日本人同士で。「そんなことしていて、東京の本社は怒らないのですか」と言うと、「いや、変な女に引っかかるよりは、ゴルフがうまくなってもらったほうが害がないと思われている」とか言うのです。「いや、すごいですね」と言ってしまいました。「ありえないな」という意味で言ったんですけれども(笑)。
一方で、僕たちはリチウム電池事業もやっているから、サムスンとかと付き合いがあるのですが、あの人たちはすごいですよ。今、サムスンとソニーはどれだけ時価総額が違うかわかりますか? もう10倍以上違いますからね。
僕たちがリチウム電池事業をやるとき、日本の大手メーカーやサムスンとか、いろいろなところに声をかけましたが、最終的に台湾の会社とやろうと思いました。だから「サムスンから折り返し電話がほしいと言っている」とメモがあっても、無視していた。それでも2回、3回とかかってきて、4回目があったんですよ。その人は韓国人ですけど、日本語がペラペラで、日本の大学も出ているから日本のカルチャーだってわかる。ということは望み薄だとわかっている。なのに4回、かけてきたんです。この粘り強さ。
僕はそれに感動して、それで結局、サムスンと組んだ。ほかにも感動したことはいろいろあるのですが、コミットメントしてくる力がすごい。酒だって朝の3時ぐらいまで付き合わされて、僕はタクシーで帰らざるをえなくなったりする。
その飲み会で僕がサムスンの人に、「何で日本の大企業、駄目なのですかね」と聞いたら、「日本のビジネスマンはやる気があるんですか」と言われた。いやあ、僕はすごくショックでした。でもまたそれが僕のエネルギーなんですね。ああ、彼らに負けないぐらい頑張らなくてはいけないな、と思います。
■自分の軸、自国に対する誇りを持つ
海外の人と付き合うとき、日本のまじめな人は、異文化を理解しようとして相手のことを一生懸命勉強します。もちろんそれも大事ですよ。でも僕はとにかく自分の軸を持つとか、日本の民族に対する誇りを持つことのほうが大事だと思っているのです。
僕もアメリカに行った頃は日本のことがいやでした。意思決定できないとか、しがらみが断ち切れないとか、年功序列とか。でもアメリカに行ってから日本史を勉強し始めたのです。それから「坂の上の雲」という僕が好きな日露戦争を描いた司馬遼太郎の歴史小説がありますが、30歳を超えてから読んで、「こんな人が昔、いたんだ」と思って感動しました。僕は日本人はすごい民族だと思っています。
こういうベースがあることは非常に重要です。でもそれは普通に考えたら、当然のことなのです。ほかの国の人たちだって、自国に愛想を尽かしたくなるときはあるだろうと思うのですが、これはまったく逆。海外のエリートは、みんな基本的に愛国心が強い。海外のリーダーは「俺は国のためにこれをやっている」と本気で思っている。どこの国でもそうです。僕は普通の日本人とそこの部分が全然違うから、「自分の国をよくしたいと考えているお前はすごい」ということで、尊敬されるんですよね。
■ベンチャーの成功例はいくらでもある
シリコンバレーに限らず、海外ではHTC、Foxcon、HUAWEI、TSMCなど、小さいベンチャー企業が瞬く間に急成長して、国を代表する大企業になった例がいくらでもあります。イノベーションを起こして急成長し、雇用も生んで、税収も生んで、最終的に国を牽引している。
でも日本だけ、そういう会社がない。だからそれを僕たちの会社がやりたいのです。アメリカの液晶テレビ市場では、VIZIOという会社がシェアトップです。でもこれはわずか10年前にできたベンチャー企業で、社員はたかだか198人ですよ。ファブレス(工場を持たない)だからですけど。もしこれと同じことが日本でできたら、たぶんみんなびっくりするでしょう。日本のテレビの市場で、たかだか10年前にできたベンチャーが、ソニーとか、パナソニック、シャープを押さえてトップのシェアをとったら、世の中変わると思います。
■日本のすごい起業家たち
今の日本人は駄目ですが、昔の日本人はすごかったという話をします。
僕がよかったのは、大学受験のとき浪人していることです。僕は山口の田舎だったから300人の高校生のうち、2人しか浪人してなくて、本当に失敗者なのです。それで自分を立て直すために自己啓発の本をいろいろ読んだ。するとだいたい起業家の話が出てくる。たとえば三菱財閥をつくった岩崎弥太郎、財界のナポレオンといわれた金子直吉、東急をつくった五島慶太、阪急の小林一三。今もそういう人の話を読むのが好きです。特に僕はアジアで勝負しているので、置かれた状況も彼らと似ているんですよね。
最近は永野茂雄さんという方の自叙伝を読んでいます。古本で1万円ぐらいしました。この人は新日鉄の会長で経団連の重鎮だった方ですが、タイトルが「君は夜逃げしたことがあるか」ですよ(会場爆笑)。いや、彼は本当に夜逃げしてるんです。僕が生まれた頃の話なのですけど。
でもこれはちょっと前の日本で起こっていたことなんですよ。僕が大学の頃は永野さんもまだ健在で、彼の本も書店に並んでいた記憶がありますから。つまり昔は大企業の経営者に、いくらでもこういう人がいたのですね。
たとえばこの頃は日本が戦争に負けて、経産省の頭のいい人は、これからの日本の競争の源泉を考えたら何もないから、繊維業をやろうとした。でも永野さんたちが、「いや、そうじゃねえだろ。やっぱり重工業が大事だろ」。「鉄は国家なり」というように鉄が大事だと言って、設備投資をしようとするのですが、土地もないし、おカネもないし、技術もないし、設備も人材も何もない。ベンチャーと一緒です。
それで彼はどうしたかというと、当時、世界銀行がカネを持っていましたから、世界銀行の重鎮を引っ張り込んで、連れてきて、飲ませ食わせ、骨董品が好きだというのを聞きつけて、日本中から骨董品を集めてお土産にして、「お前、おもしろいやつだな」と言わせて、ついに融資を受けるのです。新日鉄の会長をやっていた人がそんな感じですよ。
でもそれは永野さんだけじゃなくて、ほかの大企業の偉い人もみんなそうだと思うのです。僕は75歳くらいの人から昔の話を聞くのが好きで、この前も元三井物産の副社長の方で住宅金融公庫か何かの代表までやられた方と話をしていたら、「お前、知ってるか。GHQが公職追放したから、三井物産でも新日鉄でも東レでも、全部、上がいなくなった。だから40代の人が社長をやったんだ」と言う。彼らが日本のために頑張ったんですよ。だから今がある。僕が思うに、日本を立て直した東芝の元社長だった土光敏夫さんとか、最近、亡くなられましたけどアサヒビールの樋口廣太郎さんとか、たぶんあの年代までは、戦後のスピリットを引き継いでいるんじゃないのかな。
でもその後の今の経営陣がしょうもなさすぎる。僕にはジャーナリストの友達もいて、大企業の経営者を15年追い続けたような人から直接話を聞くのですが、もう本当にひどいそうです。昔のリーダーはやはり自分のことよりも他人のこと、自分のことよりも組織のこと、自分のことよりも国のことまで考えていたけれど、今のリーダーは、失敗したら俺の年金カットされるんじゃないかとか、退職金がどうとか、そんな心配ばかりしている。普通の人はいいけど、リーダーはそれじゃ駄目でしょ、と思います。
■軌道修正能力のほうがはるかに重要
イノベーションのためはチャレンジするとか、失敗を恐れず行動することも重要ですが、もうひとつ重要なのは、計画に完璧性を求めないことです。とにかく60%くらいいけると思ったら、とにかくやってみて軌道修正する。今のように不確実で先が見えないときはそれしかない。
これは僕が勝手に言っているだけではなくて、統計、データでも出ています。創業時のビジネスをそのまま続けている会社は、ほとんどないですから。たとえばミクシィは、今、またおかしくなっているけど、あれはもともとSNSじゃなくてネットで人材紹介をしていたし、DeNAだってネットオークションの会社だったのを方向転換したわけで、みんな軌道修正しているんですよ。
僕は日本に帰ってくると、もうリスクだ、リスクだとばかり言われます。この場合のリスクというのは危険っていう意味ですね。でもリスクって理論的なファイナンスの用語ではボラティリティ(価格変動率)を指す言葉です。つまりリスクが大きいということは、変動の幅が大きくて、上にも下にも振れるということ。つまりリスクが大きいということは、大失敗してすってんてんになる可能性もあるけど、めちゃくちゃ成功してイノベーションを起こす可能性もある。今の日本はこういう当たり前のことが通じないので、それでおかしくなってきているのではないでしょうか。
■ビジネス界の野茂になる
日本再生のキーポイントとして、僕が思っていることは2つあります。
日本人はすごくまじめなので、やはり圧倒的な成功モデルをつくらなければいけないということです。僕は別に帰国子女でもなく、ピュアな日本人です。そういう自分に近いやつが圧倒的な成功例を出して、それに続くことなら、多分、日本人はできる。
たとえば野球でいうと、かつて日本人はだれも大リーグでは通用しないと言われていました。だけど野茂英雄が成功すると、プロ野球選手はみんなメジャーに行くのが当たり前になった。サッカーだってそうです。三浦知良とか中田英寿とか、彼らが頑張って世界でやれると証明したので、今はみんな海外を目指すのが普通になりました。ビジネスの世界においても、小さな会社がアジアで大成功する事例をつくれば、いくらでも後は続くと思っています。
もうひとつは先ほど言ったリーダーです。やはり日本の最大の問題は、優秀な人材がいないことではなくて、優秀なリーダーがいないことです。
リーダーは大変な状況の中で、しがらみも断ち切って、反対する人も全部うまく説得して、新しい道を開いて、それで実際に成功させる人。そういう意味では断固とした覚悟とコミットメントが必要で、それには危機を乗り越えることが必要です。サムスンも最初から今みたいだったわけじゃない。会長がずっと変われ、変われ、変われ、変われと言っていたけれど、ずっと変わらなかったのです。
でも1998年のアジア危機で一回、韓国が破綻して、IMFの管理下になり、とことん地獄を味わった。これからは国にも会社にも頼らないといって韓国人は頑張ったわけです。
僕が好きな日露戦争のときもそうです。日露戦争のときはリーダーもすごかったけど現場の人もすごくて、それはやはり自分たちがつくってきた明治の国家がなくなるかもしれないという危機感があったので、みんな、頑張れたわけですね。
そういう意味では日本は今、財政赤字の問題とか、いろいろな課題が山積みだと思うのですが、それから目を背けるのではなくて、だからこそ逆にやらなければいけないと奮起すべきだと思います。
■ビジョンに共感して人が集まる
ベンチャーにはカネも人材も集まらないと言われていますが、うちの会社には元日産とか、トヨタとか、ヤマハの優秀なやつも入ってきています。僕の学歴がいちばん悪いぐらいで、新卒もみんな優秀な大学から来ています。それから株主にはベネッセ取締役会長の福武総一郎さん、ソニー元会長の出井伸之さんをはじめ、そうそうたるメンバーがいる。
僕が言いたいのは、本当にすごいことを目指そうというビジョンがあれば、おカネも集まるし、人も集まるということです。何でこういう人たちが僕に協力してくれるかというと、みんなこう思っているんですよ。ソニーは人間で言えば80歳ぐらいの老人ですから、もうソニーが復活するのは無理だし、それを求めるのは酷です。だけどもう一度、ソニーみたいな会社をつくってくれという願いが彼らの中にある。
最後にみなさんに言いたいことは、僕の生き方はちょっと特殊かもしれないけれど、自分が好きでやりたいことを探したほうがいい。周りの反対があるかもしれないけれど、それがほかの人にできなくて自分だけにできることなら、それが最終的に社会のためにも自分のためにもなる。自分がワクワクして仕事をして、それが社会のためにもなれば、最高だと思います。