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戦争 ― なぜ?

2022年03月15日 | 日記

戦争 ― なぜ?

諸国家が戦争を行なうのはなぜか,考えてみたことがありますか。その質問の答えを探り出せば,平和へのかぎも探り出せるかもしれません。

読者は政治学の教授であるジョン・シュテシンガーと幾らか似たような反応を示すかもしれません。
「戦争の原因となるのは,国家主義や軍国主義,同盟機構,経済的要素,それに私の理解を超えた,流血行為の伴わない他の抽象的概念だと言われている。……本当にそうなのだろうかと考えてしまう。……結局のところ,戦争を始めるのは人間である。しかし,戦争に関する従来の書物の中では,この人間の要素にそれ相応の重きが置かれることはめったになかった」。明らかに,戦争における人間の要素を無視することはできません。

オッターバイン教授は自著,「戦争の発展」の中で同様の結論に達し,「戦争は,軍事機構や統治団体などの組織の成員たる人間の決定により引き起こされる」と述べています。
では,戦争の動機づけになるのは何ですか。同教授の研究によると,基本的には,政治的支配,領土,略奪,名声,防衛,および復讐などがその動機です。

 

戦争 ― 遺伝子に組み込まれているのか
戦争の原因を説明する数多くの学説が提唱されています。例えば,進化論を信じる人々は,人間を,動物界の攻撃反射や防衛反射を依然として失っていない,より高等な形態の動物としか見ていません。そうした人々は人間には攻撃本能が先天的に備わっており,人間の遺伝子に組み込まれている,と論じます。動物学者のイレノイス・アイブル-アイベスフェルトは,「平和と戦争の生物学」の中で次のように書いています。「人間に最も近縁の大型類人猿は,かなりの潜在的攻撃性格を有しており,なわ張りを守る習性もある。……その事実は,我々人間の持つ攻撃性格が古代の霊長目の動物から受け継がれた可能性を強く示唆している」。

オーストリア人で,近代動物行動学の父であるコンラート・ローレンツは,人間には攻撃的な衝動があって,それは「人を戦争へと駆り立てる,非常に強力な動機づけとなる本能」であると主張しています。―「攻撃について」。 一方,歴史学の教授,スー・マンスフィールドはその結論に異議を唱え,「有史以来,文明の大多数は戦争に携わってきたが,人間の大多数は参戦者とはならなかった」と述べています。諸政府が兵役を義務づけなければならなかったという事実も,一般の民衆が必ずしも攻撃や殺人に熱意を見せないことや,攻撃や殺人を反射的な反応ともみなせないことを示唆しています。マンスフィールド教授は,「歴史の記録は確かに,戦争が通常,少数者の体験であったことを示している」と付け加えています。
近年,その少数者は高度な訓練を受け,あらかじめ戦うのに望ましい条件を整えられています。それに加え,大砲,爆弾,ミサイルの到来と共に,戦争と殺人にも個人的な要素が少なくなりました。
過去の時代の戦争とは対照的に,限定された少数者が,相手を実際に見ることなく,まして知ることなどはなく,殺すことができます。しかし,敵のことを知らないのに,人々はどうして戦う気になれるのでしょうか。

 

宣伝の役割
近所の人同士がけんかをすることがあります。しかし,それが血を見る騒ぎに至ることはほとんどありません。そもそも,国の法律が仲間の市民に対する暴行や殺人を禁じています。
ところがその禁令も戦時になると敵国の市民には当てはまらなくなります。一般の人々は自分たちの“敵”を全く知らないのにそうなるのです。敵について一般の人々が知っていることと言えば,
政治的に統制された自国のマスコミにより一方的に吹き込まれて信じ込まされてきた事柄だけです。
これはどの国においても動かし難い人生の現実です。イレノイス・アイブル-アイベスフェルトは次のように書いています。
「世論は,偽りの情報や一方に偏った情報を与えて選挙民を欺く圧力団体(政治家,軍需産業,軍部)により形造られる」。同様に,歴史家のH・E・バーンズは,「フランス革命に伴う一連の戦争以来……民衆が戦争に異議や反対を唱えたり,事実に基づいて問題を分析したりしないよう,押し付けがましい宣伝がおびただしく続いており,しかも,その宣伝は強まっている」と書きました。
結果として,「ほとんどどんな人でも,人を殺したり,場合によっては殺されたりしなければならない状況に,多かれ少なかれ自発的に足を踏み入れるよう説得され,操られかねない」というわけです。(グエン・ダイアー著,「戦争」)こうして“エリート”は,自分たちの政治的および経済的な権力により,大衆を大量殺りくへと備えさせるためにマスコミを操ることができます。

ナチの支配的エリートの指導者であったアドルフ・ヒトラーとヨーゼフ・ゲッベルスは,人心を掌握して大衆を欺くことの重要性を十分悟っていました。1939年8月24日,ヒトラーは高級将校の一団にポーランドを侵略する計画を説明しました。
「戦争を始めるための,宣伝用の大義名分を与えよう。それがもっともらしく聞こえるかどうかなど気にすることはない。……戦争を起こし,行なう際に,大切なのは正義ではなく,勝利なのだ」。このように,一国民を別の国民に対して立ち上がらせるためには,明らかに動機づけを生じさせなければなりません。では,戦争熱を生じさせてきた,かぎとなる要素は何でしょうか。

 

だれが決定を下すか へ続く>>>>