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教習指導員@いんすくんのつぶやき

教官業と温泉と独身とセンチメンタリズムを足して4コマ漫画で割ったようなブログです凸合宿免許制教習所=自動車学校で強制労…

おしらせ

何か、サヨナラしたのにまだそこにいたの?って感じで恥ずかしいけど…皆様、ただいま漂流から何とか生還いたしました。 (7/13更新)

続・凡人たちよ、筆をとれ。

2013-12-15 | 教習生色々

『凡人たちよ、筆を執れ。』に続きがありましたのでご報告しときます。
(まずは過去記事を見てから読んでください。)

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フェイスブックをやってると、思いもよらないひとから連絡が来る。

昔の女から「お願い!よりを戻して!」とか、熟女から「旦那と別れるから!」とか、金髪美女から「ユーアーナイスガイ!」とか、もうさーすげー大変でさー。困っちゃうよねー。ボクは一体この中から誰をチョイスすればいいの?って。これってチョイスブックの間違えなんじゃないの?って。チョイスブックでテイストグッドとか本当にあるの?って。まあ全部ウソなんですけど。フェイクブックなんですけど。

先日、フェイスブックを開いたら高校時代の同級生Tから友達申請が来ていた。

Tとは一度もクラスが一緒になったことは無いけど、高2の頃から共通の友人を通して仲良くなった。体育祭、文化祭などの学校行事からプライベートまで、ボクの青春の思い出は、彼無しでは語れない。
彼はよく笑い、よく泣いた。大柄で豪快な男だったが、繊細でもあった。彼の恋愛を、一番近くで見ていてよく相談にのった。彼はモテたが、駄目な男だった。ボクはモテない、駄目な男だった。
Tは東京の大学に進学することになった。上京の日が近づいたある夜のことを、ボクは昨日のことのように憶えている。
灯りが消えた友達の部屋で雑魚寝をしながらいつものようにまったりと話をしていると、突然彼が「淋しくなるわー」とボソリとつぶやいた。それからみんなとの別れ、ボクとの別れを惜しみ言葉にした。月明かりに照らされた彼は、静かに泣いていた。
ボクは笑いながら「どうせすぐ東京に染まって地元に帰らなくならーね」と言った。彼は苦笑いしながら「そんなことないわーね。地元を愛しとるし方言も好きだけぇ。おれは変わらんよ」と言った。
その後も彼は明け方まで「淋しくなるわー」と何度も何度もつぶやいた。少しかすれた低いその声は、今でもボクの耳に残っている。
それからお互い地元に戻っては会って遊んでいたが、いつからだろうか、連絡を取ることもなくなっていった。現在Tはそのまま東京で都の教員採用試験に合格し、高校教師をやっている。
フェイスブックの思いがけない友達申請に、懐かしいな、何年振りだろう、アイツ元気にしてるのかな…そう思いながら彼のトップページに行ってみたら、出身地が「東京都新宿区」ってなってた。

おいおいおいおい!うそつけー!!!

お前は島根の中でも選りすぐりの島根、山奥の豪雪地帯、限界集落の出身じゃねぇかよ!
実家とかも結構本格的な藁葺きの屋根で、島根界のサラブレッドじゃねぇか!
郷土愛どこ行ったー!?

彼ね、東京に魂売ってた。多分割とサラッと、ブックオフに単行本売るくらいの感じで売ってた。あ、お金にならなくても引き取ってもらえばいいですみたいな感じで。
方言どころじゃない。足跡すら消してた。
それだけはね、一番やっちゃいけないと思う。一番やっちゃいけないフェイクブックだと思う。怒りと悲しみで心が震えました。シェイクブック!

で、プロフのアイコンよく見たらね、すげー幸せそうな結婚式の写真だった。
気付いたら申請拒否のボタンを押していました。無心で連打していました。

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そんな中、またフェイスブックで友達申請があった。

以前『凡人たちよ、筆を執れ。』で紹介した女子学生の元教習生Kさんだった。

彼女と言えば、徳川家康と上杉謙信と杉田玄白を病床の枕元に呼び、「一本の矢ならたやすく折れるが、三本の矢なら折れぬ。だからお前ら合体しろ」みたいなクレイジーなことを言ってのけたという逸話が有名ですよね。
その後、どうやってボクとブログの存在を知ったのか、彼女から友達申請が来たわけで。もちろんまた何かしらの奇跡を提供していただけるかもしれないので承認ボタンを連打しました。するとご丁寧にメッセージまでいただきまして。その内容は強くボクの心に響くものでした。
ブログに載せる承諾を得たので以下一部省略してご紹介したいと思います。快諾してくれたKさんには厚く御礼申し上げます。

〇〇さんにはすっごくお世話になりました!
ぐちでも何でもきいてくれるからなんでも言っちゃってストレス発散にもなってました(笑)
本当にいっぱい相談のってくれてありがとうございました!
私はもうそっちに行くことがないからめっちゃさみしいですが…ツイッターとBlogたのしみにしてまーす!
体に気を付けておしごとがんばって下さいね!
ありがとうございました!!

家杉源白より


え?ええ!?

家杉…源…白!?

玄じゃなくて?
源の方?

ひとり増えとる!!

でたらめだ。
世の中でたらめなヤツばっかりだ。

でも何でだろ。

マンデラ氏の追悼式典のあのでたらめな手話のひとを見ていると、ボクは同級生Tと元教習生Kさんの事を思い出す。がむしゃらででたらめなひとの事を、ボクは嫌いにはなれない。

BAD COMMUNICATION

2013-10-05 | 教習生色々


ご出身はどちらですか?

初対面の人とコミュニケーションを図る時、定型文のように、掛ける言葉は大体決まってくる。

この定型文、ボクはあまり好きじゃ無い。不自然な、マニュアル通りな、事務的な感じがする。その人の出身に本当に興味があるわけでは無いのに、とりあえず聞いとけみたいな匂いがプンプンする。

そんなことを言ったら何の話も出来ないじゃないか?お前は頭がおかしいんじゃないか?と思われるだろう。そうだよ。ボクってコミュニケーション能力が極めて乏しいんだよ。えへへ。

お仕事は何されているんですか?

スナックに行くと、決まってこう聞かれる。別にボクのことに興味を持ってくれているわけではない。何となしに聞いているのだ。
多分彼女たちは用意している返事も決まっていて、例えば「医者です」と言えば「えー!すごーい!」となって、それ以外の職業を言えば「大変そうですね…」みたいな適当な返事をするのだろう。

そんな取り止めもない会話の連鎖を断ち切る為に、いつだったかボクはスナックで横についたお姉さんに「陶芸家です」と嘘を付いてみた。
そしたらお姉さん「へー」って。水割りをつくる手を止めることも無く。
どうやら職業とか関係無く、彼女、ボクに全く興味が無かったみたいで。その後は勿論、店を出るまで全然会話が弾まなかった。本当、無言でろくろに向き合う陶芸家みたいになってた。

コミュニケーション能力ってのは何の取り止めも無い話をいかに自然に切り出し、穏やかに、笑顔で、誰とでも、そこに人肌の温もりを持たすことが出来るか、そんな能力のことを指すのだと思う。
ボクが全く持ち合わせていない能力だ。

しかし、こんな無愛想なボクだけど、教習という接客業をしていればそこは避けては通れない道である。

複数教習。MT車。男子学生3人を乗せ路上に出た。

山手の教習所から下っていき、道幅の広い国道に出ると、それから目的地の市街地まではしばらく道なりとなる。
走行に余裕が出来る頃、
みなさん、ご出身は?
と、一応ね。切り出してみた。

本当はこんな定型文なんかよりも、
みなさん、好きなアイドルは?
と切り出したかった。
そして、「AKBの板野友美です」とか言うやつがいたら、何言ってんだ!あんないつも同じ表情しか出来ないアイドルのグラビアが週刊誌の表紙を飾るなんて、おれは認め無いんだよ!大体な、AKBのせいで他のアイドルたちが日の目を見ることが出来なくなって、これは秋元康の大罪であり…(中略)…でも篠田麻里子はポージングも表情もかなり良いものを持っててグラビア向きですごく良く映えるよね!大好き!
って熱いディスカッションを繰り広げたかったんだけど…。

みなさん、ご出身は?

すると厄介なことに運転席の男子学生がかなりのオシャベリだったみたいで、
「良くぞ聞いてくれました!僕の出身の○○県の××町てとこは日本一のイチョウの本数と言われてて、至る所にあって、これからの季節は紅葉がもの凄く綺麗なんですよー!」

とドヤ顔で自慢して来た。
横顔でも分かるほどのドヤ顔。

まあ、ボクはね、大人ですからね。
ドヤ顔の煩わしさを差し引いてもその情景には興味があったし、
ほおーそれは素敵だね!
みたいな対応をした。

だけど、後部座席にいる他の2人の男子教習生が
「でもイチョウって…臭くね?」
「うん、銀杏臭くね?」
「鼻ひん曲がるくね?」
「街全体が銀杏臭ぇって事じゃね?」
「ただの銀杏臭ぇ街じゃね?」

みたいになって、その後運転席の彼、すごく静かになった。

休憩に入るとすぐに彼はボクに言った。
「あなたが出身地なんか聞くからですよ!」

…おれ悪く無くね?

定型文でも波乱を生むくらいなら、好きなアイドル聞いときゃ良かった。


おれ、カラコン買いに行くよ…。

2013-09-22 | 教習生色々

目力はある方だと思ってた。
いや、あり過ぎる方かなと思ってた。

赤ちゃんと目が合うと、必ず泣かれる。
別に睨んでいる訳じゃないのに。
優しくほほ笑みかけているというのに。

これはきっと目力のせいだな。
この目力、成熟した大人の女性などには丁度いいが、赤子にはちと刺激が強すぎるのだろう。そう思ってた。

教習中、人相学に造詣が深いっていう女子大生がサラリとボクにこう言った。

「その目って…凶悪犯罪者によくある特徴の目をしてますね。」

気を付けます。って消え入りそうな声で返事しといた。

ふたりの余裕

2013-09-11 | 教習生色々

最終時限。20:45。

路上から場内に到着し、一日の役目を終えた一台の教習車は車庫に入った。
エンジン音が止まって初めて安堵の表情を浮かべ、「ふーっ」と深く長い息を吐いたのは運転席の教習生Hくん。第一段階からずっと一緒に乗っているボクの第一担当だ。
彼は今日、無事に最短教習時限で修了検定、仮免学科試験に一発合格した。
ボクは運転席の彼に向かって喋り出した。

「Hくん、初路上お疲れ様。無事に生きて帰りついたな!」

それは、ボクが彼に言った初めての冗談だったのかもしれない。
ボクたちの関係は決して生ぬるいものでは無かった。
彼は第一段階は最初から最後まで苦労した。
彼は少しばかし不器用な所があったが、とても真面目なタイプだった。
だからボクも彼の頑張りに応えようといつも必死だった。
そして今回の夜間の初路上も勿論、気を抜くことは許されなかった。
今までお互いに冗談を言う余裕など無かったのだ。

「正直、キミは第一段階は延びてしまうかもしれないと思っていたよ。でも後半の巻き返しはすごかった。本当に良く頑張ったな。今日の初路上も最初はアクセルやブレーキの使い方が悪かったけど、帰る頃にはなかなかスマートに踏めていたよ。余裕のある、他者を意識した速度調節が出来ていた。細かい話と思うかもしれないけど、これはすごく大切なことなんだ。路上で大切なのは、車間距離や加減速を工夫していかに焦りを無くし、余裕をつくり、周りの車とうまく付き合うかだ。第二段階も細かいことを少しずつ良くしていって、ストレートで卒業まで行こうな。まぁとにかく今日は早く寝て、明日からもまた一緒に頑張ろう。」

ボクはいつものシリアスな表情に戻ってクールな口調でそう言った。

教習生が運転に余裕が無いのは当たり前のことだ。
しかし指導に余裕が無ければ、教習指導員失格だろう。
彼ばかりに余裕を求めるのはおかしな話だ。
明日からは焦らずに余裕のある教習をしよう。
そう自分に言い聞かせるように、ボクはクールな口調でそう言った。

そして教習原簿にハンコを押そうと、うしろポケットから教習印を取り出したその時だった。
「え!?…うわぁぁぁ!なんじゃこりゃあぁぁぁぁ~ッ!!」
薄暗い車庫内に大きな叫び声が響いた。
その声の主はボクだった。

取り出した教習印の先っぽに、マッタリとした茶色い物体がベットリと付着していたのだ。

もうどっからどう見てもウンコ。
色、艶、形、感触に至るまで、4拍子そろったウンコ。
お食事中の方には大変申し訳無いけどさーだって他に表現のしようが無いもん!
って逆ギレするくらいの絶対的なウンコ。絶望的なウンコ。

ハンコにウンコ付いてた。

え?え?
漏れたのか?
いつの間にか漏れていたというのか?
過労により体がおかしくなって、ウンコ漏らした事にさえ気付かなかったのか俺は!?

青ざめた。
今まで生きてきて、「俺は漏らしたことなど一度たりとも無い」と言ったら嘘になる。
イケメン俳優だって清純派アイドルだって、必ず漏らしてきてる。逆に言えば、漏らしたからこそ今がある。お漏らしは誰もが通る道であり、そして誰もが戻る道である。
確かにね、年を追う毎に、なんか緩くなってるな、というのは強く自覚していたし。
でもね、さすがにね、漏れた事に気付かないってのはまずい。昆虫とか魚類とかと同じ生態レベル。
ボクはこのまま死ぬんじゃないかと一瞬目の前が真っ暗になった。

さっきの余裕の話はどこ行った?ってくらい、ボクはパニックに陥っていた。

まずい!これはまずいぞ!
教習中にウンコを漏らす。それこそ教習指導員失格じゃないか。
とにかくHくんに気付かれないうちに、こっそり何かで拭い取ろうと思ってチラリと彼のほうを見たらね、Hくん、がっつり見てた。ボクの持つ教習印の先っぽをこれでもかってくらい凝視してらした。
で、その後は、名刺と間違えてロト7を差し出した柳葉を見る妻夫木くんみたいに「部長…」みたいな顔で、ボクの顔を恐る恐る見て来て目が合った。彼ね、脅えてた。何かが、音を立てて崩れていくのが聞こえた。

「いや、違うんだよ!」

多分、ボクはこの時、もの凄い怖い顔をして彼に言ったのだと思う。
浮気でも何でも、疑惑の目を向けられた男は取り合えずこう言う。こう言いながら必死で言い訳を考える。全然違わないのに。全然浮気してんのに。全然ウンコなのに。

で、どうしよどうしよどうしよって疲れた頭をフル回転させてたら、ある映像が浮かんできた。

さかのぼる事6時間前、ボクは教習所の売店にいた。
ペットボトルのジャスミン茶が空になったので、休憩時間の僅かな間にまた新しいジャスミン茶を買いに来ていた。これを切らすと禁断症状が出るかもしれないんでね。
で、小腹が空いてたんでついでにその時お菓子をひとつ購入した。
急いでフタを開け、冷えたジャスミン茶を口に流し込み、さてお菓子を食べようかと外装を少し剥がした所で、教習開始の音楽が鳴り始めた。
うん、確かに、あの時咄嗟にうしろポケットに入れたね。

豆大福を。

うん、忙しくてうしろポッケに入れたまますっかり食べ忘れてました。豆大福。

うわー。やっちゃったなー。あれから6時間も教習車の助手席に座って揺られていたわけだから、もはや豆の部分もこしあんみてぇになってるかしら。と思って意を決してそろりとポッケに手を入れて確認してみたら、ボクの想像を遥かに超えた世界観がそこにはあった。グチャグチャヌチャリ!って。ホラー映画かエイリアン映画みてぇな、それはそれはおぞましい世界がすごいスケールで広がっていた。ボクのうしろポッケに。

それでもボクは平静を装って、先ずは動揺しているHくんを安心させなきゃだなと思い、すぐに事情を説明して誤解を解いた。
ほぉーら、もう大丈夫だよーって。
怖がらなくてもいいよー。って
ハンコのウンコはアンコだったよーって。

いやーしかし焦った焦った。ついに体がバカになったのかと本気で己の身を案じたよ。
まあ一番焦ったのはボクの横で固まっていたHくんの方だったと思うけど…。

「ほんと、ビックリさせてごめんねー!あははー!」

苦笑いしながらボクたちは教習車から降りた。
途端に爽やかな秋の夜風が車庫内を通り抜けていった。
この時初めてボクは背中に大量の汗をかいていたことに気付いた。
楽しみにしていた豆大福は台無しになっちゃうわポッケの中は餅とアンコでグチャグチャになっちゃうわで最悪な一日の終わりとなったけど、今日は彼の笑顔が沢山見れたんでまあ良しとするか。

背中の汗が次第に引いて行くのが分かった。
自然とボクも爽やかな気分になっていた。

ウチの教習所は教習の最初と最後に“アームハグ”といって握手をする決まりになってる。お互いの事を信頼し合い、讃え合うためだ。今日は彼といつもより力強く手を握ろう。そう思って「仮免合格本当におめでとう!お疲れ様でした!」とボクはぐっと手を差し伸べた。そしたら彼、

「あの…あれって本当にアンコだったんですよね…?」
って思いっきりアームハグをためらってらした。

Hくん、こんな余裕の無いボクだけど、明日からもどうかよろしくお願いします。

究極の親心

2013-09-04 | 教習生色々

担当の教習生の関西女子が堺雅人の大ファンだという。

まあボクも好きなんですけどね堺雅人。こちとら繁忙期で忙しく、ドラマ『半沢直樹』とか見てる余裕とか全然無い。

それでもおかまいなしに「堺雅人のあのシーンが…」とか「堺雅人の演技力が…」とか、半沢さんの魅力を熱く語り出してきて止まりそうにないんで、こうなったら「倍返しだ!」と思って

いや、でも『リーガル・ハイ』の時の新垣結衣は主役の堺を引き立てて慎ましやかで実に可愛らしかったし、かつて世の男性に衝撃を与えた初写真集『ちゅら☆ちゅら』は新垣結衣の透明感と健康美が余すことなく…

ってガッキーの魅力を聞かせてやったんだけど、彼女、全然聞く耳持たない。それどころか『篤姫』とか『武士の家計簿』とかにまで堺雅人の話を「10倍返しだ!」みたいに広げようとしてきたので

そんなに好きならさ、息子が生まれたら“雅人”にすれば?
と適当に言って会話を終わらそうとした。

そしたら彼女は断固とした口調で
「いいえ!子供産んだら絶対、男ならタケゾウ、女ならトヨコにします!」
と言ってきた。

え?タケゾウ?トヨコ??

「はい!どっちに転んでも良いように!」

え?え?何それ?どゆこと??

「もしブサイクに生まれてもですね、タケゾウとかトヨコならまあ許せる名前じゃないですか?」

全国のタケゾウトヨコに土下座して詫びてもらいます!
って鬼気迫る顔で言っておきました。

凡人たちよ、筆を執れ。

2013-07-20 | 教習生色々

「私って友達からアホアホ言われるんですよー」
関西の学生さんが辟易した顔で嘆いてきた。

そんなことないだろ。
ボクは今まで数え切れないほどアホな人々と出会ってきた。

アホを超越して恐怖すら感じるアホ。
アホをこじらせて生死に関わるほどのアホ。
アホが平和をもたらし村の英雄となったアホ。

そういったアホこそ真のアホであり「アホ」と呼ぶに値する、愛すべきアホ達である。

キミはそのアホとされる言動が原因で、誰かを怖がらせたり、死を招いたり、ヒーローと称された事はあるか?そうだろ。無いだろう。つまりキミはアホなんかじゃない。
逆に、アホという誉れ高き称号を軽々しく使わないでいただきたい。
だからキミは今日から「ただのアホっぽい子」として前向きに生きて行きなさい。

ってボクなりにフォローしてみたんですけど、全然納得していない様子の彼女。むしろちょっぴり怒ってらした。

しょうがないな。
じゃあ今からボクが問題を出す。
そしてキミに答えてもらう。
その答えをもってキミがアホじゃないことを証明しようじゃないか。

ボクの提案に、彼女がうんうんと頷いた。

よし、じゃあね、関ヶ原の戦いで勝ったのは?とボクは彼女に尋ねた。
別に、間違えればアホという訳じゃない。ボクも歴史なんて全く詳しくないし。例えば彼女が「豊臣秀吉」と答えたとしても、それは普通の間違えの範囲であって、アホな間違えとはならない。ボクからしたら、そんな普通の間違いに「アホ」と言うのはただのつまらない悪口でしかないと思うのだ。アホという言葉は学力という物差しで計って使うべきでは無い。物差しで計れない力を持ったひとに対して使うべきなのだ。

関ヶ原の戦いで勝ったのは?
ボクの問いかけに、彼女は「えー!私歴史弱いからな…」と困惑しながらも必死に考えだした。

「えっとね、確か…イエ、イエ…」
なんだ、普通に答えれるじゃねぇか。
「イエ…イエ、スギ…」
え?い、いえすぎ!?
「う~ん、イエスギ………ゲンパク!」
え?え?えええーーー!!


イエスギゲンパク!?


家杉玄白!?


もうね、驚愕のあまり久々の太字にしたし色も付けた。
誰だよそいつ!
明らかに混ざってるじゃない!
百歩譲って混ざるとしても2つまでだよね。3つて。欲張り過ぎ。
関ヶ原の戦いってそんな三つ巴の戦いだったっけ?
それに、ひとつだけ何か混ぜちゃいけないものが入ってるし。
玄白だけはね、混ぜるな危険。
最初の弓矢で死んじゃう。

家杉玄白

すごい。すご過ぎる。一体どうやったらこんなショッキングな答えが思い浮かぶのだろう。ボクは恐怖すら感じた。笑い過ぎて死ぬかと思ったし…。この瞬間、彼女はボクの中でヒーローとなったんだ。前述したアホの条件を3つ全て兼ね揃えてるひとに、初めて出会った。

なぜ「知らない」と言わない?

次に浮かんだのは素朴な疑問だった。ボクなら、知らなかったら「知らない」と言う。普通のひとはそうするはずだ。そうすればアホと言われずに済むだろうに。なのになぜだ!なぜなのだ!?なぜキミは「知らない」と言わない?そしてなぜ言ったのだ?誰も知らない家杉玄白を!

いやしかし「知らない」と言ってしまえばそれまでだ。そこには何も生まれない。彼女は凡人がつくり得ない奇跡を生んだのだ。そしてきっとこれからも生むだろう。数々の作品を。第二の家杉玄白を。感動と、幸福を。

ボクは呼吸を整えた後、彼女に静かにこう伝えた。
キミはアホなんかじゃない。天才だ。ジミー大西的な意味合いで。
あと、いつかキミの頭ん中を解体新書してみたいもんだ、と。

おじょうひん

2013-02-20 | 教習生色々

場内教習。

派手目なギャルに慌ただしい運転を注意したら
「私って“おせっかち”なんですよー!」
って言って来たんで、思わずこっちもね、「おっ!?」ってなった。

うん。普通、せっかちになかなか「お」は付けないと思うし、ついでに言うとキミみたいなガサツな子は蕎麦にも大根にも伊勢参りにも「お」は付けないでいいと思うよ。
ってアドバイスしといたんですけど、これって余計なおせっかいですかね?

でも“おせっかち”って…なんか可愛い。

欲しの発作

2013-02-15 | 教習生色々

お鍋の美味しい季節ですね。

最近、後輩指導員たちと頻繁に鍋をするようになった。
ひとり暮らしが長いと、どうしても外食が増え、野菜不足に陥り、栄養バランスが偏ってしまう。
そうすると自然に身体が欲するのだろうか、最近、やけに野菜が美味く感じる。
「ただ単にお前がジジイになっただけだろ!」と皆は言うけど、そうでは無い。薄味の割下に泳ぐ野菜を頬張ると、優しさが身体に染み込んでいくのを確かに感じる。もっとだ、もっとだ、と身体が野菜を欲しがっている。ボクの思考とは別の所で、不足しているものを勝手に欲し補おうとする。人間の生命力とは不思議なものだ。

日夜、鍋に合う食材を探し出しては男だけで鍋を囲みキャッキャ言う。そんな充実した日々を送っている。

ちなみに最近ボクがハマッている食材は平茸だ。
シャキシャキのえのき茸が生娘なら、優しく舌にまとわりつく平茸は熟女といったところだろうか。出汁を良く吸い、そのうまみを増幅させ、口に含むと柔らかい印象だが、歯ざわりもしっかりしている。これはもう熟女以外では例えれない。
熟女の話はどうでもいい。いや、どうでも良くは無いけど。

デートとか、ずっとしてない。

昨年一年間を振り返ってみると、プライベートで女性と会ったのは一度だけ。いつぞやの奇跡の合コンの時くらいだろう。まぁあれはあれでとても有意義な合コンだったけど。
これだけ何も無いと諸先輩方に「もっと頑張れよ!」とかよくお叱りの言葉をいただきます。最近は後輩方からもいただいたりしてます。

しかし、ボクだってただいたずらに時を過ごしていたわけではない。

努力した。努力して努力して、それはもう他人には到底想像出来ないような血のにじむような努力をし続けて、それが実ってやっと最近、何とかなるようになりました。いや、ホント、以前のボクから考えると、自分でもよくやったなって思います。

もう、全然平気になった。

手を繋いで歩くカップルを見ても、ウンコ踏め!とか全然思わなくなったし、クリスマスの夜とかも場末の焼き鳥屋で男3人でキャッキャ言いながら楽しく過ごせたし、ひとり旅に出ても割と淋しく無くなってきた。バレンタインのこの夜もひとりシャンパンなんぞを飲みながらこうして無表情で記事を打っている。

努力と忍耐の末、達観の境地にたどり着いた。
ボクは孤独の壁の向こう側へ行く事ができたのだ。

「もっと頑張れよ!」

なるほど。頑張る、ですか…。ボクのことを心配してくれるのはありがたい。しかし、それは俗世の脅迫めいた言葉ではないでしょうか。それはそちら側に住む人間の考えであって、私のような壁を超越した者にとっては全く響かない言葉なのでございます。と、今度からこう返事をしようと思う。

確かに、恋愛をしていると日常に充実感が生まれるかもしれない。
ただ、恋愛をしていない=日常がつまらない、という考えはどうだろう?
これは必ずしもイコールではない。イコールと決め付けるのは大変危険だ。
「恋愛をしなくちゃ」とか「恋愛がうまくいかないせいだ」という考え方は、ある種の依存ではないだろうか。

多くを欲することなかれ。欲するからこそ満ち足りない。欲しなければそれで満ち足りるではないか。

うん、最後の言葉は自分でもよく分かんないけど。この調子で続けてたらボク、本当に出家してしまいそうで自分が怖くなってきたんで、ここらへんで止めときますけど。まぁとにかく、いつの間にかボクは欲さなくなったんです。ボクは欲しない。ボクが今欲しているのはお鍋の野菜だけだ。もう、全然平気。多分、これが精神が成熟した大人の男の余裕ってやつなのだろうな。

さて、久々に教習生のお話を。

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ジャスミン茶が好きだ。

あの香りが嫌いだと言う声もよく聞くけど、理由は自分でもよく分からないけど、
ボクはジャスミン茶が好きだ。

ハーブティー全般が好きというわけではない。
ハーブティーみたいな、美容に必死になる30オーバーの昼間の女子会みてぇな飲み物を、50オーバーみてぇな外見のボクが好き好んで飲んだりはしない。
でもジャスミン茶だけはいつからだろうか、コンビニやスーパーで手に取るようになった。最近は教習所の売店に置いてある、ウーロンとジャスミンのブレンド茶がいたく気に入って毎日欠かさず飲んでいる。

第二段階。担当したのは関東からお越しの、見た感じ二十歳くらいの女性。
とても我が強く、自由奔放に運転なさるんで、休憩に入った時に「キミはあれか?悠久の国インドかなんかに留学経験が長かった学生か?」って問いただしてみたら、「いえ、この間までハーブのお店で営業してましたよー」って答えが返ってきた。

まじすか?社会人っすか?
話し方や雰囲気が、そんな感じに全然見えなかったので、ボクはちょっと驚いた。
そして驚きついでにボクはさらに続けて失礼なことを言ってしまう。

「キミは…本当に営業とか出来てたのか?」

すると彼女は「もちろんですよー!ハーブのことなら何でも聞いてくださいよー!」とか言うんで、じゃあやってみますか、ボクお客さんやるから。つって小芝居が始まった。

「あのー、最近なんだか夜がなかなか寝付けないんですよー。」
「はい、それならカモミールがいいですよ。鎮静作用があってカモミールティーを飲むと寝つきが良くなりますよー。」

って彼女、ボクの質問に迅速に答えてきた。すげー。ちょっとカッコイイ。
しかし、こんなものはただのジャブだ。ハーブに詳しい者なら誰でも言える事だろう。
だから次は渾身の右ストレートを仕掛けてみることにした。

「実はですね、ついこの間大失恋をしまして、生きる気力を失ってるんです…」

ははは!どうだこの質問は!
失恋に効くハーブなんて聞いたことが無い。あろうはずが無いのだ。
確かに意地悪な質問だったかもしれない。しかしボクが見たかったのはプロの力量だ。お客さんの無理なニーズに何としてでも応える。プロならプロにしか出来ない仕事があるはずだ。ボクは彼女の答えを待った。
すると彼女はほんの少し考えた後、こう言った。

「うーん、そうですね、ジャスミンなんてのはどうでしょう?」

ジャスミン??

「はい。ジャスミンは女性ホルモンの香りと言われています。だから男性にも効果があるんです。ジャスミンの匂いで気分が落ち着いて失恋も癒されるかもしれませんよ。」

すげー!このひとプロだ!
ボクは彼女のプロフェッショナルな対応に感動して称賛した。

で、その後すぐにハッとして気付いたんですけど。

野菜と女とジャスミンと。
おれ、全然平気じゃなかった。むしろすっげー欲してた。

ムーンライト俗説

2012-05-28 | 教習生色々

ごめんね素直じゃなくて 夢の中なら言える

思考回路はショート寸前 今すぐ会いたいよ

泣きたくなるよなムーンライト 電話もできないミッドナイト

だって純情 どうしよう ハートは万華鏡
ってここんところなんすけどね、ここ。

今更こんなことを言うのはどうかと思うんですけどね。作詞とか全く心得の無いボクが言うのもなんだなと思うんですけどね。ここって、本当に万華鏡で良いの?ってことなんですよ。

さぁてそろそろサビに入る頃かしらと胸を躍らせていたら、ままま、万華鏡ってアンタ!びっくりですよ。びっくりを通り越してちょっとがっかりですよ。ここまでセンチメンタルに歌詞を綴っておいて、ひょっとしたらコレってさー西野カナとかが書いてんじゃないのー?共感しちゃうよねー!ほんと神だよねー!って世の女子どもを感極まらせといて、まさかの万華鏡ですか。

例えば彼女とデートしててランチを食べようと小洒落たビストロへ入ったとしよう。するとその店はビュッフェ方式のようで「取って来てあげるね」と料理が並べられたテーブルへと向かう彼女の後ろ姿が健気で可愛くて思わずビュッフェッフェ!ゆうてほくそ笑んでたら、しばらくして席に戻って来た彼女の持つ取り皿にはイカリングが、イカリングが単品で盛られていた。

ってイカリングチョイスと同じくらい万華鏡という言葉のチョイスが渋すぎる。

もう拍子抜けですよ。いくら何でも唐突じゃないですか、万華鏡。いきなりじゃないですか、万華鏡。潜望鏡でももっとじんわり海面に出てくるわ!
こっちは前半の西野カナみてえな作詞にうっとりしちゃって全然油断してて、万華鏡を受け入れる万全の心の態勢が出来てないわけですよ。そこへ降って湧いたような万華鏡。実際の曲ではリズミカルに強調した、躍動感溢れるまんっ、げきょっ、おー。
ムーンライトとかミッドナイトとか、散々あれだけカッコつけといて結局のところ万華鏡って。明らかに浮いてる。お万華鏡様が浮いておられるわ。

さっきから万華鏡万華鏡言い過ぎなんですけど、百歩譲ってこの歌詞を良しとしよう。うん、万華鏡、十二分にパンチはあるぞ、と。そうするとね、次に浮かぶのはこんな疑問では無いだろうか。

ハートは万華鏡ってのは一体どういった心境のことをいうのだろうか。

セーラームーン世代のボクは、男に生まれたからこそアニメはほとんど見たことが無いのだけれど、幼いながらにこのフレーズに違和感を持っていた。心のどこかにわだかまりを持ったままここまで育って来た。そんな万華鏡シンドロームのボクが最近になってこの歌詞の真理にぶち当たったような気がするのでご報告しようと思います。

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向こうのほうから教習生のNさんがやって来るのが見えた。

遠目に見てもはっきり分かる。すっげ奇抜な服。服というか衣装。斬新過ぎて逆に貫頭衣かと思うくらい。

いや、ほんと、教習生にも色んな方がいらっしゃる。真面目で堅実なひともいれば、ひょうきんでお調子者のひともいる。中にはそういった分かりやすいジャンルの枠を超越した、強烈なキャラで妙なテンションの教習生ってのがいるもんで。独自のワールドを繰り広げるのはそりゃ個人の自由だと思うんですけど、大体そういう方は自分の世界に他人を引きずり込もうとしなさる。無愛想でマイペースなボクにとって、その存在は生命の根幹を揺るがす重要危険人物となり得るのだ。

だからNさんとすれ違う間際、中学時代に廊下でヤンキーの先輩とすれ違う時みたく視線をそらしながら通過しようとしたら、やっぱし呼び止められた。「ハァ~イッ!」って欧米人かの如く。そんで聞いても無いのに彼女は今日のファッションのポイントを事細かに教えてくれた。それを半分以上は聞き流していたボクに向かって、彼女はこう言った。

「今日の私、きゃりーぱみゅぱみゅみたいでしょー?えへっ!」

さすがだ。さすがボクが見込んだだけはあるお方だ。これほどまでにボクのペースを掻き乱してくれるとは…。ボクは混乱した頭を立て直し、どう返事をするべきか悩んだ。そして、きゃりーぱみゅぱみゅとか宣言されたからにはメルヘンチックなお返事をしてあげないといけないな、と瞬時に判断したボクは、

「いや、キミはなんつーか、きゃりーべらべむだ。早く人間にさせた~い!」

ってメルヘンというかどちらかというとグリムっぽい返事をしたら「ひど~い!」って頬をふくらませて立ち去って行った。うん、確かに酷い。お客様を妖怪に例えるなんて失礼極まりない。一歩間違えれば訴訟問題になりかねない発言だった。次に彼女と会う時は優しく接しよう、とボクは深く反省した。

翌日、教習車に向かって歩いていたら背後に気配を感じた。鬼太郎でいうところの、髪の毛の一本が青光りしてピンと立った感じだ。振り返ってみるとNさんがウフフと微笑んでいた。ボクは「父さん!妖気です!」という言葉をグッと堪えて動揺を悟られぬよう出来るだけの優しい声で「こんにちはー」と挨拶をした。すると彼女は、ツインテールに束ねた背中まで伸びている髪を撫でながら、懲りずにこう言った。

「ねぇねぇ見て見て!セーラームーンみたいでしょっ?ホラ!」

ってそれはもうかなりしつこかったんで、今度は迷わず

「キミは今すぐ月に帰ってお仕置きされろ!」と言っておきました。

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そんな折、前回の記事に月子さんからこんなコメントをいただいた。

「いんすくんのブログには生徒に対する愛情が伝わりますよ

やはり分かってくださる方もいるんだな、とボクはコーヒーをすすりながら頷いた。
はっきり言ってこんなブログはいつ閉鎖に追い込まれてもおかしくない。
教習所のHPにリンクを貼っている当ブログ。それにもかかわらず、いつもお客様に対する無礼な言動の数々を記事にしてはお届けしている。
勿論、ボクはこれでもお客様に対し不快な思いをさせないように日々気を付けているつもりだし、数々の言動は月子さんのおっしゃる通り、ボクにとっては愛情の裏返しの裏返しである。いや裏返しの裏返しのリバースのドロフォーあたりだろうか。次の色はブラックでお願いします。

ただ、言葉ひとつをとってみても、受け手が十人いれば十通りの解釈がある。

例えば、こないだ友人に誘われて久々に合コンに参戦した時、好き勝手喋ってたら女性陣に散々嫌われて、「土下座しろ!」とか5回くらい言われた。初対面の女性に。
ボクってば、女性とプライベートで飲むのは本当に久しぶりだったんで最初すごく不安だったんだけど、この時はさすがに「よしよし、ブレてないぞ、俺!」って思いました。何の再確認だ。

そんで、宴もたけなわって頃に、
「じゃあそろそろ電話番号の交換をですなグフフ…」
って勇気を振り絞って言ってみたら、隣の女の子に札を渡されて、その札には59って書いてあったんですけど、まあその札ってのが魚民の下駄箱の番号札だったんですけど、
「いや、ふた桁って。内線か!」って何とかツッコミというかそれはもう一種の自分へのフォローとして発言したんですね。そしたら彼女、

「あなたには内線の番号すら教えたく無いわ」

って、国が国なら内戦が勃発してもおかしくないような発言をなさった。
すげーなこの子、逆にゾクゾクするわ!とお帰りの際、召し使いのごとくその番号札で彼女の靴を出しておいてあげたら、

「やめて!あなた、靴の臭いを嗅ぎそう!」

って。これにはさすがのボクもカンカンに怒って「オイ、オマエ!テルマエオマエ!オマエはローマで一生休んどけ!」って言い放ったんですけど、そう言いながらも指についた彼女の靴の残り香をクンクンと嗅いで差し上げた。よしよし、ブレてないぞ、俺!折れてないぞ、心!

言葉ひとつをとってみても、受け手が十人いれば十通りの解釈がある。

つまりは、連絡先の交換ひとつをとってみても、イケメンが言うと成立し、ボクが言うと不成立どころか不快になったりするわけで。あ、でもこの場合は受け手の問題じゃなくて言い手の問題ですね。うん、ボクに問題がある。このままじゃ十人のうち十人が連絡先など教えてくれないだろう。どうやら言葉ひとつをとってみても、受け手が十人いれば十通りの拒絶があるみたいです。ボクには。

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さて、本題に話を戻そう。

前述した教習生のNさんへの発言ですけど、もちろん本心としては、妖怪みてぇだなとか地球から出て行けとか、鳥取の境港でブロンズにされろとか、そんなことは微塵も思ってないんですよ。思ってないけどついつい出ちゃうんです。いや逆に、思ってないからこそ言えると思うんですよ。そう、全ては愛情の裏返しから来るものなんです。ごめんね素直じゃなくって。

そう思ってボクは気付いたんだ。

他人の心の内は覗いてみないと分からない。いや、覗いたところでそれは万華鏡のように、常に変化を止めることが無い。それに、他人どころか本人ですら、自分の心が見えなくなることがある。
思い出して欲しい。あなたは本心と別の所で、想いとは裏腹の言動をしてしまったことが無いだろうか。ボクらの本音はいつも建前や計算、立場やプライド、様々な鏡に反射され外に吐き出される。そしてそれが時として悲しみを生んでしまうのだ。
そう、ハートはまさに鏡張りになった万華鏡なのだ。
これって究極のセンチメンタリズムじゃないか。深い!深いよ万華鏡!

ハートは万華鏡。それはこの歌に欠かせない、完全無欠のフレーズだった。

で、改めて歌詞を振り返ってみたら、あ、これってまさしくボクのことを歌ってるんじゃないかと錯覚するほどだったんで、以下、歌を自分のことに置き換えてみました。

ごめんね素直じゃなくて(本心じゃないの)
夢の中なら言える(Nさんとの会話は楽しかったぜ)
思考回路はショート寸前(自由過ぎる発言には混乱させられたけど)
今すぐ会いたいよ(会って心よりお詫び申し上げたい)

泣きたくなるよなムーンライト(魚民での帰り道)
電話もできないミッドナイト(結局番号教えてくれなくて)
だって純情 どうしよう(靴の臭いは嗅ぐフリをしただけです)
ハートは万華鏡(だから合コンのあの子の拒絶も、ボクに対する愛情の裏返しから来るものだったんだよね。うん、きっとそうだ。そうに違いない。だってハートは万華鏡だものー!)

まるでボクの気持ちを代弁してくれているかのようで、すごく感動しました。

なんていうか、共感しちゃうよねー!ほんと神だよねー!

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PS.合コンのあの子、番号は教えてくれなかったんですけど、何とかして奇跡的にメールアドレスだけはゲット出来まして。

先日、その子から「今夜は星が見えないな…」ってメールが来たんで、「ほうほう、意外とロマンチストなんですな。」って返したら、「何で星が好きだったらロマンチストなんだよ!」って返事が来た。
いやいやいや、全くもってキレどころが分からないんですけど。こちらとしましては“意外”というフレーズにキレられると予想して対策を立ててたんですけど。
意表を突かれて焦ったボクは「いや、あの、星が見えたらちょっとだけでもお幸せなご気分にならっしゃるんでしょう?」って上司が怖くて敬語が変になっちゃう新入社員みてえに聞いてみたら、「うん。」って返事が来た。アラ、この子案外可愛いところあるじゃないのフフン、と思ってここぞとばかりに、
「夏目漱石は“I love you”を“月が綺麗ですね”と訳したという。星が綺麗だな、ってちょっとでも幸せに思う心は、どっかに繋がってるんだよ。例えば明日も見えたらいいなとか、誰かと一緒に見たいなとか。それだけでも十分ロマンチックじゃないかな?」
って男前な感じのメールを送信したら、

「そうだな。オマエと一緒には見たくないけどな!」って返事が来た。

同じ星に生まれたのに、
今回もどうやらミラクルロマンスは起きそうに無い。

ラウンドアバウト

2012-05-01 | 教習生色々

人生の線が交差する。
合宿免許教習所は人間交差点である。

様々な人間が集い、留まり、ただすれ違い、あるいは干渉し合い、それぞれの進むべき道を選択し、また離れて行く。
おそらく普通に生活をしていたら会うことは無かっただろう、そんな顔の知れない者同士の偶然の出会いがここにはある。いやある者はそれを必然だったと言うかもしれない。
交差点を出た後、彼らはどこへ向かって行くのだろう。道は不変であるか、それとも大きく変わるのか、それはひとそれぞれ。ボクの考えの及ぶところではない。

交差点の数ほどドラマがある。

ドラマといってもそれは、冬のそなたの名前はキム・サムスンが美男ですねってチャングムに誓ったり、あるいは数多のイケメン達がパラダイス銀河してるものだったり、そんな派手なものの類のことではない。
他人から見れば無名の役者が演じる小さなドラマかもしれないが、そこに登場する人物にとっては、彼らのひとりひとりが人生という名の大舞台の上に立つ主役なのである。

今回は教習所で実際に起こった、ふたつのドラマをご紹介しよう。

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交差点を抜けるとガラリと景色が変わることがある。
殺風景で寂しい更地から急に風光明媚な景勝地へと変わったり、またその逆もあるだろう。

「おはようございます。見回りです。」
ある朝、ボクはドアの前に立っていた。
教習所内には合宿生が宿泊する寮が全部で11棟ある。その内の男性寮を巡回するという地味な仕事がある。ほとんどの合宿生がルールに従って生活をしてくれているのだが、免許を取りに来る若者たち全員が聖人君子かというとそんなはずはなく、中には規則の意識が希薄なお客様もいらっしゃる。
卒業まで約2週間の集団生活を健全に過ごしてもらうため、巡回は確かに必要な仕事なのかもしれない。地味だけど。

そこは二輪免許を取りに来た方が多く滞在する、男性寮の角部屋だった。
ドアを開けると部屋にはまだ数組の布団が敷かれ、寝ている者がいた。
「はい、皆さん起きましょう。布団を上げよう。」
大声で促すと、しばらくうーんと唸った後、むっくりと気だるそうに数名が状態を起こした。
「決まった時間までに起床しないと、他のひとの迷惑になるからね。」
ボクは努めて優しい顔でしかしはっきりと伝えた。
朝から叩き起こされて露骨に不機嫌そうな顔をしているのはYくんだった。
彼とは一度教習を担当したことがあり、今風の結構なイケメンで、極めてクール。なかなか我の強そうなタイプであった。
「あら誰かと思えばチャラ男のYくんじゃないか。うん、取り合えずすぐに布団を上げよう。明日はちゃんとお願いしますよ。」
そう言い残すとボクは部屋を出た。ここの寮は最近他の部屋も布団が出っ放しだし散らかってるなぁ…と、小姑みたいにブツクサと心の中でつぶやきながら。

「次のイベントで、寮のみんなで出し物をしたいんです。」

そんな折り、こう申し出て来たのは例の寮に滞在しているMくんとIくんだった。
ウチの教習所では繁忙期に隔週でちょっとした祭のようなイベントを行っている。教習所なのになぜか屋台が出て、音響が組まれたステージ上では職員による出し物があったり、教習生がダンスやバンドなどの特技を披露したりする、まさに手作りのイベントだ。

「え?寮のみんなって…何人でやるの?」
「20人くらいです。」
「に、にじゅ?…一体何をやるつもりなの?」
「日体大のエッサッサです。」
「えっさっさ??」
日体大のMくんと大阪体育大学のIくん。体育大学の学生である二人は、日体大の伝統的な集団行動による応援スタイル“エッサッサ”を、合宿で知り合った寮のみんなと練習し、イベントで披露したいと言うのだ。

ボクは朝、彼らの寮を巡回した時の事を思い出していた。

「じゃあそのメンバーを今から集めてくれ。」
ほどなくすると、ボクの目の前には20名の男がずらりと集結した。メンバーの中にはYくんを含め今朝注意した教習生も何人かいた。

…なんてむさくるしいんだ!

という言葉を飲み込み、ボクは彼らにこう伝えた。
「イベントを盛り上げてくれるのは大変ありがたいんだけど、出し物をしてもらう以上、他のお客さんの模範となるような生活をしていただかないといけない。規則を守っていただけない方にはいつも出演をお断りしているんでね。そしてキミたちの寮は最近、ほとんどの部屋がひどい有り様だ。つまりだ、明日からは時間通り布団をしまって部屋を綺麗にしておくように。次また同じ様なことが一度でもあれば…申し訳ないけど出演は中止します。私からは以上です。やるからには頑張って良いものをやってください。」

姑のようなボクの忠告に、彼らは「はい」と大きく返事をした。

「おはようございます。見回りです。」
次の朝、彼らの寮を巡回すると、どの部屋もきちんと整頓されていた。
Yくんもなんとか起きていた。相当朝に弱いのか、ボクの事が嫌いなのか、だるそうに挨拶を返してきた。
次の日も、また次の日も、以前の状態が嘘のように全ての部屋は整頓されていた。
そして教習が終了した夜、彼らは連日ストイックに出し物の練習をし続けた。

イベント当日。上半身裸になった男性20名が真剣な表情でステージ上に整列した。太鼓の音に合わせて機敏に行動する。全員が動作を揃え、「エッサエッサ」と大声を出しながら力強く全身を揺さぶる。彼らの、ある種異様な、ガチのパフォーマンスに客席は静まり返り、終了すると同時に拍手喝采が沸き起こった。結果として彼らはイベントの成功に大きく貢献してくれたのだった。

その後も彼らの寮が荒れることはなかった。
年長者のIくんが中心となって互いに声を掛け合い、それぞれが自主的に規則正しい集団生活を続けた。
そしてIくんとMくんはYくん達を誘い、早朝から行われるトイレ清掃ボランティアなるものに参加し続けた。

それからしばらく経った卒業の日。彼らがまた何やら集結していた。
何事だろうと近づいてみると、お世話になった二輪指導員達を囲い、ひとりひとりが感謝の言葉を述べていた。彼らのほとんどが泣いていた。中でも一番男泣きしていたのはYくんだった。

「キミ達…相変わらずむさくるしいな!」

そう言って横を通り過ぎようとしたけど、ボクも一言求められた。
こういった状況は苦手なのでご遠慮したかったのだが、ボクも彼らに言いたい事があったのでその思いを述べることにした。

「えっと、ボクはひねくれ者だから、部屋が綺麗なのはどうせ最初のうちだけだろうと思っていた。でもキミ達はイベントが終わっても卒業するこの日まで、あの約束をずっと守ってくれた。Iくん、良く寮のみんなをまとめてくれたね。Mくん、キミが指導したエッサッサ、みんなカッコ良かったぞ。あとYくん、キミはチャラ男なんかじゃない。…皆さんの行動に、ただただ感動しました。本当にありがとうございました!」

大きな声で彼らに礼を言い頭を下げると、彼らも大きく「ありがとうございました!」と返してきた。
今回、ボクは大姑みたいなことをネチリネチリと彼らに言っただけなのに、改まってお礼を言われるなんて思いもしていなかったんで何だかむず痒くなった。
寮の巡回なんて教習生から煙たがられる嫌な役回りだ。ただ、ボクは彼らと出会うことによって、この仕事も悪いことばかりじゃねぇな、と初めて思えた。ものすげぇ地味な仕事だけど。

教習所の力でも無い。恐らく二輪指導員達の力でも、もちろんボクの力でも無い。
彼らは彼らと出会うことにより、触発、喚起され、化学反応が起こり、自ずから熱を生んだのだ。

人生の線が交差する。
合宿免許教習所は人間交差点である。

交差点を抜けた時、彼らが見る景色は一体どんなものであったのだろう。

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交差点の通行は時に困難だ。
赤信号の時間が非常に長かったり、交通量が多く思うように通過出来なかったり。中には強引な動きをしてくる車もいる。

「ほら、私ってメイク濃いじゃないですか?」

県外から合宿免許で来ている、高校を卒業したばかりの女子がそう言った。
え?うんまぁ、少しばかし…トランプマンみてぇかも。ボクはふざけて答えた。
「実は、中学生の時に好きだった男の子が偶然ここにいたんですよー!」
ふーん、と彼女とは真逆のテンションでボクは返事をする。
「でも向こうは私の事に気付いていないみたいなんです。やっぱりスッピンじゃないから分からないのかなーって。」
え?そのメイクは身分を隠すためのものじゃなかったのか!?…トランプマンみてぇに。調子を変えずに続けるとやはり彼女は少し怒ってこう言った。
「もう!ひとが真剣に悩んでるのに!…やっぱり、彼に声を掛けたほうがいいですかね?」

やめておけ、思い出はセピアのままが良い。

そこだけは真面目にボクは答えておいた。
思い出は美化される。綺麗な思い出であればあるほど、人物や風景といった対象、そして当時の自分の環境や心情までもが美化されるものだ。
実際にまた再訪してみるとあれ?こんなんだったっけ?嘘でしょもっと趣深い湯小屋で硫黄の匂いが強くてつるつるのお湯だったはずなのになんだよちょっとがっかりだな、とか独りよがりに思うものだ。相手が人間であれば尚の事だろう。

以前通過した交差点と全く同じ状況の交差点には二度と戻れないのだ。
そう、例えそれが普段通り慣れている交差点であったとしても気持ちを新たに緊張感と覚悟をもって進入しなければならないのだよとたまには教習指導員らしいことも併せて言っておこう。

後日、彼女はその後の顛末を話してくれた。

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繁忙期の受付は、通勤ラッシュ時の交差点に似ている。
教習開始前や終了直後、受付カウンターは教習原簿を持った教習生が大挙に押し寄せ殺到する。その喧騒はさながら交差点を行き交う車のエンジン音やクラクションといったところで、次から次へと対応をこなしていく事務員たちは、車を右から左へとさばいていく交通巡視員といったところだろうか。

彼女は彼を探していた。

そんなにも混雑した場所であっても彼女は彼を探していた。おそらく彼女は無意識に彼を探していた。知らず知らずのうちにその人の存在や痕跡を探してしまう。癖だったり習慣だったり、いやもっと原始的な、反射というか。呼吸をする時、何も意識しないように、無意識に動く。恋ってのはそんなものだろう。

あるいは彼女はしたたかに彼を探していたのかもしれない。偶然を必然に変えるには、小さな偶然を積み重ねることだ。ことに恋愛における運命というものは自らが作り出すただの錯覚だとボクは思う。“運命を感じる”のではない、皆、“運命を感じたい”のだ。

その交差点に、彼はやって来た。

やはり彼女の存在に気付かない彼。これだけ多くの人でごった返していれば無理も無い。ただ、この日の彼女はほぼスッピンだった。これならさすがに自分の事を思い出してくれるはずだ。一方通行路を抜けるためには自らがアクションを起こさなければならない。声を掛けるなら今しかない。

名前を憶えていてくれるだろうか。いや名前どころか私の存在を…。彼女は首を横に振ってそんな不安を振り払い、勇気を振り絞って彼に声を掛けた。

「●●くんだよね?私のこと憶えてる?」

すると彼は一旦キョトンとした後で、すぐに思い出したように明るい顔をした。
間違いない。彼は彼女の事を憶えていた。彼のリアクションを見て、緊張していた彼女の表情も歓喜に満ちていく。雑然とした人ごみの中で、そこだけにスポットライトが当てられた。止まっていたふたつの歯車が動き出す。

彼女はドキドキしながら彼の最初の言葉を待った。
彼は中学の時と変わらない優しい笑顔で爽やかに、彼女にこう言った。


「あー!確か、チップスターの箱をふで箱にしてた子でしょ!?」


それはとてつもなく大きな声だった。受付周辺にいた全員の目線が、彼女に集中する。
ひとを形容するのに、かつてこれほどまでに残酷で悲しいフレーズがあっただろうか。ましてやそれをちょっと気になってる異性に言われるなんて、ゲオ行った時、サイコサスペンスってどういうヤツを言うんだろうって借りるの迷ってたんだけど、ああ、こういうジャンルのことを言うのかと思った。今度から借りてみようと思う。

チップスターの箱をふで箱にしてた子でしょ!?

一体、誰がこんな言葉を予測出来ただろうか。
彼女にしてみれば、背後から鈍器のようなもので殴られたようなものだ。いや、違うな。大好物のスウィーツを頬張ってたら中にねり消しが入ってたようなものである。いや、これも違うし、分かりにくいな。大好きな彼にプロポーズされて浮かれてたけど彼は同時に他にも富永愛と園山真希絵にプロポーズしていた。これは…旬だな。
まぁとにかく、例えが良く思いつかないけども、彼女にしてみれば通り魔的な犯罪に巻き込まれたようなものだ。
彼に悪気があった訳では無い。それは分かっている。ただ、どんな善人でも一瞬にして罪人となってしまうのが恋路の怖さであり、また悲しさである。塩谷瞬は全然善人じゃないけれども。

チップスターの箱をふで箱にしてた子でしょ!?

もはや名前でも無かった。
彼の中では彼女=チップスターの箱をふで箱にしてた子、それ以外の何者でも無かった。いや、むしろ面倒臭ぇから彼女=チップスターでいっか、みたいに雑に思われていた可能性さえある。まさか中学時代の同級生を表現するためにチップスターが用いられようとは…ヤマザキナビスコサイドもさぞかし驚いたことだろう。

名前を忘れるのは仕方が無い事かもしれない。でもせめてもだ、「クラスの人気者だった子」とか「バレー部だった子」とか「学級委員長してた子」とか、特徴や所属や肩書などでそこは表現して欲しかった。「チップスターの子」ってアンタ。もう何だろ、肩書とかそういうの飛び抜けて、称号だよね。称号クラスだよね。ナイトとかバロンとか、その中にチップスターって爵位があってもおかしくないよね。ちょっとした領土とか任せられててもいいだろうしそれこそヒゲとかも生やしちゃってさ。

プリングルズの箱をふで箱にしてた子でしょ!?

こうだったら少しは話が変わっていたかもしれない。
異国情緒溢れる外装のプリングルズがふで箱だったらちょっとは様になるし、フタとかもね割としっかりしてる。
というかよくよく考えたらチップスターがふで箱って機能的にどないやねん!あのフタってめっさガッバガバですやん!ペンとかズヮァッチャーなりますやん!!とか宮川大輔あたりが声高に表現しそうなわけですけど。

あと、プリングルズはチップスターよりも高価だし、やはり数ランク上の爵位になりますよね。まぁ個人的にはポテチ界の王様、ピザポテトが最強ですけど。ボクは絶対君主に忠誠を誓い、最高級の敬意を払ってピッツァ・ポテイト様とお呼びするようにしているでムッシュ。
ただし、最後に指についたピッツァ様のおこぼれだけは舐めない。伏し目がちに、一礼し、そっとティッシュで拭い取るのだ。それだけがオレのプライドなのだそうですかボクの嗜好の話はどうでもいいですか。

そう、今回の件を殊更悲劇にしたのは、チップスターの箱をふで箱にしてたという物語の背景に漂う、リアルでチープな臭気だ。

この物語、昔流行った『一杯のかけそば』を彷彿とさせる。
年の瀬に母親が幼子二人を連れて蕎麦屋を訪れ、一杯のかけそばを三人で分け合うというあれだ。当初実話という触れ込みで100万部を発行し、日本中を泣かせた。
対する平成の人情話『チップスターのふで箱』も相当泣ける。
中学生時代の彼女の健気さ、そして地球への優しさ、さらには背後に家族愛まで感じることの出来る物語に仕上がっている。特に結末がすごく切ないよね。時を経て彼女が成長し、小綺麗になっても尚、チップスターの呪縛から逃れられないところが甘く切ない。

~「でもこれってふで箱がチップスターだからいい話なんだよ。ふで箱がプリングルズだったらちょっといやらしくなるよね」~

って感じの、本の帯をリリー・フランキーあたりに書いていただきたいくらいだ。

そういえば、『一杯のかけそば』は美談だが現実味の無い出来過ぎた話だったし、本当はフィクションであることが後に判明した、とボクは記憶している。
そこへいくとこのノンフィクション『チップスターのふで箱』はすごく身近に起こり得る話で、どのくらい身近かというと“稲川純二が語る生活のすぐ傍にある恐怖”くらい身近で、その分恐ろしいほど容易に想像が出来てしまうんですよねぇ~。やだな~怖いな~怖いなぁ~(稲川氏口調で声と心を震わせながら読んでいただきたい)。
おそらくその場に居合わせた野次馬たちは皆「へー、この子がチップスターの箱をふで箱にねー、ふーん、今風な顔して結構着飾ってんのにねー、へっへー。」と心の中でそう復唱し、彼女を好奇の目で見ては想像したであろう。事実は小説よりも悲なり、なのだ。

だからボクは言ったのだ。思い出はセピアのままがいいと。

ボクが彼女に掛けることの出来る言葉は「大丈夫!キミは卒業するまですっぴんで出歩かなければいい。それこそ…トランプマン的な意味合いで。」というアドバイス、それしか無かった。

春が息吹き始める3月。
窓の外には多分今年最後になるであろう雪が降っていた。
次の日から、彼女のメイクは以前より若干厚みを増したような気がした。

人生の線が交差する。
合宿免許教習所は人間交差点である。

そして最後にもうひとつ皆様に申し上げたい。

54.3%(平成23年/警視庁交通局統計)

交通事故、その半分は交差点で起きている。

ボクの好きな休日の朝

2011-12-23 | 教習生色々


世間が休日のなか、働く。


ボクは別に嫌いじゃない。

年中無休の教習所。

たまに曜日の感覚が分からなくなるが、

日曜日や祭日は、明らかに他の日とは違う穏やかな空気が流れている。

特に朝の空気が好きだ。

出勤のために家を出て最初に吸い込む空気がいつもとは違う。

きっと“気”というのは本当にあって、

平日は殺伐とした気が街から発生していて、

休日は逆に静かで柔らかくゆったりとした気が上空に集まっているのかもしれない。

そんな日はいつもより心に余裕が出来て落ち着いて教習が出来るんだ。


今日、朝イチの教習開始前。


先輩指導員たちと和やかに談笑していたら

「おはようございます」

と、ひとりの女の子が近付いて来た。


見ると第一段階の教習で一度だけ担当したことのある10代の学生さんだった。

なかなか個性的な運転をしてらしたので心配していたのだけど、

先日、最短ストレートで無事に修了検定を合格したのだと言う。


そいつはめでたい!ボクはサクッと祝辞を述べ、

路上のほうは大丈夫かー!?などと叱咤激励した。

すると彼女はニコニコしながらボクを名指ししてこう言った。


「今日の路上教習は●●さんじゃないんですかね?」

「私、●●さんが良いんですよー!」


!!!

そうかそうか、うんうん。

分かる、分かるよ。

というかキミは分かる子だな。

カリスマ指導員のおれに教習を見て欲しいキミの心の叫びは良く分か…


「何でコイツなんかが良いの?」

ボクの話を遮って、怪訝そうに先輩指導員が彼女に問うた。


いやいやいや、何すか先輩その不満げな顔は?

おい、キミ、言ってやりな!この際だから惜し気もなくおれの素晴ら…


「えー!だって他の教官だと申し訳なくなっちゃいますもん!」


そうかそうか、うんう…ん?え?どゆ意味?


「いや、私の運転ひどくて怖いだろうから、何か可愛そうで…」


え?え?いや、あの…

って戸惑うボクを尻目に、彼女は屈託の無い笑顔でこう続けた。




「でもこのひとなら殺してもいいかなーって」




先輩方はボクの肩を優しく叩き、仕事を始めるべく颯爽と教習車へと向かって行った。


そんな、天皇誕生日の朝。




抗うことなく、漂う。

2011-12-16 | 教習生色々


『男の幸せは女を幸せにすることである』


というキザ臭い言葉を吐いてみる。

うーむ、実にボクには合わない言葉だ。

もとより幸せにする女もいないわけだしねアッハッハッハッハ!けっさく!

…クリスマス目前、皆様いかがお過ごしでしょうか?

この時期に近寄ってくるキザ臭い男ってのは大抵キナ臭い男だと思われます。ご注意されたし。


男性79.64歳、女性86.39歳(2010年厚労省調べ)


日本人の男女の平均寿命には6歳以上の開きがある。

この男女差の原因は一概に言えるものではないだろうが、ストレスが大きく関係しているという説がある。

というのも癌や心疾患、脳血管疾患といった日本人の三大死因とされる疾患において、ストレスが与える影響は少なくないからだ。

つまり男女が一生で受けるストレスの違いが、平均寿命に何らかの差を生じさせているのでは…という説だ。


路上教習、担当したのは地元の女子高生。


積極的で元気の良い運転をしてくれるんだけど、

そのかわりにちょいと荒っぽさが目立つ。


そんな雑にハンドルをきっちゃだめでしょ、とか

もっとお上品にブレーキを踏みなさい、とか

姑が嫁の料理にイチャモンつけるように運転を注意してたら


「あー、もー嫌ーっ!」


って、急にお嘆きになった。感情的に。

おいおい、どうした?


「私、男に生まれたかったー!」


って、何だか物騒なことをお叫びになった。険しい顔で。


それはもう『あたしゃ女に生まれてろくな事は無かったよ』みたいな恨み節。

まるで男に人生を狂わされた塀の中の女性受刑者みたいに、彼女は半生を振り返りだした。


ま、まぁ、とりあえず落ち着けって!


彼女をなだめようとして放った言葉か、はたまた自分に言い聞かせるための言葉か。

ボクは動揺していた。背中が汗ばんでいるのが分かった。

彼女が取り乱したのはボクの放った「雑」や「お上品」というキーワードが引き金となっていたからかもしれない、という自責の念があったからだ。

彼女は本気みたいだしこのままでは急ハンドルを切って転生を試みるかもしれない。


「ああ女になんて生まれて来なければよぉ!」となおも続ける彼女に


そんなこと無いだろ、それにキミはまだ18歳じゃないか!

キミはいつか女性に生まれた幸せを感じる時が来るんだ!

女性は幸せになるために生まれて来た生きものなんだよ!!


って出来る限りスマートに力説しといた。

なんで教習中にこんなフォローしなきゃいけないんだと思いながら力説しといた。


そしたら彼女、ボクの渾身のスマートをも跳ねのけてボソリとこうつぶやいた。


「女に生まれて幸せだったことは、ひとつだけですよ…」


あれほど見開いていた彼女の目が細くなり、遠くを見つめた。

この少女はもしかしたら他人には到底想像がつかないほどの過去を背負って生きているのかもしれない。

やばい。彼女が醸し出す強力な負のオーラに押し潰されてしまいそうだ。

背中の汗が冷えていく。多分、今、鳥肌が立ってる。

ボクは冷静を装って、

そ、そうか!やっぱあるじゃんほら!うん、…で、それはどんなこと?

精一杯の明るい声で恐る恐る聞いてみたら




「女に生まれて幸せだったのはね、体育のマラソンで男子より距離が短かったことぐらいですよ!」




緊張の緩和。安堵と脱力。

拍子抜けしたボクは彼女にお構いなく噴き出してしまった。

いや、ここは笑い飛ばしたというほうが正解か。

一瞬ムッとした彼女の表情も、ボクにつられか幾分か和らいだ。


…若ぇ。若ぇな、お嬢ちゃん。

男子って懐かしい響きを差し引いても若ぇよ。

そんぐらいのことで幸せを感じるくらいなら、アンタすこぶる良い余生を送るよ。

それに知ってるか?

人生という名のマラソンでは、女は男より長い距離を走らないといけないんだぜ。

そんぐらいのことで幸せを感じれるくらいだから、そりゃ寿命も長くなるわけだよな、まったく。


そうぼやいてボクはハッとした。


平均寿命の男女差は、もしかしたらこうして作られるものなのかもしれないな。


女は幸せを噛み締め、幾度と無く反芻する生きものだ

時に女は不幸をも噛み締め、幾度と無く吐き出す生きものだ

そして男は女の生み出す感情の波にいつも巻き込まれる、ただの葉っぱだ


女の幸せはやっぱり何だかよく解らないけども、

『男の幸せは女を幸せにすることである』というのはあながち間違っていないようだ。

というか、ただただ凪ぎであってくれればそれだけでボクらは幸いなのである。




まぁボクみたいに何も無さ過ぎて年中ベタ凪ぎってのもどうかと思いますけども。




1%のヒント

2011-08-01 | 教習生色々


教習は癖の矯正の連続である。


ハンドル操作やペダル操作、目線や走行位置、などなど。

癖を直すには横からただ指摘し続ければ良いってもんじゃない。


その癖が何故運転に悪影響を与えるのか、

癖を直せば実際にどう運転が良くなるのか、

先ずそれを本人に理解してもらい、自ら改善したいと意識してもらう。

教習生の高い意欲から生まれる根気無くして癖は直せないのである。


99%の根気と、1%のヒント。

教習指導員は教習生に考えてもらうヒントを与えるだけで良い。


最近卒業したあの教習生も、結構な癖の持ち主だった。


場内教習。

担当の20代前半ギャル風の教習生。


彼女、ボクが操作ミスを指摘する度に


テヘッ


ってなる。


いやいやいや!

テヘッじゃねぇよ!

キミね、さっきね、カーブで対向車に激突しかけたんだぞ!!

照れ笑いしとる場合かっ!?

って叱責したら


テヘッ


って。ずっとこんな調子。


まぁとにかくテヘッについては面倒臭いんでほっとくことにして、

取り合えずカーブをきれいに曲がれるようになってもらわねばと思いまして。。


教習車にはアイミラーと呼ばれる小さな鏡が付いてましてね。

助手席から運転してる教習生の目線や表情をチェックするものなんですけど。

彼女の目線をなんとか矯正して走行位置をつかませようと躍起になってたらあることに気が付いた。


ほら!また目線が外側に向いてるぞ!ってアイミラー見ながら注意したら

また出るぞ出るぞテヘッが!と思いつつもアイミラー見ながら注意したら




テヘッ




ペロッ




って。

え?ペロッって??


コイツ…


舌出しとる!?


なめとんのかー!!

こっちは必死になってやってるっていうのに凹

そんな余裕あんのか!?


「いや、違うんです!これ癖なんです!」


癖ってなんだ!?

20代にもなって!まったく!

キミはね、オーバーオール着て髪二つ結びにしてケーキ屋の前にでも立っときなさい!


「…すいません。気をつけます。」


て反省した後もミスを注意される度にテヘッペロッて、ついつい出ちゃう。

ついにはテヘペロを注意されたことに対してテヘペロっちゃう始末。

もうこうなると目線の癖よりもそっちの癖のほうが俄然気になってくるわけですよ。

すっげー調子狂う。


最初はふざけてんのかと思ったけど教習は真面目に頑張ってるし、

どうやら本当に癖になって止められないみたいだ。


彼女の将来を案じると出来ればそっちの癖も直してあげたい。

というか煩わしいからどうにかして止めさせたい。


で、何でそんな癖が付いたの?って聞いてみたら


ローラの真似してたら直らなくなっちゃったんです!」


!?

ローラって…あの、最近TVによく出るモデルの??


「はいそうです。ほら、けっこう可愛いでしょ?」


ってまたテヘ顔しながらペロッて舌出してきたから

ゴメンけど、あやまんJAPANにしか見えん

って率直な感想をお伝えしといた。




そしたら彼女、もう二度としなくなったんだ。




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優しい疑惑

2010-12-24 | 教習生色々


サイレントつってる割りには騒がしく

ホーリと言ってる割りには邪な


ついにこの日がやって来た。


いや、ボクだって今までただ手をこまねいて待ってたわけじゃないよ。


正直な話、努力はした。

皆さん努力努力と言いますけども、

それは決して女性に一斉送信するとか、そういう事じゃない。

努力ってのは自分自身を磨く事だ、と。

具体的にはね、恋愛本買った。

パーソナルスペースの差異から生じる男女間の誤解がどうとかすっげ勉強した。


まあ結局もちろん今年もおひとり様なんですけど。


お前は毎年ひとりなんだからもう諦めろ、とか言わないでください。

だってさ、今年のクリスマスは違うの。

入社して数年、ずっとクリスマスは出勤だった。

どうせお前は独り身だし何の予定も無いだろう的な会社の意向でか分かんないけど、

この日だけはずっと出勤だったわけです。鉄人衣笠とタメ張るくらい。


で、今年はというと、どういうわけか25日が休みになってた凹


どうしよ明日、と今晩。


さすがにひとりでボーっと過ごすのは切ないんでね、

今夜は実家にでも帰ろうかとも思ったんですけどね、

家族に逃げようかと思ったんですけどね、

なんせ今年の盆から実家に帰ってないもんで、

ここで帰っちゃうとちょっと恥ずかしいよね。

恥ずかしいし、悔しいよね。

お母さんに全てを見透かされちゃうとか何か思春期を思い出しちゃうよね。


さて、イヴの夜にお話をひとつプレゼント。


今日、県外から合宿免許でお越しの女子高生を担当したら、彼女、

「毎年クリスマスはプレゼントが届くんですよ!」

って嬉しそうに言った。


え?届く??

もらう、とかじゃなくて?


「はい。朝起きて家を探すとどこかにあるんです。」


え?え?

もしや…それってサンタさんからってことなの??


「はい。去年は自転車のカゴに入ってました。」


カゴって、外じゃん凹


「友達に言ったら馬鹿にされるんですけど…」


えっと、確かこの子もう18歳よね?

えええ!マジか!

今の時代こんな子いんのか!?


ボクは彼女を傷つけないように気をつけながら聞いてみた。


キミはやっぱあれなのかな?

あのその、サンタさんのことを信じて…


「いえ、半信半疑です!」




半分信じてたー凹




「お母さんに聞いても違うって言うし、私に子供が出来たとき困るから教えてって言ってもお母さん教えてくれないし、だから…半信半疑なんです」


こんな子いるのか?とボクのほうも最初は半信半疑だったけど、

喋る彼女の表情を見て疑いは解けた。

そうか、サンタさん、いるよね。ウン、いるよ。

って言っておいた。


すごく良い話じゃないか。

お母さんの濁しも彼女の半信半疑も優しさだ。

このご時世に、こんな優しいひとたちもいるんだな。

サンタクロース…この素敵な家族には本当にいるのかもしれないな。


ありがとう。

心荒むこのボクに、暖かいクリスマスプレゼントとなったよ。




で、その後、

「今回の合宿は実は彼氏と一緒にふたりで来たんですよー」

って発言があったから、


なんだお前も所詮アッチ側の人間か!

いいか!合宿寮の門限は10時だからな!

門限ナメンナよ!!


って高校生相手に、そこは容赦無く。




コッチ側のブラザー、キミたちはひとりじゃないぜ!

素敵なイヴの夜を★




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朗々たれ

2010-11-16 | 教習生色々

 

太郎ってホッとするよね。


教習生のFくん。

教習原簿を見たら名前が“玄太朗”だった。


希空とか宇宙とか心愛とか…

最近の若夫婦はそんな夜露死苦みたいな名前を付けたがる。

もちろんそれは個人の自由だし、

魅力的な名前をつけるのは悪い事じゃないし、

親の気持ちも分からなくは無い。

ボクだってほら、もし平成生まれみたいな名前を付けてもらってたらさ、

大正生まれみたいなこの顔面を幾分か中和できたかもしんないし。


でもそんな時代だからこそ、太郎ってホッとするよね。

スッキリとしていて分かりやすいし、和むよね。

麻生太郎の時はあんまホッと出来なかったけど。


で、古き良き名前だな、って。先ずは彼を褒めた。

運転よりもそこを褒めた。


その後はいたく彼の名前が気に入りまして、

ずっと“玄太朗”言ってた。


やるじゃないか玄太朗!

いいぞその調子だ玄太朗!

もっと攻めろ玄太朗!

おいコラ攻め過ぎだ玄太朗!

ブレーキきついぞ玄太朗!

踏み方が硬いんだよ玄太朗!

キミの名前みてぇに硬いんだよ玄太朗ぉぉぉぉ!!


とか言ってたら、彼、


「いや、実は僕、もっとお堅い名前になる予定だったんですよ!」って。


え?

この世に玄太郎よりも堅苦しい名前なんてあんの??


「はい。佐十郎…」


ほう!佐十郎!?

それもまた渋くてカッコいい名前じゃないの!!


「はい。佐十郎、玄太朗です。」


ん?

いや、玄太朗は知ってるから。

さっきからボクもちょくちょく連呼させてもらってるから。


「いや、だから、佐十郎 玄太朗なんです。」


え?え?え??

もしやそれって!



ミドルネーム!?今流行りの!!

(前回参照)



まじすか!

日本人でもミドルネーム付けれるの!?


「そうですね、そういう名前のひとは実際いるらしいですよ。」


確かに歴史上の人物を思い出せば木下藤吉郎秀吉のように名前に「字」を持っている。

しかし現代の日本でも本当にミドルネームなんて付けれるのだろうか?

気になったので後日調べてみると、

明治維新以降の戸籍制度になってからは、氏名はやはり「姓」と「名」だけで構成される。

ただ、「名」の部分に二つの名前を入れるひとは結構存在するらしい。

例えば<姓・宮川/名・大助花子>のように。

何故そんな名前を付けるのかというと、それぞれに深い意味があるらしいけど…

うーん、驚いたぜ!

あ、ちなみにFくんの佐十郎というのは、

なんでも足利将軍に仕えている時にいただいた先祖代々伝わるありがたい名前らしい。

彼の曽祖父までは名を佐十郎〇〇としていたのだという。

でも彼の場合、佐十郎玄太朗ってロウが被るから辞めといたって。なんか変だからって。

 

そこ!?

 

ほんと、良かったね玄太郎、ご両親がラッパーじゃなくてYOー。

 

まぁそのつまりなんだ、結論として、

現在の戸籍上ではミドルネームを付けることは出来ないが、

ミドルネームのような名前を持つ現代人は実在するということだ。

 

って話を卒業直前のキャシー(前回参照)にしてあげたら、

「え!日本にもミドルネームみたいなのを付けるひといるんですか!?」

って大変ご感銘を受けてらしたんで、

いや、あの、お父様には教えないほうがいいよ、

キミに子供が出来た時とんでもない事になるから。って言っといた。



でもね、キャシーったらそれでも「お父さんに教えなきゃ♪」ってなってたから、

なんか、彼女の子供に悪いことしたかもしれないオレ。



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