いなだ眼科のホームページ分院

病気の事や役に立つ情報、おもしろい話等お知らせしていきます。診療時間や場所はブックマークの本院をクリックして下さい。

楽器店のアフタヌーンパーティーでレフトアローンを演奏しました。

2013-03-21 11:39:30 | ぶどう膜炎
先日、サックスのレッスンで通っている楽器店のアフタヌーンパーティーで、レフトアローンを演奏させてもらいました。ジャズピアニストの吉田さんに、伴奏をして頂きました。なんとか無事最後まで演奏できましたが、音がうわずりますね(汗)。


全身疾患と関係したぶどう膜炎

2005-08-26 16:56:13 | ぶどう膜炎
 ぶどう膜炎についてお話しをしてきました。最後に、色々な全身的な病気に関係したものについて、これまでに御紹介したもの以外のお話しをしたいと思います。
 関節症状といっしょに見られるぶどう膜炎としては、強直性脊椎炎に伴う激しい前部ぶどう膜炎や、慢性関節リウマチに伴うもの、また小児の若年性関節リウマチにみられるもの等があります。糖尿病のある方には、糖尿病性ぶどう膜炎がみられることがあります。消化器症状に伴うものには、潰瘍性大腸炎やクローン病といった、炎症性腸疾患に伴うものもあります。皮膚症状や、全身の色々な臓器の慢性炎症をおこす膠原病も、眼底に変化を起すことがあります。また、C型肝炎やその治療にインターフェロンを使用しておられる方に、網膜症が生じることがあると報告され、話題になったことがあります。そして最近は、AIDSの患者さんで、免疫機能がある程度低下してきたときに、サイトメガロウイルス網膜炎が発症して、問題になっています。
 また、一見、ぶどう膜炎のように見えて、実はそうではないものがあります。仮面をかぶった病気ということで、「仮面症候群」と呼ばれるものがあります。これは、血液の病気や腫瘍等が原因なのに、その本体はかくれて、表面状は違った病気の顔をしているものです。少しずつ、その化けの皮をはがしていかなくてはなりません。眼科的検査だけでなく、病理検査やCT・MRIといった画像診断も行います。また、患者さんの性格変化や生活の変化などから頭蓋内の変化を判断することも、大事な意味を持つ場合があります。
 「眼は口ほどに、ものを言う」といいますが、眼の変化が、色々なことを、語りかけてくれます。眼の状態を見て「ピン!」と来るような、直感も必要です。もちろん、眼を見るだけで何でも分かるわけではなく、その変化から考えられることを、患者さんと話し合いながら、また眼以外の変化や検査結果を考えに入れて、診断や治療を決めていくことになります。推理小説のなぞ解きに似ているところもありますね。これが、ぶどう膜炎です。

「ネコに御注意!」のぶどう膜炎

2005-08-02 17:02:34 | ぶどう膜炎
 ぶどう膜炎のお話しを続けています。
 今回はネコに関係するぶどう膜炎をお話しします。中~南九州に多く見られる、トキソプラズマ症といわれるものがあります。これは、人畜共通の感染症で、ネコがその終宿主ですが、ヒトや他の動物も感染します。トキソプラズマ原虫の嚢胞体と呼ばれるものがネコの糞便中にでてきて、これを含む土壌や、感染した動物の生肉や排泄物、分泌物から感染すると言われています。通常は、片眼性で、中心付近が見にくくなり、そのうちに視野全体がかすんできて、とても見にくくなります。これは、トキソプラズマ原虫が眼底に入り込んで、その部分が炎症をおこし、眼球内全体に混濁を引き起こしてくるからです。
 治療は、できるだけ早く、抗トキソプラズマ薬と副腎皮質ステロイド薬を組み合わせて使用し、6週間程度を一つの目安にして行います。治療を途中で中止すると再燃することもありますので、根気よく、最後まで治療を続けることが大事です。また、この病気は、胎盤感染によって、母親から胎児に移行して、先天感染をおこすことがあります。その場合、脳内にも症状を引き起こすことがありますので、妊婦さんは、注意が必要です。
 他に、ネコや犬の蛔虫が眼内に入り込んで、ぶどう膜炎をおこす、「ネコ蛔虫症」「犬蛔虫症」があります。これは、最近のペットブーム、グルメブームに伴って増えてきているようにも思えます。砂場には、ネコや犬の蛔虫の虫卵が見つかりますし、鶏や牛の肝臓の生食も影響するとの報告もあります。
 そして、ネコにひっかかれたあと、強い結膜炎で真っ赤になって、リンパ節の腫脹、痛み、発熱などが見られる、「ネコひっかき病」もネコの常在菌によって引き起こされ、場合によっては、ぶどう膜炎もおこすことがあります。
 これらの病気の予防としては、良く手を洗うこと、生肉を食べないようにすること。そして、ネコと喧嘩をしてひっかかれないようにすることと、頭に来ても、決してネコにかみついたりしないこと?だと思います。

「猿恋同志巣?」いえいえ「サルコイドーシス」です。

2005-05-17 15:57:00 | ぶどう膜炎
 色々な、ぶどう膜炎の原因となる病気のお話をしています。今回は、難しい名前の病気です。「サルコイドーシス」と呼ばれるものです。「猿恋同志巣」などと誤変換しないようにしてください。この病気は、ぶどう膜炎の原因の報告のなかでは常にトップ3の中に入っており、決してまれなものではありません。原因不明の多臓器疾患で、眼のかすみ・視力低下・まぶしさ・飛蚊症などの、ぶどう膜炎に伴う症状で発見される場合が最も多いと言われています。他に、皮疹、咳、全身倦怠、発熱、結節性紅斑(触るとやや痛い皮膚の赤い斑)、関節痛などがあります。
 眼科では、まずぶどう膜炎の特徴を詳しく調べます。この診断に特徴的な所見がありますので、それがあるかどうかに注意して調べます。その後、眼以外の症状がないかどうか、採血検査、ツベルクリン反応、胸部レントゲンの検査が行われます。ぶどう膜炎は、眼症状以外の症状や所見をみて、診断がつく場合もあります。特にサルコイドーシスは肺野の所見、皮膚所見、ツベルクリン反応が重要です。眼の病気で受診したのに、どうして胸のレントゲン検査やツベルクリン反応をするのか、疑問に思われることもあると思いますが、このためです。内科では、胸部や心臓等の検査を行い、所見があれば、眼科と連絡をとり治療を行うことがあります。
 眼科的な治療は、主として副腎皮質ステロイド薬を用いて、点眼、局所注射、内服などを行います。他に大事なことは、瞳孔管理といって、瞳が水晶体と癒着しないようにすること、眼圧が上昇することがあるので、眼圧の管理をすること。他の眼合併症に注意して経過観察することです。長期間の管理、治療が必要になる場合がありますので、あせらずに、分からない点や不安な点があれば、主治医の先生と相談しながら、治療を続けていくことが大事です。

交感性眼炎:同情した反対側の眼も一緒に病気に?

2005-02-28 18:04:00 | ぶどう膜炎
一方の眼に同情して、反対側の眼もいっしょに病気になる?

 ある時、右眼さんが怪我をしました。御主人が、シートベルトをしないで運転して追突事故をおこし、フロントガラスに顔面をぶつけて、ガラスで右の眼球が切れてしまったそうです。眼科に入院して、手術をして、切れた眼球を縫合してもらい、お薬を使って、お医者さんは一生懸命治療してくれたそうです。でも、いつもいっしょに働いていた左眼さんはとても心配でした。もし、右眼が死んでしまったらどうしよう、自分ひとりで生きていけるのだろうかと毎日毎日心配でした。2週間たって、やっと眼帯がとれて、右眼さんは、なんとか生き返りました。まだぼんやりとですが、視力は0.3まで、でたそうです。左眼さんは、ほっとしました。でも、このころから、左眼さんの様子がおかしくなってきました。あんまり心配しすぎて、左眼さんも病気になってしまいました。痛み、まぶしさ、充血がおこり、ある日急にぼんやり見えるようになって、ほとんど見えなくなってしまいました。心のやさしい左眼さんは、いったいどうなるのでしょうか。
 そんなばかな、怪我をしていない眼が、あとで同情して病気になることなんてあるもんか、とお思いでしょうが、時にこんなことが起こるのです。これは、交感性眼炎とよばれるぶどう膜炎です。片眼が、外傷で穿孔したり切れたりして眼球内のぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)が障害をうけると、たとえその傷がうまくなおった場合でも、数週後から数カ月に両眼にぶどう膜炎を起こすことがあります。同時に、頭痛、耳鳴り、難聴、後には、白髪、皮膚の白斑などを起こすことがあります。症状と所見は、以前にこのコーナーで御紹介した原田病とまったく同じことが起こってくるのです。怪我で、眼球の中の組織が外に出ることがあると、身体の免疫担当細胞が、まちがって、その組織を異物と思い込んでしまい、やっつけようとします。そこで、眼球が炎症をおこしてしまうのです。そして、悪いことには、その組織は怪我をしていない方の眼球にもあり、頭の中や耳の奥、皮膚にもあるので、両眼のぶどう膜炎、頭痛、耳鳴り、皮膚症状をおこしてくるのです。
 治療は、副腎皮質ステロイド薬とよばれるお薬を使って、点滴や内服、点眼などで、集中的に治療します。場合によっては、この病気、怪我の後、何年もたってからから起こることもありますので、眼科に受診のときは、以前の外傷のこともお知らせ下さい。
 ところで、始めに書いた左眼さんは、その後の治療の結果、元気になったそうです。よかったですね。

ぶどう膜炎 その3:「シルクロード病」と呼ばれるぶどう膜炎

2005-02-15 15:31:15 | ぶどう膜炎
「シルクロード病」と呼ばれるぶどう膜炎とは?

 以前、法隆寺宝物展を見る機会がありました。いにしえの宝物達の中でも、ペルシャの壷や西アジアの琵琶が、今なお、その美しい姿をとどめ、輝いているのに驚き、遠い旅をしたであろう、はるかなシルクロードに思いをはせたことがあります。その昔、シルクロード(絹の道)と呼ばれた長い長い交易路を経て、ヨーロッパや西アジアの文化が東の果てのわが日本へ伝えられたことは、歴史の授業で教わったことがあると思います。ところが、伝わったのは、文化や宝物だけでなく、病気の中にも伝えられたものがあるかもしれないそうです。
 ぶどう膜炎(眼内の炎症)、口内炎、にきび様の皮疹、陰部潰瘍などの症状を主として、他に関節や消化器、血管系、中枢神経系などにも炎症を繰り返すことのある病気があります。ベーチェット病という、トルコの先生の名前のついた病気です。そして、この病気は、イタリア、ギリシャ、イラン、イラク、シリア、イスラエル、レバノン、トルコ、韓国、台湾といった、地中海沿岸、中東諸国から日本近隣にかけて多く見られます。患者さんは、日本を含めて、北緯30度から45度のアジア、ヨーロッパ諸国に多く、この地域の調査にて、ヒトの主要組織適合抗原(HLA)と呼ばれる、免疫に関係する蛋白質の、ある形のものを持っている人に、病気が多いことが分かりました。そして、この蛋白質は人種を越えて、この病気と関係があることが分かりました。そこで、その昔、シルクロードを色々な国の人々が行き来する中で、この病気と関係したHLAを作る遺伝素因が、シルクロード沿いの国々に広まり、今日に及んでいるのではないかと考えられ、「シルクロード病」と呼ばれることがあります。ただ、病名はロマンを含んだ優しげなものですが、その診断と治療は、専門的な知識や経験も必要で、眼科を始め、色々な科との連携も必要になることがあります。決して、放置しないようにして、主治医の先生と相談しながら、病気の管理をしていくことが必要です。そして、今、遺伝子レベルでの病気とその発症メカニズムの解明が進んでいますので、将来病気の効果的な治療や発症を抑える方法が見つかるのではないかと思われます。

ぶどう膜炎 その2 浦島太郎は原田病だった?

2005-02-11 17:52:36 | ぶどう膜炎
浦島太郎の憂鬱:
 「♪♪むかし、むかし、浦島は、助けた亀に連れられて、竜宮城に来てみれば、絵にも描けない美しさ、・・・・♪♪」といった歌も最近では、とんと歌うこともなくなってきたようです。でも、浦島太郎のお話は、皆さん御存知のことと思います。しかし、考えてみると、かわいそうな話です。せっかく亀を助けて、いいことをしたのに、最後には、ただの箱をもらい、おまけにその中に入っていた煙で、急に老人にさせられてしまうのですから。ところが、このお話の中に、色々な事実がかくされているかもしれないのです。もらった空箱は、実はウミガメに連れていかれた琉球王国のとても貴重な、工芸品の箱だったのかもしれないそうです。そして、急に白髪のおじいさんになったのは、原田病という病気だったのかもしれないのです。この原田病は、日本人の眼科の先生の名前がついているように、日本をはじめとする東洋人に多い病気です。まずは感冒様の症状があり、続いて、ぶどう膜炎という眼内の炎症が生じ、視力が落ちます。そして、耳鳴り、難聴が生じ、聞こえにくくなります。頭痛も起こり、しばらくすると髪の毛やまゆ毛が白髪になり、皮膚も色素がなくなり白い斑状の変化がでてきます。つまり、放置しておくと、白髪のおじいさんができあがってしまうのです。
 もちろん、今では、視力障害が早期に起こりますので、眼科で診断をして、主として眼科で治療することになり、遺伝子レベルでの病気の解析もすすめられています。ただ、頭痛が強く起こると、まずは脳外科や神経内科にいかれることもあるようです。見え方に異常があるときは眼科的検査もうけてみてください。治療も、副腎皮質ステロイド薬を使って、病気の勢いをおさえていきます。
 もし、浦島太郎のお話が、今のことなら、すぐに治療をうけて、おじいさんになることもなく、お土産の箱を高く売って、楽しく暮らせたのかもしれませんね。 

ぶどう膜炎 その1:ぶどう膜炎て何?

2005-02-09 21:51:44 | ぶどう膜炎
"ぶどう膜炎?・・・果物の病気ではありません。"

 ぶどう膜炎という言葉から、どんなことをイメージしますか?ぶどう色に輝くおいしそうなぶどうの房ですか、それともワインでしょうか。ワインなら、赤?それとも白?、ロゼかもしれませんね。他に、食中毒を思い浮かべる人もいるかもしれません。たしかに、ブドウ球菌は、食中毒をおこします。でも、ぶどう膜炎は眼科の病気の名前です。
 眼球の外側の白い膜(強膜)をはぎとると、ぶどうのような色をした膜が出てきます。これが、虹彩、毛様体、脈絡膜と呼ばれるもので、これがちょうど、その色、形ともにぶどうによくにていたので、これらをまとめて、その昔、ラテン語でぶどうを意味する言葉で呼んだことが始まりのようです。この場所、つまり眼球の内側が、炎症(赤くなって、腫れて、痛くなって、熱があって、機能障害をおこすこと)を起こしたものが、ぶどう膜炎です。子供達がよくかかる結膜炎は、眼の表面の炎症。こういう炎症が眼の中に起こったものと考えて下さい。
 これにかかると、どういう症状が起こるのでしょうか。軽い炎症なら、見え方がなんとなくかすんで、充血も少しあります。場合によっては明るい所に出るとズキンとするような眼痛があり、この痛みは近くの物を見ようをしたときにも感じることがあります。激しい炎症なら、痛みも充血も強く、急激に視力も低下します。もし、軽い炎症が慢性に経過すると、自覚症状は軽く、御本人も発症を気づかない場合もあります。でも、放置された場合、炎症による合併症として、白内障、緑内障、網膜出血や網膜剥離、硝子体混濁など、色々な眼内の病気を引き起こし、手術が必要になったり、治療が難しくなって視力障害を残すことがあります。
 この病気の原因はたくさんあります。このシリーズで、すこしづつお話ししたいと思います。また、眼以外の全身症状を伴うことも多く、眼以外のこの色々な症状の組み合わせが、診断に役立つことになり、また全身的な治療も必要な場合があります。眼科に行かれたとき、眼以外の症状や病気について、場合によっては仕事内容や生活習慣等聞かれることがありますが、このような理由ですので、御理解下さい。では、続きは次回に。