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日々の生活の中で印象に残ったあらゆる場面を大切に切り取っていきます。

『ゼロ・ダーク・サーティ』

2013-03-23 17:01:56 | 映画
英題 ZERO DARK THIRTY
製作年 2012年
製作国 アメリカ
監督 キャスリン・ビグロー

ストーリー ビンラディンの行方を追うものの、的確な情報を得られずにいる捜索チーム。そこへ、人並み外れた情報収集力と分析力を誇るCIAアナリストのマヤ(ジェシカ・チャステイン)が加わることに。しかし、巨額の予算を投入した捜査は一向に進展せず、世界各国で新たな血が次々と流されていく。そんな中、同僚の一人が自爆テロの犠牲となって命を落としてしまう。それを機に、マヤの中でビンラディン捕獲という職務が狂気じみた執心へと変貌。ついに、彼が身を隠している場所を特定することに成功するが……。

キャスト ジェシカ・チャステイン,ジェイソン・クラーク,ジョエル・エドガートン,ジェニファー・イーリー,マーク・ストロング,カイル・チャンドラー,エドガー・ラミレス他

予告編



オフィシャルサイトはこちら



 個人的評価【あともう一歩

ダメダメ 微妙・・・ まぁまぁ(3が基準) あともう一歩 完璧



 賞レースで騒がれていたこともあるけど、題材にもとても興味があったし、主演がジェシカ・チャステインというのも気になっていて、公開当時からぜひ観たいなぁと思っていた作品。なかなか時間が取れなかったのですが、昨日なんとか時間も上手い具合に合ったので、ギリギリ劇場で鑑賞。

 結局、今年度のオスカーでは残念ながら音響部門のみの受賞となったところもあるのか、早いところではもう劇場公開が終了間近(または終了)のところもあるみたいですが。まだ公開して1ヵ月ちょっとでしょ?もっと上映期間を延ばしてほしい、と思うな。

 こういった事実を基にしたちょっとドキュメント風の作品はDVDでゆっくりと、というのもありかも知れませんが、今作はぜひ劇場で鑑賞して欲しいです。鑑賞後のあのなんともいえない、どういう言葉で感想を表現したらいいのか悩んでしまう、あの感じ。なんか体感してほしいんです。

 2011年5月11日アメリカ同時多発テロ事件の首謀者ビンラディン捕縛、殺害。

 実は私、あまり覚えていないんですよね。世界的に大きなニュースになったはずなのに、あまり記憶がない。

 2011年5月、というのが大きかったのかな、と今となっては思います。震災発生後からまだ2ヵ月。正直、思い出すのは震災のことばかり。この間には世界中で様々な出来事が起きていたはずなのに。

 今作は事実を基に、女性CIAアナリストの目線からビンラディン捕縛作戦決行、殺害を描いているので、アメリカ同時多発テロのある一部分だけではあるけれど、観客の視点から見ると、ジェシカ・チャステイン演じるCIAアナリストのマヤと同じ気持ちで、作戦決行までの過程を見ているような気持ちになります。なので、自然と感情移入してしまいます。

 賛否両論あり、このシーンの描き方が賞レースにもひびいてしまったのではないかとの話もあった拷問シーン。物語はいきなりこの拷問シーンから始まります。やはり正直、出だしからこういったシーンは観ていて辛いです。目も逸らしたくなる。

 捜索チームに加入してきたマヤもいきなり目の前でこの拷問を見せられることになる。どんな人間だってこんな場面は見たくない。けれど、自分も実際には手を出さないけれど、情報を聞き出すために、拷問を指示する立場になる。ここも観ていて辛かったなぁ。マヤが拷問を指示し、その後自己嫌悪に陥る。その繰り返し。

 また、追い打ちをかけるように、CIAの仲間、そして特に親しかった友人のひとりを自爆テロで亡くしてしまう。

 なんか怪しいなぁとは思ったんだよね。車から降りてきた瞬間、この人物ってほんとに彼らが求めていた人物なの?と思っていたら、やっぱりはめられてしまった。

 で、この瞬間からマヤの人物の描き方が変わったように思います。狂気に満ちている、とりつかれているというか・・・。


 カイル・チャンドラー演じる支局長と言い合うこのシーン

 

 このシーンのジェシカ・チャステインはなんかもう凄い迫力でした。あんなに細くて、肌は真っ白で繊細な容姿からは想像もつかない。上司だろうが、機関のお偉いさんだろうが容赦なく自分の意思をはっきり示す。そんなマヤの態度は普通だったら嫌われたり煙たがれたりするんだろうけど、次第にお偉いさんもこのマヤに感化されるんです。ここはちょっと観ていて気持ち良かったですけど。


 カッコいい、ジェシカさん

 

 しっかし、ジェシカ・チャステインってほんと役柄によって全然違う印象。

 特に私は『ヘルプ』で初めて観て、それ以来だからもうビックリしちゃう。KYな奥さまを演じていたなんて、今作からは想像もつかないよ(笑)どちらかというと、今作みたいなクールな印象が個人的にはあるのだけれど、実際のご本人はそういう感じでもないみたいだし。


 メリル以上に真っ白?

 


 そんなマヤがついにビンラディンが潜伏している場所を特定し、シールズ隊員が作戦決行を実施。

 

 このラストにかけてのビンラディン捕縛作戦決行シーンはもう息をするのも忘れてしまうくらいの映像、迫力。劇場自体もなんか異様な雰囲気だったなぁ。それまでちょっとダラッと座っていたのが、急にピンと背筋を伸ばし、身を乗り出してスクリーンを見つめるような・・・。

 キャスリン・ビグロー監督が監督賞にノミネートされなかったことも話題になりましたが、こういう映像を女性が作りだしたというのは、ただただ驚くばかりでした。すでに【キャスリン・ビグロー監督作】というのが分かっているから、その視点で観てしまいますが、もし今作が監督名を一切ふせて上映して、上映後に監督名を公表したら・・・。やっぱり驚くんじゃないかなぁ。

 私は『ハートロッカー』は未見なのですが、ちょっと観てみようかなぁと思いました。


 そして、決行作戦成功後、ビンラディンを確認したときのなんともいえない表情、ラストの飛行機離陸寸前で見せたマヤの涙。

 

 アメリカ同時多発テロ事件の首謀者ビンラディン捕縛、殺害という結末は迎えたけれど、これで全てが解決したというわけではないと、私はあのマヤの涙を観て感じました。

 なんていったらいいんだろう。私もどう表現したらいいのか分かりませんが・・・。


 余談。

 CIAのビンラディン追跡チームの中心人物は20代の女性分析官だったというのは、やはり驚きでした。本編でもちょっと語られますが、高卒でCIAという経歴。物語とは別にちょっと気になりましたね。実際のご本人は一体どういう女性なんだろうと。


 今年の賞レース関連作では『レ・ミゼラブル』と今作しかまだ鑑賞していないし、ジャンルも全く異なるけれど、個人的な好みでいえば『ゼロ・ダーク・サーティ』かな。DVD化されたらまたもう1度しっかり鑑賞したい、そんな作品
       

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