
「不如帰」ほととぎすって読むのが普通になってますが
小説の中に鳥は出てきませんぜ。
新型コロナで、コロナ差別という言葉も生まれてたりする…
カミュの「ペスト」も売れてるそうですが
ネオロマとか好きな人は、「不如帰」読んでみませんか?
夫婦愛だけどピュアな純愛もの。
熊本が誇る文学者、徳冨蘆花が書いた小説です。(なんと私の小学校の先輩っす!)
主人公、浪子は華族。でもお母様は継母…
嫁いだ先の夫は超爽やか好青年の海軍男子
ラブラブです。二人を妬む同窓ライバル、ちょっと癖ある姑…
そんな浪子を結核という病が襲う!
その時姑がでた信じられない行動とは!みたいな。
「国民新聞」に連載されて人気があったとあって、グイグイ続きを読ませちゃいます。
まあ、明治時代の話だから
今はちょっと違うてとこもあるだろうし
フラグ回収して無いよねって部分もややあるんですが
でも、ここに描かれている
「息子と母親」「毒親エゴイズム」
「保身」
「自分は何のために生まれたんだろう」
あるわ。今も。
浪子の自殺未遂のとことか切羽詰り感が綺麗。
実在の人物をモデルにしたため、不都合が起きたり
政治的な批判とみられて削除され、もう書かないと言ったり
蘆花も苦労はしていたようです。
徳富蘆花はキリスト教の洗礼受けて、でも兄の蘇峰は思いっきり右なので
思想的なもので兄弟は分断されてしまったのですが
二人の文章を読み比べると、はっきりわかる。
鋭い観察眼、批評眼で理論的な兄と
優しくて詩的で情と平和を重んじる弟。
二人ともやっぱり文豪だなあ、と思います。
昨日報道ステーションで新型コロナ後を小川洋子さんとか語ってたんだけど
最近て、啓蒙主義が妙な方向で先行煽動していて本当うんざりです。
「役に立たないとダメみたいになってんですよね…」って仰ってましたね。
自分も創作してて最近はなんか
「ハッピーエンドでないとダメかも」とか批判やニーズってものを先に考えちゃうようになって、臆病になったもんだ。
昔はそんな事なかったんですが。
誰かが叩かれてると、自分が叩かれてるように思ってしまう癖あるからつらい。
共感はしても
他者に運命を委ねるのはやめようと思いますよ、
なあ浪子。