伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

愛媛県が求めていた原子力防災地域計画へのパブコメを1/29に出しました

2013-02-06 12:42:52 | 原子力防災と住民の対応

愛媛県 県民環境部 防災局 原子力安全対策課あて

 題名:愛媛県地域防災計画(案)に対する意見

住所   愛媛県松山市##町XXX-XX

氏名   小倉正

電話番号 089-XXX-XXXX 

意見

1.今回の防災計画では防災地域の範囲を明記しないで、今後定まる国の防災指針の案にそった対象自治体とするべきである。

 愛媛県の防災計画に並行して、「新防災指針」も国の原子力規制委員会で検討されており、 緊急時被ばく基準の改定を現在審議中です。(愛媛新聞1/22記事「毎時500マイクロシーベルトで即避難」) 2月中に原子力災害対策指針に「避難基準」を盛り込み、3月末の自治体の地域防災計画に反映させる、という。

 この件については、1/16に市民団体との交渉で原子力規制庁は、30km圏外までの避難が必要なケースも出てくる、と答弁している。資料はこちら。http://t.co/Ewna9dBe

 つまり、UPZなどの範囲を県で先に決めようとしているが、その根拠となる基準値を国の規制委員会が今作っているところ。このような「まず30km圏という数字ありき」は、フクシマ事故前の安全神話と同類の神話再構築にすぎず、このような決定手順はおかしい。

 

2.県として、国に、福島県の原子力防災計画がどんな失敗を起こしたかを求めるべき。

 IAEAの説く、多重防護の理念の内の、5層目とされる原子力防災計画はこれまでも形式だけは作られていたものの、不完全であったからフクシマ原発事故の悲惨な結末となった。

 フクシマ事故の教訓を元に、計画を立て直すべきであるが、国や福島県の過去の原子力防災計画のどこがまずかったから福島では被害を拡大させてしまったのか、という検証は今日に至るまで行われていない。

 つまりフクシマの教訓は全く生かされていないと見るべきであり、県はまず、国にその検証を求めるべきである。

 

3. 隠された多重防護の4層目「電力会社が行うべき炉心溶融後の過酷事故に対する緊急事態対応策というソフトウェアの部分」については「ストレステスト二次評価」で手当てが行われるはずであった。廃止された旧原子力安全委員会からは、このストレステスト二次評価を11年末までに提出するよう求められていたにも関わらずすべての電力会社は廃止までの1年近く、この二次評価を提出できていない。過酷事故が起こった後に、どの程度の被害規模となるのかは、電力会社の対応策が左右するが、電力会社が最善を尽くすということが保証されていない状態のままである。

 この件に関しても、国の規制委員会がようやく骨子を決めたところであり、7月末までに確定としている(愛媛新聞1/22「第2制御室設置求める 過酷事故防止新基準骨子案」)。つまり、この点でも、これからできる国の指針に基づいて、最終案は変更されることが確定されているため、 現在パブコメを求めているのは時期尚早である。

 このように、今回の原子力防災計画が、「日本には原子力事故に対する多重防護の4層目「過酷事故対応」、5層目「原子力防災」ができてなかった」とのIAEAなどからの批判に応えた対応となっていないのはありえないこと。

4. フクシマの事故を教訓として災害対策を考えるとすれば、「想定外の大事故は起こりうる」として、予防措置としてのPAZ地域住民の事前移住を計画、推進するべき。もちろん、避難の権利を保証するために、たとえPAZ地域の外の住民であっても、希望者には全員、事前移住の支援策がなされるべき。

5. 各種地震(伊方原発付近の直下型地震/中央構造線活断層帯が原因でおこる伊方付近の地震が松山圏まで連動する場合/より広域な南海トラフ震災)との複合災害として原発災害が起こる場合を、それぞれ具体的に想定した対応計画を立てるべき。

 なぜなら、松山圏が震度6強となる場合には、たとえば松山にオフサイトセンターを置いたとしても機能しなくなる想定が考えられる。

 また、南海トラフ震災の場合には、広域災害であるため、送電鉄塔の広範囲の倒壊や、阿南/橘湾/坂出火力の同時津波被災、四国域外も被災、といった想定外関連事象により、伊方原発が長期間外部電源喪失することで炉心溶融の危機に陥るという、全く別のケースも想定されるからである。

 具体的に可能性のあるこれらのケースを個別に想定せずにいては、机上の空論計画に終わってしまう。

6.最後に、以上のような対応が不可能である、と判断されるのであれば、実効性のある計画立案は不可能である、という合意の下、原発の再稼働を断念すると宣言するべきである。

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県のパブコメ募集の案内はこちら。

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