伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

避難計画1)伊方原発の避難計画の元となる汚染の過小評価について

2015-07-27 11:10:21 | 原子力防災と住民の対応

先日まとめた記事を貼り付けておきます。

「避難計画の最大の問題点は、過小な汚染放出想定に基づいているため、最悪の事態はおろか、フクシマ事故の再来にすら備えていないこと」

原発さよなら四国ネットワーク 小倉

2015/7/23

 

「原発再稼働に反対70.8%、事故の懸念73.8%=学者・民間機関調査」2015年 04月 7日 17:44 JST Reuters

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0MY0JX20150407 

 ”原発再稼働を前に災害リスクを専門とする学者と民間調査会社が、原発・エネルギーに関する世論調査を実施したところ、再稼働に対して反対が70.8%、賛成が27.9%という結果が出た。また、現状での再稼働では、73.8%が東京電力福島第1原発事故と同規模の事故が発生すると懸念。新しい規制基準の下でも、国民の間に原発への不安感が根強く残っていることが鮮明になった。” 

 ”事故が起きた場合の避難計画に関し、十分かとの質問には「やや不十分」50.5%、「全く不十分」37.2%と9割近くが否定的な評価となった。「やや十分」9.7%、「十分」1.5%と肯定的な評価は1割止まりだった。”

  

 福島級の大規模汚染事故の再発を73.8%の人が懸念しているのに、現在の原子力防災計画は福島の1/100の規模(100テラベクレル)の汚染事態しか想定しない方針1) に基づいて作られています。(田中龍作ジャーナル2) 、山本太郎HP3) にもこの数字の意味が分かるやり取りがあります。)

  

 防災計画は「やや不十分」と答えた50%の人のところには、避難計画が福島級の1/100以下の汚染放出想定に基づいているという情報が届いていません。(脱原発派の人たち自体もこのことを知らない人がほとんどじゃあなかろうか?)

  

 そしてこの100テラベクレルという想定した汚染排出量は(IAEAの安全哲学である5層の深層防護の)第4層、つまり電力会社による過酷事故収束策の合格基準と同じ数値です。

 一般の行政ならこれでも整合性があるかもですが、「深層防護(Defense in depth、軍事用語)」とは前の砦が破られたと想定してその時に役に立つ最後の砦を築くことなので、合格基準クラスの汚染放出しか想定しないのでは過小評価です。つまり日本の5層目(原子力防災)は深層防護にはなっていません。見かけだけのいわば「張りぼてのお城」です。

電力会社の防護策が失敗して大量放出を起こす最悪の事態に防災で備えていないのが(311前もそうでしたが次回についても)失敗の本質といえるでしょう。(国際水準の安全哲学に基づいていないのでは、日本の新規制基準が「世界最高水準の」規制であるとは言えないことも当たり前です。)

 (本当の最悪事態に備えるのなら、近藤原子力委員会委員長が極秘に想定した最悪シナリオと同等の、250km圏避難を想定した計画が立てられるべきです。4))

  

  

 具体的には、この14年5月末に作られた100テラベクレルの汚染放出想定の方針1)では、PAZ圏(5km以内)外では屋内避難で充分とされ、「段階的避難」という原子力防災の考え方となっていっています。

その中身は、先にPAZ圏内の人を避難させてから、(点のモニタリングで評価する結果はじめて分かる)避難の必要性に応じてUPZ圏(30km)内の人が避難していく)でよい、また、UPZ圏外ではヨウ素剤の準備もしない(PPAの概念の破棄)というもの。

  

 点のモニタリングつまり個別地点でのモニタリング結果に基づく(緩い基準で測ったところからゆっくりと行う)避難は、本来なら広域航空機データと、その前段のSPEEDIの活用をすべきところ、それらのデータ隠しをしてきた福島の教訓を、悪い方に活かした最悪の態勢です。5)

 もし、もしもですよ、「1)の想定は最悪のケースを評価してものではない一例に過ぎず、自治体ベースでの評価は自由にしてよいのです」、てな言い訳を国の側がするのであれば、どこの自治体でも結構です、フクシマ級の汚染放出レベルを入力して、SPEEDIを動かした結果を国に出すよう求めて、「ウチの自治体は、この想定で避難計画の実効性を評価します」と突っぱねてください。そうして戴ける自治体が現れれば感謝感激、です。

 

【参考文献】

1)(平成26年5月28日第9回原子力規制委員会)資料3.緊急時の被ばく線量及び防護措置の効果の試算について

http://www.nsr.go.jp/data/000050020.pdf

 

2)田中龍作ジャーナル「原子力規制庁 原発事故、過小評価のズサンな避難対策」2014年5月30日 21:50

http://tanakaryusaku.jp/2014/05/0009409

 

3)山本太郎HP「2014.6.12内閣委員会「放射性物質拡散シミュレーションについて、規制庁は兵庫県の1/20の放出量で試算!」」2014年06月13日

https://www.taro-yamamoto.jp/national-diet/2748

(この質疑の中ではまだPPAの概念は生き残っていました。が、15年4月の指針改定で、事実上破棄されました。5))

 

4)原発事故直後、政府が作成した「公表されなかった最悪のシナリオ」

http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1297.html

 

5)満田夏花さんのFB記事「原子力災害対策指針が、信じられないくらい悪く改定される…」

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1408466366136281&set=a.1383728301943421.1073741827.100009187927595&type=1&permPage=1

 

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1 コメント

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この論旨を広島本訴の意見陳述でも述べさせていただきました。 (伊方No Plu田丸)
2016-12-19 11:42:26
http://blog.goo.ne.jp/ikatanoplu/e/5b68979bcc3ac4678070563f0bbfe240?fm=entry_awp
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