伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

美浜3号のパブコメに寄せて−入倉三宅式の過小評価問題を解決するのは今でしょ

2016-09-03 01:41:05 | 原発震災関連

 パブコメがこの9月2日一杯ということで大急ぎで書き上げ、送りました。

 老朽化問題、2004年にも大きな事故を起こした原発をまた動かすのか、問題などいろいろ書くべき論点はあるか、と思いますが、自分で書けることに集中しました。

8月末の土日に福井県を訪問しました。はんげんぱつ新聞の年次総会と、敦賀半島の原発見学ツアーで美浜のPRセンターも廻り、さらに若狭連帯行動ネットワークの長沢氏講演会にも参加した関連で、美浜3号機の40年超えの再稼働に関するパブコメを書きました。末尾に美浜のPRセンターの写真を添付しておきます。

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p.11 三-1.1 基準地震動 関連
 美浜3号の基準地震動策定については、他の関西電力の原発同様、現行の「入倉-三宅式」を用いているための過小評価問題を残したまま、パブコメを終了する事に反対です。
この入倉-三宅式の過小評価問題について、纐纈氏らへの公開ヒアリングとパブコメをこれから行って規制委が現状を把握理解するまで、規制審査を停止するべきです。

 先頃の島崎前委員の過小評価問題の指摘を「学会による統一見解が出るまで待つ」とする規制委の判断は誤りで、すでに統一見解があることを以下に示します。


 毎日新聞8月30日記事にある、「活断層が起こす揺れの予測計算に、地震調査委は09年の方式を使う。規制委が採用する方式の計算に必要な『断層の幅』は詳細調査でも分からないからだ。これはどの学者に聞いても同じで規制委の判断は誤りだ」という発言を纐纈氏がしたことを、9月1日の田中規制委員長記者会見では口頭で聞いたことに基づいて否定していました。
しかし纐纈氏の発言の有無、ニュアンスにかかわらず、この中身自体は事実です。

 毎日新聞8月30日の記事で述べているように、松田式に修正レシピを用いるという手法は、推本の標準手法のうちの一つとなっています。
例えば、2016年3月15日発行の、日本建築学会編の「地盤振動と強振→震動予測-基本を学ぶための重要事項-」の80ページ【強震動予測レシピ】にも、この手法(09年の方式)が記載されています。
(脚注:1)地震調査研究推進本部地震調査委員会:震源断層を特定した地震の強震動予測手法(「レシピ」)「平成21年12月21日改訂版)http://www.jishin.go.jp/main/chousa/09_yosokuchizu/g_furoku3.pdf, 2009 )


 この教科書では、「巨視的断層パラメーターとして、活断層調査や過去の地震や歴史地震などの調査研究によって、シナリオ地震の震源断層面積(断層長さ×断層幅)から地震モーメントが決められる方法(ア)と、断層長さや平均すべり量から経験式(例えば、活断層による内陸近くない→地殻内地震の場合では松田式2)によって地震規模を現すマグニチュードや指針→地震モーメントが評価される方法(イ)がある。」
 ここで(ア)として使われているのがまさに入倉-三宅式であって、原子力の分野での実績から記述しているものの、この手法が、実際に地震が起こる前には「『断層の幅』は詳細調査でも分からない」ことから、イを推奨する根拠となります。

 これは第三者団体により編集された教科書的な本ですので、この推本の手法が、現在は標準手法となっていることの証拠となっています。
 この問題は、若狭ネット長沢啓行氏による川内原発差し止め控訴裁判への意見書に詳しいので、全体像を見るためにも是非お読みください。
http://wakasa-net.sakura.ne.jp/news/senikensho2016.pdf

このことを確認するためには、纐纈教授を呼んで公開のヒアリング会合を持つことがもっとも簡単にできることでしょう。また、地震の研究者に向けて、推本の手法は確立されたモノかどうか、を確認するためのパブコメを短期間実施しても何の問題もありません。
 後世に恥じることのない審査のために、事実関係を認定するためのこのような作業を行ってください。

201609020000374968 

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対岸から撮った美浜発電所全景。右手端の一番大きいドームが3号機。PRセンターは左手の大橋手前にある。

 これは美浜3号についての解説。伊方3号では結局1年先延ばしにして対応をさぼっていますが、上蓋と制御棒駆動装置の総取り替えを美浜では平成8年にすでに行っています。(中村県知事は同意前には、四国電力の追加的な努力をきちんと見ていく、と言っていましたが、その目は節穴状態でこの問題をスルーしています)
 二次系の配管や伝熱管をあちこちステンレス化したのは平成17年のこと。なにがあったのかというと……

 …人身事故でした。定期点検の準備を前倒しで行うために稼働中のタービン建屋に作業員を入れていたため、二次系の高温の給水配管が破断し水蒸気が充満する雰囲気で、やけど(あるいは窒息?)で5名の方が亡くなりました。次の年にステンレス製の配管に取っ替えた部分は、配管の内側が減肉したことを受けての対応策でしょう。
 この8月9日は、全国の電力会社が「安全の誓い」をする日となっていてもおかしくはありませんが、伊方原発ではそんな話も聞いたことはなく。3月11日もまた、全国の電力会社が「安全の誓いの日」にしていないことは一体何を意味するのでしょうか。

 たまたま、運悪く、想定外…てなことばが言外に見えそうな破損状況の説明。

分かりやすさを狙った、事故当時の配管の減肉の程度を示す模型。

続きます。

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