美術日記-PAINTWEBLOG

美術鑑賞日記から作品展示などの活動日記まで色々書きます。

ドレスデン国立美術館展

2005-08-13 01:08:13 | 美術日記
東京の国立西洋美術館でやっている
ドレスデン国立美術館展に行ってきました。

フェルメールの絵が使われたポスターにとても惹かれましたが、
展示は絵画よりもドイツが収集した道具や陶磁器などが多く、
博物館のようでもありました。
様々な種類の美術品が並んで楽しかったです。
数少ないフェルメールを見ることが出来てよかったです。
地球儀などもあったのですが、これはこれで味があって良かったです。
フェルメールの絵画に出てくる地球儀を思い出しました。
四分儀という測量のための道具もありました。
これは大航海時代を想像させます。

フェルメールの作品と並んで見所だった作品は
レンブラントの「ガニュメデスの誘拐」です。
これはギリシャ神話のユピテル(ゼウス)が美少年であったガニュメデスを
お酌係として誘拐するという場面を描いたものです。
誘拐するのはユピテルのアトリビュートである鷲です。
日本でも戦国時代の小姓は夜の相手もしたというような話がありますが、
それは外国でも同じだったのでしょう。
絵画で女性だけではなく美少年も好んで描かれました。
お酌をしたということで、ガニュメデスは酒の壷を持った水瓶座になっています。
その近くでは誘拐した鷲が鷲座になっています。

しかしレンブラントの描くガニュメデスはまだ赤ん坊で
恐ろしさのあまりおもらしをしています。
この絵はこの展覧会のために古いニスなどを洗浄したそうです。
すると、左下に息子が連れ去られる事を嘆く母が出てきました。
大発見です。
この絵の下書きが残っていてそこには嘆く両親の姿が描かれていましたが、
完成した作品ではその両親がいないため
その理由について様々な議論があったそうです。
しかし、嘆く母が出てきたことでその議論には決着がつくことでしょう。