
本当の悪人は いつも善人ぶっているっている
「悪いことを する男」P.138~140
「神さまの お告げは うそであることを証明しようと、ある悪人が神殿に行き、手のなかの スズメの生死について伺いを立てました。
死んでいる と言われたら 生きたままスズメを出し、生きている と言われたら、にぎり殺そうとしました。
神さまは たくらみを見破って、『やめなさい、生かすも殺すも おまえの考え次第じゃ』と 告げました」
この話は 怖い。
本当に悪い人は ただやたらに悪いことをする人ではない。
本当に 悪い人は 相手の行動を見て、それから自分の判断をして 行動に出る。
神さまの言うことを 聞いてから自分の態度を決めて、神さまを おとしいれようとする。
これが いちばん怖い人である。
単に 犯罪を犯す人よりも、こちらのタイプの方が 怖い。
相手を痛めつけたが、自分も つかまる犯罪人は どちらかと言えばバカな人である。
本当の悪人は 善人ぶっている。
悪い出版社社長は「うちは売れない著者の原稿はいらない」などと 大きな声では言わない。
口では いつも立派なことを言っている。
そして
ひそかに著者を見ていて、そのときそのときで 著者に対する態度を変える。
愚かな犯罪人とちがって 自らの手を汚さない。
しかし、
利益だけは しっかりと得ていく。
お人好しの作家は 売れているときには、立派なことを言っている出版社の社長に 原稿を すべて吸い上げられる。
他の いい条件の出版社には 持って行かない。
しかし、売れなくなると すぐに捨てられる。
悪い出版社社長は 作家が売れているときには 売れているように対応する。
自分が 得するように振る舞う。
しかし、
売れなくなったら 売れなくなったように対応する。
自分に損害がないように 振る舞う。
相手を見ながら うまく利用する。
「わが社の出版理論は金儲けだ」などと 悪ぶっている社長の方が ずっと人がいい。
本当に悪い社長は、自分は 傷を負わない。
悪い女は 自分から何かを言わないで、男が 情報を与えるのを待つ。
そして
そのときどきの情報に従って、男に対する態度を変えていく。
そして
男を 利用する。
お人好しの 純粋な男は「こういうことを されると困る」とか、「こうされると うれしい」とか、すべて自分についての情報を公開する。
「オレは人殺しだ」とか「オレは 死の商人だ」とか 言っている人は怖くない。
やはり
本当に怖いのは、自分のことを隠して、相手の 言うことに従って対応を変えて、相手を おとしいれていく 人たちである。
(おわり)
2加害者が即座に被害者に変身。
3示談金目当てにズルを働く。
4影ではあらかじめ他人を陥れる策略を練り、公前に現れたらうまく功績を得ようとする行為。
などなど。