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ITコンサルティング子会社がベンダーにもたらす果実

ITベンダー各社のITコンサルティング会社設立ラッシュが一段落した。

IBM-IBMビジネスコンサルティングサービス
富士通-富士通総研
日立-日立コンサルティング
NEC-アビームコンサルティング
NTTデータ-NTTデータビジネスコンサルティング
といった具合である。

ITコンサルティング会社を各社が設立する背景には、ITシステムの複雑化がある。システムが単純であった今までは、ユーザーの御用聞きでシステムを構築していればよかった。しかし、複数のシステムが有機的に連携することが当たり前になった現在、それではシステムが動かない。また、業務にフィットしたシステムを構築するには、構築前の業務分析、システムデザインの重要度が格段に上がった。ITの投資効果(IT ROI)が問われるようになったのだ。

こうしたいわゆる上流ITコンサルティングは、ベンダーの営業部隊やシステム部隊では手に余る。これをやるのがITコンサルティング子会社というわけだ。

この場合、ベンダー社内にITコンサル部隊をつくるという手もある。ただ、コンサルティングの基本は、中立性である。ベンダーのコンサル部隊だと、自社製品メインのシステムデザインになるなど利益相反の問題が起こる。当然子会社である以上、ベンダー色は出るだろうが、組織上別個独立しているということは重要だ。また、独立系のコンサルティング会社から仕事が降ってくるのを悠長に待っているわけにも行かない。

子会社コンサルという絶妙な距離感がベンダーの求めるデマンドにマッチしたということだ。また、子会社にすることで独立して経営しろということもあるだろう。コンサルティングをタダにしてSI案件を獲得するのではない。コンサルティングフィーはきちんと取るというスタンスだ。

もちろん、ITコンサル子会社をつくることで、ベンダー自身の売り上げ拡大をすることが一番大きな目標であることはいうまでもない。ITコンサルティングの売上に対し、その5倍程度のシステム需要が生まれるとみられる。アメリカに比べ、日本企業は売り上げに占めるIT投資の割合が少ない。経営にインパクトを与えるIT投資をコンサルティング会社が提案できれば、IT市場はもっと拡大するはずだ。

逆にいえば、ITベンダーの将来のポジションを占う上で、ITコンサルティング子会社は重要な指標になる可能性がある。規模と質、スピードをいかにバランスさせるか。リサーチ・コンサルティングビジネスは労働集約型の典型であり、簡単な問題ではない。

ベンダーとSIerの格差がさらに広がり、大型案件のプライムは大手ベンダーが独占する傾向がますます強まるだろう。日本ユニシスは社内にコンサルティング部隊をつくったようだが、そのほかでは、SIerではこうした動きは顕在化していない。
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