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氷流日記

氷(筆者)と流さんの奇妙な徒然記

街歩き 140103 Vol.8

2014-01-21 07:03:05 | 釜ヶ崎人情
街歩き 140103 Vol.7 からの続き



労働者はどうしているかと言えば給料が少なくなってきているので
ホテルに住むことが出来にくくなっている。
もっと安いドヤに住むか荷物をロッカーに入れて、
地方の飯場で生活する。
現場によっては2日に1回仕事をさせて、毎日させないところもある。
どうなるかと言えば働かない日は給料は出ないが飯代などは払わなければならない。
すると1ヶ月1万円くらいしか貯めることが出来なくなってしまう。
これはひどい。社会問題だと憤るかもしれない。
でも、会社も会社でそうしないとやっていけない事情もある。
元受の会社は潤沢な利益を確保しているし、
デスクワークだけしておれば高い給料は保証してくれる。
サラリーマンも厳しい時代と言われても、
月1万円しか残らないことはない。
大手の人たちは自分たちは会社の歯車と言って卑下するが、
知らず知らずのうちにこういうことに加担していることを知っておいたほうがいいと思う。




立ち並ぶ5階建てのロッカービル



街を歩いていると目立つのは福祉関係のビル。
老人ホームや生活保護の人たち専門のアパートなど。
中にはアパートの外に全室の室外機を飛び出すように設置している建物もある。
それはホテルからアパートに鞍替えしたものである。
元は全館一括冷暖房。
アパートになれば一室ごとに冷暖房が必要になる。
そこで後から設置したということだ。
外から見ていれば落ちてこないかちょっと心配になる。








商魂たくましい姿をうかがえる。



街歩き 140103 Vol.9 へ続く






街歩き 140103 Vol.7

2014-01-20 07:04:04 | 釜ヶ崎人情
街歩き 140103 Vol.6 からの続き



大阪社会医療センターに着く。
この名称の前は大阪府済生会今宮診療所。
その所長に就任したのが本田良寛さん。
良寛さんはこの縁で地域医療、釜ヶ崎の労働者の医療に人生を捧げる。
良寛さんは相当な悪童ぶりで手に負えなかったらしい。
中学5年のときに担任の先生に勉強せんからアカンだけで、
頭は悪くないとハッパをかけられて、勉強し、
徳島県立医専に合格して医師となる。
今宮診療所はその後、大阪市に寄贈され、
名を大阪社会医療センターとなる。
ここの医療センターはお金がなければ後でお金を払えばいいシステムになっている。
ただし、何がしの証明するものが必要だが。
生活保護の人は保険でまかなっている。
大阪市立大学の先生が常勤している。
至れりつくせりなのだが、膨らむ医療費をできるだけ少なくするために、
軽い段階で診療する試みをしている。
そうやってがんばっている医療センターなのだが、
橋下(はしもっさん)さんのコストカッターの対象にもなっている。
医療はやめて診療だけでいいんじゃないかという動きがでている。
他人事で診療だけでいいんじゃないということはできない。
もし、かかりつけの医者にいっても診察だけして、
手術や入院が出来なかったらどうだろう。
自分に置き換えるととんでもないことになることがわかるだろう。
彼らを自業自得だと言う温もりのない心の人もいるだろう。
しかし。
彼らの中には今も福島の原発で除染作業をしている人たちがいる。
損な役回りを受け持っている。私やあなたの代わりに行っているのである。
医療センターはわかりやすい場所にある。
そのため、集会やデモの出発地点になる。
それで警察は監視カメラを設置する。







日本ではじめて設置された監視カメラ。
デモのときはカメラが360度グルグル回る。
すべての人間をチェックしようとしているのだろうか。
そこから歩いてホテル街に行く。
ホテル街といってもラブホテルではない。
所謂、ビジネスホテルとかそういうもの。
利用客は労働者が多かったので1泊1000円くらいのもあって安い。
今は時代の流れで中国の観光客が多くなっているという。



街歩き 140103 Vol.8 へ続く





街歩き 140103 Vol.6

2014-01-19 06:43:48 | 釜ヶ崎人情
街歩き 140103 Vol.5 からの続き



橋下さん(はしもっさん)の旗振りで小中一貫校を進めている。
住吉と淀川に出来、西成にもと熱を入れている。
エリートを集めて育てようとしているみたいである。
しかし、そのエリートが集まらない。
私学へ入学する流れは止められない。
30年くらい前であれば、
大阪の学区内で一番の偏差値の高校はほとんどの私立校に比べ進学率は高かった。
上の学校と言えば、大阪星光学院と清風南海、四天王寺くらいであった。
30年の間に私立校ががんばり、軒並み追い抜かしていった。
それに危機感を募らせた橋下さんが小中一貫で巻き返しをしようとしているのだ。
私立は中高一貫なので、小中一貫にしてその流れを止めようとしている。
橋下さんでなくとも行政のトップであればそうするに違いないのだが。
その小中一貫の候補地が釜ヶ崎の中にある中学校。
その横に敷地があるのでそこに建てようかとの計画もあるみたいだ。
問題はその横の敷地。
そこにはホームレスの人が占拠している。
行政は強制排除という手段に出るかもしれない。
これがニュースなどで流れるとホームレスが悪いと思うだろう。
実情はちょっと違う。
住んでいたところを追い出される。
追い出され、中学校のまわりを寝床にする。
そして大阪市がその場所を強制排除してしまう。
それにホームレスの人たちが怒った。
中学校と行政が一緒になって追い出したと勘違いした。
その勘違いがよからぬ方向に行ってしまう。
ならあの中学校に仕返しをしよういうことになった。
それが中学校に隣接するテニスコート。
そこを占拠する。







無法地帯というイメージがあるが、
そこまでいくいきさつはあるし、ちゃんと秩序もある。
阿修羅さんが、
「つい2、3日前にコンビニ強盗がありました。70歳の男の人です。
場所は天下茶屋にあるコンビニ。
すぐ捕まりましたけど。
強盗の70歳の人も占拠しているホームレスも
仕事があれば解決するんです。
誰もただで金をくれとは言っていません。
働き口が欲しいと言っているんです。」
そして、次の目的地、大阪医療センターにみんなで歩き出す。




街歩き 140103 Vol.7 へ続く



飛田界隈 Vol.2

2014-01-18 04:19:44 | 釜ヶ崎人情
飛田界隈 Vol.1 からの続き



ここの場所は結構車が通る。
それもわかりやすいナンバープレート。
所謂、業界の人。
できるだけ道の隅に位置して、道路を挟んで描いていく。
通行する人が気軽に後ろから見ることが出来ないくらい
隣の居酒屋の室外機の下にもぐりこんでいる。
時折、じろっとにらむ車の持ち主に無言で会釈をする。
とりあえず描きだしたので最後まで描きたい。
1回目の描写としてもある程度の質感など表現できるようにしたい。
風雪に耐えた塗料がはぎ落ちた板。
割れた板から見える硝子。
それらを描いていくつもりである。
レンガ路地でもそうなのだが、
今回は風景画というよりも静物画に近い。
描いている本人もそのつもりである。
質感や構図の研究も兼ねてのスケッチである。
車椅子の奥さんと旦那さんが仲良く散歩して近づいてい来る。
「ちょっと見ていいですか?」
「どうぞ。」
「寒いのによう描いているね。
ここの街はええとこあるもんね。
この街もいつなくなるかわからへんし、
がんばってええの残してね。」
と激励をもらって帰っていった。
初日はなかなかの歓迎ぶりである。
そういわれるとがんばって描かなあかんなと気が引き締まる。
好きで描いているだけでなく、
請け負ったともいえる。
どこに納品するということはないが、
受注を受けて描いている。
2時間半絵を描いて、筆を置くことにした。







暖をとるためにまたココルームに帰っていく。
ボーとしているとANさんがDVDプレイヤーを持って血相変えて入ってきた。
「これな、動かへんわ。
潰れとる。新しいのを買わなアカン。」
再生のボタンを押しても再生しないとココルームの女性スタッフに言っている。
いろんなボタンを押しても動かない。
「ANさん、俺押して見てもいい?」
「あかんわ、これ潰れたら弁償してもらわなアカンで。」
相変わらず信用されていない。
そうこうするうちにDVDが動き出したみたいだ。
店内大音量であえぎ声が聞こえてきた。
ココルームのスタッフも大変である。
「見たいときに見れないで、見られたくないときに見れますね。」と笑って私が言うと、
横にいたNAKAさんが「まるで人生と一緒や。」
ホンマですなと大笑い。
何が飛び出すかわからないが、
どんなものでも受け入れて、包み込んでくれる場所。
こういう場所は排除してはいけない。
こういう場所だからこそ生きてゆける人がいる。
口の悪い人は多いが、みんな心は優しい。
非情になれない人たちでいっぱいである。




飛田界隈 140211 へ続く






飛田界隈 Vol.1

2014-01-17 00:52:42 | 釜ヶ崎人情
1月12日にレンガの路地を描いた後、翌日13日は飛田のはずれで絵を描くことに。
描きに行く前にココルームに寄っていく。
朝によくいるパナマ帽をかぶったnakaさんが言う。
「飛田のほうまで行くなら、店描いたらええやん。
きれいなねーちゃんもいる。」
げらげら笑いながらおちょくられる。
「そこまでの度胸無いですから、今日は止めときます。」
では、行ってきますとココルームを出て行く。
nakaさんは釜のおっちゃんである。
ココルームのスタッフでなく、ただ遊びに来ているだけである。
不思議なのはココルームが運営しているフリーマーケットの値決めをしている。
スタッフ誰も否定しないし、管理もしない。
信頼しきっているようである。
nakaさんはnakaさんできちんと管理をし、
お金の受け渡しをしてちゃんとお釣りはスタッフに渡す。
ここはこき使うから大変やでといつもケラケラ笑って話しかけてくる。
半分冗談、半分ホント。
不思議な不思議な関係である。
見ていても見飽きることがない。
それはnakaさんだけでなく、他のおっちゃん連中もそうだし、
無論私も手伝いをする。
手伝ったところで何が出るでもなく、
ただ、気持ちのいい感覚はいただける。

ココルームを出て、飛田に向う。
描きたい場所の記憶はぼんやりとしていて、
歩いているうちに見つかるだろうとそんな気持ちで進んでいく。
荷物は多い。
キャンパス2枚にイーゼル、パレット、イス、カメラ、
そして絵の具の入った道具箱。
コーナンで売っている機械屋や電気屋が持っている地味なやつ。
本職の仕事がそういうものだから、
道具箱のほうが心は落ち着く。
重たい荷物を持ちながらあっち行ったり、こっち行ったりウロウロしていた。
もう見つからないかと、今日は違うものを描いてしまおうかと
半ばあきらめいたところ、ようやくその場所にたどり着く。
その場所は1軒隣が色街というところである。
車の往来も多い。
道路の真ん中にドカッと占領して描くわけにもいかず、
4mくらいの道路の反対側にイーゼルを置いた。
できるだけ車が通れるように居酒屋の室外機の下に小さくなって描き始めた。







今日のキャンパスは人物の古キャン。
それも裸婦。
堂々と置くには恥ずかしい。
よりによってこの場所でこんな絵とは・・・
もうちょっと考えるべきであった。
すべての段取りが終わるまではキャンバスは隠す。
段取りが終わった後、はじめてキャンパスをイーゼルに置く。
置いてすぐ、バーントシャンナとホワイトですばやく裸婦を消していく。
裸婦が消えるとちょっと落ち着く。
これで覗かれても大丈夫。
自分の中のちょっとしてPLAY。




飛田界隈 Vol.2 へ続く