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氷流日記

氷(筆者)と流さんの奇妙な徒然記

釜芸とおかしな男 131201 Vol.6

2013-12-16 19:08:14 | 釜ヶ崎人情
釜芸とおかしな男 131201 Vol.5 からの続き



「恐竜が現れた前後に哺乳類も誕生します。
その哺乳類はアデロバシレウスといって
ねずみほどの小さな生き物です。
当然恐竜に比べると、ごみみたいなものですから
昼間は動けません。
自然と夜行性になりました。
夜行性になって、日没とともに動き出し、12時頃に巣に帰るような生活でした。
夜はまったく見えないので嗅覚や聴覚が発達しました。
飛んでいる虫とかを捕まえて食べなければいけないですから。
それとともに夜でも見えるような視覚が発達しました。
構造としては少しの光でも目の中でなんとも反射させて
暗闇でも見えるようになってきました。
だから、犬やネコが夜、目が光ることってありますよね。
それはそのときの名残です。
その目の発達とともに色素を判別することが不要となり、
赤の光を感じることが出来なくなりました。
青と緑だけです。
だから、霊長類以外はモノクロ、白黒の世界で
世の中を見ています。
その哺乳類は恐竜の絶滅とともに台頭してきました。
台頭し、大型化してきます。
その結果、哺乳類どうしの間で食べ物の奪い合いが行われます。
多分、霊長類の先祖はその戦いに負けたのでしょう。
負けて、逃れるために木に登った。
木に登って、時折、食べ物を取りに地上に降りる。
降りたら猛獣が待っている。
その恐怖の中で木の中の景色を見続けます。
見続けているとある日、赤の色が判別できるようになった。
果実がわかるようになりました。
だから、木に登ったままでも食料の確保をできるようになりました。
本当は白黒でも食べられる果実を認識していたんだと思いますが、
その果実を見続けて識別ができるようになった。
話は長くなりましたが、
赤や黄色は食べ物の色です。
だから、人間が見るとパッと目立って見えてしまう。
生きるための本能です。
何千年とかかって獲得した赤です。
そして獲得したあとは、何百年付き合ってきた赤です。
100年程度くらい都市化が繁栄したところで
赤や黄色の持つ力は小さくならないんです。」





私の絵描き仲間のhirokoさん
絵の技術を持ったとても上手な人





釜芸とおかしな男 131201 Vol.7 へ続く







釜芸とおかしな男 131201 Vol.5

2013-12-15 08:39:27 | 釜ヶ崎人情
釜芸とおかしな男 131201 Vol.4 からの続き




「光の三原色は赤、青、緑です。
この3色がバランスよく均等に位置していると考えてください。
そう考えるとどうですか?
この世の中になるものは寒色のほうが多いということではないでしょうか?」
みんな首をひねる。
納得していない様子。
生活している中では赤や黄色があふれている。
だから、実感としてわいてこない。
都会から離れ、山地や海辺に行けばすぐわかる。
ほとんどが青と緑であることに。
それはそういうところにわざと行ったからそう思うのであって、
普通に生活していたら寒色が偏って多いということはないと反論するかもしれない。
でも、想像していただきたい。
太古の昔から近代まで。
ほとんどが緑の森と青い海と空。
その中で色鮮やかな花がほんの少しだけ存在する。
少しだから赤や黄色が目立つ。
みんなの反応にお構い無しに進めていく。




カップルで来た彼女の方
暖色をうまく使い、やわらかい日差しを感じる




「絵の具の三原色は黄色、赤、青。
こっちのほうは暖色が多いです。
暖色が多いため、光とのバランスがうまくいきません。
暖色が多いのと寒色が多い。
これでは整合性が取れないんです。
ではなぜ、絵の具は暖色の黄色と赤が三原色になっているのか?
それは人間は暖色微妙な違いを見分けることに優れているからです。
逆に寒色の違いはそんなに見分けることができません。
あくまで暖色と比べてですが。
じゃあなぜ、人間は暖色の違いを細かく見分けることができるのでしょうか?」
あたりを見渡しても誰も検討がつかない様子。
「画材屋さんに行って絵の具も見ても、
暖色の色の種類の方が多いですよね。
それは顔料による微妙な違いを見分けることができ、
商品開発につながっているんです。
問題の暖色違いを細かく見分けることができるのはなぜか?
それは暖色は、赤や黄色は、食べ物の色だからです。
人間は食べていかなくては生きていけません。
それは本能の部分で、
生死にかかわるものです。
生死にかかわるからこそ暖色をすばやく発見し、食料を確保するという生命保存の
機能が働くんです。
この赤や黄色の暖色の見分けは哺乳類の中では
霊長類である人間とサル以外はできません。
赤が目立つ、黄色が目立つ。
その起源は恐竜の時代までさかのぼります。」





釜芸とおかしな男 131201 Vol.6 へ続く




釜芸とおかしな男 131201 Vol.4

2013-12-14 07:18:07 | 釜ヶ崎人情
釜芸とおかしな男 131201 Vol.3 からの続き




3色で描きすすめ、10分くらい経ってから、
ごそごそと用意した画用紙を取り出す。
前回、練習した顔の比率を描いたものをマジックで大きくしたもの。
目の位置、デコ、鼻、鼻からアゴの関係。
耳の位置など大まかな顔の位置を伝える。
「大体、この位置があっていたら勝手に見る人が顔と思ってしまうので
参考にどんどん描いて下さい。
描くときの使う色は先ほど作ったカラーパレット。
このカラーパレットを参考に肌の色、髪の色を作りましょう。
今日は前回と違って鉛筆だけではないです。
だから、バックも色を塗りましょう。
顔を描きながら、同時にバックを描いていく。
顔を描いて乾かす間にバックを描く。
バックを描いている間に顔が乾いてくるので
また顔を描く。
その繰り返しで絵を描いていきましょう。
今日はバックを描いて、色をたくさん楽しみましょう。」




みんなで作ったカラーパレット



顔の比率がどうあって、色はどういう色ができるのか、
あらかじめわかっていたら、怖いものは無い。
あとは技術など関係なく思いのまま描くだけである。
それでは皆さんと言って別の画用紙を取り出す。
「光の三原色は何ですか?」
辺りを見渡して様子を伺う。
若い20代か30代前半のカップルの彼氏がわかっている感じである。
どうぞと言って答えを聞く。
「赤、青、緑です。」
「はいそうです。赤と青と緑です。
この三つが光の三原色です。
ではこれはどうですか?」
そう言って、また別の画用紙を取り出す。
そこには絵の具の三原色と書いている。
ん?と言ってみんな一瞬考える。
普段から絵を描いているラーさんが
「黄色、赤、青。」
とぶっきらぼうに話す。
「そうです。ラーさんの言うとおりです。
では、光の三原色と絵の具の三原色は何で違うと思いますか?」
少し技術的な話に入ってくる。
みんなわからない様子。
考えたことが無いのかもしれない。
でもここは大事で絵描きの悩ましく、つらい問題が存在している。
ここを意識していない絵描きは多い。
以前の私もそうである。



釜芸とおかしな男 131201 Vol.5 へ続く





釜芸とおかしな男 131201 Vol.3

2013-12-13 07:09:05 | 釜ヶ崎人情
釜芸とおかしな男 131201 Vol.2 からの続き



「始めの一筆の色はできるだけ3色ともまぜた色でデッサンするようにしましょう。
色は3色だけなので色が濁ることはありません。
だから、思い切ってすることが出来ます。
色を3色に限定することは色を作るときに大変勉強になります。
このやり方で色に慣れてくると他の色と組み合わせてもうまく響きあうようになってきます。
始めはたっぷり水を使いましょう。
水を使えば、淡くパステル調になってきます。
水を使いすぎて塗ってしまったら、
すぐに布で水気を取るようにしましょう。
上からとんとんと叩けばいいです。
そして少しずつ色を重ねていくと深く濃くなっていきます。」
もうお気づきの方もいらっしゃると思うが、
参加された方々は初心者が多い。
初心者が多いからといってモノを見る目が無いといえばそうではない。
釜ヶ崎に来たり、住んでいたりする人たちだから
何かしらのものを持っている。
そして、人間観察をよくしている。
だから、こちらが気を抜いてやっているものなら
すぐに見破られてしまう。
初心者だからこれくらいでいいかということは出来ない。
それなりに達者な人も来ているので、
初心者と達者な人とどちらも納得のいくように考えなければならない。
いろいろ悩んで3色による水彩という結論になった。





最後の感想ではじめは寒色が多いと感じたが、
描いているうちに暖色が多くなったと言っていました。
それでは温かさを感じたのでしょうと感想を述べた




「この3色、イエロー、マゼンダ、シアン。
なぜ、この色を選んだかわかりますか?」
あたりを見渡し、反応を見る。
「それはパソコンのプリンターありますよね。
あの色ってこの3色なんです。
パソコンはこの色に黒を入れて4色ですが、
今日はその黒を除いた3色で絵を描くことにしました。
理論的には3色あればすべての色を出すことができるということです。」
なるほどと少し納得した様子。



釜芸とおかしな男 131201 Vol.4 へ続く










釜芸とおかしな男 131201 Vol.2

2013-12-12 07:11:15 | 釜ヶ崎人情
釜芸とおかしな男 131201 Vol.1 からの続き



10時10分前くらいになるとぞろぞろ集まってきた。
前回は何の告知も無く、お互いの顔を描きあった。
描くのはいいが、描かれるのはちょっとつらい。
だから、今日は前回の20人からドンと減って8人くらいかと考えていた。
8人くらいがちょうどいいくらいの人数だと思っていたので、
それはそれでいいかと参加者を待つ。
時刻になってきたのは12名。
予想より多く、安心する。
この人数であれば目がいきとどく。
まず、水彩の絵の具の扱いを書いたレジメと水彩紙、それと10cm四方で切った水彩紙を
参加者に配る。
筆は適当に取ってくださいと机の上に並べる。
「今から私がこの小さく切った水彩紙にカラーパレットを作ります。
それを参考に同じものを作ってください。
三角形の形になるようにまず、黄色、マゼンダ、シアンの色を
1cmくらいの大きさの丸を描いてください。
色を塗るときは筆洗でこまめに筆を洗うこと。
筆で描いて、洗って。また描いて、洗って。
その繰り返しで3つの小さな丸を描いてください。
描き終わりましたか?
描き終わったら丸と丸の間に混色した色を塗ってください。
黄色と赤ならオレンジ。
赤と青なら紫。
そういう具合に3つ作ってください。
出来ましたか?




とてもシュールな作品でいい構図
多分、元職人さんかな?
律儀な性格がうかがえる




では最後に3色とも塗った色を真ん中に塗ってください。
これはグレーですね。
これが黒の変わりになる色です。
これで基本的な色のパターンが出来ました。
作品を作るときにこの色を頭に入れて
色つくりをしてください。
今日は人を描いてもいいですし、机に置いているものを描いてもいいです。
人は目の前の人でもいいですし、
斜め前の人でもいいです。
失敗したらどんどん言ってください。
新しい水彩紙をたくさん用意しています。
だから、怖がらないでどんどん描いていきましょう。
最後に描いている人やものについて感じたことを
ちょっと書いてもらいます。
だから、絵を描くときは
この人どんな人なんやろと考えて描いてください。
感想は技術的なことを書くのではなく、
こころで感じたものを書くようにしてください。
それでは皆さん、はじめましょう。」




釜芸とおかしな男 131201 Vol.3 へ続く