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氷流日記

氷(筆者)と流さんの奇妙な徒然記

石膏

2013-12-30 06:32:48 | 氷流日記
3年か4年前に石膏を買うかと言われて保留にしていた石膏があった。
保留というよりも予算がたたなかったのでお流れになったというほうが正しい。
石膏の持ち主はTさん。
彼女は天王寺の美術研究所にも通っていた人である。
彼女との接点は小灘先生の教室。
同じ習いに行く身であった。
3年前に辞めてしまって、年賀状のやり取りだけの関係になっていた。
辞めたときには60歳を超えていた。
その彼女のご主人から私の自宅に電話があった。
ちょうどその頃、佐川美術館に入ろうとしていた12月23日である。
美術館の入り口で娘の携帯のベルがなる。
「お母さんから。」と手渡される。
Tさんのご主人から石膏をあげたいので携帯に連絡してほしいと伝言を聞いた。
電話番号をメールしてもらい、合間に電話をかける。
聞けば彼女は病気でもう絵が描けるような状態ではないらしい。
病室の中ではあるが絵のことが気になるらしく、
ご主人に話しては整理を頼んでいる。
そして、以前買いたいというようなやり取りを覚えていて譲りたいとの意向を
ご主人に託す。
ご主人はどうにか私の自宅に連絡を取ることができる。
今日は滋賀県にいますのでお伺いできませんが、
29日のお昼ならお伺いできますのでよろしくお願いしますとお伝えした。
29日は指導者無しのホワイト研究所の忘年会。
忘年会という漢字を望年会という字に変えての開催。
なかなかいいネーミングだと思う。
その望年会があるので3時半くらいまでには八尾に到着しておきたい。
1時前にTさん宅に伺えるように堺の深井に向かう。
泉北1号線の道路脇に車を止めて電話をかける。
「以前、電話をもらい石膏像をいただきに参りましたものです。
もうすぐそちらに伺えます。
駅からの道順を教えてください。」
言われたとおりに自宅付近に車で行くと70歳を超えた男性が門の前で待っていてくれた。
車を少し離れたところに止めて、名前を名乗り、お礼を言う。
聞けば石膏は2体ある。
屋根裏に置いているので足元が悪いのでまだ降ろしていないとのこと。
喜んで登り、足を踏み外さないように慎重に抱えて降りていく。
1体ずつ車に乗せていく。
「お兄ちゃん。これもどうや。」と青いガラスの大きな壷を持ってくる。
「有難うございます。いただきます。」
こういう機会はめったにないので逃す手はない。
不謹慎かなと思いつつも有難く頂戴する。




少し落ち着いた場所で撮影
アリエス、アグリッパーそして青いガラスの壷




最後にお礼を言って、Tさんの病状を聞く。
私がお見舞いに行けるような状態でないことがわかる。
ご主人によろしくお伝えしていただくようにお願いし、お別れする。
「大事に使ってくださいね。」
「わかりました。大事に使います。」
車を走らせながら考える。
自分だけの練習に使うにはもったいない。
釜ヶ崎の人と一緒に描く機会をつくればいい。
イーゼルはどうするか。作ろうか。
部材は用意して、組み立てとペンキ塗りは釜の人と一緒にすればいい。
でも、いきなり石膏デッサンはハードルが高いので
何回か絵を描く講座か同好会みたいなものを作り、
7月あたりにするのがいいみたいな感じがする。
一つ楽しみが増えたのでTさんに感謝する。
何かの機会に石膏のことをお伝えしたいと思う。




大人の遠足 IN 佐川美術館 Vol.4

2013-12-29 09:44:47 | 氷流日記
大人の遠足 IN 佐川美術館 Vol.3 からの続き



怒られはしたが、たくさんの収穫はあった。
おっちゃんと一緒に楽しい一日を過ごせたこと。
それと忠良さんの面の取り方。
ツルっとしているように見えても、
きちんと面でデッサンしている。
面を意識しながら、ツルッとさせているのではなく、
面を切っていっての遠くから見れば、
ツルッと見えるということ。
面相筆ではできないこと。
豚毛で絵の具を厚くのせて、
絵の具を置く感覚。
撫で回していたら面が消えてしまう。
忠良さんの彫刻は一つひとつ教えてくれた。
実際のモデルを見てもこれだけの面を見る自信はない。
もっと大きく粗くなる。




忠良さんのクロッキーの模写



帰り、みんな疲れて釜ヶ崎に向う。
娘は車中で爆睡。
釜ヶ崎に到着後、駐車場に。
娘は駐車場の車で寝たまま。
「盗難は大丈夫やろ。」
一同一致。
keiさんと別れ、issaさんと一緒にココルームに向う。
ココルームで少し雑談しながら余韻を持って、家路に向う。
家でクリスマスパーティーをするので、
ケーキを買って帰る。
先日、絵の仲間でケーキを食べる機会があったが、
モンブランをいち早く取られ、悔しい思いを。
今日はそのリベンジ。
心地よい余韻とモンブランを心に描きながら
車を走らせた。


PS 昨日、忠良さんの成果を試すために彫刻的に油絵でデッサンした。
   20分×4回。白いキャンパスから興した。
   また後日、アップします。







大人の遠足 IN 佐川美術館 Vol.3

2013-12-27 07:19:53 | 氷流日記
大人の遠足 IN 佐川美術館 Vol.2 からの続き



外には琵琶湖をイメージした水辺があり、その脇にはベンチが並んでいる。
温かい日差しがあるので少しはましではあるが、
大阪に比べると降ろす風は肌寒い。
そのベンチで弁当を広げる。
おにぎり、鮭、ほうれん草の炒め物、大根の煮物などなど。
ずらりと並ぶ。
「ご飯、食べられないから食べてね。
魚もあまり食べないけど、みんながいるので作ってみたよ。」
issaさんは糖尿の疑いがあり、通院している。
この日もクスリを飲むと眠たくなるからと前日、飲まないようにしたみたいだ。
糖尿の薬は毎日飲まなければいけないのに
申し訳ないなと思う。
それから、魚はあまり食べないということは
彼にとっては高くて普段は買えない食材かなと考えてしまう。
野暮であるからそんな確認はしない。
ある程度、お腹八分目になったくらいで、
「俺、申し訳ないけど、先に行って絵を描いてきます。
皆さんは自由に時間を過ごしてください。
とりあえず、2時半にロビーに集合しましょう。
もし、俺が来ていなかったら呼びにきてください。
忠良館にいます。」
そう言って急いで忠良館に向う。
一枚でも多く描いて忠良さんがどう考えていたか探りを入れてみたい。
4つ切りの水彩紙を取り出し、カルトンに挟む。
HとHBの鉛筆で描き始める。
描いてみてはじめてわかる。
ツルっとしたように見える彫刻の表面は細かい面で切り刻まれている。
目で見て、触ったことで感じたものよりもより精確にわかる。
私が生身のモデルを前にしてもこれだけの面の切り刻みを認識するかと言えば、
自信がない。
忠良さんに授業を受けているみたいで楽しい。
足の構造を調べるためにその部分をデッサンしてみる。




4つ切り



あっという間に時間が過ぎる。
これでは1枚しか出来ない。
慌てて2枚目に取り掛かる。
取り掛かったときに学芸員の人が来て、
ここでは描かないようにと怒られる。
派手にやりすぎた。 (^^;



大人の遠足 IN 佐川美術館 Vol.4 へ続く




大人の遠足 IN 佐川美術館 Vol.2

2013-12-26 21:30:08 | 氷流日記
大人の遠足 IN 佐川美術館 Vol.1 からの続き



ごそごそ取り出して、
はい、ご飯。はい、卵焼き。魚もあるよと車内で渡してくれる。
日本橋の電気屋街の辺りから朝食会。
今日何日やった?と聞くissaさん。
23日ですよ。
「そうやな。23日やな。月曜日やのに中学校休みか?
何?祝日?そうか今日は天皇誕生日やな。」
そういうやり取りを車内でやりながら楽しく朝食をとる。
大阪市内を1号線で抜けて、外環まで出て、
また1号線にのって京都に向う。
京都に入ってからは堀川通から七条を曲がり、
八坂さんの横を通って今出川をまた曲がる。
山中越えからの滋賀県に向うルート。
車内ではずっと話が絶えない。
とりとめのない話であるが、
ずっと話している。
山中越えを過ぎて滋賀県に入ると上からの琵琶湖の眺め。
とても美しい。
これが見たいがためにこのルートを通ってきた。
「どうです?いいでしょ。この景色。
これ見たいためにここ通りました。」
みんな声を上げて喜ぶ。




忠良さんのクロッキーの模写



その後、湖西道路を通っているとき、白く化粧した山々が見えるとまた声をあげる。
issaさんが「あっ富士山や。」と大きな声で言う。
当然、富士山など滋賀県からは見えない。
娘が見えませんと突っ込みを入れると、
「いや、あれは富士山や。」と私とkeiさんがたたみかける。
俺たちは心の目で見ているんやと言っていると娘は半分呆れ顔。
道中は楽しく、仲良く、遊んでいた。
佐川美術館に着くとみんないい環境に驚く。
「さあ、みんな中に入りましょう。」
10時40分に入館。
12時半まで各自、好きなところを見て、ロビーで集合。
その後は一緒に昼食。
その段取りでみんなバラバラに分かれた。
佐川美術館がはじめての3人は平山郁夫館、佐藤忠良館、楽吉左衛門館の順に見ていくようだ。
私はお目当ての佐藤忠良の彫刻。
ここで初めて見て、忠良さんを気に入ってしまった。
言っている言葉、出している本などでまたさらに好きになった。
午前中は忠良さんがどう解釈しているかを調べるためにひとつ一つ触りながら確かめていく。
ここがいいのは彫刻を直に触ってもいいということである。
そして、気がついたことをメモしていく。
忠良さんに講義を受けている感じで彫刻を見る。
自分なら見ていてもこういう面があるとは解釈できない。
見ているだけで面白く、あっという間に12時半になってしまった。
そろそろということで集合場所に到着する。
私が一番最後のようだ。
ニコッと笑い、さあ食べましょうと外に出る。
事前にissaさんが外でなら弁当を食べてもいいと聞いていてもらったおかげである。




大人の遠足 IN 佐川美術館 Vol.3 へ続く





大人の遠足 IN 佐川美術館 Vol.1

2013-12-25 07:20:31 | 氷流日記
12月23日、この日は朝から大人の遠足に行く。
釜のおっちゃん、issaさん、哲学の会で知り合った若いkeiさん、そして私。
大人とは違うが、ごまめで私の中2の娘がひとり。
合計4名で釜ヶ崎から出発することにした。
マイペース過ぎる娘が約束の出発の時間を過ぎても
用意が出来ていない。
6時半出発予定が6時50分。
ちょっとイラつく。
せっかくの遠足だからみかんでも買って
車の中でみんなで食べようと思ったけど、
買えない。
買えないどころか約束の時間に間に合わない。
出発して早々issaさんから電話がかかる。
起きれましたので時間通り到着できますとのこと。
まずい。
車をビュンビュン飛ばして釜ヶ崎にあるコンビニ、ファミリーマートに向う。
ちょっとイライラを抑えるためチョイスしたCDの内
ボン・ジョヴィのベストを取り出す。
ちょっと気持ちを上げてみんなと会いたい。
途中、コンビニによって朝食と昼食を買う。
朝はパンとコーヒー。
お昼は美術館内でこそっと食べるのでカロリーメイトを買う。
地下鉄谷町線の阿倍野駅近くで
約束の時間7時半を過ぎる。
するとissaさんから電話がかかる。
「コンビニ前にいるんだけど、車見当たらないから。
どうしたのかなと思って。」
「すいません。ちょっと遅れますけど、もうちょっと待っていただけますか?」
issaさんはそれなら自転車をココルームに置いてまた戻りますと応える。
電話を切ってすぐ、keiさんからも電話がかかる。
「コンビニ前にいるんですけど・・・」
「すいません。もう少しで着きます。」
大変申し訳ない。
娘に「ほらな。みんな約束の時間守るやろ。
人をなめてたらアカンで!」
と小言を言う。
待ち合わせのファミリーマートに着くが誰もいない。
おかしいと思い、keiさんに電話する。
聞くと別の場所のファミリーマート。
急いで迎えに行く。
もう一度戻ってきてもissaさんがいない。
またおかしい。
電話をするとまた別の場所のファミリーマート。
釜ヶ崎に3つあるようだ。
ややこしい場所を指定したものだ。
2人に謝って、いざ出発する。
「皆さん、朝早くからすいませんね。
行きは下道を通って行きます。帰りは混んでるから高速使います。」
するとissaさんがごそごそと取り出して、
「腹減ってるやろ。弁当作ってん。
にぎり飯とか卵焼きとか。魚もあるで。」
やさしい心使いに頭が下がる。
彼は生活保護を受けて、お金がないはずである。
その中での弁当つくり。
それもひとり分ではない。
何人来るかわからない中での弁当つくり。
これは本当に有難い。




佐藤忠良のクロッキーの模写




大人の遠足 IN 佐川美術館 Vol.2 からの続き