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氷流日記

氷(筆者)と流さんの奇妙な徒然記

安倍文殊院 Vol.3

2014-05-31 05:25:42 | 氷流日記
安倍文殊院 Vol.2 からの続き




まず、入場券を買って院内に入る。
「ギャンさん、ごめんね。
こういうお金はおごるとアカンおもてね。
ギャンさん、お金ないけど、
文殊様見に行って自腹切らなかった嘘になるでしょ。」
「ええよ。ええよ。
こういうのは自分のお金でないといけないから
氷さんの言うとおり。」
ニコリと笑い、自分の入場券を払う。
メルちゃんも同じように。
東さんを訪ねると大きな声で「よう来たな」
と笑顔での出迎え。
3人の自己紹介を終えて、文殊様のところまで案内していただく。
我々3人含め、館内にいる人たちに文殊様や善財童子などの説明をしていただく。
ここの文殊様は大きな獅子の上に乗っている。
獅子が乗っている場所は雲らしい。
そこから階段を下りると下界。
地上である。
雲の上を渡っているので
渡海文殊
と言われている。
作は鎌倉の快慶。神々しいまでのやさしさである。
何度も火事に見舞われたが文殊様は現在までそのお姿は変わりない。
去年に国宝になったらしい。
頑張って描きなさいと励ましをいただき、有難いなあと3人とも文殊様に手を合わせる。
8つ切サイズの水彩紙に絵を描く。
鉛筆と色鉛筆、汚れて迷惑のかかる画材は用意しなかった。
三者三様で描き始める。
形、フォルム、存在感どれをとっても難しい。
難しいがまったくと言ってもいいくらい苦しくない。
こんな経験ははじめてである。
ギャンさんやメルちゃんにも聞いてみる。
彼らもぜんぜん苦しくないらしい。
絵が天然系の爆発をしているメルちゃん。
今まで感情の趣くまま描いていると思っていた。
しかし、ずっと苦しくて苦しくて描くことがしんどかったそうである。
今日はそれがない。はじめての経験である。
ギャンさんも、私も、メルちゃんもはじめての経験である。
1時間半、ずっと描き続ける。
私は色をつけることは出来なくなった。
そういうものは必要ないと感じた。
それに反してギャンさんはカラフル。
「どんどん色がつけれる。
はあ、すごいわ。ホント有難いことやわ。
こんなことはもうありえないんとちゃうか。
去年、国宝になったやろ。
もうすぐ人気でてこんなこと出来んようになる。」
するとメルちゃんも
「こんな経験はじめて、どんどん描ける。
こんなに安らかに絵を描いたのはじめて。
朝早いし、絵描くの苦しいから行くの億劫やったけど、
楽描の会やったら行こかなとおもて来ました。
来てよかった、ホンマ有難う。」
とニコニコ笑っている。
絵は半分以上モデルで決まる。
技術なんてものはちっちゃいことである。
伝えるべきものを我々3人にビンビン届けている。
我々は何も考えずにただ描くだけでいい。





メルちゃんの文殊様




安倍文殊院 Vol.4 へ続く








安倍文殊院 Vol.2

2014-05-30 05:43:23 | 氷流日記
安倍文殊院 Vol.1 からの続き



東さんからは、テレビに映っている東さんからは嫌な匂いがしなかった。
会いたいと思い、安倍文殊院を調べると奈良の桜井である。
いかない手はない。
行くならば絵描き仲間を誘って行くべきである。
その前に電話をかける。
5月10日の午前中に安倍文殊院に電話をかけた。
最初に出られた方に文殊様を描いてもいいかと許可をいただく、
その上で東さんに代わって欲しいとお願いした。
東さんが出て来た。
偶然にもいらっしゃった。
自分がどういう人間かと楽描の会の説明をし、
仲間と文殊様を描きたいことを伝える。
その上でテレビで拝見して、東さん自身にお会いしたいことを正直に話す。
嘘が無いことがわかったのか、18日ならお寺にいるのでいつでもいらっしゃいと
元気な声で快諾したもらった。
そうなるとすぐに仲間に連絡をする。
参加希望は5名。
私の車は6人乗りなのでちょうどいい。
当日はココルーム前に9時に集合。
ワクワクしていると前日にミナさんから行けないとのメールが来る。
義理の娘が急に出産したと。
ギリギリ安倍文殊院に行けると思ったのに残念だと文面にあった。
お祝い事なのでこれは仕方が無い。
じゃ9時に4人か。
メンバーは私、ギャンさん、メルちゃん、天王寺の表現の会に来た女の子。
天王寺公園で写生会をした後に岩橋さん進行で行った表現の会。
その会に参加した女性である。
年は20代か30前半。
ギャンさんは大変喜んでいた。喜んでいたが、9時になっても来ない。
ようやく連絡を取るとまだ家で寝坊をしてしまったようである。
じゃ3人で行きましょかと出発する。
3人とも元気がない。
やろう3人だからである。
でも、出発して車が動き出すとギャンさんの独断場。
安倍文殊院に着くまでの2時間半、ずっとしゃべりっぱなし。
話が面白いので私もメルちゃんもあおってしまう。
あおれば火は燃え上がる。
途中、メルちゃんがしんどそうにしていたので尋ねると
寝不足のこと。
じゃメルちゃんには寝てもらおうと2人だけで話すが、
5分も経たないうちにギャンさんがメルちゃんに話しかける。
これじゃ寝れへんわ!と突っ込みを入れて大爆笑。
3人で前菜から全力疾走している。
メインディッシュの文殊様の絵を描くパワーがあるのかと少し心配である。






私が描いた文殊様




安倍文殊院 Vol.3 へ続く








第28回 日洋展 はじまる

2014-05-29 06:57:34 | 氷流日記
昨日、5月28日から日洋展が始まった。
私の作品も展示している。
横浜に在住している高校時代の友人から画像付きでメールが来る。
いい絵だったよと。
そのメールが来るまですっかり忘れていた。
出品するときは写真を撮ることを忘れてそのままで出した。
まあええかと過ごしていたら画像を送ってくれたのでうれしい誤算である。
モデルはギャンさん。
題名は彼に選んでもらった。
東京に住む彼の知人に向けての手紙である。
そういう絵を描いてもいいかとお願いすると快諾してもらった。
途中描いているうちにいい目が描けて、
彼の人生を思い考えているうちに泣けてきた。
自分で描いて自分で泣くとはなんともいただけない話であるが、
円空仏のように描きたいと思っている私にはうれしい可能性であった。
音楽や詩、小説、映画などでは涙が出ても
絵では涙は出てこないんじゃないかと思っていたのだ。
どんな名画にあっても涙だけは出てこなかった。
涙は特定の状況のみあるのかもしれないが、
それでもその可能性があるかもしれないと感じたことには
おおきな手ごたえを感じた。
描き込みが足らなかったので加筆すると
その目は下に埋まってしまい、
それ以降涙は出なかった。
本当に惜しいことをしたと思う。
次回またそういう出会いがあるときには慎重になることを誓う。
絵の題名は
「生きてゆく」
彼の決意である。
どんなことがあっても生きてゆく。
生きているだけですばらしいという言葉は
彼にふさわしい。
私も呼吸するように描いてゆきたい。













安倍文殊院 Vol.1

2014-05-28 07:07:10 | 氷流日記
5月18日、急遽安倍文殊院にお伺いすることに決まる。
日曜日の朝早くから放送しているNHKの番組、
”こころの時代 - 宗教・人生”を見て、安倍文殊院に伺いたいと思った。
出演していたのは東さん。
幼いころにご両親を亡くされ、大変な苦労をされた。
親戚の方に育てられて学校を卒業される。
卒業後、いく年か経って友人たちと事業を始める。
数年経つとどこかギクシャクする。
思い悩んでいるときに安倍文殊院に行って文殊様を拝見する。
拝見しているうちにこの安倍文殊院で働くというか、
お手伝いをしたいと思い、当時の住職さんに相談して、
庭掃除から始められたそうである。
その話かたがどこか惹かれるところがあった。
話している姿に研ぎ澄ましたところを感じなかった。
大体の宗教者は研ぎ澄まされたところがある。
自分の中にある余分なもの、欲とか、恨みとか、
そういうものをそぎ落としていく人が多い。
一般的にもそうだと思われているし、
宗教人もそう言ったり、本に書いたりしている。
それはそれで認めるのであるが、
私はそういう欲とか我執とかお金とか全部含めての
宗教なり哲学なりであってほしいと思っている。
排除したり、否定したりすることは本当につらくて厳しいことだと思うが、
それでは人間という存在を無視しているように思ってしまう。
たとえ我執であったり、お金であったりしても
排除するのであるならば、
民の声というか草草の声はかき消されてしまうような気がする。
名も無き人の訴えも我執と捉えれられるならば、
そういう欲も捨ててただ阿弥陀様にすがりなさいと言われるのが落ちである。
それは正しいのであるが、
それをすれば世の中をコントロールしたい人たちの思う壺である。
ちょうど中国がチベットを奪ったようにである。
人間を知ることはただ我執を捨てなさいというような一筋縄でいくようなものではないと
感じている。





安倍文殊院の山門




安倍文殊院 Vol.2 へ続く






狂言の絵 Vol.1

2014-05-27 07:07:34 | 氷流日記
狂言の絵を日曜日に描き上げた。
朝の6時。
前日の土曜日からの徹夜である。
一度、絵を悪くしてしまい、木曜日からすべて描きなおした。
私は画家ではないので仕事がある。
本業の工場の仕事。
それをしながらの制作だったので本当につらかった。
なぜ、悪くなったのか。
自分でもわからない。
夜遅く描いていると時々おかしくなるのだろう。
夜12時まで描き、翌朝3時におきる。
それが続いたので体はフラフラだ。
6時に描き終えて、すぐ出品したのでベトベト状態で預ける。
もう何がなにやらわからない。
とりあえず筆を置いた。
後は結果を待つばかり。
日洋展に出品した120号と狂言の絵120号。
合計240号。
はじめての体験で疲れた。
特に狂言の絵は難産でした。
制作途中の画像をアップします。







狂言の絵 Vol.2 へ続く