迷悟在己

痴呆寸前が巷間を漂いながら日々の雑感を書きます

映画「怪談」

2019-07-26 00:31:24 | 日記


1965年というから、東京オリンピックの翌年か。
監督は小林正樹、東宝映画で、途中休憩を挟む長編。
ラフカディオ・ハーンこと小泉八雲原作の有名な怪談を、
「黒髪」(原題「和解」)「雪女」「耳無し芳一の話」「茶碗の中」
という4編のオムニバス構成とした。
勿論原作は日本の民話であって、ハーンではないが、日本の各地に点在する民話を収集し、
ハーン調の優れた文体で構成した怪談は彼の原作と言って差し支えない。
平易な口語体の文体で表現する一連の物語に私は感銘を受けた。

さあ この怪談は怖い。
「耳なし芳一のはなし」はどうにか見たが、
「茶碗の中」は怖かった。
物語の最後で、作者が大瓶の中でおいでおいでをしているシーンを片目で見ていたが、
とうとう映画館を飛び出してしまった。
よせばいいのに夕方に入館したものだから、外は真っ暗である。
昭和40年の田舎である。街灯はところどころについてはいるが、
今と違って真っ暗。夜も8時を過ぎればみな家の中で、
街中は物音ひとつしない。
自転車に飛び乗って、一心不乱に漕いで家に帰った。

最近あの怪談を見てみようということで、
amazonで買って見た。
やっぱり怖いが、子供のころの怖さとはやはり違うし、
劇場の大スクリーンで見るのとは違う。

あのころはだいたい夏になると、決まって怪談映画を上映していたものだ。
有名なのに「四谷怪談」、ひときわ怖い「牡丹灯篭」
鍋島の化け猫映画は小学校を卒業するまで夜になると思い出して怖かったが、
今見るとどうってことない。

今はこうした日本的な怪談映画はもう作る素地がないのかも知れない。




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