敬老の日だか秋分の日だか区別の付かないくらい耄碌し、どっちでもいいではないかと執着しなくなるくらい老いてしまった。来年のオリンピックと孫娘の結婚くらいしかこの先に興味のあることが無くなると、生きていく意味というか、無駄なような気がしてくる。自分史を纏めるに足る事績がないので、記憶を辿るのも面倒になる。
朝し残すと、一日中すっきり気が晴れず過ごさなければならない日もある。今週はNHKラジオ英会話の週初にそれが起きた。14日月曜日の Lesson 111のテーマ「警告を与える②」のダイアログで出てきた。素行の悪い生徒ケビン君に副校長先生が注意を与えている場面である。 This is your final warning. と Kevin に通告し、改めないなら深刻な結果を招くぞと諭している。洋楽のタイトルにもなっているセリフなので、震え上がるほどケビン君にはさぞこたえたと思う。疑問の余地もなくスルーしてよい成句ではある。が、ちょっと、引っ掛かった。「 your 」は所有格で、被修飾語の主体であって、客体になるのはおかしくないか、という点である。
This is your final warning. =これは君への最後の警告ですよ、と訳されている。ならば、こんな英作文が成立しないのかもしれないけれど、
Your final warning frightened me. は意味を成さないのだろうか。
1民族が使用範囲で融通無碍な日本語より、多民族共有の英語の方が文法に厳格と言われる。「あいつ、好きなんや」と言っても、日本語では彼女を私が好きなのか、彼女が私を好きなのか、はっきりしない。英語では、
She is the girl whom I love. と、
She is the girl who loves me. とで、主格と目的格をはっきり区別する。と、学校で教えられたものだから、次の英文を作りなさいと問題を出されると、つい、
This is the final warning to you. とやってしまい勝ちである。でも、実際には、こんなのんびりしたことを言っていると、聞き流されてしまい、This is your final warning. と、スパッと突き付けられた迫力は失われてしまうのだろう。
だから、翌日の Lesson 112 のキー・センテンスは
You'd better apologize, or else you'll regret it. だった。
大相撲の今場所は序盤の印象から、正代の優勝を軸に、琴勝峰、若隆景の大奮闘を期待している。大穴として逸ノ城の幕尻優勝の芽を、まだまだ捨てていません。
為残して
悔やむまじけれ
また挑み
砕けて散らむ
恋の夕暮れ
世の中はコロナに罹らないよう首をすっこめて退嬰的に生きているだけでは大きな流れの変化を見過ごしてしまう。16日に発足した菅義偉内閣の閣僚メンバーは留任や横滑りが多く、大して変わり映えのしない安倍亜流政権などと納得していては新しい動きに付いて行けない。
既に、行政の縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打ち破ると新政権の基本方針を示している。それに沿って中央官庁の組織改革全般については河野太郎行政・規制改革担当大臣、基本方針を具体化させる実施機関としては平井卓也デジタル改革担当大臣の両輪が担うことになった。
省庁のいろいろの抵抗を予想して、菅首相は就任前に反対する役人は異動させると断言している。そうは言っても、目玉のデジタル庁の創設は、2022年4月のことか、とのんびり構えていては流れに乗り遅れてしまう。
生きた経済はとっくに走り出していた。チェンジ(3962)という東証1部上場会社がある。企業や官庁へのIT技術導入やデジタル人材の育成サービスを提供している。内閣の新路線にドンピシャである。さらに、東京オリンピック開催に絡んで海外のサイバー攻撃から企業や官庁のデジタルシステムのセキュリティーを守る事業も強化するなど完璧に時流に乗っている。時流と言えば、ドローンの業務利用に向けた導入支援サービスにも力を入れ、先端分野の業務開拓に広く目配りしている。
しかも菅元総務大臣の肝いりと言われるふるさと納税のウエブサイトを運営する子会社を擁しているところから、株式市場では「菅銘柄」の先頭ランナーとして8月12日の4450円をスタート台に急速に右肩上がりとなっており、昨日10,890円の上場来高値を付け、本日も高値10,600円と堅調を保ち、東証1部の売買代金ランキングではソフトバンクや任天堂、ソニー、メガバンクらに伍してベストテンに名を連ねている。
8月12日と言えば、その1週間ほど前の4日に週刊誌『FLASH』が安倍前首相の吐血報道をしたこととも関係があるのかもしれない。
世の中は
川の面こそ
静かなれ
底を切り裂く
チェンジの動き
大事件である。本日大相撲解説の北の富士勝昭さんがぎっくり腰で休場になった。あのやる気のなさそうでピリリと鋭い弁舌がないのは、両横綱の欠場に匹敵するくらい残念である。あとは本番の関取に盛り上げてもらうしかない。
NHK『趣味の園芸』の13日分がきょう昼に再放送され、テーマが秋の七草と、まだまだ季節感にぴったりだった。七草の選抜は万葉集の山上憶良の歌に起源があるけれど、講師と案内役の2人で現代風にアレンジして、「私の七草」をラインナップする試みを行っていた。言われてみれば成る程、名案である。定番の七草では、萩やナデシコ、実は桔梗と言われるアサガオに葛、尾花は納得できるけれど、オミナエシとフジバカマは漢字にすれば女郎花、藤袴と想像力を掻き立てるけれど、実際は冴えないなと内心思っていた。憶良の呪縛を解いて、自分好みの七草なんて素敵である。講師の小笠原誓さんはコスモス(秋桜)、ケイトウ(鶏頭)、リンドウ(竜胆)、シュウメイギク(秋明菊)、マム、パンパスグラス、ホトトギスを選んだ。案内役の三上真史さんはコスモス、ケイトウ、リンドウ、シュウメイギクまでは同じで、あとはコキア(箒草)、ダイモンジソウ(大文字草)、エノコログサ(猫じゃらし)とすこし嗜好が分かれた。秋と言えば見た目も真っ赤で強烈な印象を放ち、名前もドンピシャのヒガンバナ(曼殊沙華)が2人とも抜けているのが淋しい。でも、鶏頭とイメージが被るので仕方もない。秋は菊花展がそこらじゅうで開かれ、菊が天皇家の御紋にも使われるほど広く親しまれているのに、憶良の七草から漏れているのは、万葉時代には存在せず、意外にもずっと新しく平安時代に中国から伝来したためのようである。自分も1つくらいは独自色を出してみたいけれど、二番煎じのミソハギくらいしか思い浮かばず諦めた。
山上憶良の、秋の野の花を詠める二首
秋の野に 咲きたる花を 指折りて
かき数ふれば 七種の花
萩の花 尾花くず花 撫子の花
女郎花また 藤袴朝顔の花
《名解説無しを嘆く》
横綱も
朝乃山正代も
何せむに
勝れる宝
北の富士節
森友学園への国有地売却疑惑問題のそばにいて自殺された財務省近畿財務局職員のご遺族が、安倍首相退陣表明に伴う後継自民党総裁に、改めて再調査の指示を求めている。千載一遇、一期一会という言葉が頭をよぎってくる。2017年2月の国会答弁で、安倍首相は「私や妻が関係していたということになれば、間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」と、森友問題への関与を大上段に否定した。その後の同省の調整の具体的内容は表沙汰にならないが、結果として渦中の職員が翌2018年3月に自ら命を絶たれた。国会内外で激しく議論は交わされたが、比較的淡々と問題なしとの財務省報告が同6月に公表された。その前に蛮勇を奮ってご遺族が名乗り出て、自殺職員の「手記」を公開していれば、政治の流れを変える千載一遇のきっかけになっていたかもしれない。その経緯を熟知しているはずの菅官房長官が自民党後継総裁に選出され、同問題に対して「財務省で調査した。結論は出ている」。蓋は閉じられた。しかも首相は、『半沢直樹』の黒崎検査官ばりの豪腕によって、”玉”が握られている。
千載和歌集494番
をしへおく 形見を深く しのばなむ
身は青海の 波に流れぬ
入道前太政大臣(藤原師長=保元の乱により土佐国に流罪)
森友や
土に芥の
臭気満つ
へたな句を詠む
道化偲ばる