モンマルトルが好き J'♡ Montmartre.

パリのモンマルトル、絵描きたちの日常などを綴ります。
Blog en japonais sur Montmartre.

会議は踊る

2018-06-19 12:24:34 | 日記
絵描きと飲食店経営者と、役所側の話し合いの経過です。

【4月】
絵描きの内部では、それはそれは熱い討論が催されていました。
★新しい広場の計画に、カフェテラスと絵描きの配置はどうするべきか? 
★観光客・散策の人々にとっては、どんな広場が理想だろうか? 
★車椅子の人のアクセスも考慮しなくてはいけない。
★そして、もしやの非常事態には、どんな避難通路が確保できるか。
ということを念頭に、案を出し合い、9つの図面が引かれました。9つも! 考案者たちにはそれぞれ理想がありますが、それを、絵描き全体の希望プランとして提出するために、多数決で3つに絞りました。

【5月】
飲食店経営者との話し合いの場を持ちました。テラス席を各店55㎡に減らす(現行70㎡)と言っていたのを、それではどうしても狭いから、58㎡にしてくれ、という話でした。
しかし、その間にも絵描きの間では、選ばれなかった自分の案を残念に思う者が出たり、などなど、足並みが揃わなくなっていきました。いいえ、はじめから、全員一致しているなんてことは一度もありませんでしたが、テラスが出てからは余計に、絵描き同士が話のできる環境もなくて、情報が行き渡りづらくなっていたのです。

【6月】
そして6月1日、区役所で、命運のかかった討議の場が持たれました。この日のために、12月のスト以来、絵描きたちは準備をしてきたのです。
区の役人5人、都市計画課の役人3人、飲食店経営者6人、絵描き代表5人、という顔ぶれです。
絵描き代表は、声明文を読み上げました。これは、地域の文化団体4組織と、住民議会と、絵描き全員の声、ということで作成した文書でした。
「あそこは公共の場であるから、使用するすべての人の権利が守られなくてはならない。施行中の法律が守られなくてはならない。改造計画にあたり、絵描きは、市の条例や安全面での要請や美的外観なども考慮して、いろいろな案を提出したが、飲食店側は少しも動かなかった」
というような、これまでの経過を伝える文面でした。
この日、しかし、彼らの訴えをまともに聞いてくれた人は、いなかったのです!
カフェテラスの面積は、55㎡の話も58㎡の話も、なかったことになっていました。
そして、討議の最後には、飲食店が使っている四角の部分(現在広場の8割の面積を占める)を、縦1,40m、横0,40m削る、ということに決定。ということで、無理矢理お開きになったのでした……。

それって、もしや、つまりストの前からの役所の計画と全く同じではないの? いや、40センチ違っているかもしれないけれど、ほぼ変化なし、ではないの???(すごい狸だ~)。広場の通路の話は何もなし?

絵描きの中の、心ある者は、怒る、怒る! 心ある、というのは、件案が長引いていて、興味が薄れ、日和見主義になっている者が結構いるからです。役所側は、そういうことも考慮してのことかもしれません。

ですが、絵描きの中には、新しく署名運動を始めたり、新しくFacebookページを作成して広報しようと奮起している人もいます。パリ市長に宛てて公開書状を出しもしました(この人は、5月1日の市庁舎でのレセプションで、市長から直々に、「すべての関係者の意見を聞く」という約束を取り付けているのです)。
公開書状は、一応、下の組織、人々による連名ということになっています。
★古モンマルトル学会 La société du Vieux Montmartre
★歩行者の会 60millions de piétons
★パリ・モンマルトル(文化団体) Paris Montmartre
★カレ・ウーヴェール (文化団体)Carré ouvert
★ アテエムATM
★住民
★テルトル広場の絵描き

何もせずにいれば、それこそ、行政の思うつぼですから。行政、というより、個人的な資本主義でしょうか。しかし、なんにせよ、巨石にアリがかじりついているような……。

と、窮地に陥ったその時に、「歩行者の会」が打って出ました!
裁判所に、正式に訴訟として提出したのです。この会も、何度も市や区に手紙を書いています。「法律に則っていない」と。で、その違反していることが、6月1日の「運命の討議」で確認されたわけですから、彼らにとって、法的な手続きを踏む時期が、到来したというわけだったのです。絵描きたちはこの「歩行者の会」の訴訟に、証言提供で協力をしています。

本来なら、絵描きもまとまって、訴訟を起こすべきなのでしょう。しかし、もともと、まとまった団体になっていないのです。「テルトル広場の絵描き」という団体組織はないのです。
「絵描き代表」といっても、パリ市の規則に沿って選出された者たちで、2年間という任期があり、今年9月に切れてしまいます。しかも、この「代表」という権限には、こういった討議の場で絵描きの意見を代表するというのは含まれていない、という見方もあります。
とにかく、堅固な立場も、後ろ盾もない彼らです。

彼らが本当に持っているのは、ロマンチシズムだけ。情熱だけです。それでいかに、世を動かすことができるか。

昨日、6月18日には、区役所で公開会議が開かれ、その最後のほうの議題に、テルトル広場の件が上がっていたそうです。
まだ、どうなったのか、知らせは届いていません。少し時間が経たないと、その知らせが客観的にはどういう状況に置かれているのかが、掴みにくくもあります。
何か動きしだい、ここにも載せようと思います。








(K)




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