学校経営とは、教育というサービスを提供すること。 どれだけ上質なサービスが提供できるかが、 私たちが標榜する学校運営のカタチです 小出 叡(こいで さとし)氏
昭和10年生まれ。 |
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「まず学生ありき」で物事を考える。 本校は東京工学院専門学校、東京エアトラベル・ホテル専門学校を併せて32学科86コースを誇る総合学園です。学科・コースの内容は時代の変遷と共に形を変えてきました。こうした流れの中、「総合学園 東京工学院」という呼称では括ることのできない学科・コース内容となってきました。例えば東京工学院専門学校では、社会科学系の学科や保育・スポーツ系の学科も開講しています。そこで本年度から、より実際の教育内容に沿うよう「総合学園 テクノスカレッジ」と呼称を変更しました。このような、今までのカタチに縛られないフレキシブルな姿勢が本校の特色のひとつと言えるかもしれません。そうした中で重要視していることのひとつに、学生の要望への対応があげられます。 可能な限り学生に還元していきたい。 学生のために何がしてあげられるかを常に考え、そのときに最良と思われるものを提供する。なぜならばそれは授業料を支払う対価として、学生が得られる当然の権利だと、私自身は思っているからです。 例えば4年制の学科では、選抜形式での海外研修を、オックスフォード大学ペンブロークカレッジでおこなっています。ペンブロークは1624年に設立された、オックスフォード大学の39カレッジのひとつです。単に語学教室で学ぶだけでなく、きちんと授業を受け、最後はオックスフォード大学の学生や関係者しか入れないグレートホールで、学長も交えて格調高いハイテーブルディナーに参加するのです。語学や国際性が身につくことはもちろんですが、それ以上に、通常では体験できないような、非常に得難い体験ができるのです。こうした考え方は、この海外研修だけでなく、教育内容や環境整備などあらゆる部分にも貫かれています。入学者から預かった授業料を、授業内容や施設設備を充実させることできちんと学生に還元すれば、学生の満足度も上がるし、学生自身のスキルもアップする。そうすれば就職というカタチで結果にも反映するし、学生も高い満足度をもって卒業していく。それがひいては将来の入学希望者にも反映する。こうした好循環を構築することが私たちの目標とも言えます。 少子化の時代に対応した設備投資を。 こうした日々の努力により、当学園は、ある程度順調に成長していると思います。しかし、だからと言って全く課題がないわけではありません。私自身が最も課題視しているのが、やはり絶対的な学生数の低下、そして少子化問題です。『大学全入』の時代において、学生を確保することは本校でも重要な問題としてとらえています。そうした中で、本校がアピールできる点のひとつが施設設備の充実度。かつてのように黙っていても学生が集まってくるような時代ではありませんから、設備投資にも慎重な判断が必要です。しかし、専門学校に求められるのは即戦力の育成ですから、実学のための設備投資は欠かせないと考えています。こうした課題に対しては、単に器を増やすということではなく、コンピュータを活用することで事足りることは、コンピュータを使う。つまりバーチャルなシステムを導入するということです。必要なモノは何でも揃えるという発想ではなく、しっかりと吟味したうえで、無駄を省くと同時に必要なところには資金も労力も費やすというスタンスが大事なのです。実際、実践力を養ううえで、極めて効果的な学外でのインターンシップに関してはより一層の充実を図っていこうと思います。学生を受け入れて下さる企業を開拓する作業は、学校にとって労力も根気もいることです。しかし、学生の将来を考えると、欠かせない活動なのですね。 高い満足度をもって卒業してもらうために。 最近では多くの専門学校が4年制コースを設置し、卒業時には大学卒の資格も取得できるような学科を数多く設置しています。大学で学べるような知識を身につけることも確かに重要ですが、専門学校の本質的な役割は、企業における「実行部隊」の育成にあるはずです。もちろん企業において管理の側に入る学生もいるでしょうが、多くの学生には実際の「技術力、実務能力」が求められるでしょう。本校でも大卒コースを設置してはいますが、そうした専門学校に求められる本質的な役割は忘れてはいけないと思います。ただ、これまでのようにひとつの技術のみに秀でるのではなく、幅広い技術を身につけていること、協調性を身につけていることなども、カリキュラムを通して学んでもらいたいと思っています。 |