田中秀臣の「ノーガード経済論戦」

田中秀臣の「ノーガード経済論戦」

イグ・ノーベル賞と構造改革の切り札

2005-10-26 | Weblog
 イグ・ノーベル賞というのをご存知な人も多いだろう。「裏ノーベル賞」であり、世間をいかに笑わせ、いかに考えさせたかを基準に、1991年以降、本物?のノーベル賞受賞者やただの通行人を審査委員にして選考を行い、そしてハーバート大学講堂で授賞式を挙行、そしてここでもノーベル賞受賞者がプレゼンターであったりする。

イグ・ノーベル賞のホームページ


『もっと イグ・ノーベル賞』(ランダムハウス講談社)

 日本人の受賞者も多く(もっとも多くは授賞式出席を辞退)、毎年日本のネットでも話題になっている。今年は、本家にはない栄養賞をドクター中松氏が何年もの間自分の食べた食事を写し続け、そこから栄養法を編み出したとして栄誉?に輝いた。そして注目?の経済学賞であるが、今年はユニークな目覚まし時計(車輪のついた目覚ましで、いつの間にかナイトテーブルから姿を消すので見つかるまで目覚ましが鳴り止まない)を開発して、早起きを励行したために労働時間を増やした貢献に対してMITのガウリ・ナンダ氏に授与された。確かに労働時間が増えれば経済成長に貢献するだろう。日本の構造改革主義の代表的見解では、余暇の増加が日本の経済成長を鈍化させたそうなので、この商品名「クロッキー」はクールビズやウォームビズに並ぶ構造改革の象徴として今後どんどん政府の規制緩和?によって官公庁から民間に不朽するだろう。ただしいつまでもなりっぱなしで、探す時間がかかるようだとその分また生産性がさがるかもしれないが。

“構造改革の切り札”クロッキーのホームページ

 イグ・ノーベル経済学賞の過去の受賞者には、20年来世界恐慌を説き続け、その「予言」が外れることによって(すなわち、「予言」を行うことが人々に注意を促し、恐慌を未然に防ぐ)人類に貢献したラビ・バトラ氏、本家のほうではまだ受賞者がいないが日本人の受賞者としては「たまごっち」の開発者など多士済々である。ラビ・バトラ氏と共同受賞をすべき日本人も数多く活躍中であるが、その影響力はまだバトラ氏ほどの効果(恐慌を予言することで恐慌をさける。ん?予言がはずれたなんて、そんな不穏当なことはいわないように!)を世間に知らしめていないのであろう。日本の危機論者たちの一層の努力と世界恐慌の回避を切念して稿を閉じたい。