Humoreske(小噺ひとつ)

ここでおひとつ、小噺をひとつ。
フモレスケはユーモアからきたことば。

愛を歌う

2007-10-27 | 映画♪DVD噺
雨だし、息苦しいし、気分も重々しいし、
英語の授業を3コマぶっ続けて受けたところで
ノドも渇き、気分も落ち、お腹もすいて、
ふと、学校を出て歩いていたところで、
映画館前を通ってしまったのです。

ちょうどよい時間・・・。

入っちゃいましたよ。

落ち込んでるときに、この映画を見てはいけませんよ。
元気だったら、涙が出たと思う。
ピアフの叫びは、傷口がしみるような感じで
じじじじじと、迫ってきます。

私のMP3にはピアフの愛の賛歌が入ってます。
他のシャンソンはあまり聴きません。
フランス語がどうも、しっくり来ない私なので
モンタンだろうが、マレーネだろうが、シャンソンは
あまり好きじゃないのです。。。

だけど、ピアフの愛の賛歌は、「ソウルソング」って
いうか、「ファイトソング」っていうか、そうだ、
生きていこうって、風をきって歩いていこうという
気持にさせる音楽として、いつも聞いてます。
ベタですけど、この曲とシナトラの歌う「マイウェイ」は、
生きていくって気持にさせるのです。。。


歌詞の意味知ってます?
岩谷時子さんがつけた日本語の詩も素敵だけど
本来はこんなんです。

空が落ちてきても 大地が崩れ落ちたって
そんなことはたいしたことじゃないの
あんたがあたしを愛してくれているから
あんたの愛に溺れて あんたの腕のなかでふるえながら迎える朝
あたしはだいじょうぶよ
ああ あんたがあたしを愛してくれているもの

世間を捨てろというなら捨てるわ
髪を染めろっていうなら染めるわ
あんたがそう望むなら
月を取って来いというならそうするわ
財産を全部投げだすことだってできるわ
あんたがそう望むなら
祖国を捨てることだって 友を捨てることだって
あたしはやってみせるわ
あんたがそう望むなら
世間があたしをあざ笑おうと たいしたことじゃないの
だってあんたがあたしを愛してくれてるんだもの

もしも運命が あんたとあたしを引き裂いて
あんたが死んで あたしのもとから消え去っても
そんなことはたいしたことじゃないの だって
あたしも死ねばいいだけなんだもの
そしてあたしたちは 永遠に
あのどこまでもどこまでも青い空のなかで
すべてから解き放たれるの
だれもあたしの愛を疑いはしないの

そして 神の愛が あたしたちをひとつにするのよ

====

最愛の恋人をなくしたピアフが歌ったことで
この曲は完全に付加価値がついてしまったけれど、
映画は、そのエピソードだけではない、ピアフの
壮絶な人生を描いてます。。。

ピアフを演じた女優さんの普段の写真からは、
同一人物?と目を疑うほどの変身っぷりで、
特殊メイクとはいえ、モルヒネ中毒とリュウマチに
襲われ、肝機能障害にさいなまれて尚舞台に立つ
ピアフの外見の再現は、リアルすぎて、目をふせたく
なります。。。


喋り声も、歌い声も、「叫び」のようなんです。。。

声量、感受性、音楽性、声質、それぞれが
アベレージ越えなのはよく分かるんですけど、
何しろ「叫び」に聴こえる・・・

そう、「強い」の。。。
強すぎて、、、めちゃくちゃすぎて、
ぼろぼろすぎて、痛々しいけど、
「愛しなさい」と、穏やかに言うピアフの
リアルとフィクションの狭間があいまいになりそうな
映画の世界観は、独特でした。。。

伝記映画は、時として小説的な部分に
興ざめしてしまうものだけど、そういった過度なものは
あまりこの映画にはなく、ピアフのスナップ写真が
その都度動き出して過去を語るようでもあり、
おそらくそれは、場面転換の速さゆえなんでしょうね。。。
最初、この人誰だったっけ?と、俳優の顔と名前が
一致しないうちに次々進むストーリーに戸惑いました。


私にとって、「強い女」は嫌いじゃないんだけど、
弱い部分が見えたときに感じる嫌悪感みたいなものは、
否めません。。。むちゃくちゃだろうが、なんだろうが
自分を押し通す強さというか、わがままさに対して
勇気が自分はそこまでもてないからかもしれないなぁ。。。

ボロボロになっても、信じる、
グチャグチャでも、愛する、
嫌われても、望む、
それが、「ちから」かもしれないと思わせられる映画です。


さて、昨夜見た「オーロラ」という映画は、
「美しかった」という感想だけで、あとは
「以上」って感じですので、とくに触れませんが、
バレエのお好きな方は、美しい映画ですので
お奨めしておきます。。。


そう、、、なんていうか、、、
同じ「美」なんだけど、正反対のものを一気に
みちゃったーって感じ。どちらもフランス映画だったしね。

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