考える葦のブログ

さわやかに さりげなく

モラルとモラール

2006-07-24 21:57:41 | 社会的責任

モラル(moral)とは、道徳とか、倫理とか。
モラール(morale)とは、勤労意欲とか、やる気とか、士気とか。
この二つの英語、似た綴りですけど、語源は同じなんでしょうかね。
いろいろなニュースを見ていると、この二つの言葉のバランスが大切だな、と感じています。

まずは話題となっている産経新聞のこの記事。
『「今すぐクラス移して」…教師に無理難題、理不尽な親急増』
http://www.sankei.co.jp/news/060722/sha102.htm

「あの子の親と仲が悪いから、今すぐうちの子を別のクラスに移して」「うちの子がけがをして学校を休む間、けがをさせた子も休ませろ」…。保護者が教師に無理難題を言うケースが各地で急増している。教師が頭を悩ますこうした「理不尽な親たち」について、大阪大の小野田正利教授(人間科学、教育制度学)は、文部科学省の科学研究補助金を受けて教育関係者や弁護士、精神科医らによる「学校保護者関係研究会」を発足させ、原因究明と対策に乗り出した。(中略)
先生たちはお手上げだ。文科省調査では、全国の公立小中学校で精神性疾患による教職員の休職者は一昨年度、病気休職者の56%を占める3559人に達した。10年前のほぼ3倍だ。研究会メンバーの嶋崎政男・東京都福生市教委参事は「現場感覚でいうと、精神性疾患による休職の多くに保護者対応による疲弊が関係している」と見る。

無理難題を言う保護者。
その対応に頭を悩まし、病気になる人まで出てくる教師。
どっちがどうと一方的に言えるような話ではないと思いますけど、少なくとも「学校が病んできている」ことは分かる気がします。
保護者(もちろん教師や生徒も)のモラルが欠けてきていないか?
教師のモラールが低下してきていないか?

こういう話からは、「お金を出す側」の力関係が強くなりすぎている懸念もしています。
確かに教師は公務員、市民の税から給与をもらっている公僕です。
でも、客であり一種の雇用主でもある保護者が神様ではない・・・「信念」、これは政治家だけの特権ではない、を持って「無理難題」と戦って欲しい。教育委員会やマスコミもそういう議論を中立的な立場で応援して欲しいんですよね。
自分のモラルや信念が守られるとき、モラールも高められるような気がします。

みなさん、ハローです。ホディです。

右手で教師の質の低下を責めて、左手で保護者のわがままを責める。
教育現場にも、そろそろマスコミのバランス感覚が生まれそうだと、こういうニュースを見て少しホッとしたというのがボクの本音です。
一部の教師の犯罪などの報道で、一方的に教師全体や学校の権威が失墜していくのは悲しいことですよね。学校を良くするためにはどうすべきか?、教育は国家百年の計、ボクらは真剣に議論しなければいけない時期に来ている気がします。

一番、ボクが心配なのは教師のモラールの低下・・・ですかね。

教師のみならずサラリーマンの心も病んでいるようですね。

「<電話相談>職場の人間関係ぎくしゃく…心の問題増加」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060724-00000026-mai-soci

ボクのサラリーマン時代の会社でも、うつ病による休業者は年々増えていました。
過重労働や成果主義のプレッシャー、職場の人間関係など、いろいろな原因は語られますけど、これだ!という正解はありません。一方で、「うつ病」という病気の存在が知られることにより、病気だという自覚ができるようになったことも、増加の原因としては考えられるかも知れません。
また悪く考えて、精神的な弱さによるうつ病という病名を利用した現実逃避だとか、仮病だと言う人も多いんですよね。
少なくとも「モラールの低下」という現象だけは明らかなんですけど・・・

また、重大な医療ミスなども次々と明るみに出てきます。

「生体肝移植 提供者に重い障害」
http://www3.nhk.or.jp/news/2006/07/24/d20060724000128.html

「白い巨塔」じゃないですけど、モラルの低下が原因でしょうか?
それとも、医療ミスの認知とニュースバリューが高まったことで、表面化する件数が増えてきているんでしょうかね?

・・・
答えがない話が続きますけど、最後にもう少しだけ。

日経夕刊のコラム「あすへの話題」、今日は慶応大学の清家篤教授の話でした。題して「モラール」。少し引用します。

最近、公務員や教員など、公的部門で働く人たちのモラールが心配になる。たしかに彼らの給与削減は財政再建のために必要かもしれないし、批判されるべき問題もあるだろう。しかし彼らはいくら労働条件を絞っても、あるいは叩きまくっても、なお一生懸命働くはずだ、と考えるのは少し虫がよすぎる。公務員の雇い主は国民であり、雇い人を鞭打って働かす雇い主など今どきまったく流行らない。財政難の折、労働条件の引き下げなどを求めるにしても、もう少し敬意を払って損はないと思う。

誰でも責められるだけだと、モラールを上げるのは困難だと思います。 
財政が厳しければ、どこかで誰かが痛みを受け入れるしかないわけですから・・・清家先生のおっしゃるように、まさにお互いに敬意を払いつつ、議論して理解していくしかないわけですよね。ここで、一方的に公務員の不正や給与だけがフォーカスされると不公平ですね。

また、冒頭の産経新聞の記事では、大阪大学の小野田教授はこう指摘されています。
たてつかない弱者をいじめる“言った者勝ち”の傾向が社会に蔓延している」。

誰かを標的にしたり、誰かを敵役にしないとボクらは安定しないんでしょうかね。

やはりモラールとモラルのバランスが大切ですよね。
課題は多いですけど、まずはイタチゴッコのように責め続けることから、そろそろやめにしてはどうでしょうか。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自然か、不自然か | トップ | 自らを奮い立たせる »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
晴天の霹靂… (yuyu)
2006-07-27 10:16:46
参りました。

初めて、知り合いがPCの情報やテレビ…に大々的に流された。

ネットでニュースを見ている時、元古巣会社の中のグループ会社の名称を発見。

斜め読みしていたら、名前に釘付け。この名前は中々いないだろうと。

Media Playerで流れてきた顔は…。

口がきけなくなるほど精神的にくるんですね。

一夜経った後でもまだだめです。

朝、TV朝日のニュースでも流れていましたた。

俯いた顔は…が、昔のままの姿が映っていました。

返信する
re:晴天の霹靂 (hoddy)
2006-07-27 19:17:11
yuyuさん、コメントありがとうございます。



知り合いですか・・・ボクはそういう場面には遭遇したことがありませんけど、ショックでしょうね。

罪は分かりませんけど、知り合いの方、どこかで復活できるといいですね。サポートしてあげてくださいね。



返信する
モラール (fall)
2006-07-27 19:54:30
しばらく更新されていないような…。ブロガーとしてのモラールも忘れずに!今日は更新されるかな??
返信する
re:モラール (hoddy)
2006-07-27 21:23:08
fallさん、コメントありがとうございます。



見事なタイミングですね。

今日もサボりそうになっていました(笑)。



返信する
しっかりせよ教員 (CFO)
2006-08-31 21:31:21
バカ親の存在は憂う問題ですが、それに負けてしまう教員も信念やプロ意識に欠けており情けない限りです。

私の目から見て、家庭で子供を如何に厳しく躾けようとも、学校で教員が生徒を叱らないがために家でしつける効果が半減してしまう、バカ親の子供のみならず、むしろ教員から悪いことを教わっているという印象が拭えません。

教員は昔のような愛情のある厳しさを復活させてもらいたいものです。
返信する
re:しっかりせよ教員 (hoddy)
2006-09-01 08:10:22
CFOさん、はじめまして。(?)

コメントありがとうございます。



>教員も信念やプロ意識に欠けて・・・

残念ながらそういう面も一部にはあるんでしょうか?

でも、例えそうだとしても、そういう教師像を生み出したのは日本の社会であり、教師だけが責められるものではないとボクは思います。

昔の教師が良かったかどうかは別として、もう一度、ボクらが求める教師を議論する必要があるでしょうね。



返信する

コメントを投稿

社会的責任」カテゴリの最新記事