「「耕助のブログ」でのマイケル・ハドソンへの言及」にリンクした初期の記事の主題は、
「プラザ合意→バブル崩壊」の時期を中心とする、日本経済と日米関係。
本記事では、それらを「耕助のブログ」筆者(賀茂川耕助)コメントも含めて要約していく。
米国はいかにして日本を滅ぼしたか(No.64+No.65)
答:「プラザ合意」に代表される米国の帝国主義的金融政策 (a)-(c) に自民党、大蔵省、
日銀を巻き込み (A) 直接的搾取を行い、(B) 日本経済の金融化(+バブル)を招いて。
# ↑自民党、大蔵省(、日銀)は米国の金融外交団に言われたままのことを実行=共犯。
(a) 低金利政策/金融緩和の維持←意味/影響は後述
(b) 外貨準備を米国財務省証券購入に*のみ*当てる
「フランスでは、ドゴール将軍が余剰ドルを毎月金に換えていた。
しかし敗戦の痛手から抜け出せなかったためか、日本は他の主要国に比べて金の保有高を
少なくするよう圧力をかけられた=余剰ドルを米国保有の金、さらには公開市場でも金に
換えないように要請された∴米国の対日貿易赤字は、日銀を経由して米国の財務省に還流」+
「ドルの環流政策がとられ始めたのは、米国が金本位制を廃止した1971年」
「ベトナム戦争で米国は海外に莫大なドルをばらまいていたため、世界中の中央銀行が
米ドルを1オンス35ドルで金に交換」
cf.「SuperImperialismとGlobal Fracture: The New International Economic Order(2章)」
## ↑上記2つのマイケル・ハドソンの著書は、和訳出版済。
(c) 「規制緩和」(=「国内再投資促進=産業資本主義を支える制度」の廃止)
「大蔵官僚と自民党の政治家は、日本の政界の中で米国のトロイの木馬として行動」=
「日本の国益からどう逸脱しようと、米国の利益を支持」=
「米国中心の政策のスローガン」=「規制緩和」←「(B)日本経済の金融化」を招いた政策
## 「経済の金融化」は「新自由主義」がもたらす害悪の本質。
∵「緩和された規制は、日本の貯蓄を国内に維持することを狙って作られた制度」=
→「米国の財政赤字を資金援助するのではなく、国内経済の近代化に資金を回す制度」
∴「規制緩和=米国企業に回す日本の公共支出を増やす「日本製品購入」政策を廃止」
↑この目的のために、日本は大規模小売店舗規制法を改正し、ウィスキーやオレンジ、
牛肉の輸入税を削減することで米国のサプライヤーに恩恵を与えた+自主規制の名の下、
数量割当制(一種の市場規制で⊃「市場秩序維持協定」)を作るように命令された。
(この協定は日本の輸出業者が得る米国のマーケット・シェアを厳密に規定)+
日本は都市基盤、下水、高速道路の建設に米国業者を利用するよう勧告を受け、その一方、
米国産業の輸出業者が中国や他のアジア諸国から日本を閉め出すことにも同意」
「これらすべて=「規制緩和」=「米国の利益を規制しない=「米国に従属すること」
# 以下「(a) 強要された金融緩和+(b)」が「(A) 直接的搾取」の意味を持つことの説明
1985年9月22日ニューヨークのプラザ・ホテルで、当時大蔵大臣だった竹下登以下、
日本の高官は、日銀を含む日本の投資家に米国の貿易赤字の資金援助を行うよう働き
かけることにより、日本経済を歪めることに合意」=「プラザ合意」=
「金利を引き下げることによってドルの為替相場を支えることを日本に命じるもの+
日本は他の主要国に比べて金の保有高を少なくするよう圧力をかけられた。つまり、
余剰ドルを米国保有の金、さらには公開市場でも金に換えないように要請された
→唯一残された選択肢=日銀がドルを外貨準備金として、財務省債券の形で保持
→米国の対日貿易赤字は、日銀を経由して米国の財務省に環流
→ドルの下落は食い止められ、米国の財政赤字に資金が援助される+
「財務省債券の利率は当時の市場の状態(およびその後のドル安)を考えると低かった」
→日銀が財務省債券で手にした金利<海外直接投資で米国投資家が稼いだ金利。
→中長期的には、為替差損により、日本にとって大損失
# バブル崩壊での損失も、経緯から見て「(A) 直接的搾取」の一部という面が多少ある。
# しかし、バブルがもたらした真の問題は「(B)日本経済の金融化」による活力喪失。
日本国内では強要された低金利と簡単な貸し付け+米国では日本からの資金流入が
低金利につながった→両国内で金融バブル(1980年代後半)」=
「円の為替相場を抑えるために取られた金融緩和という破滅的政策
→日本に少なくとも5,000億円の損失をもたらした=
銀行から借金した日本の投資家は賃貸収入では追い付かない程に土地価格を高騰させた+
米国の巨大な資産を次々に買収。←↓自民党と大蔵省の対米投資誘導政策の影響もあった。
## ↓∴損をした投資家の「自業自得」だけではない。↓
「最も巨額な投資がロックフェラー・センターとペブル・ビーチのゴルフ場で、どちらも
高値をつけすぎたため、いざ買い手がそれを手放した時には莫大な損失を被った」
「最大の損失を被ったのはこのような投資家ではなく、家を購入したくても手が出なく
なった一般家庭や、多大の借金をして不動産を購入した人達、さらには、金を貸し付け、
バブル崩壊後その担保では負債を補填できなくなった銀行」←
「当時は健全であった日本経済は、不健全な経済への資金援助のために、自国の経済均衡を
犠牲にする=インフレを誘発する米国経済が均衡を保てるよう、日本の通貨制度を不安定に
して米国と釣り合わせることを要求された(「釣り合い」と「均衡」は、不健全な経済を
健全にするのではなく、健全な経済を不健全+不均衡+インフレ過剰にすることで維持)
→日本は深い痛手を負った」
# 日本(←自民党)の「対米協力」は米国経済の金融化も加速。∴米国の民衆にも有害。
当時のレーガノミックス=巨額の財政支出+富裕者の税金削減+貿易赤字と財政赤字増
## 米国の財政支出増=軍事予算増↑なので、世界平和の観点からも有害。
but 金融緩和=金利は下げられた→通貨供給増と産業の空洞化」
→「その「治療」をするよう求められたのは米国民ではなく、日本」←
「日本はプラザ合意で米国の抱える双子の赤字に資金援助(「治療」=バブル経済)」
↑「貿易収支を埋める資金調達のために米国が金利を上げるのではなく、日本が金利を
下げ、経済水準よりも低金利であったドル建て債券に投資を促す状況」
→「日本は、米国への民間投資は儲かるという幻想を抱かせるために、経済を歪めた」←
「米国外交官→(圧力)→日本の高官→(米国への投資を働きかけ)→日本の民間投資家」
→「日本の投資家は前記ロックフェラー・センターやペブル・ビーチなどの投機で大損」
## ↓共和党におもねる金融政策で民主党に恨まれ、後に理不尽な貿易交渉を招く悪循環
「このように壊滅的な経済を作り出すことになった目的=
「米国:共和党候補者の再選を助ける+日本:大蔵官僚と自民党政治家の野望達成」
→「金融当局は、日米両国でのバブル現象が経済の歪みではなく『新世代の繁栄の本質』
であるかのように装った but 実際には日米両国の経済状況は歪んだものとなった」
→「利益になると考えられていたことが、実際には損失となった」
# マイケル・ハドソンが主流派経済学=「新古典派」経済学をJunkな経済学と呼ぶ理由
## ↑「J is for Junk Economics」∈著書。cf.R is for Rocket/S is for Space
「警告を発しなかった経済学者の「経済学」←とるに足りぬ、歪んだもの」=
「学問分野は極めて偏狭∵*経済の中には負債の諸経費が組み込まれている*、という
最も重要な現象について話し合うカリキュラムが含まれていない+
米財務省債券本位性という国際金融制度がいかに搾取的な制度かも見逃されている」
## 「経済の金融化」=「負債の諸経費(レント)が経済を空洞化するほど過大になる」
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