ある日の気づき

国際法観点からのウクライナ紛争関連政策提案

本記事は、「ウクライナ紛争関連記事の論点を「投書形式」で整理して見る」の続編で、
日本共産党へのメールによる意見送付を想定している(リンク集部分は送らない想定)。

[政策提案要旨]

結論から述べる。委員長自らロシア非難をツイートしたり、党機関紙にロシア非難の論説を掲載
するのは直ちにやめるべきだ。ウクライナ関連政策で最優先すべき課題は、れいわ新選組と共闘
して、戦時国際法の中立法規に反するロシアへの不法な制裁やウクライナへの兵站支援を止める
ことであり、いたずらにロシア非難を繰り返すことは、その課題を遂行する妨げになるだけだ。

[れいわ新選組の現実感覚を評価せよ]

まず、れいわ新選組の主張の正しさを認めるべきだ。紛争の一方の当事者であるロシアのみ非難
することが、現実的に紛争の早期解決に役立つ見込みはない。むしろ、日本が紛争の調停者たり
得る資格を失ってしまっただけだ。また、西側諸国のロシアへの制裁は、その反動で日本の国民
生活を深刻に圧迫する全世界規模のスタグフレーションを誘発しつつある。政治で重要なことは
何より結果であり、教条的理念による行動ではない。結果として予想されるスタグフレーション
への対策もなく、国際法に反する制裁や兵站支援の口実を作るだけの無責任な言動は慎むべきだ。

[日本国憲法第9条と国際法]

安全保障理事会での議決を経ない制裁は、国際法上は違法で、「戦争行為」と見なされる結果、
日本国憲法第9条に反する事を、下記の国際法学者の見解は示している。仮に可能性の問題で
あったとしても、「憲法第9条違反」問題を座視する事は、党の基本政策に反さないのか。

https://amgreatness.com/2022/03/08/sanctions-are-an-act-of-war/
'Emer de Vattel, the famous international law jurist, gives the classical understanding
of neutrality in his magnum opus, The Law of Nations, in Book III, “Of War.” 
There he observes, “Neutral nations are those who, in time of war, do not take any 
part in the contest, but remain common friends to both parties, without favouring 
the arms of the one to the prejudice of the other.”
 Vattel goes on to spell out what this means in practice:
As long as a neutral nation wishes securely to enjoy the advantages of her neutrality,
she must in all things show a strict impartiality towards the belligerent powers: for,
should she favour one of the parties to the prejudice of the other, she cannot
complain of being treated by him as an adherent and confederate of his enemy.
By leveraging financial and trade sanctions against Russia, the United States is not
 acting in “strict impartiality” toward the Ukrainian and Russian participants in 
the current conflict. The United States has become a belligerent on the side of 
Ukraine and against the Russian government.
This is unconstitutional. Under the Constitution, only Congress can declare war. 
At most, the president can respond to a direct attack or invasion. But Putin has not 
attacked the United States. Yet Biden has unilaterally abandoned neutrality against 
the Russian government.'

中立法規に反して武力紛争の一方の当事者に肩入れすれば、他方の当事者からは、敵国として
扱われても異議を唱えられない。つまり、交戦国として武力紛争に参加した事になる。米国に
おいても、議会承認を経ずして「戦争状態」に入るのは憲法違反だと述べられている。ならば、
日本では無条件で憲法第9条違反になる。

兵站支援の問題は、さらに深刻だ。制裁と同様に「中立法規への違反」であることが明らかで
あるほか、下記の国際司法裁判所 (ICJ) の判例において「武力行使または武力による威嚇」と
明言されているからだ。なお、この判例は、武力不行使原則、および例外としての自衛権発動
要件について具体的かつ画期的な判断を行った判例として、国際法解釈上、重要視されている。

https://hiro-autmn.hatenablog.com/entry/2015/06/16/211528
【国際法判例】ニカラグア事件(ICJ本案判決)

ここまでの議論に関連する国際法は、戦時国際法の一部である中立法規、国連憲章第2条4項、
および国連憲章第51条であるが、適用対象として想定したのは日本国自体の行為であるため、
事実認定を問題にする必要はなかった。しかし、国際紛争当事国に対する国際法上の判断に
際しては、適用法規が何であるかと共に、事実認定を適切に行うことが決定的に重要となる。

[国際法による司法的判断での注意点]

さて、個別案件に対しての法的判断は、司法の機能と言える。国連において司法を担当する
機構は、安全保障理事会と国際司法裁判所であって、国連総会ではない。国連憲章の第4章
から第7章までと第14章を参照せよ。安全保障理事会は国際政治の駆け引きの場となっている
側面もあり、判断基準や手続きが明確で客観性のあるものとは言い難い。従って、国際法を
何らかの個別案件に適用する際の判断では、国際司法裁判所での審理のありようを模範とする
ことが、一つの見識と言えるだろう。

ところが、昨今の日本の言論状況において、ウクライナ紛争への国際法の適用についての議論
には、上で例示した水準での見識は、かけらも見られない。各政党の代表者/有力者の議論も、
例外ではない。現状、国際法への不用意な言及を避けているれいわ新選組こそ、最高の見識を
示していると言えるだろう。

国際法よりなじみ深いはずの国内法の個別案件への適用、つまり、一般的な裁判を思い浮かべ
れば、法の一般原則について、ある程度の常識的判断は出来よう。さて、裁判で一方の当事者
の言い分だけを聴取し、専門家による調査/捜査結果による慎重な事実認定を経ずして判決を
下す事は、いかなる意味でも正当性を欠く。しかるに、昨今の日本では、ウクライナ紛争関連
での国際法に関する議論は、全てこんな有様だ。しかも、裁判での判決は法の専門家(裁判官/
判事)が、双方の当事者を代表する法の専門家(弁護士/検事)の提示する論点を考慮して、
適用法規を慎重に選択し、法の諸原則に基づいて行うものだ。国際法上の判断が、国内法上の
判断に比べて容易で、素人でも簡単にできるなどと思っているなら、不見識もはなはだしい。
国際法の基礎を学ぶだけでも、ロースクールで何学期かはかかるのだから。

[国際法解釈時に重要な法の一般原則]

例えば、国際法では、国内法と違い「自助(自力救済)」および「復仇」が認められている。
国内法と異なり、主権国家間の国際法では、強制力を持つ執行機関など存在しないためだ。
よって、他者による違法な行為によって受けた損害を回復するための行動、あるいは相手から
受けた損害と同程度の損害を相手にも与えることで、相手のさらなる不法行為を抑止しようと
する行動は、単独では違法であっても、その違法性が阻却され、合法となる。この原則を考慮
すれば、過去の経緯を無視し、一時点だけの行為について合法/違法を論じる事は許されない。
この点だけを取っても、昨今の日本での国際法談義の大半が無価値なのは明らかだ。さらに、
「衡平の原則」によれば、関連するあらゆる事情を考慮し、慣習法や成文法(の条文)だけに
拘泥せず、実質的公平性を確保すべきとされる。さらに「信義誠実の原則(信義則)」からは、
関係者が取り交わした約束と、振る舞いとの一貫性の確認が、公正な判断に不可欠とされる。

[クリミアとドンバスの独立に関連する国際法事情:コソボ独立との比較]

さて、クリミアやドンバスの独立について、昨今の日本での国際法の議論では言及されない事が
多い重要なポイントがいくつかある。まず、国際司法裁判所が 2008 年のコソボ独立に対して
事後的 (2010年) に発した「勧告的意見」により国境不変更の原則はいわば反故にされ、以前に
同じ地域を領土としていた主権国家の承認なしに独立を宣言することが違法とは言えなくなった。
クリミアやドンバスの独立は、国際司法裁判所の前記勧告的意見の後に行われた。さらにコソボ
独立宣言は、その議会の決定によるものだが、クリミアやドンバスの独立は、住民投票の結果に
基づいている。なお、国際問題になった時点で、国内法に照らしての合法/違法の論議は意味を
失っている。国際法に照らしての合法性の観点と、どちらが民意を明確に反映しているか考えて
見れば、コソボ独立を無視し、クリミアやドンバスの独立を違法だと簡単に決めつけている議論
全てが無価値なことも明らかだ。さらに、2014年のウクライナの政変はクーデターであり、その
結果として成立した政権に正当性はなかった。この政変には、アメリカの不法な干渉が認められ、
例えば、政変後の政権メンバーをアメリカの国務省の要人が事前に議論し、結果その議論通りの
顔ぶれになった事実が、アメリカ国務省が本物と認めた通話の録音が流出したことで確認された。
つまり、アメリカの間接侵略により成立した傀儡政権と見ることができる。また、クーデターで
成立した政権が最初に制定した法律は、ロシア語を公用語から排除する、ロシア語話者住民への
差別法案だった。そして、クリミアとドンバスは、ロシア語話者が集中して居住している地域だ。
さらに、「オデッサの惨劇」という事件でロシア語話者の住民が数多く殺害されたにも関わらず、
当局が犯人捜査をしないという事態に及んで、当初の「州内の公用語決定権」を含む自治権拡大
要求の住民投票が独立の是非を問う住民投票に変わったのが、ドンバス独立の顛末。クリミアは
最初からクーデター後の政権を危険視する声が高く、すぐに独立の是非を問う住民投票となった。
なお、住民投票に先立ちロシア軍が侵攻したという話は事実誤認である。ロシア軍はクーデター
以前の政府との協約により、最初からセヴァストポリに駐留していた。

[バングラデシュ独立戦争とウクライナ紛争の類似点]

ところで、クリミアやドンバスの独立と今次ウクライナ紛争を一連の出来事と見ると、状況の
全体像にバングラデシュ独立戦争+第三次印パ戦争と共通点が多いことにお気づきだろうか。
人為的国境による有力2言語の併存、一方の言語話者の特定地域への集中と、その地域を基盤と
して選挙に勝利して成立した政権がクーデターで倒された事、クーデター後の政権は、その前の
政権が支持基盤とした言語話者への差別的政策を実行した事、重大事件(サイクロン被害救援/
オデッサの惨劇)対応を不満とした独立宣言、そして最後に地域最大の国が、独立した国を支持
して武力介入。なお、どちらの場合も地域最大の国は独立を抑えようとした国の領域に侵入した。

[西側諸国および西側諸国主体の国際機関は 100% 公正と言えるのか]

少なくとも、形だけでなく、真に公正な事実関係の調査と法的側面の吟味なしには、法的判断を
下すべきではない。例えば、OSCE がドンバス地方でウクライナクーデター後の政権が行ったと
推定される犯罪を調査した際、下記で説明されている手心(意図的不正)を加えたとも見える
不審点がある。従って過半のメンバーが西側諸国である OSCE の調査が、ロシアやドンバスの
両共和国の視点から見ても公正であると即断してはならない。

https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12733195168.html
西側のプロパガンダに公的資料で反論する【ウクライナ情勢】②
2022-03-22 06:45:52

]https://ameblo.jp/cargoofficial/entry-12734931557.html
西側のプロパガンダに公的資料で反論する【ウクライナ情勢】⑤
2022-03-31 21:32:03

なお、上記資料で存在が示されている「ドンバスでの虐殺」が、「衡平の原則」で考慮すべき
事情に含まれる事は、言うまでもないだろう。

[国連総会でのロシア非難決議の問題点]

また、ロシアが国連憲章第51条の集団的自衛権についての規定を根拠に武力行使に踏み切って
いることを無視した議論や、集団的自衛権行使が不当だと法的根拠を示さずに断定する議論は、
いずれも無価値である。兵站支援が武力行使や威嚇に当たることの根拠として引用した判例で、
集団的自衛権での「集団」全てが主権国家であるか否かは、争点になっていない(アメリカは、
ニカラグア反政府勢力との集団的自衛権を主張した)。争点(アメリカ敗訴の判決の論点)は、
「武力攻撃を受けた国ないし集団が第三国に救援を求めたか否か」だ。ロシアの武力行使は、
ウクライナ政府軍の武力攻撃を受けたドンバスの両共和国から救援要請を受けた後に行われた。

従って、ドンバスの両共和国を国家と認めない立場をとっても、ロシアの集団的自衛権行使を
非合法と断じる論拠にはならない。さらに、ドンバスの両共和国は 1933年のモンテビデオ条約
第一条の規定する国家の 4 要件を満たすので、国家と判定される。なお、現在の通説では他国
による承認は、国家の要件に含まれない。仮に国家承認が必要という立場をとっても、条件は、
ロシアの承認で満たされた。なお、「西側諸国の承認」に国際法上の特段の意味は存在しない。
また、国家承認は各主権国家の専権事項であり、ロシアによる国家承認の効力は、他国が何を
どうしたところで、何の影響も受けない。

さて、先に国連総会の機能に司法権は含まれない事を指摘した。国内法での裁判では主文の後、
必ず「判決理由」が述べられる。つまり、司法判断には、法的根拠と事実認定を説明する責任が
伴う。ロシア非難と即時撤退勧告決議では、事実認定に必要な、全当事者からの事情聴取もなく
事実の調査も実施されず、単に採決をとっただけである。こんな「多数決」は、「吊し上げ」や
最悪の意味での「人民裁判」に他ならず、法的有効性は、かけらもない。もし、こんな議決に
少しでも有効性を認めれば、国会での強行採決の不当性を糾弾する根拠は、なくなってしまう。

上では、法の一般原則についての常識的判断で、国連総会のロシア非難決議は不当かつ無意味
であることを見た。さらに、国連憲章の条文、具体的には第12条1項に明示的に反している事を
指摘しておこう。

第12条 1 
安全保障理事会がこの憲章によって与えられた任務をいずれかの紛争または事態について
遂行している間は、総会は、安全保障理事会が要請しない限り、この紛争又は事態について、
いかなる勧告もしてはならない

ここでの「勧告」の意味は、第10条で規定されている。

第10条
総会は、この憲章の範囲内にある問題若しくは事項又はこの憲章に規定する機関の権限及び
任務に関する問題若しくは事項を討議し、並びに、第12条に規定する場合を除く外、この
ような問題又は事項について国際連合加盟国若しくは安全保障理事会又はこの両者に対して
勧告をすることができる。 

すなわち、国連総会の機能は「討議」と「勧告」で、「勧告」は「国際連合加盟国若しくは
安全保障理事会又はこの両者に対して」行われるもの。そして第12条で規定される場合には、
「勧告」はできない(「討議」は可能)。

さて、ロシアは、国連憲章第51条に基づいて武力行使したことを思い出そう。

第51条
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障
理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の
固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに
安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和
及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び
責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

ロシアは「自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなけ
ればならない」との規定通り、当然、安全保障理事会に報告した。仮に報告がなくても、また
報告の前であっても事態を認識していれば、安全保障理事会が「国際の平和及び安全の維持
または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任」を果たす
ことができる。つまり、少なくともロシアによる報告後、ウクライナ紛争は「安全保障理事会が
任務を遂行」する対象となった。よって、ウクライナ紛争に対し、第12条の前提が成立したので
国連総会はウクライナ紛争に対し、安全保障理事会が要請しない限り「いかなる勧告もしては
ならない。」

「安全保障理事会による」要請には安全保障理事会での議決が必要。ロシアと中国が拒否権を
持っている以上、「安全保障理事会による」要請はされていない。第35条の1項に基づいて、
アメリカが総会に「注意を促した」に過ぎない。

第35条 1 
国際連合加盟国は、いかなる紛争についても、第34条に掲げる性質のいかなる事態についても、
安全保障理事会又は総会の注意を促すことができる。

以上から、国連総会によるウクライナ紛争に関する「議決=勧告」は国連憲章第12条違反。
このような違法な国連総会決議を推進/ゴリ押ししたアメリカの責任こそが問われるべき。
アメリカが、国連総会決議を、その法的意義によらず単なるプロパガンダ手段として扱った
事は明らかで、国連憲章を始めとする国際法軽視の現れとしか、考えられないからだ。

[国連総会への幻想の排除]

国連総会は、「国会が国権の最高機関である事」との類推で幻想を抱くべき機関ではない。
国連の権威を代表する機関は安全保障理事会だし、そもそも「一国一票」の原則に由来する
制約から逃れることはできない一方、「一国一票」に代わり得る原理も容易に見い出せない。
国連総会の票は買収可能であることも現実の一つだ。下記事例では、トランプ政権が公然と
圧力をかけていたが、通常は「外交ルートを通じて内密に伝える」だけで済む。

https://www.jica.go.jp:443/aboutoda/odajournalist/2017/416.html
国益と援助の陥穽を考える

この限界は、国際法解釈における專門的能力の必要性と並び、国連総会に司法権を与えられ
ない理由と言えよう。

[今後の国際政治戦略に対する考え方]

これまでに指摘してきた「国際法解釈における大きな誤り」のどれかを含む主張を繰り返せば
少なくとも「歴史の審判」での名誉を失うだけでなく、最初に述べた通り、日本国民にとって
有用な政策遂行の妨げになる。

さらに、ロシアへの「制裁」やウクライナへの「援助」がロシア、ドンバスの両共和国国民、
ウクライナ国民だけでなく、世界経済への負の影響を通じて、日本自体を含めた多くの国の
国民を苦しめるであろう「結果」が予想されるなかでは、そうした政策全てに断固反対する
べきだ。具体的には、れいわ新選組の方針を基本として政策協議に入るべきだ。

西側諸国特にアメリカと国際交渉で対決する事になると予想されるので、対決時の論点を用意
しておく必要もある。ウクライナ紛争の早期停戦実現に有効な手段は、ロシアへの圧力ではなく、
西側諸国の一部に見られる「紛争長期化から利益を得ようとする傾向/動機」の抑制策である。

[西側諸国、特にアメリカの論理の問題点]

現在の国際情勢における「歪み」の最たるものは、過去8年のドンバスでの人道的危機が西側
言論空間では、なかったことにされている点だ。さらに、ロシアや中国の指摘するウクライナ
国内の生物学研究所における生物兵器開発疑惑について、アメリカに説明責任を果たすよう、
求めるほか、NATO 諸国経由のウクライナへの武器移転は、武器貿易条約第6条3 ないし第7条に
違反している恐れがある点について調査を呼びかけるべきだ。
ウクライナにおける少年少女兵の存在や戦時国際法/国際人道法軽視の調査も必要だ。こうした
論点は、紛争の長期化傾向に歯止めをかける際、西側諸国に圧力をかける材料として使える。

[ウクライナ現政権が傀儡政権である可能性をも考慮しておくべきこと]

そもそも、ウクライナへの武器移転によって、ウクライナが軍事的勝利を得る見込みはなく、
程度は不明ながら、結果としては戦乱の長期化しかあり得ないだろう。最初に制空権を確保
したロシア軍が近代戦において極めて有利なことは動かない。

[戦乱長期化による利益を得ようとしている主体]

まず、直接の金銭的利益をも得ようとする、下記の国際金融機関や軍需産業の動きを警戒する
必要がある。融資条件緩和や負債減免の国際世論を喚起することが対策になりうる一方、放置
しておけば、あらゆる方法で戦乱の長期化が画策されるであろうことは想像に難くない。

https://twitter.com/KanAugust/status/1512287771121094656
ウクライナの不都合な真実:金融編
https://ameblo.jp/sayamayotarou/entry-12736818481.html
狭山与太郎のどですかでん 何やってんだか

さらに、より基本的な視点は、アメリカを始めとする西側諸国は、ロシアを仮想敵国と見なし、
その体制変更による属国化、例えば、エリツィン大統領時代の状況を再現しようとしていて、
その手段として、ソ連にとってのアフガニスタン紛争の再現を、ウクライナを利用してロシアに
仕掛けようとしているという見方だろう。少なくとも、この観点からの状況注視は、不可欠だ。
ただ、少なくとも、ロシア中央銀行の準備金差し押さえや国際決済機構 SWIFT からの排除など
前代未聞の荒っぽい制裁も、急速なロシア体制変更につながる兆しは見られないし、ロシア側も
簡単に西側諸国の思惑通りに動くとは思えず、さまざまな対応策を講じることは明らかだ。

[ロシア側の予想される出方]

まず、ロシアがクリミアやドンバスを手放すとは考えられない。これらはロシア人の居住する
地域で、黒海航行の安全保障上の要地であり、何よりモスクワに近すぎるからだ。西側諸国や
ウクライナがロシア国境周辺での武器大量集積およびロシア語話者を迫害し、自治権拡大要求
にも応じない姿勢を早期に転換していれば、ロシアと妥協が成立する可能性はあっただろうが、
ロシアの言う「レッドライン」を越えてロシア圧迫政策を継続した西側諸国とウクライナは、
もはやロシアにとって信頼のおける交渉相手でなくなった。ロシアの対応は、西側への不信を
基礎にするものとなり、交渉条件は「相互不信を相互の了解事項とする」ような性質になると
考えられる。

[国際法が関連する政策の立案/推進方法について]

不用意に素人考えで国際法について言及することは避け、例えば下記の手法による。

国際法の専門家を招いてレクチャーを受け、必要に応じて政策内容について相談する。
日本人の国際司法裁判所判事にコンタクトを取り、助言してもらったり、各国の判事の
意見を探ってもらう。現在は、岩澤雄司↓氏。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E6%B2%A2%E9%9B%84%E5%8F%B8
国連憲章第96条1項に基づいて国際司法裁判所に勧告的意見を要請する動議を行う。

[Web 上の情報源]

今後の国際関係政策、特にウクライナ問題に関連する政策検討に、役立ちうるリンク集。
国際連合憲章
国際連合憲章(日本語公定訳)
+ 国際連合憲章(英語正文)
国際法学習のリンク集
国際法判例
Cargo official Blog
+ ウクライナ情勢 リンクまとめページ
寺島メソッド翻訳NEWS
マスコミに載らない海外記事
DEEPLY JAPAN 
櫻井ジャーナル
田中宇の国際ニュース解説
+ ロシア・ウクライナ関連記事集
https://note.com/14550/n/ne8ba598e93c0
スイスの元軍事情報将校
「ウクライナで何が行われ、何が起こっているのかを実際に知ることは可能なのか?」
http://exakta.sblo.jp/article/189420373.html
彼はKreshchatykのいくつかの木にぶら下がるだろう
Why Russia’s Intervention in Ukraine is Legal Under International Law
(↑Internationalist 360 の記事)

update: 2022-04-26 11:48 : 単語抜けなどの問題のあった文章の修正
update: 2022-04-26 12:00 : 助詞修正。は→の
update: 2022-04-27 05:41 : 字句修正2箇所。
update: 2022-05-24 17:35 : フォント修正、タグ #国際法 を付与。
update: 2022-06-24 12:48 : フォント修正、節にidを付与(他記事からの参照用)。
update: 2022-09-23 02:42 : リンク動作修正、字句修正

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「国際法」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事