ヘチマカス

「泣いてみようとしたが泣けなかった…」「笑ってみようとしたが笑えなかった…」そんな心の不感症カモンが送る無意欲文章群。

日本放送協会 Vol.3

2006-06-29 | Weblog

あれは、20年くらい前だったかな。家族みんなでテレビ観てて、
おれも小さかったからね、そんなに鮮明に記憶してるわけじゃないんだけど、こうゆうことがあったっていうのは、確実に今でも覚えている。

なんか、NHKで、アナウンサー公開オーディションみたいな感じの番組を、生放送でやってたんだよ。
アナウンサー志望と思われる若者が、当時のおれからしたら、相当なお兄さんとお姉さんだよ、それが、横一列に並ばされてて、文化系の偉そうな審査員たちから、質疑応答や、早口の試験なんかを、やらされてた。

で、そのうちの1人の男が、結構優秀な感じで、そのオーディションの中でも群を抜いてたっていうか、もう合格者はこの人しかいないだろうみたいな空気が流れてたんだ。

審査員がみんな褒めるからね、子供のおれでもわかるくらい、この人で間違いないでしょうみたいな、決定した空気で、オーディションは進行してた。

その証拠にね、番組の後半に差し掛かって、審査員の一人が最後の質問とか言って、ある一つの問題をその男にだけ、投げかけたんだよ。

最後の最後だ、今一度君の実力を確かめさせてくれって、いわんばかりに、その男の人にだけ、投げかけたその質問っていうのが

「今このテレビで、放送コードに引っかかるか引っかからないか、ギリギリの言葉を考えて、それをカメラに向かって、叫んでください」っていうものだった。

頭の回転の速さと、教養が一瞬にして量れるからね、「いい質問ですね」ってほかの審査員も絶賛だったんだけど、男にしてみたら、緊迫感っていうか、その質問は危機迫るものがあったと思うよ。

決して、やさしい質問じゃないし、生だしね。

で、一瞬間が空く感じで、

質問した審査員が「(準備は)いいですか?」って。

男も、「・・・・」「・・・はい、できました」って。

その時点で緊張感は最高潮。
観てるこっちも、手に汗を握り潰しながら、瞬きするのも忘れて画面に釘付けになってたよね。


男はカメラをさがして、審査員も固唾を呑んで、

男がカメラ目線になって、審査員が「それでは叫んでください」って、

その合図で、

男が叫んだ言葉が












「ドピュッ」














もう、何が起こったか、わからない。

いや、大人はみんな気付いていたのかもしれないけど、子供のおれには、意味がわからない。


「ドピュッ」ってなに?

「ドピュッ」って、いい子?

「ドピュッ」のところに、サンタさんは、くる?



って感じ。

つむじの上には、ハテナがいくつも、飛び回ってた。

けど、審査員が言葉を失ってるのと、親がテレビを慌てて消したの見て、ああ、きっとなんかやっちゃったんだなあっていうのは、子供のおれにも伝わったよね。

そのあと、結局、その番組が、その男が、どうなったかなんて、おれには、わからないけど、
大人になって、さすがに、「ドピュッ」が、どういうことかは、わかるようになった。









「ドピュッ」に、サンタさんはくるよ。












子宝という、おっきなプレゼントを、持って。












小さいけど、おっきな袋に入れて・・・






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