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厚生年金基金事務長奮闘記-13

2010年08月21日 | 厚生年金基金

4.業務委託ⅠA型と指定法人

①ⅠA型

厚生年金基金の業務については、規制による整合性維持のため文書化が必須となり膨大なペーパー(1例として、選挙事務の煩雑さが典型であり、2年ごとの総選挙にA4サイズの文書を80枚程準備しなければなりません。

それに加えて、母体企業や労働組合の人事異動により改選手続きが同様に行われます。)が作られ保存されます。

日常業務はその繰返しばかりで、定形化と省力化を図らなければ職員はスポイルされ、事務所に無力感が充満するだけであります。

業務の機械化がされず、業務委託形態がⅡ型のままである事務所(その上、給付形態が代行型であったりすれば尚更)には、一般的にこのような<無力感>が支配していて、自主性とか改善意識とか自己責任等という前向きな姿勢は育まれないと見てよいでしょう。

この場合の<無力感>という言い方は多分に民間的な感覚であって、行政から出向・転籍して基金業務を行っている総合型基金の人たちの感覚ではないようです。むしろ、業務を行政レベルの組織で行っているだけのことであって、業務を我が身に近付けない理性的・客観的対処(?)をしているだけのことです。民間は業務を余りに感情的に行うというのが行政サイドの見方でしょう。

これとは別に、民間出身者でも日本の場合の総合職のサラリーマンであれば、業務を我が身に近付けないで母体企業組織の都合を最優先に行動するのが一般的です。

始めに組織ありきがサラリーマンであって、個人は抹殺されるのです。その意味では「滅私奉公」という言葉は江戸時代の慣用句ではなく、現代サラリーマン用に作られた新造語ではなかろうかと考えてしまう程であります。

このような危うい土壌に基金事務所は置かれていて、最近言われ始めました「受託者責任」等というアメリカ生まれの考え方は現代日本ではナンセンスそのものであり、現代サラリーマンのカリカチュアです。

ピュアな心情が失われているからこそ、「受託者責任」等という問題に脚光が当てられるということではありましょう。米国のERISA誕生以前、英国のマックスウェル事件当時と同じような状況に置かれているのでしょう。

ところで、ここに今一つ基金の年金給付に誤解というか、理解されていない点があるので触れておきたいのです。

定年後、年金を受け始め数年してから電話がかかってくる事例なのですが、加入員時代に基金がどんなに説明してもどなたでも皆さん聞き逃すことです。

 それは、基金の退職年金が一般的には一度年金額が計算され年金証書が交付されたら、<終身同一額>であることに起因する疑問です。

年金を受け始め暫くすると、銀行の預金通帳に記帳される基金の年金額がなんだか変ですと思い始めるようである。

「厚生年金は増えるのに、基金の年金はどうして変わらんの?」「一生、同じ額なの?」「なら、振込通知は毎度毎度いらないじゃないの?」・・・という、素朴な疑問です。





この問いあわせに対する回答は、「基金では皆さんから物価スライド分の掛金を頂いていませんでした。」ということになるのですが、これをまた理解して頂くのが至難の業になります。

厚生年金と基金の保険料・掛金それに年金給付の仕組みを順々に説明しなければなりません。厚生年金の後代負担の賦課方式と基金の事前積立方式の違い、基金の代行分に対します物価スライドによる増額分は厚生年金から支払われる等々制度の仕組みを説明し始めたら、ドブドロにのめりこむことになります。

へたに説明して疑いを招くより、シンプルに「掛金もらっていませんでした」と言います方が皆さん安心されます。

基金では「知らしめず」の意図があるわけではないので、詳細を聞きたがる人にはそれなりに説明していますが、質問者の理解の程度に応じて説明するのが実務担当者のテクニックとなっています。しかし、反面事前の説明・広報・情報開示等については一般的に関心を示さないのが普通であり限界があります。今後は、基金のホームページ等の開発により、個々人が知りたい時に見られる状態を作り出す対応を研究していくことも必要になりましょう。

ところで、先の年金振込みの記帳のところで<事務代行業者>による振込みが行われている事例がありましたが、この点についても触れておきましょう。

基金の年金支払についても、適格年金(会社の退職金の年金化)でも<事務代行業者>
による振込みが一般的です。

ここにちょっとした落とし穴があることを、或る年金受給者の「○○生命からもらっている云々」という話で教えられたことがあります。

年金振込みの実情は、金融行政の囲い込みがあり資金決済業務の可能な業者が限定されており、適格年金の場合は、全て企業の退職金の支払いを<事務代行業者>である生命保険会社、又は信託銀行が現状独占的に取扱っています。

基金の年金の場合も、当該基金の業務委託形態がⅡ型又はⅠB型の場合、同じく<事務代行業者>に年金振込みを行なわせています。

余談ですが、縦割り行政の弊害で、郵便局で年金受取を希望する人の年金は現行銀行から郵便局に資金決済が出来ないので、現金をいちいち郵便局の窓口に持参しなければならないという超非合理が30年間もまかり通っています。

適格年金の場合は通常15年又は10年、基金の場合は終身に渡って年金給付が続けられます。

通常、年金の支払いは隔月払いですから、毎度毎度、15年から10年、或いは終身に渡って、<○○生命、●●信託銀行から年金振込み>が繰り返されれば、人の情として○○生命、●●信託銀行が<事務代行業者>であるということは忘れ去られ、○○生命、●●信託銀行が退職金や年金の支払者ですかのように錯覚され、本来の支払者である企業の名前なぞどこかへ消え失せてしまうことになります。

こういう実態について、企業経営者は年金が確実に振り込まれていれば「そんなことはどうでもいいですよ!」とサラリーマン的経営感覚で対応するのか、それともストックオプシ
ョンが始まりましょうという時代に従業員の貢献もさることながら企業の貢献も末長く元従業員に反映されてしかるべきだとオーナー的に考えるか、であります。

基金の職員としては、年々の年金振込みを通じ末長く元従業員と企業との接点を保っていくところに企業文化がありますと感じるのは、単に業の故だけではないと考えられます。

ABC基金では、以前Ⅱ型又はⅠB型であった時は上記のような問題がありましたが、平成元年にⅠA型に移行してからは年金受給者の通帳に毎度毎度「ABCキキン」という名称
を記帳させています。(とは言っても、自基金でつくりましたデータをフロッピーで渡していますだけのことなのですが。)

このことの意味は上記のようなことですが、これを理解・承知しひとつのポリシーだと考えている人は基金関係者には皆無に近いのではないでしょうか。基金一般の世界でも、こんな事は誰も問題にしていないのですが。



総務部はエリート職場だ。歴代はもっと上の地位についている。やめましょうと
言ったら「気が狂ったと思われるだけ」。総会屋への融資などあってはならない、
とほとんどの銀行員は思っているが、「ノー」という人は総務部長にならない。
銀行は人気職種だ。有名大学で「優」をたくさん取らなければ採用されない、と
いわれる。優秀な人材を集めているのだが、「優の数は柔順度の指標でもある」と
都市銀行の人事部長が言っていた。

平成9年6月11日朝日新聞朝刊:
山田厚史「犯罪招いた柔順主義」-金融界の物差しに狂い




②指定法人

99.9%の基金関係者が見たことのない文書をコピーしましょう。何か言うことがあるでしょうか。ここには、基金の世界のとんでもない実情が隠されているのですが、・・・・・・・どうご覧になるでしょうか。見る人が試されることになるでしょう。

 無料で、次ページの記の業務を引き受けましょうという申し出文書です。
(挿入:業務委託契約解除通知文書)



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