伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

スペインで活躍する大沼さんが故郷・遠野で個展

2012年09月30日 | 遠野町・地域
 遠野町にある「ミモザ」で大沼博暉(ひろてる)さんの個展「大沼博暉・復興への祈りふるさと特別展」が開かれ、最終日の9月30日、観覧してきました。

 大沼さんは遠野町入遠野小学校、中学校を卒業し、現在はスペイン・トレドに住んで創作活動を続け、スペインで王立学士院美術準会員となっている洋画家です。震災で被害を受けた故郷に支援をの思いから特別展を開くことになったそうです。

 トレドの街を描いた作品は人体像が隠されていたりいたずら心にあふれ、オレンジの香りがしてきそうな作品や、りんごが横一列に並ぶ絵はエル・グレコが描いたキリストの着衣の赤に着想を得た作品とか、闘牛を描いた作品はレンガの模様も描かれ、どうも壁画を画布に写したイメージ、大沼さんの世界館があふれる作品が並んでいました。

 父の故郷の入遠野に疎開した大沼さんは、小学校、中学校の時代には、図画・工作の時間は好きではなかったといいます。画用紙が高い上に、道具を学校に持って行くことが重くて大変(書道も同じ理由で好きではなかったとか)だったからだとか。

 その大沼さんがなぜ画家になったのか。高校時代の友人と恩師との出会いが道を決めたようです。

 中学卒業後、父が背骨を折って伏せていたことから、いったん希望して就職したものの、やはり勉強をしたくて1年6ヶ月で退職。東京に出て新聞配達をしながら生活を支え、合格した都立広尾高校で美術好きの友達と出会い、美術部に入部したそうです。

 顧問の教師は「貧しい生活になるかもしれないが、お前は画家になれ」と勧め画材も買ってくれた。もっとも先生は買い与えたものではなく、後でお金を払うんだぞと言ったとか。実際、お金を払ったかどうかは確認しませんでしたが、今でもその画材箱を使用しているとも話してくれました。大沼さんは、絵を描き(構想を練り、考えを深めていく過程ですね)、友だちの影響などで文学作品などを読む中で(ここでも自分の考えを深めたようです)、画家として生きていくことを決意したのだとか。「それまでも、それなりのものを書いていたのだと思う」とも話します。

 作品は明るい色調で、心を和ませてくれます。日本で創作していた頃は、暗い作品が多く、「見せたくない」とおっしゃる大沼さん。雨が多い気候と子どもの頃の体験などが、作品に投影されていたようです。今の作風は地中海に面したスペインの気候・風土が解放した心からにじみ出す風景なのでしょう。

 写真の作品の他(実際の作品は鮮やかな色彩でした)、村を描いた作品、りんごを描いた作品、オレンジの作品も良いと思うのですが、ちょっと経済的には無理かな。残念。



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