伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

花粉光環の浮かぶ空の下、コウゾのしょしとり作業が続く

2023年03月01日 | 遠野町・地域
 前回のボランティア活動時に、楮の枝から皮を剥く作業は終ったと書いていたが、実は、ボランティア団体管理と別の楮の枝があり、その枝を蒸して皮を剥く作業と並行してしょしとりを進めた。



 写真は、楮の枝を蒸すために釜に楮の枝を設置している様子だ。このように枝を立てて釜に入れ、2時間ほどかけて蒸し上げる。
 この後に枝から皮を剥き、この皮から表皮(黒皮)とその下層の甘皮(緑色の薄皮)をはぎとり、白皮を残す。この作業がしょしとりだ。
 しょしとり用の台に皮を乗せて包丁をあて、皮をつまんだ手で引っ張るようにしながら表皮を剥きとっていく。



 もう少し詳しく記述すると、皮の根元に近い部分をほんの少し削ぎとって、剥がした甘皮を手でつまんでひっぱり剥がしとる。剥がし残した不用な皮を包丁で削いで立ち上げつまんで剥がすを繰り返し、不用な皮を全部をとったら白皮となる。私のやり方だが、この繰り返しで白皮を作り出す。

 以前は、甘皮の下層のサツマイモっぽい黄色の皮も削ぎ落としていた。このやり方だと、包丁で全幅を削ぎ落とした方が合理的だった。しかし、今期からは残している。乾燥作業などで太陽光に当てていると色が抜けて白くなる。残しても基本的に問題はないようだ。そしてその分、皮からとれる繊維も増えることになる。

 私の最近の作業は、しょしとりした皮の乾燥作業にほぼかかりつけになっている。遠野の場合、白皮をピンチハンガーにかけ天日にさらして乾燥する。ハンガーにかける際に、取り残しの塵(汚れや木の節など)などを見つけ除去することがある。今シーズンからは白皮についている黒皮のカスなどの塵も洗い流している。和紙を漉く繊維を作る際に塵取りという作業をする。白皮に残ったゴミや汚れを取り除く作業でなかなか大変な作業だ。できるだけきれいな白皮にしておけば、この大変さが軽減されるかもしれないと考えたからだ。

 みなさんが作った白皮を預かって水洗いし、皮を点検しながら残った節や汚れを取り除く。




 これに中々時間がかかり、結局、皮をきれいにする作業ばかりをすることになってしまった。このため最近は別のボランティアが皮を干す作業を進んでしてくれることになった。



 昨日、今日の作業は温かい日和の中の作業になった。
 そして学舎の周辺は杉が林立する山ばかりだ。恐ろしい程にスギ花粉が舞い飛んだようだ。昨日、花粉光環が空に浮かんだ。今シーズンは2度目の目撃。電柱に隠れた太陽の周りに現われた光の環が見えたのだ。





 花粉光環の浮かぶ空を航空機が横切った。高い空を飛び去る航空機は、羽田や大阪、あるいは韓国、中国や東南アジアに向かう便だと思う。
 夕方の空にも見えていた。



 今日も花粉光環が見えた。




 花粉が多かった証だ。花粉症の私にとっては恐ろしい。
 鮮やかな彩雲も浮かんだ。



 入遠野上空もよく航空機が通る。私の自宅で見るよりも低空で、機体が大きく見える。



 機体は大韓航空機。たぶん成田行きの便が高度を下げながら空港を目指している。我が家よりも、学舎付近の標高が高いから大きく見えるのだろう。

 学舎での保存会ボランティアの活動はこれからも続く。スギ花粉が早くおさまればいいのだが。

 ちなみにこの2日間は、午後から首都圏の若い会社員や会社経営者が参加したワーケーション事業を受け入れた。
 事業は、こうした若者達に対象となる事業の見学や体験をしていただき、それをもとに事業の活性化策などの意見を発表してもらうものだ。
 初日は午後から黒皮むき(楮の枝から皮を剥きとる作業)、しょしとり、塵取り、打解の作業を体験していただき、遠野和紙の状況について質問に答えた。




 2日目は午後から、それぞれの参加者が考えた遠野和紙振興策の意見を聞いた。4人の参加者は、それぞれ工業デザイナーや会社広報担当者、IT関連コンサルタントやネット通販の会社経営者。
和紙によるチケット製造と回収チケットでの漉き直しの循環を生み出すことで遠野和紙の魅力をアピールする意見、
企業とのコラボレーションで遠野和紙を活用した製品を作り、この活用で地元でのイベントとネット中継を実施して遠野町に人を呼び込むとした意見、
人生の幸せを感じる節目に活用する行政文書に県のポケモンをデザインした和紙を活用してしあわせ和紙をアピールする遠野和紙の知名度向上をはかる意見、
全国や首都圏に知名度の高いいわきFCやスパリゾートハワイアンズなどとコラボした商品開発やイベントで殿和紙の知名度を向上させる意見が発表された。

 それぞれの意見は興味深いものだった。今後の保存会の取り組むの参考にさせていただければと思った。



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