伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

いわき市議会産業建設常任委員会、今日で3日間の審議終了。

2018年03月08日 | 市議会
 6日から開かれていたいわき市議会産業建設常任委員会は、今日で付託された議案の審議を終えました。他の3つの常任委員会も、本日で審議を終了しています。

 産業経済常任委員会には、市独自の家賃軽減措置が終了することなどから、公営住宅入居資格の収入を超える収入超過世帯に対する軽減家賃策のの充実を求める請願が付託されていました。この請願は、継続審査にすべきという動議が提出され、賛成多数で継続審査にすることが決まりました。



 私と創世会出身議員は、継続審査に反対し、採択すべきという立場をとりました。

 災害公営住宅の家賃は、市独自の軽減策が比較的早い段階でとられましたが、早い世帯で今年の3月いっぱいで軽減制度が終了し、収入超過世帯は、退去の努力義務が課せられ、退去しない場合は高額の近傍同種家賃を支払うことが求められるようになります。

 この近傍同種家賃は、近傍の民間住宅程度の家賃を課すという性格のものではなく、あくまで住宅の建設費等のコストから計算される家賃で、久之浜東団地の戸建て住宅で月額17万400円となるなど、一般的に考えて、とても負担できる金額ではありません。

 
久之浜東団地=いわき市ホームページから


 昨年の12月定例会には、災害公営住宅の家賃軽減策の充実を求める請願が全会一致採択され、これを受けて市は、収入超過世帯の家賃引き上げを期間を従来より2年間余計に段階的に引き上げる「激変緩和」の対応策を決め、公表していました。

 近傍同種家賃に引き上がる時期が2年程遅れたとしても、一般的に負担することが困難と考えられる家賃に引きあがることに変わりはありません。

 このため、被災地の行政区長さんらが共同で、災害公営住宅の家賃軽減制度の充実と近傍同種家賃への引き上げをしないよう求める請願が今議会に出されました。その請願は先にも書いた通り継続審議になりました。

 今日の常任委員会では、付託された来年度予算案の採決が行われましたが、この採決にあたっては、予算案中、歳入の災害公営住宅の激変緩和措置を前提とした公営住宅使用料と歳出で前記の使用料を前提とした市営住宅管理基金積立金に反対し、討論しました。

 一つの理由は、激変緩和措置が被災者の暮らしの復興と地域のコミュニティ維持に適切な制度となっていないこと。高すぎる家賃は、住民の地域への定着につながらないことは明らかですし、今回の措置で一般財源への影響額は約3,000万円と説明されていましたが、実際には一般財源の影響はなく、基金の積立額が減じるだけであることが分かっています。

 その仕組みはこうです。
 基金の財源は、災害公営住宅の使用料と災害公営住宅家賃低廉化事業等に伴う東日本大震災復興交付金及び震災復興特別交付税等の歳入です。この歳入から、災害公営住宅にかかる住宅管理費や借金の返済等の歳出を除いた分を積み立てることになりますが、来年度予算には今回の激変緩和措置により減収となる3000万円余についても減じることなく、基金として歳出予算に計上されています。

 この約3,000万円の部分については、震災復興特別交付税での補てんを申請することにしていますが、認められるかどうかは不透明で補てんされるかどうかは分かりません。もし、認められれば一般財源からの持ち出しはほぼなくなります。一方、認められないとしても、先の歳入から住宅管理費等を差し引いた金額を基金に積み立てるだけであり、そもそも入ってこない約3,000万円を一般財源で補てんして積み立てるというわけではありません。一般財源が影響を受けるわけでなく、基金の積立額が減るだけなのです。

 家賃の軽減について国は、必要なお金はすでに出しているので、それぞれの自治体が判断で実施してという姿勢。ならば本市も、収入超過世帯の退去の努力義務にこだわらず、独自の判断で家賃軽減を図ることが必要です。

 もう一つの理由は、近傍同種家賃があまりにも高い設定になっているという問題です。そもそも、民間が、借り手のつかない近傍同種家賃のような高い家賃設定の建築物を作ることは考えられません。他の被災地では、近傍同種家賃を低めに設定するための取り組みもされており、本市もこれに学ぶことが必要でしょう。

 採決の結果は、この予算に反対したのは西岸の採決を求めた私と創世会の委員だけでした。

 委員会の結果は、来週14日の本会議に報告され、本会議であらためて採決されます。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿