※茶色の字は予定稿のうち質問時間の関係で割愛した予定発言です。
1.本庁舎耐震改修事業について
(1)契約について
伊 藤
みなさん、おはようございます。
10番、日本共産党・市民共同の伊藤浩之です。
原田義昭前環境相が、トリチウムの残った処理水を海に放出するしかないと発言し、後日、「誰かが言わねばならない。自分は捨て石になってもいい」と釈明したことが報じられています。
私は以前、市議会の原発事故に関係する特別委員会の委員だったときに、国、東電関係者の出席のもと開かれた会議で、国や東電が海への放出が大丈夫だと言うその根拠は、第一原発が基準値内とはいえ、稼働中にトリチウムを排出してきてももんだが発生してこなかったこと、トリチウムの人体への影響は小さいという科学的な知見があることにあり、これらを国民に説明すべきだと求めたことがあります。
会議に出席した国・東電の担当者は、「私どものいうことを信用してもらえるかどうか」という趣旨のことをおっしゃっていましたが、このことをきちんと国民に向け説明することが、風評被害を克服するために必要だし、海への放出を言う前に、国・東電が果たすべき説明責任だと思います。
説明責任に共通する問題として、本庁舎の耐震改修事業があるように思います。そこで、
まず、本庁舎耐震改修工事について伺ってまいります。
改めて本事業の経過をたどってみると、本事業は公募型プロポーザルにより提案者を募集し、提案を寄せた2者の中から最優秀提案者となった大成建設株式会社東北支店と2017年・平成29年6月定例会の議決を経て工事請負契約を締結いたしました。
その後、工事の進捗に伴って新たに必要となった工事について、リスク分担表に基づき負担の分担を判断し、昨年11月定例会の補正予算に計上しました。その議決を受けて、本市が負担することになった工事費用を増額するための変更契約を本年2月定例会の議決を受けて締結してまいりました。
これによる契約額は、当初、57億7,620万円だったものが、2億6,153万3,000円増額の59億1,208万8,480円となり、工期も半年間延長され来年1月31日までとなっていました。
今定例会には、新たな工事の発生等に伴い、工期をさらに14ヶ月延伸し2021年・令和3年3月までとし、本市が新たに負担することになる5億4,859万2,000円のうち本年度分の2億7,919万1,000円を増額する補正予算案が提出されております。
このリスク分担に基づく増額については、昨年の11月定例会にも様々な議論があったところですが、今回の提案にあたっても様々な声を聞くところです。
そこで、以下伺ってまいりたいと思います。
まず、本事業の契約をプロポーザル方式とした理由は何なのか、お答えいただきたいと思います。
総務部長
本庁舎耐震改修工事において、公募型プロポーザル方式を採用した理由といたしましては、耐震改修工法の技術革新や多様化が進んでいることから、建設業者の持つ優れた技術と施工方法等についての創意工夫を最大限活用し、工事施工中及び施工後の安全性、工事期間、工事金額等を総合的に検討し、本庁舎に最も適した耐震改修工法及び工事業者を選定するため、設計及び施工に関する一括の技術提案を広く求める「公募型プロポーザル方式」において実施したものであります。
伊 藤
まっ、以上のようなことで、プロポーザル方式を導入しまして、この事業には2者から応募がありましたが、この2者のうち大成建設株式会社東北支社が選定されたのは、この2者の提案のどのような違いによるものなのでしょうか。
総務部長
業者選定につきましては、専門的知見を有する有識者や、市の技術職員により組織された「公募型プロポーザル選定委員会」において、2者の提案内容について、「耐震性能の確保」並びに「庁舎機能の継続性」に着目し、耐震改修工法の技術根拠の妥当性や、来庁される方への影響及び市職員への負担等を考慮し、比較検討を行い選定したところであります。
最優秀提案者として選定された請負業者の技術提案につきましては、本庁舎地下の液状化層の排除を考慮した基礎下免震工法による耐震性能の確保や、工事中・工事後の庁舎機能の維持について、より配慮された提案内容が評価されたものであり、選定委員会の総意として選定されたものであります。
伊 藤
それでまぁ、本事業の契約にあたってですね、リスク分担があらかじめ決められておりますが、このようなリスク分担をするのはどのような理由からでしょうか。
総務部長
本庁舎耐震改修事業に係るリスク分担につきましては、国土交通省より示されております「官庁施設における耐震改修事業実施ガイドライン」をもとに定めております。
同ガイドラインにおきましては「耐震改修では、既存建築物や近隣との関わりが不可避であることなどから、様々なリスクが存在する」とされていることから、本市におきましても、ガイドラインの示すリスク分担表に準じて公募型プロポーザル要求水準書において定めたものであります。
伊 藤
このリスク分担というのがですね、この間の様々な本事業に対する疑問の中心に座っているんじゃないかという思いを、実は持っております。
今回の施行の場合、設計から施工に至るまで、工事を適正に進める上で監理会社の役割が非常に重要で、その前提としては請負者ときちんと距離を置いて判断する第三者性、こういうものが非常に大切になってくると思います。
そこで、監理会社のJREの第三者性はどのように担保されているのか、お伺いします。
総務部長
国土交通省の「工事監理ガイドライン」によりますと、工事監理とは「そのものの責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計書のとおりに実施されているかいないかを確認することを言う」とされており、工事監理委託契約には、第三者性が含まれているものと考えております。
また、当該委託契約の締結に際しまして、本市が提示した委託仕様書に基づき工事監理者から提出された「工事監理方針書」においては、「発注者の真のニーズを的確につかみ、発注者・工事請負者と等距離を保ちながら、公正な立場で、諸問題に際して、客観的に対応できる姿勢と技術を持って行う」ことが、方針として示されておりますことから、市といたしましては、公正な工事監理がなされているものと考えております。
(2)本庁舎耐震工事の追加工事のリスク分担に至る経過及び補正額の概要について
伊 藤
その監理会社のですね、方針の中に盛られたことが、実際のこの間の動きの中ですね、きちんと保たれているかどうか、こういうことが非常に大切なんだろうなというふうに思います。
どちらかに寄った立場で判断するようなことになれば、事業の公平性は保たれませんし、市は工事内容に対して専門性を持っているわけでもありませんので、第三者的立場からしっかりチェックするということがどうしても必要になってまいります。
こうしたことを前提としながら以下、今議会に提案された追加工事に関して伺ってまいりたいと思います。
まず、本庁舎耐震工事に関わり、今回新たに必要となった追加工事は1工区の新設杭工法の変更や既存躯体の補修など14件の工事となっています。このような追加工事が必要になった理由は何なのでしょうか、伺います。
総務部長
追加工事が必要となった理由につきまして、その主なものについて申し上げますと、
市民等と本棟間のシートパイル打設において、必要な根入れの深さが確保できないことから、鉄骨柱による補強が必要となったこと、
平成30年11月定例会で補正予算を議決いただいた3-1工区と同様に、他の3つの工区においても、床コンクリートの鉄筋の露出の補修が必要と見込まれること、
作業における安全確保を図るため、1工区におけるシートパイルの補強対策などが必要となったこと、
既存杭の一部が、支持地盤に到達しているものの、竣工図における位置よりも高い位置に打設されていること、いわゆる「高止まり」により、主に3-2工区において、免震装置施工上の安全対策が必要となったこと、などとなっております。
伊 藤
この追加工事等のうち「3‐2工区既存杭高止まり」など4件についてはリスク分担の対象とならないのはどのような理由なのでしょうか。
総務部長
本市は、請負業者選定のための公募型プロポーザルの実施に際し、竣工図を提示しておりますが、請負業者においては、当該竣工図をもとに、免震装置の設置にかかる設計を実施しておりました。
しかしながら、基本設計が完了に近い段階で、竣工図と杭打ち報告書における既存杭の大説震度に相違があることが判明し、悔いの状況について把握ができた時点で、必要に応じて設計変更等の措置を講じることとしていたものであります。
建設工事におきましては、請負業者は、発注者が、設計図書により明示した条件や貸与した資料などに基づき、必要な施工を行うこととなりますが、設計図書に明示された支持基盤と実際の施工による支持地盤が大きく異なる事実が判明するなど、提示条件の変更にもとづく設計変更につきましては、発注者が費用を負担するものであります。
このため、今般の設計変更に伴う費用につきましては、工事監理者の意見も踏まえ、発注者である市が負担すべきものと判断したところであります。
伊 藤
設計図書が十分でなかったことがリスク分担の対象工事にならなかった理由なっているということは分かりました。
このリスク分担の対象になったのが10事業ということですが、この10事業についてリスク分担先が決定に至った経過はどのようなものだったのか、お答えいただきたいと思います。
総務部長
リスク分担先の決定につきましては、まず、請負業者から新たな課題の報告を受け、請負業者と市及び工事監理者の3者が、現場においてその状況を確認した上で、市、工事監理者、請負業者により適宜協議を行い、決定することとなります。
今回のリスク分担の決定経過につきましては、本年4月の工事総合定例会議で設計変更内容についての協議があり、市は、まず、リスク分担について工事監理者へ、6月20日に意見照会を行っております。
その後、示された工事監理者の見解をもとに市の考えを整理した上で、7月5日から、請負業者と協議を開始し、以後3回の協議を経て、合意に至ったところであります。
伊 藤
ま、その経過の中ではですね、まず請負業者からの提示があって、それに関する監理者の意見を受けて、市としてもそこに意見を言いながら最終的な判断に至ったと、このような経過があったということでございます。
で、このリスク分担に基づき本市が負担することになった事業について、その工事費はどのように決定してきたのか、お伺いします。
総務部長
市の負担額の決定につきましては、請負業者の見積額に対し、工事監理者に置いて精査した意見を踏まえ、さらに、市において県の積算基準等による金額の査定を加え、適正に算出をしたものでありますが、
掘削土のセメント改良等につきましては、
請負業者の見積額の3,102万円に対し、
市場での取引価格を基に算定し、市の算出額は2,772万円、
床コンクリート鉄筋の露出の補修につきましては、
請負業者見積額の6,336万円に対し、
1工区における補修が必要な割合をもとに算定し、
市の算出額は4,532万円、
地下障害物等撤去については、
請負業者見積額の1,885万4,000円に対し、
1日当たりの作業量の調整を行う等施工手順の再検討を行うことにより、
市の算出額は1,442万1,000円となっており、
これら3項目についての請負業者の見積額であります1億1,323万4,000円に対し、市の算出額は8,746万1,000円であり、差し引き2,775万3,000円の減となっております。
(3)プロポーザル方式による契約の妥当性について
伊 藤
請負者の見積もりに対して、本市としても独自に試算をして、全体として縮減するために努力をしたということが今の答弁で分かるんだというふうに思います。
で、先程も申しましたが、リスク分担表というのが、全体として様々な疑問が起こってくる中心にあるというふうな印象を持っているんですけど、結局、このプロポーザルっていうのが、リスク分担って言うのを含んでいるっていうことになるわけですよね。
今回の提案も含めてこれまで20件の追加工事等が発生し、リスク分担等によって必要な補正予算が計上されてきました。その経過を見ながら市民は「もやもや感」、こういうものを市民が持っています。その「もやもや感」は契約が終了しているにもかかわらず次々と追加工事が発生し、契約額が増額していることに理由があると考えます。
その原因はプロポーザル方式のリスク分担という方法にあると考えられますが、本庁舎耐震工事をプロポーザル方式による契約にしたことを妥当だったと考えているのかどうか、おうかがいします。
総務部長
リスク分担につきましては、耐震改修工事においては、既存建築物との関わりが不可避であることなどから、様々なリスクが存在しており、これら、潜在するリスクに適切に対応することを目的に、公募型プロポーザル要求水準書におきまして、あらかじめ、発注者と請負者の分担を定めたものであり、施工の課程でリスクが顕在化した際の備えとして定めていたものであります。
お質しの「プロポーザル」方式による選定につきましては、本庁舎の耐震改修工事におきましては、居ながら工事をする必要があるなどの観点から、施工業者の持つ独自の技術を反映するとともに、最新の高度技術や工法を活かした改修を行うためには、基本設計から施工までを、あらかじめ要求水準書の中でリスク分担を定めることも含めまして一括発注する「設計・施工一括発注」による「プロポーザル方式」が、最も好ましいとの判断によるものであり、妥当であったというふうに考えております。
伊 藤
考えてみればですね、別の契約方式をとったとしても、想定外の問題が起こったときには、その問題にどう対処するかっていうのを話し合いながら、場合によっては追加補正するって言うのがありうることなので、今回のリスク分担の場合には、事前にどういうリスクがあるかっていうことを想定しながら、後で問題が発生したときに、それに基づいて適正に対応できるように、事前に用意しておこうと、そんなことから・・ま、そういうもんなんだろうな、ということなんですけれども、ただですね、このリスク分担っていう問題がどれだけ説明されてきたか分からないというのが実はあるんですね。
本会議議事録を見ても、委員会の会議録を見ても、リスク分担について説明してきた、こういう形跡が見当たらなかったんですね。この辺の説明不足が、いま申しました違和感のもとになっているのかもしれないと思います。契約時における契約内容に対する説明は十分だったと考えているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
総務部長
お質しのありましたリスク分担につきましては、ただいまお話がありましたとおり、議会の議員各位のみな様に対しましても、市民のみな様に対しましても、契約締結時点では、リスク分担というのを盛り込んでいると、要求水準書に盛り込んでいるということについては、特段に言及しておりませんので、その点では、やはり説明不足の点はあったととらえております。
伊 藤
昨日の答弁を聞いておりますと、今回の補正で、竣工までを見据えた必要な措置を講じており、今後の追加負担については「着実な事業進捗を図ってまいりたい」というふうにお答えされておりました。今後の追加負担については明言を避けておりました。
これは今後も想定外の事が発見され、追加工事が発生すれば、リスク分担に基づき本市が負担することになるのは、今の契約上仕方がないことだ、このように考えているということなのかどうか、この点を確認したいと思います。
総務部長
昨日のご答弁の中でも、今回の補正予算につきましては竣工までを見越して予算を計上したということでありますが、議員さんご認識の通り、この課程で、必ず全くないとは言い切れませんが、今回の補正予算につきましては、竣工までを見通しまして、これまで確認されたリスク分担に基づくものを含めて補正予算を計上したところでございます。
伊 藤
議長・・・・・・んっ、議長・・(議長「伊藤浩之君」。)・・時間ないので早く指名してください。
それでですね、そこはね、はっきり言ったらいいと思うんですよ。何かあれば、それは追加補正があるんでしょ。今の契約がそうなっているんでしょ。その点だけ、もう1回答弁していただけますか。
総務部長
お質しの通りであります。
伊 藤
なんていうんですかね、決意としてこれ以上追加補正しないようにということで、こういうふうにやっていきたいという願望の部分だけで答えていると誤解を残すところがあるので、それは、もう契約に従って粛々とやるとこういうことなんだよときちんと説明するということも一方では必要なのかなと思います。
そういうことを考えるとですね、
このプロポーザル方式という契約のあり方をしっかり、分かりやすく市民的に説明すること、
またリスク分担があった際にその妥当性、決定の経過をしっかり説明すること、また、工事の進捗状況等を市民に分かりやすく説明すること、
こうしたことが今後大切になってくるんだと思いますが、この点について今後どのように対応していく考えがあるのか、お伺いできればと思います。
総務部長
今後におきましても、契約が変更する要因が出てきた場合には説明責任も含めてしっかりと内容説明等を果たしていきたいと考えております。
(4)平成30年11月定例会における議員要望の受け止めについて
伊 藤
次にですね、2018年11月定例会、追加補正の問題がいろいろ議論された議会でありましたが、この2018年11月定例会の総務常任委員会の質疑では、残る6割の工事が進捗するたびに追加工事が発生し、補正予算の計上が繰り返されることに対する疑義が指摘され、このような問題が発生しないよう対応することが要望されていましたが、今回の追加工事の補正予算編成にあたって、この要望はどのような形で活かされてきたのか、お伺いします。
総務部長
昨年11月定例会の政策総務常任委員会における委員のみな様からの様々なご意見につきましては、真摯に受け止めまして、請負業者や工事監理者との定期的な会議の実施や現場の確認など工程監理に努めるとともに、適正な費用負担を旨としまして工事を進めてきたところであります。
一方、追加工事が必要となった残土の改良や既存躯体の補修等及び3-2工区における杭の高止まりへの対応につきましては、リスク分担表に照らした分担や設計条件の変更によるものであり、発注者の負担となるものと考えておりますが、いずれも、今後の事業の進捗に欠かす事の出来ないものでありますことから、補正予算案の計上にあたりましては、請負業者の見積もりに対し、工事監理者がその妥当性を確認した上で、常任委員会の中でのご意見、ご要望等も踏まえ、市において厳正に算定を行ったところであります。
伊 藤
様々伺ってまいりましたが、今後ともしっかり市民に対する説明責任っていうのを果たしながらですね、取り組んでいただきたいというふうに思います。
※9月定例会の他の質問です。リンクが貼ってありますので、興味がある項目をクリックしてみてください。
いわき市議会9月定例会一般質問Vol.2=会計年度任用職員で雇用条件は向上するのか
いわき市議会9月定例会一般質問Vol.3=個人番号カードの所有強制するな
いわき市議会9月定例会一般質問Vol.4=ため池ハザードマップの防災計画位置づけを
1.本庁舎耐震改修事業について
(1)契約について
伊 藤
みなさん、おはようございます。
10番、日本共産党・市民共同の伊藤浩之です。
原田義昭前環境相が、トリチウムの残った処理水を海に放出するしかないと発言し、後日、「誰かが言わねばならない。自分は捨て石になってもいい」と釈明したことが報じられています。
私は以前、市議会の原発事故に関係する特別委員会の委員だったときに、国、東電関係者の出席のもと開かれた会議で、国や東電が海への放出が大丈夫だと言うその根拠は、第一原発が基準値内とはいえ、稼働中にトリチウムを排出してきてももんだが発生してこなかったこと、トリチウムの人体への影響は小さいという科学的な知見があることにあり、これらを国民に説明すべきだと求めたことがあります。
会議に出席した国・東電の担当者は、「私どものいうことを信用してもらえるかどうか」という趣旨のことをおっしゃっていましたが、このことをきちんと国民に向け説明することが、風評被害を克服するために必要だし、海への放出を言う前に、国・東電が果たすべき説明責任だと思います。
説明責任に共通する問題として、本庁舎の耐震改修事業があるように思います。そこで、
まず、本庁舎耐震改修工事について伺ってまいります。
改めて本事業の経過をたどってみると、本事業は公募型プロポーザルにより提案者を募集し、提案を寄せた2者の中から最優秀提案者となった大成建設株式会社東北支店と2017年・平成29年6月定例会の議決を経て工事請負契約を締結いたしました。
その後、工事の進捗に伴って新たに必要となった工事について、リスク分担表に基づき負担の分担を判断し、昨年11月定例会の補正予算に計上しました。その議決を受けて、本市が負担することになった工事費用を増額するための変更契約を本年2月定例会の議決を受けて締結してまいりました。
これによる契約額は、当初、57億7,620万円だったものが、2億6,153万3,000円増額の59億1,208万8,480円となり、工期も半年間延長され来年1月31日までとなっていました。
今定例会には、新たな工事の発生等に伴い、工期をさらに14ヶ月延伸し2021年・令和3年3月までとし、本市が新たに負担することになる5億4,859万2,000円のうち本年度分の2億7,919万1,000円を増額する補正予算案が提出されております。
このリスク分担に基づく増額については、昨年の11月定例会にも様々な議論があったところですが、今回の提案にあたっても様々な声を聞くところです。
そこで、以下伺ってまいりたいと思います。
まず、本事業の契約をプロポーザル方式とした理由は何なのか、お答えいただきたいと思います。
総務部長
本庁舎耐震改修工事において、公募型プロポーザル方式を採用した理由といたしましては、耐震改修工法の技術革新や多様化が進んでいることから、建設業者の持つ優れた技術と施工方法等についての創意工夫を最大限活用し、工事施工中及び施工後の安全性、工事期間、工事金額等を総合的に検討し、本庁舎に最も適した耐震改修工法及び工事業者を選定するため、設計及び施工に関する一括の技術提案を広く求める「公募型プロポーザル方式」において実施したものであります。
伊 藤
まっ、以上のようなことで、プロポーザル方式を導入しまして、この事業には2者から応募がありましたが、この2者のうち大成建設株式会社東北支社が選定されたのは、この2者の提案のどのような違いによるものなのでしょうか。
総務部長
業者選定につきましては、専門的知見を有する有識者や、市の技術職員により組織された「公募型プロポーザル選定委員会」において、2者の提案内容について、「耐震性能の確保」並びに「庁舎機能の継続性」に着目し、耐震改修工法の技術根拠の妥当性や、来庁される方への影響及び市職員への負担等を考慮し、比較検討を行い選定したところであります。
最優秀提案者として選定された請負業者の技術提案につきましては、本庁舎地下の液状化層の排除を考慮した基礎下免震工法による耐震性能の確保や、工事中・工事後の庁舎機能の維持について、より配慮された提案内容が評価されたものであり、選定委員会の総意として選定されたものであります。
伊 藤
それでまぁ、本事業の契約にあたってですね、リスク分担があらかじめ決められておりますが、このようなリスク分担をするのはどのような理由からでしょうか。
総務部長
本庁舎耐震改修事業に係るリスク分担につきましては、国土交通省より示されております「官庁施設における耐震改修事業実施ガイドライン」をもとに定めております。
同ガイドラインにおきましては「耐震改修では、既存建築物や近隣との関わりが不可避であることなどから、様々なリスクが存在する」とされていることから、本市におきましても、ガイドラインの示すリスク分担表に準じて公募型プロポーザル要求水準書において定めたものであります。
伊 藤
このリスク分担というのがですね、この間の様々な本事業に対する疑問の中心に座っているんじゃないかという思いを、実は持っております。
今回の施行の場合、設計から施工に至るまで、工事を適正に進める上で監理会社の役割が非常に重要で、その前提としては請負者ときちんと距離を置いて判断する第三者性、こういうものが非常に大切になってくると思います。
そこで、監理会社のJREの第三者性はどのように担保されているのか、お伺いします。
総務部長
国土交通省の「工事監理ガイドライン」によりますと、工事監理とは「そのものの責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計書のとおりに実施されているかいないかを確認することを言う」とされており、工事監理委託契約には、第三者性が含まれているものと考えております。
また、当該委託契約の締結に際しまして、本市が提示した委託仕様書に基づき工事監理者から提出された「工事監理方針書」においては、「発注者の真のニーズを的確につかみ、発注者・工事請負者と等距離を保ちながら、公正な立場で、諸問題に際して、客観的に対応できる姿勢と技術を持って行う」ことが、方針として示されておりますことから、市といたしましては、公正な工事監理がなされているものと考えております。
(2)本庁舎耐震工事の追加工事のリスク分担に至る経過及び補正額の概要について
伊 藤
その監理会社のですね、方針の中に盛られたことが、実際のこの間の動きの中ですね、きちんと保たれているかどうか、こういうことが非常に大切なんだろうなというふうに思います。
どちらかに寄った立場で判断するようなことになれば、事業の公平性は保たれませんし、市は工事内容に対して専門性を持っているわけでもありませんので、第三者的立場からしっかりチェックするということがどうしても必要になってまいります。
こうしたことを前提としながら以下、今議会に提案された追加工事に関して伺ってまいりたいと思います。
まず、本庁舎耐震工事に関わり、今回新たに必要となった追加工事は1工区の新設杭工法の変更や既存躯体の補修など14件の工事となっています。このような追加工事が必要になった理由は何なのでしょうか、伺います。
総務部長
追加工事が必要となった理由につきまして、その主なものについて申し上げますと、
市民等と本棟間のシートパイル打設において、必要な根入れの深さが確保できないことから、鉄骨柱による補強が必要となったこと、
平成30年11月定例会で補正予算を議決いただいた3-1工区と同様に、他の3つの工区においても、床コンクリートの鉄筋の露出の補修が必要と見込まれること、
作業における安全確保を図るため、1工区におけるシートパイルの補強対策などが必要となったこと、
既存杭の一部が、支持地盤に到達しているものの、竣工図における位置よりも高い位置に打設されていること、いわゆる「高止まり」により、主に3-2工区において、免震装置施工上の安全対策が必要となったこと、などとなっております。
伊 藤
この追加工事等のうち「3‐2工区既存杭高止まり」など4件についてはリスク分担の対象とならないのはどのような理由なのでしょうか。
総務部長
本市は、請負業者選定のための公募型プロポーザルの実施に際し、竣工図を提示しておりますが、請負業者においては、当該竣工図をもとに、免震装置の設置にかかる設計を実施しておりました。
しかしながら、基本設計が完了に近い段階で、竣工図と杭打ち報告書における既存杭の大説震度に相違があることが判明し、悔いの状況について把握ができた時点で、必要に応じて設計変更等の措置を講じることとしていたものであります。
建設工事におきましては、請負業者は、発注者が、設計図書により明示した条件や貸与した資料などに基づき、必要な施工を行うこととなりますが、設計図書に明示された支持基盤と実際の施工による支持地盤が大きく異なる事実が判明するなど、提示条件の変更にもとづく設計変更につきましては、発注者が費用を負担するものであります。
このため、今般の設計変更に伴う費用につきましては、工事監理者の意見も踏まえ、発注者である市が負担すべきものと判断したところであります。
伊 藤
設計図書が十分でなかったことがリスク分担の対象工事にならなかった理由なっているということは分かりました。
このリスク分担の対象になったのが10事業ということですが、この10事業についてリスク分担先が決定に至った経過はどのようなものだったのか、お答えいただきたいと思います。
総務部長
リスク分担先の決定につきましては、まず、請負業者から新たな課題の報告を受け、請負業者と市及び工事監理者の3者が、現場においてその状況を確認した上で、市、工事監理者、請負業者により適宜協議を行い、決定することとなります。
今回のリスク分担の決定経過につきましては、本年4月の工事総合定例会議で設計変更内容についての協議があり、市は、まず、リスク分担について工事監理者へ、6月20日に意見照会を行っております。
その後、示された工事監理者の見解をもとに市の考えを整理した上で、7月5日から、請負業者と協議を開始し、以後3回の協議を経て、合意に至ったところであります。
伊 藤
ま、その経過の中ではですね、まず請負業者からの提示があって、それに関する監理者の意見を受けて、市としてもそこに意見を言いながら最終的な判断に至ったと、このような経過があったということでございます。
で、このリスク分担に基づき本市が負担することになった事業について、その工事費はどのように決定してきたのか、お伺いします。
総務部長
市の負担額の決定につきましては、請負業者の見積額に対し、工事監理者に置いて精査した意見を踏まえ、さらに、市において県の積算基準等による金額の査定を加え、適正に算出をしたものでありますが、
掘削土のセメント改良等につきましては、
請負業者の見積額の3,102万円に対し、
市場での取引価格を基に算定し、市の算出額は2,772万円、
床コンクリート鉄筋の露出の補修につきましては、
請負業者見積額の6,336万円に対し、
1工区における補修が必要な割合をもとに算定し、
市の算出額は4,532万円、
地下障害物等撤去については、
請負業者見積額の1,885万4,000円に対し、
1日当たりの作業量の調整を行う等施工手順の再検討を行うことにより、
市の算出額は1,442万1,000円となっており、
これら3項目についての請負業者の見積額であります1億1,323万4,000円に対し、市の算出額は8,746万1,000円であり、差し引き2,775万3,000円の減となっております。
(3)プロポーザル方式による契約の妥当性について
伊 藤
請負者の見積もりに対して、本市としても独自に試算をして、全体として縮減するために努力をしたということが今の答弁で分かるんだというふうに思います。
で、先程も申しましたが、リスク分担表というのが、全体として様々な疑問が起こってくる中心にあるというふうな印象を持っているんですけど、結局、このプロポーザルっていうのが、リスク分担って言うのを含んでいるっていうことになるわけですよね。
今回の提案も含めてこれまで20件の追加工事等が発生し、リスク分担等によって必要な補正予算が計上されてきました。その経過を見ながら市民は「もやもや感」、こういうものを市民が持っています。その「もやもや感」は契約が終了しているにもかかわらず次々と追加工事が発生し、契約額が増額していることに理由があると考えます。
その原因はプロポーザル方式のリスク分担という方法にあると考えられますが、本庁舎耐震工事をプロポーザル方式による契約にしたことを妥当だったと考えているのかどうか、おうかがいします。
総務部長
リスク分担につきましては、耐震改修工事においては、既存建築物との関わりが不可避であることなどから、様々なリスクが存在しており、これら、潜在するリスクに適切に対応することを目的に、公募型プロポーザル要求水準書におきまして、あらかじめ、発注者と請負者の分担を定めたものであり、施工の課程でリスクが顕在化した際の備えとして定めていたものであります。
お質しの「プロポーザル」方式による選定につきましては、本庁舎の耐震改修工事におきましては、居ながら工事をする必要があるなどの観点から、施工業者の持つ独自の技術を反映するとともに、最新の高度技術や工法を活かした改修を行うためには、基本設計から施工までを、あらかじめ要求水準書の中でリスク分担を定めることも含めまして一括発注する「設計・施工一括発注」による「プロポーザル方式」が、最も好ましいとの判断によるものであり、妥当であったというふうに考えております。
伊 藤
考えてみればですね、別の契約方式をとったとしても、想定外の問題が起こったときには、その問題にどう対処するかっていうのを話し合いながら、場合によっては追加補正するって言うのがありうることなので、今回のリスク分担の場合には、事前にどういうリスクがあるかっていうことを想定しながら、後で問題が発生したときに、それに基づいて適正に対応できるように、事前に用意しておこうと、そんなことから・・ま、そういうもんなんだろうな、ということなんですけれども、ただですね、このリスク分担っていう問題がどれだけ説明されてきたか分からないというのが実はあるんですね。
本会議議事録を見ても、委員会の会議録を見ても、リスク分担について説明してきた、こういう形跡が見当たらなかったんですね。この辺の説明不足が、いま申しました違和感のもとになっているのかもしれないと思います。契約時における契約内容に対する説明は十分だったと考えているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
総務部長
お質しのありましたリスク分担につきましては、ただいまお話がありましたとおり、議会の議員各位のみな様に対しましても、市民のみな様に対しましても、契約締結時点では、リスク分担というのを盛り込んでいると、要求水準書に盛り込んでいるということについては、特段に言及しておりませんので、その点では、やはり説明不足の点はあったととらえております。
伊 藤
昨日の答弁を聞いておりますと、今回の補正で、竣工までを見据えた必要な措置を講じており、今後の追加負担については「着実な事業進捗を図ってまいりたい」というふうにお答えされておりました。今後の追加負担については明言を避けておりました。
これは今後も想定外の事が発見され、追加工事が発生すれば、リスク分担に基づき本市が負担することになるのは、今の契約上仕方がないことだ、このように考えているということなのかどうか、この点を確認したいと思います。
総務部長
昨日のご答弁の中でも、今回の補正予算につきましては竣工までを見越して予算を計上したということでありますが、議員さんご認識の通り、この課程で、必ず全くないとは言い切れませんが、今回の補正予算につきましては、竣工までを見通しまして、これまで確認されたリスク分担に基づくものを含めて補正予算を計上したところでございます。
伊 藤
議長・・・・・・んっ、議長・・(議長「伊藤浩之君」。)・・時間ないので早く指名してください。
それでですね、そこはね、はっきり言ったらいいと思うんですよ。何かあれば、それは追加補正があるんでしょ。今の契約がそうなっているんでしょ。その点だけ、もう1回答弁していただけますか。
総務部長
お質しの通りであります。
伊 藤
なんていうんですかね、決意としてこれ以上追加補正しないようにということで、こういうふうにやっていきたいという願望の部分だけで答えていると誤解を残すところがあるので、それは、もう契約に従って粛々とやるとこういうことなんだよときちんと説明するということも一方では必要なのかなと思います。
そういうことを考えるとですね、
このプロポーザル方式という契約のあり方をしっかり、分かりやすく市民的に説明すること、
またリスク分担があった際にその妥当性、決定の経過をしっかり説明すること、また、工事の進捗状況等を市民に分かりやすく説明すること、
こうしたことが今後大切になってくるんだと思いますが、この点について今後どのように対応していく考えがあるのか、お伺いできればと思います。
総務部長
今後におきましても、契約が変更する要因が出てきた場合には説明責任も含めてしっかりと内容説明等を果たしていきたいと考えております。
(4)平成30年11月定例会における議員要望の受け止めについて
伊 藤
次にですね、2018年11月定例会、追加補正の問題がいろいろ議論された議会でありましたが、この2018年11月定例会の総務常任委員会の質疑では、残る6割の工事が進捗するたびに追加工事が発生し、補正予算の計上が繰り返されることに対する疑義が指摘され、このような問題が発生しないよう対応することが要望されていましたが、今回の追加工事の補正予算編成にあたって、この要望はどのような形で活かされてきたのか、お伺いします。
総務部長
昨年11月定例会の政策総務常任委員会における委員のみな様からの様々なご意見につきましては、真摯に受け止めまして、請負業者や工事監理者との定期的な会議の実施や現場の確認など工程監理に努めるとともに、適正な費用負担を旨としまして工事を進めてきたところであります。
一方、追加工事が必要となった残土の改良や既存躯体の補修等及び3-2工区における杭の高止まりへの対応につきましては、リスク分担表に照らした分担や設計条件の変更によるものであり、発注者の負担となるものと考えておりますが、いずれも、今後の事業の進捗に欠かす事の出来ないものでありますことから、補正予算案の計上にあたりましては、請負業者の見積もりに対し、工事監理者がその妥当性を確認した上で、常任委員会の中でのご意見、ご要望等も踏まえ、市において厳正に算定を行ったところであります。
伊 藤
様々伺ってまいりましたが、今後ともしっかり市民に対する説明責任っていうのを果たしながらですね、取り組んでいただきたいというふうに思います。
※9月定例会の他の質問です。リンクが貼ってありますので、興味がある項目をクリックしてみてください。
いわき市議会9月定例会一般質問Vol.2=会計年度任用職員で雇用条件は向上するのか
いわき市議会9月定例会一般質問Vol.3=個人番号カードの所有強制するな
いわき市議会9月定例会一般質問Vol.4=ため池ハザードマップの防災計画位置づけを
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