伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

景気後退の局面・市民生活の影響は_市議会2月定例会代表質問_Vol.1

2020年03月10日 | 市議会
※代表質問は、40分の持ち時間で一括質問と一括答弁後、10分の持ち時間で再質問、再々質問をできる形式で執行されます。議事録の形式で表記すると質問と答弁がつながらないため、ブログでは質問に対する答弁をつなげて表記し、分かりやすくしました。このため、「次に」など質問の接続に使われる文言など省略した部分もあり、発言そのままの形ではないことをご了承下さい。




1 市民の暮らしの現状について
(1)本市市民の暮らしの現状について



伊  藤
 10番、日本共産党・市民共同の伊藤浩之です。
まず、市民の暮らしの現状について伺います。

 経済のグローバル化に伴い、人々の経済格差の拡大が問題になっていますが、国際援助団体のオックスファムの報告によると、世界に2,153人いる10億ドル=1,100億円以上の資産を持つビリオネアの富の総計額は、その他の46億人の富の総計よりも大きいとされています。

 詳しく見ると、世界の富裕層上位26人が、所得が低い世界の人口の約半数38億人と同じ額の資産を独占しており、富裕層の上位43人が下位半数と同じだった前年の推計より、さらに格差が拡大しております。

 先に紹介したビリオネアには32人の日本人が含まれていますが、こうした富の偏在はグローバル企業によるタックスヘイブンや富裕層への優遇税制、法人税の過剰な引き下げ、医療など福祉や教育予算の削減などの新自由主義的政策によってもたらさられているもので、報告は富裕層への課税の適正化が必要と指摘しております。

 格差の拡大で国民には生活不安が広がっております。
介護資格学校を運営する株式会社ガネットが昨年12月にインターネットを通じて、定年退職を控える50代の男女319人と、定年後も働く60代の男女259人に、定年後の働き方に関して聞いています。この結果、定年後、働かないことに不安を感じている層が8割に達していたといいます。

 不安に感じる理由は老後の生活資金が91.8%と大半を占めていました。また、老後に向けて貯蓄をしていない人が24.1%で、老後の生活のために2,000万円の貯金が必要と言われる中、ほぼ4人に1人が貯金さえできていないという実態が浮き彫りになっておりました。

安倍内閣は、定年退職の年齢以降も働き続けることができる一億総活躍社会と言っていますが、実態は、働きたいから働き続けることを選択する社会ではなく、生きていけないから働く社会になっているわけであります。

 この国民の経済的な困難を本市でも強く意識させたのが、本市が実施した「いわき市子どもの生活実態調査」の結果でした。

 この調査は、小学5年生と中学2年生、それぞれ1,500世帯を対象に昨年実施され、74.8%の回答を得ています。その中で生活に困窮あるいはその周辺にある層となる世帯の合計は20.6%に達していました。実に5世帯に1世帯が生活に困難をきたしている結果には驚きを禁じえません。家庭の経済状況が、子どもの将来にマイナスの影響をもたらす貧困の連鎖が言われます。本市の実態を見て、子ども達の未来と、本市の未来を創造した時に、危惧を覚えるのは私ばかりではないと思います。

 そこで、本市市民の生活の向上のために、所得の向上を図ることが求められています。そのためには収入を増やすような社会的な仕組みを作ることが必要です。
全国一律に最低1,000円以上の地域最低賃金とすることを求める声があります。本市は、このような地域最賃のあり方をどのようにお考えでしょうか。

 地域最賃の引き上げには、大企業等の下請けとなって、日本産業を屋台骨で支えている中小企業の経営を守る仕組みや支援を合わせて構築することは欠かせないものとなります。合わせて、政府・国に対して求めていくことが重要になっていると考えます。

産業振興部長
 お答えいたします。
 初めに、市民の暮らしの現状についての内、本市市民の暮らしの現状にかかる、地域最低賃金のあり方をどのように考えるかのお質しでありますが、
最低賃金の引き上げは、経済の好循環につなげる観点からも有効であると考えております。

 一方、企業ごとに付加価値額は異なることから、最低賃金を全国一律に引き上げることは、付加価値額が低い中小企業や小規模企業の経営悪化につながることから、慎重な検討が必要であると考えております。

 市といたしましては、まずは企業の収益力を高めて賃金に反映されるような循環を生み出すことが必要と考えており、経営力の強化に資する取り組みを推進してまいりたいと考えております。

伊  藤(再質問)
 地域最賃のあり方について伺いますが、経済循環には効果的だけれども、それぞれの企業の経済力が違うという事で難しいというお話だったんですけれど、
ますは本県の最賃の状況を見ますと、
2019(令和元)年10月1日に改定されているわけですが、全国でも31番目で月額798円。本県の後には32番目の徳島県、33番目に青森県をはじめ15県がずらっと並ぶだけの状況で、全国の加重平均の901円にも及んでいない状況にあるんですよね。

この結果、本市市民の所得は、決して高いものではなくて、2018年度の数字となりますが、課税対象所得の総額を納税者数で除して算出した本市の平均所得は302万5,665円となっておりまして、全国でもそんなに高い位置にはいかない。また、県内59市町村あるわけですけれども12番目、県内13市で見れば、福島市、郡山市、相馬市、南相馬市に次ぐ5番目の水準。こういうふうになっているわけですね。

 最低賃金は一般的に都市部が高い傾向にあって、最も高い東京都が1,013円。本県の1.27倍の地域最賃になっているわけですね。

 一方、生活に必要な費用をみてみると、これ全国労働組合総連合、略称・全労連というのがあるわけですけれど、2015年から16年に行った調査がありまして、その地域の最賃の水準に関わりなく、都市部でも、地方でも、生活費ついてはですね、同じようにかかる傾向があるっていうのが分かってきているわけです。

 この調査では、東京都北区の最低賃金1,013円に対して、全国最低の790円の最賃になっている県の一つである佐賀県の佐賀市、ここに居住する人で比較していますけれども、この場合、最低の生計費を満たすために必要な最賃は、北区で1,664円、佐賀市で1,613円となっていると言いまして、その格差は1.03倍にすぎないということなんですね。

福島市の調査でも同様の傾向がありまして、都市部では家賃が高いために全体として生計費を押し上げる。一方、地方では、自家用車等を所有して、その維持にかかる経費があるために、これが生計費を押し上げる。これでほぼ同じ生計費になっていくっていう結果になっているわけですね。

 先程の質問の中でも言いましたけれど、確かに中小企業等はいきなり賃金が上がると大変な状況はあるだろう。しかし、こういうところを支援しながら、これを押し上げていくことがですね、国の経済状況を押し上げていく、ひいては本市の経済状況を押し上げていくっていうことにもつながるわけで、ここんところをセットでね、要望していくっていうことは非常に大切な事かなあ、と思うんですね。

 そういう生活費が確保されるっていうことが他の市の諸施策についても良好な影響を与えてくるっていうふうに、私考えますので、ぜひ、そこのところを要望していただけないかっていうことで、あらためてご所見を伺いたいと思います。



産業振興部長
 最低賃金の引き上げについて国への要望を行うべきではないかというご質問に対してですけども、先程答弁申し上げた通り、企業の足腰を強くして、収益力を高めて、それが賃金に反映されていく循環を作っていくべきだと考えております。

 国においても、こうした観点から、賃金改善の助成金ですとか、人材確保の支援助成金、それからキャリアアップ助成金など各種助成制度を設けておりますし、先ほど小野議員にも答弁させていただきましたけれども、生産性向上のための各種支援制度を用意していただいておりますので、こういったものの活用を図りながら足腰を強くして、それが賃金に反映される循環を作っていきたいと考えております。


(2)本市の経済状況と消費税の影響について

伊  藤
 さて、市民が厳しい経済状況に置かれる中で、昨年10月1日、食料品等をのぞく消費税が10%に増税されました。お金がたくさんある人も、あまりない人も、等しく課税され、所得が少ないほど負担が大きい逆進性を持つ消費税の増税は、本市市民の生活に多大なダメージを及ぼす最悪の政策でした。

 それは、今年1月、福島民報と福島テレビが共同で実施した県民世論調査にも表れております。安倍内閣の不支持が13.6%上昇して53.9%となったこととともに、政策では景気経済対策を望む声が最も多くなっている内容でありました。

 また、震災復興事業が終期を迎える中で本市の雇用状況にも陰りが見えております。
 本市の今年度の有効求人倍率は、4月、5月こそ前年度より0.3%高かったものの、6月以降は上昇に転じた昨年とは違って下降を続け、9月には最大で前年同月比で0.12ポイント低い1.47まで落ち込みました。

台風第19号等で被災した10月から上昇に転じほぼ前年並みを回復していますが、災害復旧に関わる一時的な効果にすぎないと考えられますので、増税はなおさら市民の暮らしに大きな悪影響を与えたものと思います。

 そこで、まず、市長は、本市の経済状況をどのように把握しているのか、伺います。

市  長
 市民の暮らしの現状についてのうち、本市経済の現状についてのお質しでありますが、本市におきましては、東日本大震災からの復興需要も、平成27年頃をピークに下降の兆しが表れ、現在も景気の後退局面が続いているものととらえております。

 加えて、消費税増税や令和元年東日本台風(台風第19号)などによる影響にも注視していく必要があると考えております。

伊  藤
 また、昨年10月1日に実施された消費税増税の影響が本市の経済にどのような影響を及ぼしているのか、お示しをいただきたいと思います。

産業振興部長
 消費税増税が本市経済に及ぼした影響についてのお質しでありますが、
市の経済景気動向調査において、増税後となる昨年10月以降のデータについては現在収集中でありますが、直近の9月までの調査結果からは、自動車新規登録台数や新設住宅着工戸数など耐久消費税関連において、9月に一定程度の伸びがみられることから、増税前の駆け込み需要があったものととらえております。

 また、消費税増税後に市内の大型小売店等に対し行ったヒアリング調査によりますと、昨年10月は販売額等が減少したものの、11月以降は回復傾向であるとのことでございました。

 これらを勘案いたしますと、本市の消費の状況につきましては、消費税増税に伴う消費の落ち込みと、その後の持ち直しの動きに加え、令和元年東日本台風の災害関係に伴う支出増の外、暖冬による季節商品等の不振など複合的な要因があると認識しており、現時点で、消費税増税の本市経済に及ぼしている影響を正確に把握することは困難でありますが、全国的には個人消費が落ち込んでいる現状にありますことから、今後、引き続き、本市経済の動向を注視していく必要があるものと考えております。


(3)政府新年度予算案の市民生活の影響等について

伊  藤
 増税の一方では、社会保障での給付の削減も検討されています。これも市民生活には大きな影響をもたらします。。

 政府の新年度予算案で社会保障費は、全学生の9割が対象外となる低額所得世帯向け就学支援制度が加わるなど、見かけは大きくなっていますが、高齢化が進む中で引き続き自然増を抑制する政策がとられています。

 また、医療では75歳以上の窓口負担を低所得者も含め1割から2割に増額、介護では、月収で10万円から12万9,000円の低年金者の施設入所時の食事負担を月額で2万2,000円引き上げることを検討し、さらに20年度の年金支給額は実質0.3%引き下げられると聞いております。

 安倍政権の最近の看板政策の「全世代型社会保障」の実態は「全世代切り捨て型社会保障」ではないか、こういう批判もされています。

 一方、新年度予算の地方財政を見ると、地方交付税が16兆5,882億円となるなど、ほぼ例年並みの財源が確保されていますが、引き続き抑制基調にあると言われており、本市財政は、健全性を維持しながらも、社会保障関係経費の増加や公共施設の老朽化対策等、震災からの復興と地方創生に向け、「多額の財政需要が見込まれるため、財政調整基金等を取り崩して対応せざるを得ない」という財政となっております。

 この中、本市は、市民生活を支えるためどのように対応するのでしょうか。

 年金支給の抑制は、高齢者の受診抑制等による健康への影響、消費の抑制等による高齢世帯の暮らしへ多大な影響を与え、本市
にもマイナスの影響になると考えます。市長はその影響をどのようにとらえ、市民の健康と暮らしを擁護する施策を新年度はどのように進めていく考えなのか伺います。

保健福祉部長
 市民の暮らしの現状についてのうち、新年度予算の市民生活の影響に関わって、年金額改定の影響と市民の検討と暮らしを擁護する施策についてのお質しでありますが、
令和2年度の年金額改定につきましては、年金制度の長期的・安定的運営のため導入された、マクロ経済スライドによる調整も踏まえ0.2%のプラス改定となっているものであり、改定による市民生活への影響については、現時点において的確に見込むことは困難でありますが、
新年度におきましては、
大学医学部寄付口座開設事業や診療所開設支援事業などにより、引き続き医療提供体制のさらなる充実を図ること、
健康づくりサポートセンター事業や受動喫煙防止対策、食育推進事業などにより健康づくりを進めること、
認知症ケア総合支援事業や介護予防事業、つどいの場創出事業などにより、高齢者の生活支援を図ること等により、
市民の健康の増進及び「誰もが住み慣れた地域で安全で安心して暮らし続けることができるまち」の実現に向け、取り組んでまいりたいと考えております。

伊  藤
 また、低年金者の施設入所時の食事負担の月2万2,000円の引き上げは施設利用の抑制につながり、介護難民を生み出す結果、介護保険制度導入のきっかけとなった老々介護などによる不幸な事態を繰り返すことにつながりかねません。

 市長は、市民が介護の心配がなく安心して生活を送ることができるように、国に対し、引き上げには問題があると意見すべきと思いますが、いかがでしょうか。

保健福祉部長
 市民の暮らしの現状についてのうち、市民が介護の心配なく安心して生活を送ることができるように、市として国に意見すべきとのお質しでありますが、
現在、国において行っております、利用者負担の見直しなどの介護保険制度改正に向けた検討におきましては、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて、さらにはいわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者人口がピークを迎えますとともに、介護ニーズの高い85歳以上人口や高齢単身などの世帯、認知症の方などの増加により、介護サービス需要がさらに増加・多様化することが想定される2040年を見据えて、「介護予防・健康づくりの推進」や「持続可能な制度の構築・介護現場の革新」などの観点から、見直しを進めることとしております。

 このような状況のなか、市といたしましても、介護保険制度は、要介護状態等の軽減と悪化の防止に資するよう必要な保険給付等を行うと同時に、給付と負担のバランスを図りつつ、保険料、公費及び利用者負担の適切な組み合わせにより、制度の持続可能性を高めていくことが重要であると考えておりますことから、
制度改正にかかる国の動向を注視してまいりますとともに、決定されました見直しの内容につきましては、市民のみな様や介護保険事業者などのみな様に対し、丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。

市議会2月定例会代表質問_Vol.2に続く




代表質問・他の質問内容

■市民生活からみた復興の総仕上げはまだ先_市議会2月定例会代表質問_Vol.2

■新型コロナウイルスの現状と備えは_市議会2月定例会代表質問_Vol.3

■遠野支所の耐震改修に関わり住民の声の反映を_市議会2月定例会代表質問_Vol.4

■教員の変形労働時間制「慎重に見極めることが重要」と教育長_市議会2月定例会代表質問_Vol.5

■代表質問発言全文はこちら「代表質問に立ちました。とりあえず発言原稿を掲載します。」


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